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プレートテクトニクスと大地の変動 ── なぜ日本は地震・火山が多いのか

単元4ではここまで、火山・地震・地層・化石を1つずつ見てきました。最終回は、これらの大地の変化を大きな視点でつなぐ考え方 プレートテクトニクス を紹介します。地球の表面はパズルのように何枚かに分かれていて、それらがゆっくり動いている。この1つの考え方で、「日本になぜ火山が多いのか」「なぜ地震が多いのか」「海溝という深い溝がなぜできるのか」が説明できます。

地球の表面は「プレート」に分かれている

地球をリンゴにたとえると、皮にあたる部分(地殻と上部マントルの一部)は1枚のなめらかな皮ではなく、十数枚の板に分かれています。この板1枚1枚を プレート と呼びます。

用語:プレート
地球の表面を作る板
地殻と上部マントルの一部がいっしょになった、厚さ約100kmの岩石の板。地球全体に十数枚あり、それぞれが1年に 数cm という速さでゆっくり動いている(人の爪が伸びるくらいのスピード)。プレートが動くから、大地はじっとしていられず、地震や火山活動が起きる。

「1年に数cm」というと、ほとんど止まっているように感じます。でも100年で数m、100万年で数十km。地球の長い歴史で見れば、大陸の位置が変わってしまうほどの大きな動きです。

日本周辺の4つのプレート

日本は世界でも珍しく、4つのプレートが交わる場所にあります。これが、日本に地震や火山が多い大きな理由です。

用語:北アメリカプレート
大陸プレート(東日本がのっている)
北海道・東北・関東をのせている大陸プレート。名前の通り、北アメリカ大陸とつながっている。
用語:ユーラシアプレート
大陸プレート(西日本がのっている)
中部・近畿・中国・四国・九州をのせている大陸プレート。ヨーロッパまで続く。
用語:太平洋プレート
海洋プレート(太平洋を作っている)
日本の東側、太平洋の海底を作っているプレート。年に約8cmで西へ動き、日本の下にもぐり込んでいる。
用語:フィリピン海プレート
海洋プレート(西日本の南)
西日本の南、フィリピン海の海底を作っているプレート。年に数cmで北西へ動き、西日本の下にもぐり込んでいる。
日本周辺の4つのプレート ユーラシアプレート (大陸/西日本) 北アメリカプレート (大陸/東日本) 太平洋プレート(海洋) → 年8cmで西へ移動 フィリピン海プレート (海洋) 日本列島 ● = 地震の震央 ↑ 日本海溝 ↑ 南海トラフ 点線=プレート境界(沈み込み帯)/ドット=地震の起こりやすい場所
図1:日本周辺のプレート配置(簡略図)。4つのプレートがぶつかり合う場所に日本列島がある。

プレートの境界 ── 何が起きるか

プレートとプレートが接する 境界 には、3つのタイプがあります。動き方によって、起きる現象がまったく違います。

① 押し合う境界(沈み込み境界)
  • 重い 海洋プレート が、軽い 大陸プレート の下にもぐり込む。
  • 日本列島はこのタイプ。
  • ここで 大規模な地震、深い溝(海溝)、火山ができる。
  • 例:日本海溝(太平洋プレートが沈む)、南海トラフ(フィリピン海プレートが沈む)。
② 引き離されている境界
  • プレートどうしが 離れていく
  • すきまから地下のマグマがふき出して、新しいプレートができる。
  • 例:大西洋の真ん中に走る大西洋中央海嶺(かいれい)。
③ ずれる境界(横ずれ)
  • プレートどうしが 水平にすれちがう
  • 例:アメリカ西海岸のサンアンドレアス断層。ここでも大きな地震が起きる。

日本に地震が多い理由

日本周辺では4つのプレートが押し合い、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいます。このとき、どんなことが起きているのでしょうか。

