マグマって何?
火山の話のスタートは、地下深くにある マグマ です。
火山の形は「マグマのねばりけ」で決まる
火山は世界中にありますが、形を3つに分けて整理すると、しくみが見えてきます。
| 火山の形 | マグマのねばりけ | 噴火 | 例 |
|---|---|---|---|
| 楯状(たてじょう)火山 平たい・なだらか |
弱い(さらさら) | おだやか | キラウエア(ハワイ) |
| 成層火山 きれいな円錐形 |
中くらい | 中くらい | 富士山・桜島 |
| ドーム状火山 おわんを伏せた形 |
強い(ねばねば) | 激しい・爆発的 | 雲仙普賢岳・昭和新山 |
ポイントは 「ねばりけが強いほど、ガスがぬけにくく、激しく爆発的に噴火する」ということ。さらさらのマグマは、コーラのフタを開けたときのようにガスがすぐにぬけて、おだやかに溶岩を流すだけ。けれどねばねばのマグマは、ガスが内側にたまり、限界まで圧力が上がってから一気に爆発します。だから火山の形も、急斜面でモコッと盛り上がる形になるのです。
マグマのねばりけは色も決める
火山博物館などで溶岩のサンプルを見比べると、黒っぽいものと白っぽいものがあります。色のちがいは マグマのねばりけと直結しています。
- ねばりけ 弱い → 黒っぽい溶岩(玄武岩質)
- ねばりけ 強い → 白っぽい溶岩(流紋岩質)
これを決めているのが、マグマに含まれる 二酸化ケイ素(SiO₂) の量です。SiO₂が多いほどマグマはねばねばし、色は白くなります。逆にSiO₂が少ないとさらさらで、色は黒くなります。
SiO₂の量 → ねばりけ → 火山の形 → 噴火の激しさ → 溶岩の色。
すべては 1本の鎖でつながっています。「ねばりけが強い火山は、急斜面で激しく爆発し、溶岩は白い」とセットで覚えましょう。
火成岩 ── マグマが冷えて固まった岩石
マグマが冷えて固まると 火成岩 になります。冷える 場所がちがうと、岩石のつくり(粒の大きさのそろい方)も大きく変わります。
① 火山岩(かざんがん)── 地表近くで急に冷える
例:玄武岩・安山岩・流紋岩
② 深成岩(しんせいがん)── 地下深くでゆっくり冷える
例:はんれい岩・せん緑岩・花こう岩
6つの火成岩の覚え方
火成岩は、冷え方(火山岩/深成岩)と、白さ(無色鉱物の量)の組み合わせで 6種類に整理できます。
| 黒っぽい ← | 中くらい | → 白っぽい | |
|---|---|---|---|
| 火山岩 (急に冷えた) |
玄武岩 | 安山岩 | 流紋岩 |
| 深成岩 (ゆっくり冷えた) |
はんれい岩 | せん緑岩 | 花こう岩 |
深成かこう岩・せん緑岩・はんれい岩 → 「かんせんは」
火山りゅう紋岩・あん山岩・げん武岩 → 「りあげ」
並び白っぽい順 → 黒っぽい順で読むと「しんかんせん は かりあげ」
鉱物 ── 岩石を作っている粒
火成岩をルーペで観察すると、何種類かの 鉱物(こうぶつ)の集まりでできていることが分かります。鉱物は大きく2種類に分けられます。
つまり、白っぽい火成岩(流紋岩・花こう岩)は無色鉱物が多く、黒っぽい火成岩(玄武岩・はんれい岩)は有色鉱物が多いのです。最初に出てきた「ねばりけ → 色」の話とつながります。
この章でつまずきやすいところ
火山と火成岩は、用語が多いうえに「ねばりけ・形・色・組織」がぐるぐる絡みあう単元です。本文を読み進めるうちに、どれが原因でどれが結果なのか、どちらが地表近くでどちらが地下深くなのかが入れ替わって混乱しがちです。途中で迷う典型場面を4つ整理します。
ねばりけが強いほど噴火がおだやかだと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「ドーム状火山」を読んでいるとき、ねばねばで形が盛り上がる様子から「ゆっくり盛り上がるからおだやかに噴火しそう」と感じ、噴火の激しさを逆に覚えてしまう場面。
