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中学生の学習ノート教科書をもう一段くわしく

環境問題と公害 ── 持続可能な社会

高度経済成長の影で起こった 4大公害病。そして今、地球規模で進む 温暖化・生物多様性の喪失。経済発展と環境保護のバランスを取るための取り組みを整理しましょう。

図でつかむ

4大公害病(場所×原因物質)→ 対策法制のあゆみ 水俣病 熊本県 有機水銀 チッソ工場の排水 新潟水俣病 新潟県 有機水銀 原因は水俣病と同じ イタイイタイ病 富山県 カドミウム 神岡鉱山の排水→米 四日市ぜんそく 三重県 亜硫酸ガス(SO₂) 石油コンビナート排煙 裁判はいずれも原告勝訴 国の法整備が進む 1967年 1971年 1993年 2001年 公害対策基本法 環境庁を設置 環境基本法 環境省に昇格 公害への反省が、地球温暖化・海洋プラスチック汚染など今の環境政策の土台になった
4大公害病の場所と原因物質、そして公害対策基本法(1967年)から環境省(2001年)までの法制のあゆみ

4大公害病は「地名×原因物質」のセットで覚えるのがコツです。裁判での原告勝訴をきっかけに、公害対策基本法から環境省へと法整備が進んだ流れを図で確認しましょう。

4大公害病(昭和30〜40年代)

名前場所原因
水俣病熊本県有機水銀(チッソ)
新潟水俣病新潟県有機水銀
イタイイタイ病富山県カドミウム
四日市ぜんそく三重県亜硫酸ガス

環境対策の歴史

  • 1967年 公害対策基本法
  • 1971年 環境庁設置
  • 1993年 環境基本法
  • 2001年 環境省(環境庁を昇格)

地球温暖化

用語
地球温暖化
CO₂などの 温室効果ガスの増加で、地球の平均気温が上昇している現象。
  • 影響:海面上昇、異常気象、農業への打撃、生物多様性の喪失
  • 原因:化石燃料(石油・石炭)の燃焼、森林伐採

国際的な取り組み

主な国際合意

1992年 地球サミット(ブラジル・リオ):気候変動枠組条約

1997年 京都議定書:先進国に削減義務

2015年 パリ協定:すべての国が削減目標

2050年 カーボンニュートラルを多くの国が目標

その他の環境問題

  • オゾン層破壊:フロンガスが原因(モントリオール議定書で削減)
  • 酸性雨:硫黄酸化物などが原因
  • 砂漠化:森林伐採・過放牧
  • 海洋プラスチック汚染:大量のプラスチックごみが海に流れ込み、生態系に影響
  • 生物多様性の喪失:種の絶滅

循環型社会と 3R

用語
3R

Reduce:減らす(ごみを出さない)

Reuse:再使用(ビンを洗って使う)

Recycle:再生利用(プラスチック → 燃料へ)

再生可能エネルギー

  • 太陽光発電
  • 風力発電
  • 水力発電
  • 地熱発電
  • バイオマス(生物資源)

→ CO₂を出さない、枯渇しない発電方法。

持続可能な開発目標(SDGs)

SDGsの環境関連目標

7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに

13:気候変動に具体的な対策を

14:海の豊かさを守ろう

15:陸の豊かさも守ろう

4大公害病の症状と判決

公害病の歴史

水俣病(1956年公式確認):手足のしびれ、視力低下、運動障害

 チッソ水俣工場の排水中の有機水銀 → 魚介類 → 人間(生物濃縮)

イタイイタイ病(1968年公害病認定):骨が脆くなり激痛

 神岡鉱山の排水中のカドミウム → 米 → 人間

四日市ぜんそく(1960年代):呼吸困難、気管支炎

 石油コンビナートの排煙中の亜硫酸ガス(SO₂)

→ いずれも 原告勝訴、企業に賠償命令

公害対策の原則

  • 汚染者負担の原則(PPP):汚染を出した者が費用を負担
  • 環境影響評価(環境アセスメント):大規模開発前の環境影響予測
  • 予防原則:被害が起こる前に対策
  • 持続可能な開発:将来世代の利益を損なわない

気候変動の影響(具体例)

温暖化の被害

海面上昇:氷河が溶ける → 島嶼国が水没の危機(ツバル等)

異常気象:豪雨・台風の大型化、干ばつ

農業:作物の生育環境変化(コメの品質低下)