沈み込みで地震が起きるしくみ
  1. 海洋プレートが、大陸プレートの下にもぐり込もうとする。
  2. そのとき、大陸プレートのはしを 引きずり下ろす
  3. 大陸プレートは長い時間をかけて少しずつ曲がっていき、ひずみがたまる。
  4. 耐えきれなくなった瞬間、大陸プレートが ぐぐっと跳ね返る。これが 巨大地震津波
用語:海溝型地震
プレート境界で起きる地震
沈み込み帯のプレート境界で起きる、規模の大きい地震。震源は海底の下にあることが多く、津波をともなうことがある。例:東日本大震災(2011年・マグニチュード9.0)
地震には2タイプある
  • 海溝型地震(プレート境界型):プレートどうしの境界で起きる。規模が大きく、津波をともなうことがある。例:東日本大震災。
  • 内陸型地震(活断層型):陸の地下で、過去に動いたあとがある断層(活断層)が再びずれて起きる。震源が浅いため、ゆれが直接伝わって被害が大きくなりやすい。例:兵庫県南部地震(1995年・阪神淡路大震災)

日本に火山が多い理由

地震だけではなく、火山も日本にはたくさんあります。これもプレートの沈み込みで説明できます。

沈み込みで火山ができるしくみ
  1. 海洋プレートは、海水を含んだ岩石でできている。
  2. 沈み込んで深さ100km〜150kmまで来ると、その水がしみ出る。
  3. 水がしみ込んだまわりのマントルは、温度が同じでも 溶けやすくなる(融点が下がる)。
  4. マントルの一部が溶けて マグマ ができる。
  5. マグマが軽いので地表近くまで上昇し、ふき出すと 火山 になる。

このしくみのため、火山は海溝のすぐそばではなく、海溝から少し陸側に 1本の線のように 並びます。この線を 火山フロント と呼びます。

用語:火山フロント
火山が並ぶ最前線
沈み込み帯で、海溝側から見て火山が出現し始める線。日本では、富士山・浅間山・桜島・阿蘇山などが、ほぼこの線上に並んでいる。火山フロントより海溝側には火山がほとんどない。
プレート沈み込み帯の断面図 海面 海洋プレート(沈む側) マントル 大陸プレート 海洋プレートが沈み込む 海溝 (深い溝) 噴火 火山 ←火山フロント→ マグマ 水がしみ出す ★ 海溝型地震の震源 海洋側 陸地側
図2:プレート沈み込み帯の断面。海洋プレートが大陸プレートの下にもぐり込み、海溝・地震・マグマ・火山ができる。

世界の地震・火山分布

世界地図に地震や火山の場所を点で打つと、ある事実が見えてきます。地震や火山は 地球全体にバラバラにある のではなく、プレート境界に沿って線状に集中 しているのです。代表的な2つの帯を覚えましょう。

用語:環太平洋造山帯
太平洋を取り囲むプレート境界
日本・フィリピン・ニュージーランド・南北アメリカ大陸の西海岸を結ぶ、太平洋を一周する地震・火山の帯。地球上の活火山の半分以上、大規模地震の多くがこの帯で起きている。「環太平洋火山帯」とも呼ぶ。
用語:アルプス・ヒマラヤ造山帯
ユーラシア大陸を横切る帯
イタリア・トルコ・イラン・ヒマラヤ山脈・インドネシアを結ぶ帯。プレートどうしが押し合っている場所で、ヒマラヤのような大山脈もここでできた。

地震や火山と私たちの暮らし

プレートテクトニクスは、私たちにとって悪いことだけをもたらすわけではありません。災害恵み の両面があります。

災害の側面
  • 地震・津波・火砕流・噴石・降灰など。命や暮らしに直接かかわる。
  • 備え:耐震建築、避難訓練、ハザードマップの確認、家具の固定。
恵みの側面
  • 温泉:火山の地下熱で水が温められて湧き出す。
  • 地熱発電:火山の熱を電気に変える、再生可能エネルギーの1つ。
  • 火山灰の土壌:火山灰は栄養分が豊富で、農業に向く(関東ローム層など)。
  • 美しい景観・観光資源:富士山・阿蘇のカルデラ・温泉地など。