- 克服のコツ:因果関係で整理する。ねばりけが強い → ガスがぬけにくい → 内部に圧力がたまる → 一気に爆発、という流れ。形の急斜面さは「ゆっくり」ではなく「流れずに固まる」結果。さらさらは反対に、ガスがすぐぬけるのでおだやかに溶岩が流れる。
- ミニ例:形(傾斜)はねばりけの結果、噴火の激しさもねばりけの結果。だから形と噴火の激しさは原則そろうが、原因はあくまでねばりけ。ドーム状(雲仙普賢岳・昭和新山)>成層火山(富士山・浅間山)>楯状火山(キラウエア)の順にねばりけが強く、噴火も激しい。
火山岩と深成岩のどちらが地表側か分からなくなる
- つまずく場面:本文の「火山岩」「深成岩」を読み比べているとき、「火山」と名前についている火山岩を地下深くと取り違えたり、深成岩を地表近くと逆に覚えたりして、組織の名前まで反転してしまう場面。
- 克服のコツ:位置関係で整理する。火山岩=地表近くで急に冷えた=斑状組織、深成岩=地下深くでゆっくり冷えた=等粒状組織。「火山=噴火で地表へ出る」「深成=深いところで成る」と名前の漢字で位置を結びつけると入れ替わりにくい。
- ミニ例:玄武岩・安山岩・流紋岩は火山岩(地表近く・斑状)、はんれい岩・せん緑岩・花こう岩は深成岩(地下深く・等粒状)。
斑状組織の「大きい結晶」と等粒状組織の「大きい結晶」を同じものだと思ってしまう
- つまずく場面:本文の図2を見ているとき、どちらにも「大きめの結晶」があるように見え、「結局どっちもつぶつぶでは?」と区別がつかなくなる場面。
- 克服のコツ:見分け方で整理する。斑状組織は「こまかい石基+ぽつんと大きな斑晶」の二段構え、等粒状組織は「似たサイズの結晶がびっしり」。粒の大きさが「そろっているか/そろっていないか」で見分けるのがコツ。斑晶は地下でゆっくり成長した結晶、石基は地表近くで急に冷えてできた細かい部分。二段階の冷え方が斑状組織の正体、と理由までセットで押さえる。
- ミニ例:ルーペで見て、大小バラバラ+すき間が細かいなら火山岩(例:玄武岩)、同じくらいの粒がびっしりなら深成岩(例:花こう岩)。
溶岩の色とマグマのねばりけのつながりを忘れてしまう
- つまずく場面:章末問題で「黒っぽくて斑状組織」と書かれた岩石を答えるとき、組織までは分かっても、黒っぽい=ねばりけが弱い=SiO₂が少ない、という鎖を思い出せず、6種類の表のどこに入る火山岩か迷う場面。
- 克服のコツ:因果関係を一本の鎖で整理する。SiO₂が多い → ねばりけ強い → 白っぽい → 無色鉱物(セキエイ・チョウ石)の割合が多い、その逆が黒っぽい側。黒っぽい岩にもチョウ石は入るが、カクセン石・キ石・カンラン石などの有色鉱物の割合が高いので暗く見える。色を見たら「無色鉱物が多いか少ないか」まで一気に思い出すと、6種類の表のどこに入るかが決まる。
- ミニ例:黒っぽい+火山岩 → 玄武岩、白っぽい+深成岩 → 花こう岩。色で左右の列、組織で上下の行を決める2ステップで考える。
練習問題
玄武岩・安山岩・流紋岩・はんれい岩・せん緑岩・花こう岩
答えを見る
火山岩:黒っぽい→玄武岩/中くらい→安山岩/白っぽい→流紋岩
深成岩:黒っぽい→はんれい岩/中くらい→せん緑岩/白っぽい→花こう岩
※ 語呂「しんかんせんはかりあげ」で、深成岩→火山岩、白→黒の順に並ぶ。
(2) 火山岩と深成岩のつくり(組織)の違いを答え、なぜそのような違いができるのかを説明しなさい。
答えを見る
(1) ねばりけが強い火山の特徴:
- 火山の形が ドーム状(おわんを伏せた形)になる。
- 噴火が 激しく爆発的になる(ガスがぬけにくいため)。