生態系:サンゴの白化、北極のホッキョクグマ減少

感染症:蚊が媒介するマラリア・デング熱の拡大

経済:観光業・漁業への打撃

日本のエネルギー政策

  • 2011年:東日本大震災・福島第一原発事故
  • その後、原子力発電の扱い、火力発電への依存、再生可能エネルギー拡大が大きな論点になった
  • 電源構成は年度で変わる。火力への依存度、再生可能エネルギー、原子力の割合は最新資料で確認する。
  • 2050年カーボンニュートラルを目標
  • 電気自動車(EV)の普及、水素エネルギー開発
つまずきポイント:環境対策は「我慢」だけではない
  • 省エネ、再生可能エネルギー、技術革新、法律、国際協定を組み合わせる。
  • 経済活動を止めるのではなく、環境への負荷を減らしながら続ける考え方が持続可能な開発。
  • 公害の学習では、原因物質、被害、企業・行政の責任、法律の整備をつなげて見る。
つまずきポイント①:4大公害病の組み合わせ
  • 「水俣病 → 熊本 → 水銀」「イタイイタイ病 → 富山 → カドミウム」「四日市 → 三重 → 亜硫酸ガス」
  • 地名と原因物質をセットで覚える。
  • 4つすべての名前を言えるように。
つまずきポイント②:京都議定書とパリ協定の違い
  • 京都議定書(1997):先進国のみに削減義務、中国・インドは対象外
  • パリ協定(2015):すべての国が削減目標、産業革命以前から2℃以下に
  • 日本は両方に参加、米国は京都不参加・パリは離脱と復帰
つまずきポイント③:3R + 2R
  • 基本の 3R:Reduce、Reuse、Recycle
  • + Refuse(断る、レジ袋を断るなど)
  • + Repair(修理して使う)
  • 合わせて 5Rとも呼ばれる

この章でつまずきやすいところ

環境問題と公害の単元は、4大公害病・国際協定・3Rなど似た用語が並んでつまずきやすい所です。本文を読む途中で迷う具体場面を取り上げ、地名・原因物質・年代・枠組みのちがいを見分けるコツを整理します。

イタイイタイ病の発生地を新潟だと思い込んでしまう

  • つまずく場面:本文の4大公害病の表を読む途中で、「新潟水俣病」という名前が目に入ったため、「イタイイタイ病も新潟あたりだろう」と勘違いし、富山県という記述を見落としてしまう場面。
  • 克服のコツ:位置関係で整理します。水俣病=熊本県(チッソ)/新潟水俣病=新潟県はどちらも有機水銀。一方イタイイタイ病=富山県・神岡鉱山のカドミウム、四日市ぜんそく=三重県の硫黄酸化物(亜硫酸ガス)。原因物質と県名をセットで結びつけると混同しにくくなります。
  • ミニ例:教科書では、富山県の神岡鉱山から流れたカドミウムが米に蓄積し、骨がもろくなる被害が出た例としてイタイイタイ病を紹介しています。

京都議定書とパリ協定をどちらも「全部の国が参加」と読んでしまう

  • つまずく場面:本文の国際合意の流れを読む途中で、「地球温暖化対策の国際協定」とまとめて書かれている部分を見て、京都議定書もパリ協定も同じように全ての国に削減義務があると思い込んでしまう場面。
  • 克服のコツ:時系列で整理します。1997年・京都議定書は先進国のみに削減義務があり、中国・インドなどの途上国には削減義務がありませんでした。2015年・パリ協定ではすべての国が削減目標を持つ枠組みに広がりました。「先進国だけ→全ての国へ」と矢印で覚えると区別しやすくなります。
  • ミニ例:教科書では、1992年の地球サミットをきっかけに国際的な取り組みが進み、京都議定書からパリ協定へと、参加国の範囲が広がった流れとして整理しています。

3Rのうち「リサイクルが一番大事」と読み取ってしまう

  • つまずく場面:本文で3Rの説明を読む途中、Recycleという言葉だけ目立って見え、「とにかく分別して再生利用すればよい」と思い込み、Reduce・Reuseの位置づけを見落としてしまう場面。
  • 克服のコツ:因果関係で整理します。Reduce(減らす)でそもそもごみを出さないことが最上位、次にReuse(再使用)で長く使い、最後にRecycle(再生利用)で資源に戻す、という順番が循環型社会の考え方です。教科書では「リサイクルだけでなく、減らすことと再使用も重要」と整理しています。
  • ミニ例:教科書では、ビンを洗って再び使うのがReuse、ペットボトルを回収して新しい製品の原料にするのがRecycleと、それぞれの違いを具体例で説明しています。

