3つの代表値
個数が奇数なら真ん中の1つ、偶数なら 真ん中2つの平均。
例で計算してみる
平均値:(60+70+70+80+100) ÷ 5 = 380 ÷ 5 = 76点
中央値:小さい順に並べると 60, 70, 70, 80, 100 → 真ん中は 70点
最頻値:70が2回出る(他は1回)→ 70点
平均:(50+60+70+80+90+100) ÷ 6 = 75点
中央:真ん中2つ 70, 80 の平均 = 75点
最頻:すべて1回ずつ → 最頻値なし(または全員)
3つの代表値の使い分け
外れ値の影響
25, 28, 30, 30, 500 ← 最後の人だけ突出
平均:(25+28+30+30+500)÷5 = 122.6万円 ← 1人の影響で大きくなる
中央値:30万円 ← 「ふつうの月収」に近い
最頻値:30万円
このように 極端な値(外れ値)があるとき、平均値だけ見ると実態とズレることがあります。中央値や最頻値も合わせて見るのが大事。
範囲(はんい、レンジ)── データの広がり
最大値 100、最小値 60 → 範囲 = 100 − 60 = 40
同じ平均値でも、範囲が違えば データの広がり方が違います。これは中2で学ぶ「ばらつき」の入り口の概念。
度数分布表からの代表値
- 平均値:(階級値 × 度数)の合計 ÷ 全体の度数
- 中央値:累積度数を見て、真ん中の人がどの階級にいるかを答える
- 最頻値:度数が最も大きい階級の 階級値
- 中央値の偶数個の場合:真ん中が2つあるので、その2つの 平均を取る。
- 「最頻値なし」の場合:すべて1回ずつなら最頻値はない(または「決定不能」)。
- 「最頻値が複数」の場合:同じ最大度数が複数あれば、最頻値も複数(バイモーダルなど)。
この章でつまずきやすいところ
代表値は3つあり、どれも「データの中心」を表しますが、求め方も性格も違います。本文を読んでいる途中で混乱しやすい場面を、立ち止まりポイントとして整理します。並べる・数える・差を取るの違いを意識して読み進めましょう。
中央値を「並べる前の真ん中」と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の「60, 70, 70, 80, 100」を見て、書いてある順のまま3番目の70を中央値だと答えそうになる場面。たまたま並んでいる例だと、並べ替える手順を飛ばして覚えてしまいやすい。
- 克服のコツ:見分け方は手順の時系列で固定する。中央値は必ず①小さい順(または大きい順)に並べる→②真ん中を取る、の順。並んでいるように見えても、まず並べ替えを声に出して確認する習慣をつけると、順序が崩れたデータでも迷わなくなる。
- ミニ例:例:「8, 4, 10, 6, 12」を見たとき、書かれた順の3番目10ではなく、並べ替えて4, 6, 8, 10, 12の真ん中の8が中央値。
最頻値を「いちばん大きい値」と思い込んでしまう
- つまずく場面:「最も多く現れる値」という説明を読みながら、「最」という字につられて最大値を答えそうになる場面。本文の「60, 70, 70, 80, 100」で100を選んでしまう迷いが起こりやすい。
- 克服のコツ:見分け方は「何を数えているか」で区別する。最頻値が見ているのは値の大きさではなく出てきた回数(度数)。「最大値=値の大きさ比べ」「最頻値=回数比べ」と役割を分けて、データの上に出た回数を数字で書き込んでから選ぶとよい。
- ミニ例:例:「3, 5, 5, 7, 9, 11」では最大値は11だが、5が2回で他は1回。回数で比べるので最頻値は5。
範囲を「最大値+最小値」と思い込んでしまう
- つまずく場面:「データの広がり」という言葉を読みながら、広いのだから足すのかな、と感じて最大値と最小値を足してしまう場面。範囲の定義を読み飛ばしたまま問題に進むと起きやすい。
- 克服のコツ:見分け方は因果関係で押さえる。「広がり」とは端から端までの距離のこと、距離は必ず引き算で求める。範囲=最大値−最小値、という式を「端と端の引き算」と読み替えると、足し算と取り違えにくくなる。
- ミニ例:例:「60, 70, 70, 80, 100」では最大値100、最小値60。範囲は100−60=40であって、100+60=160ではない。
偶数個のときに中央値を「真ん中の1つ」と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の「50, 60, 70, 80, 90, 100(6人)」を見て、真ん中はどこ?と迷ったまま、70だけ、または80だけを中央値として書こうとする場面。奇数個の例を先に覚えていると起こりやすい。