災害から身を守る 防災 と、自然の恵みを生かす 共生。この両面を考えることが、火山列島・地震列島である日本に住む人にとって大切です。

単元4のまとめ ── 大地の変化をプレートでつなぐ

ここまで単元4で学んできた内容を、プレートの動きで整理し直してみましょう。

プレートの動きは、大地の変化を考える大きな手がかりになる
  • 火山(No.1):沈み込んだプレートからマグマができる。
  • 地震(No.2):プレート境界のひずみが解放されて起きる(海溝型)。または陸の活断層がずれて起きる(内陸型)。
  • 地層・堆積岩(No.3):プレートが動いて陸地が動くから、海だった場所が陸になり、地層が地表で見られる。
  • 化石(No.4):地層が大地の動きで持ち上げられるから、私たちは大昔の生き物の化石を見つけられる。

練習問題

問題1(用語)
次の用語を簡単に説明しなさい。
  1. プレート
  2. 海溝
  3. 火山フロント
  4. 海溝型地震
答えを見る

(1) プレート:地球の表面を作る、厚さ約100kmの岩石の板。地球全体に十数枚あり、1年に数cmずつ動いている。

(2) 海溝:海洋プレートが大陸プレートの下にもぐり込む場所にできる、海底の深い溝。日本海溝などが代表例。

(3) 火山フロント:沈み込み帯で、海溝側から見て火山が出現し始める線。日本では富士山・浅間山などがこの線上に並ぶ。

(4) 海溝型地震:プレート境界で、沈み込みによってたまったひずみが一気に解放されて起きる地震。規模が大きく、津波をともなうことがある。

問題2(記述)
次の問いに答えなさい。
  1. 日本に地震が多い理由を、プレートという言葉を使って説明しなさい。
  2. 日本に火山が多い理由を、プレート・マグマ・水という3つの言葉を使って説明しなさい。
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(1) 解答例:日本は4つのプレートが交わる場所にあり、海洋プレートが大陸プレートの下にもぐり込んでいる。沈み込みのときに大陸プレートが引きずられてひずみがたまり、それが一気に解放されると大きな地震が起きる。さらに陸の活断層が動く内陸型地震もあるため、日本では地震が多い。

(2) 解答例:沈み込んだ海洋プレートからしみ出した水が、まわりのマントルの融点を下げて、マントルの一部を溶かしマグマができる。マグマが上昇して地表からふき出すことで火山ができる。日本の下では海洋プレートが沈み込んでいるため、その上に火山が並ぶ。

問題3(応用)
プレートの沈み込み帯では、どのような現象が起きるか。代表的なものを3つあげなさい。
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解答例:

  1. 海溝の形成:海洋プレートが大陸プレートの下にもぐり込むため、海底に深い溝(海溝)ができる。
  2. 大規模な地震:沈み込みでたまったひずみが解放されると、海溝型地震が起きる。津波をともなうことがある。
  3. 火山活動:沈み込んだプレートからの水でマントルがとけてマグマができ、地表にふき出して火山ができる(火山フロント)。

※ ほかに「島弧(弓なりにつながる火山島)」「変成岩の形成」なども正解。

まとめ

  • 地球の表面は十数枚の プレート に分かれ、それぞれが年に数cmずつ動いている。
  • 日本は 4つのプレート(北アメリカ・ユーラシア・太平洋・フィリピン海)が交わる場所にあり、地震や火山が多い。
  • 沈み込み帯では、海溝海溝型地震火山 の3つがセットで起きる。
  • 地震・火山は世界中バラバラにあるのではなく、プレート境界に集中 している(環太平洋造山帯・アルプスヒマラヤ造山帯)。
  • プレートの動きは 災害恵み も生む。防災と共生の両面を意識する。