公害は「昔の話」で今は解決済みと読み流してしまう

  • つまずく場面:本文を読む途中で4大公害病の年代(高度経済成長期の1950〜70年代)が並んでいるのを見て、「もう終わった問題」と決めつけ、地球温暖化や海洋プラスチック汚染が同じ流れの中にあることを見落としてしまう場面。
  • 克服のコツ:因果関係で整理します。教科書では、高度経済成長期の公害被害をきっかけに公害対策基本法(1967)→環境基本法(1993)→環境省(2001)と制度が整い、その延長で汚染者負担の原則・環境アセスメント・循環型社会形成推進基本法が現在の地球環境問題対策につながっている、と整理しています。
  • ミニ例:教科書では、海洋プラスチック汚染や生物多様性の喪失を、形を変えて現在も続く環境課題として4大公害病の流れに位置づけて説明しています。

練習問題

問題1(4大公害病)

4大公害病の名前を挙げよ。

答えを見る

水俣病・新潟水俣病・イタイイタイ病・四日市ぜんそく

問題2(国際合意)
  1. 1997年に採択された地球温暖化対策の議定書
  2. 2015年に採択された協定
答えを見る

(1) 京都議定書 (2) パリ協定

問題3(3R)

3Rの「3つのR」を答えよ。

答えを見る

Reduce(減らす)・Reuse(再使用)・Recycle(再生利用)

問題4(説明)

公害問題の教訓が、現在の環境政策にどのようにつながっているか説明しなさい。

答えを見る

例:高度経済成長期には工場排水や排煙によって健康被害が起こった。その反省から、汚染者負担の原則、環境基準、環境影響評価などが重視され、被害が起こる前に防ぐ予防的な政策につながっている。

まとめ

  • 4大公害病:水俣・新潟水俣・イタイイタイ・四日市。
  • 環境基本法(1993)と環境省(2001)。
  • 地球温暖化:CO₂による気温上昇。
  • 国際合意:京都議定書 → パリ協定 → カーボンニュートラル。
  • 3R と再生可能エネルギーで持続可能な社会へ。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

COP28で初めて「化石燃料からの脱却」に合意時事

2023年にアラブ首長国連邦のドバイで開かれたCOP28では、国連の気候交渉として初めて「化石燃料からの脱却」を進める成果文書が採択されました。あわせて2030年までに再生可能エネルギーの発電容量を世界全体で3倍にする目標も合意され、パリ協定の取り組みをさらに前へ進める内容となりました。

出典:国連広報センター(UN News 日本語訳)

海のプラごみをなくす『プラスチック条約』を交渉中時事

海洋プラスチック汚染を含むプラスチック汚染を終わらせるため、世界各国が法的拘束力のある国際条約づくりを話し合っています。生産の規制をめぐって産油国などと意見が対立し、2025年8月のジュネーブ会合でも合意に至らず交渉は続いています。日本はまとめ役として議論に参加しています。

出典:環境省(プラスチック汚染対策に関する条約)

生物多様性の新目標『30by30』発展

2022年に生物多様性条約のCOP15で採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組では、2030年までに陸と海のそれぞれ30%以上を健全な生態系として保全する『30by30』目標が掲げられました。教科書で学ぶ生物多様性の喪失に歯止めをかけ、自然を回復軌道に乗せるための国際的な行動目標です。

出典:環境省(30by30)

第7次エネルギー基本計画で再エネを最大の電源へ発展

2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入する方針が示されました。2040年度には再エネを全体の4〜5割程度にして最大の電源とし、火力への依存度を下げていく目標が立てられています。電源構成は資料によって最新の値を確認することが大切です。

出典:経済産業省(第7次エネルギー基本計画 閣議決定)

COP28で確認された「再エネ3倍・省エネ2倍」発展

COP28の合意では、2030年までに世界全体で再生可能エネルギーの容量を3倍に、エネルギー効率の改善ペースを2倍にすることが盛り込まれました。これは『環境対策は我慢だけではない』という考え方そのもので、太陽光や風力など教科書で学ぶ発電方法を増やし、技術で温暖化を抑える道すじを示しています。

出典:国立環境研究所(COP28閉幕コラム)