- 溶岩の色が 白っぽい(SiO₂が多いため)。
(2) 火山岩と深成岩のちがい:
火山岩は 斑状組織(こまかい石基の中に大きな斑晶がある)で、深成岩は 等粒状組織(似た大きさの結晶がびっしり並ぶ)。
火山岩は地表近くで 急に冷えたため結晶が成長する時間がなく、深成岩は地下深くで ゆっくり冷えたため結晶が大きくそろって成長したから。
(1) 黒っぽくて、ルーペで見るとこまかい結晶の中に大きめの結晶が散らばっている。
(2) 白っぽくて、似た大きさの結晶がびっしり並んでいる。
答えを見る
(1) 黒っぽい+斑状組織(火山岩) → 玄武岩
(2) 白っぽい+等粒状組織(深成岩) → 花こう岩
※ 「色」で火山岩・深成岩のどの段に入るか、「組織」で火山岩か深成岩かを判別する2ステップで考える。
まとめ
- マグマは地下の高温(900〜1200℃)の岩石がとけたもの。地表に出ると 溶岩、冷えて固まると 火成岩になる。
- 火山の 形・噴火・色はすべて マグマのねばりけで決まる。ねばりけ強い → ドーム状・激しい・白い/弱い → 楯状・おだやか・黒い。
- 火成岩は冷え方で2種類。火山岩(地表近くで急冷・斑状組織)と 深成岩(地下深くで徐冷・等粒状組織)。
- 6種類の火成岩は「しんかんせん は かりあげ」で覚える。深成:花こう岩・せん緑岩・はんれい岩/火山:流紋岩・安山岩・玄武岩。
- 白っぽい岩石は 無色鉱物(石英・長石)が多く、黒っぽい岩石は 有色鉱物(黒雲母・角閃石・輝石・かんらん石)が多い。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
「マグマのねばりけ」を数字で決めるSiO₂の量発展
教科書では「SiO₂が多いほどねばねば」と学びますが、研究機関ではマグマをSiO₂の割合で細かく分類しています。玄武岩質はSiO₂が約45〜52%、安山岩質が約52〜63%、流紋岩質は約70〜77%で、数字が大きいほどねばりけが強く、岩石は白っぽくなります。色の見た目のちがいの裏には、こうした成分の割合のちがいがあるのです。
噴火の危険を5段階で知らせる「噴火警戒レベル」実生活
気象庁は火山活動の状況に応じて、危険な範囲ととるべき行動を「噴火警戒レベル1〜5」の5段階で発表しています。レベル1は「活火山であることに留意」、レベル3は「入山規制」、レベル5は「避難」というように、数字が大きいほど警戒が必要です。教科書で学ぶ噴火の激しさのちがいが、実際の防災情報として登山や生活に役立てられています。
マグマの熱を電気に変える地熱発電実生活
火山の地下深くにあるマグマの熱は、地下水を高温・高圧の蒸気や熱水に変えています。地熱発電所はこの蒸気を地下から取り出してタービンを回し、電気をつくります。日本は世界有数の火山国で、地熱資源量は世界第3位とされ、火山が災害だけでなくエネルギー源にもなっていることがわかります。
「活火山」は今も活発な火山だけではない発展
「活火山」というと今まさに噴煙を上げている火山を想像しがちですが、気象庁の定義では「おおむね過去1万年以内に噴火した火山、および現在活発な噴気活動のある火山」を指します。この定義により、日本には111の活火山があるとされています。長い目で大地の変化をとらえる、地学らしい考え方です。
出典:気象庁「活火山とは」
観測でマグマの動きを「見張る」常時観測火山実生活
気象庁は、活火山のうち特に注意が必要な火山を24時間体制で見張っており、令和8年3月現在で常時観測火山51のうち49で噴火警戒レベルが運用されています。地震計や傾斜計でマグマの動きによる地面のわずかな変化をとらえ、噴火の前ぶれを探します。教科書の「観察・測定で根拠をもって判断する」という姿勢が、防災の現場でも実践されています。