- 克服のコツ:見分け方は位置関係で決める。データの個数を数えて奇数なら真ん中1つ、偶数なら真ん中2つの平均。偶数のときは2つに印をつけてから足して2で割る、と手順を分けて書くと取りこぼしにくい。
- ミニ例:例:「3, 5, 5, 7, 9, 11」は6個(偶数)。真ん中2つは5と7で、中央値は(5+7)÷2=6。
練習問題
データ:4, 6, 8, 8, 10, 12, 14(7個)
答えを見る
平均:(4+6+8+8+10+12+14)÷7 = 62÷7 ≒ 8.86(または62/7)
中央:真ん中(4番目) = 8
最頻:8(2回出る、他は1回)
範囲:14 − 4 = 10
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中央:真ん中2つ(5と7)の平均 = (5+7)÷2 = 6
最頻:5(2回)
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解答例:平均値が中央値より大きいということは、データの中に 非常に高い値(外れ値)が含まれている可能性が高い。例えば一部の超高所得者の年収が平均を引き上げている。「ふつうの人の年収」を知りたければ、中央値の400万円のほうが実態に近い。平均値だけでは正確な判断ができない例。
まとめ
- 3つの代表値:平均値・中央値・最頻値。場面で使い分け。
- 平均値は外れ値に弱い。極端な値があるときは 中央値も見る。
- 中央値(偶数個)は真ん中2つの平均。
- 範囲=最大値 − 最小値。データの広がり。
- 度数分布表からは、階級値を使って近似的に代表値を求める。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
日本の世帯所得は「平均」より「中央値」が低い実生活
厚生労働省の2024年(令和6年)国民生活基礎調査によると、1世帯あたりの平均所得金額は536万円ですが、中央値は410万円と100万円以上も低くなっています。一部の所得が高い世帯が平均を押し上げているためで、実際に平均額以下の世帯が61.9%を占めます。「ふつうの暮らし」を知りたいときは中央値のほうが実態に近いという、教科書の外れ値の話そのものが現実に起きています。
民間の平均年収は国税庁が毎年公表している実生活
国税庁の民間給与実態統計調査では、給与所得者の1人あたり平均給与を毎年公表しています。この調査は従業員1人の事業所から5,000人以上の大企業までを対象にし、給与階級別・性別・年齢階層別の分布までわかるのが特徴です。ニュースで聞く「平均年収」がどんなデータから合計÷人数で求められているのかを知る良い例です。
中央値は「データを2等分する境界の値」発展
政府統計の用語集では、中央値(メジアン)を「総頻度を二つに分割する変数値」と定義しています。つまりデータ全体のちょうど半分がその値より小さく、半分が大きいという意味です。中学で習う『小さい順に並べた真ん中の値』という手順が、なぜデータを半々に分けることになるのかを表した、より本質的な言い方です。
天気予報の「平年並み」は30年間の平均から決まる発展
気象庁が使う「平年値」は、気温や降水量などを原則30年間平均した値で、現在は1991〜2020年の30年が使われています。さらに「平年並み」とは、30年分の観測値を小さい順に並べて3等分し、その真ん中のグループに入ることを指します。平均値だけでなく、データを順に並べて区切るという代表値の考え方が天気予報で実際に使われています。
代表値は外れ値への強さで使い分ける発展
総務省統計局の「なるほど統計学園」では、中央値は「外れ値が増えても多くの場合それほど影響ありません」、最頻値は「外れ値の影響はまず受けません」と説明し、平均値は三つの中で「最も影響を受ける」としています。同じ『中心』を表す代表値でも極端な値への強さが違うので、データの性質に合わせて選ぶことが大切だとわかります。
テストの偏差値は平均と「ばらつき」から計算する発展
偏差値は『(自分の得点 − 平均点) ÷ 標準偏差 × 10 + 50』で求められ、平均点を50とした相対的な位置を表します。単に平均との差だけでなく、全体の得点の散らばり(標準偏差)も使うのがポイントです。この単元で学ぶ範囲=最大値−最小値は、中2以降に学ぶ標準偏差という『ばらつき』の考えの入り口になっています。
