評論文と随筆の違い
| 評論文 | 随筆 | |
|---|---|---|
| 目的 | 論理的に主張を伝える | 個人の感想・経験を伝える |
| 特徴 | 客観的・論理的 | 主観的・感性的 |
| 展開 | 主張→根拠→結論 | 体験→気づき・感慨 |
| 例 | 「日本人と〜について」 | 「私が見たある朝の」 |
評論文を読むコツ
① 話題(テーマ)を最初の段落で特定
② 筆者の主張を見つける(多くは結論部)
③ 論理展開を追う(主張 → 根拠 → 例)
④ 具体例と 一般論を区別
⑤ 対比に注意(A vs B、過去 vs 現在)
接続語の役割
- 順接(だから・したがって):前の内容を受けて当然の結論
- 逆接(しかし・だが):前と逆の内容、ここに筆者の主張が来ることが多い
- 並列(また・さらに):同等の内容を並べる
- 例示(たとえば):抽象を具体で説明
- 要約(つまり・要するに):前の内容をまとめる
指示語の処理
指示語が出てきたら、その指す内容を本文中から特定する。
問いで「これとは何か」と聞かれたら、直前の段落から具体内容を抜き出す。
段落の役割を見抜く
- 序論段落:話題・問題提起
- 本論段落:根拠・論証・例示
- 結論段落:筆者の主張
- 段落の頭の 接続語を見ると、その段落の役割が分かる
随筆を読むコツ
① 筆者が 体験したことを把握
② その体験から 何を感じたかを読み取る
③ キーセンテンス(核心的な一文)を見つける
④ 風景描写から 心情を推測
「しかし」を見逃さない
「しかし」「だが」「けれども」「ところが」 → 直後に 筆者の主張が来やすい
例:「一見〜だ。しかし、実は〜である」
→ 「しかし」以降に注目
→ テスト頻出!見つけたら波線
前半は「一般論」、後半(しかし以降)が「筆者の主張」
対比構造の理解
A vs B、過去 vs 現在、東洋 vs 西洋、自然 vs 文明
対比の語:「一方」「他方」「これに対して」「逆に」
対比を表で整理すると、筆者の論点が見える
筆者がどちら寄りか確認する
要約の作り方
- キーセンテンスを見つける(多くは段落の最初か最後)
- 具体例は省く
- 抽象的な主張を中心に短くまとめる
- 接続語で論理を保つ
- 500字程度の文章なら100字程度で要約
- 筆者の主張は 抽象的、具体例は 個別の事実
- 例:「日本人は集団主義だ」(主張)→「電車では静かにする」(例)
- テストで「筆者の言いたいことは」と聞かれたら、抽象的な主張を選ぶ
- 「これ」「それ」が指す内容を 本文中から探す
- 多くは 直前にある
- 段落をまたぐこともあるので注意
- 逆接の後に筆者の 本当の主張が来る
- 「確かに〜だ。しかし〜である」のパターン
- 最終段落も筆者の主張のまとめになることが多い
教科書で確認した現代文読解の軸
- 評論は論理の筋、随筆は筆者の体験と考えの動きを中心に読む。
- 段落ごとに、話題提示・具体例・理由・結論のどれに当たるかを考える。
- 要約では、具体例や比喩を削り、筆者の主張を残す。
- 接続語は手がかりだが、前後の内容が本当に逆接・説明・追加になっているか確認する。
- 指示語は、直前の一語ではなく、前の文全体を指すことがある。
この章でつまずきやすいところ
評論文や随筆を読む途中や、設問に答える場面で「ここが筆者の主張?それともただの例?」と立ち止まることはありませんか。本文を読む途中や設問で迷う場面を取り上げ、どう手がかりを拾えば前に進めるかを整理します。
具体例を主張だと思い込んでしまう
- つまずく場面:評論文を読んでいる途中、「友達とけんかしたとき仲直りに言葉を使った」のような身近な例文に目が止まり、ここが筆者の言いたいことだと感じてしまう。本当は「言葉は人と人をつなぐ道具だ」のような抽象的な一文が主張なのに、印象の強い具体例に引きずられる。
- 克服のコツ:位置関係で整理します。具体例の前か後ろに必ず抽象的な一文があり、そちらが主張です。「たとえば」で始まる文や個別の事実は具体例、「〜は〜である」と一般化した文が主張だと見分けます。具体例だけを線で囲み、残った抽象文に注目するのがコツです。
- ミニ例:「読書は人を育てる。たとえば一冊の本が進路を変えることがある」と並んでいたら、後半は例で、前半が筆者の主張。例文をいったん隠して読み直すと主張が浮かびます。
「しかし」の前を筆者の主張だと読んでしまう
- つまずく場面:本文に「確かにスマートフォンは便利だ。しかし〜」と出てきたとき、最初の「確かに〜」の文が強く印象に残り、ここが筆者の考えだと思い込む。読み進めるうちに話がかみ合わなくなり、設問でも逆の選択肢を選びそうになる。
- 克服のコツ:時系列で整理します。「確かに〜。しかし〜」のパターンでは、前半は一般論や反対意見の紹介で、「しかし」以降が筆者の本当の主張になります。逆接の接続語(しかし・だが・けれども・ところが)を見つけたら、その直後の文に波線を引いてから先を読むと迷いません。
- ミニ例:「確かにスマートフォンは便利だ。しかし、失われたものも多い」とあれば、筆者が伝えたいのは後半。逆接の前は譲歩、後ろが主張だと押さえます。
「これ」「それ」を直前の一語だけで決めてしまう
- つまずく場面:本文を読んでいる途中、「これ」「それ」が出てきて何を指すか曖昧なまま読み進めてしまう。設問で問われて見返すと、直前の一語だけでは意味が通らず、前の文全体や複数の文の内容を指していることに気づかず、答えがぼやけてしまう。
- 克服のコツ:位置関係で整理します。指示語が出たら直前の一文、合わなければ前の段落まで戻り、文全体や複数文の内容を候補として入れ替えて読みます。意味が自然に通るかで確かめるのが見分け方です。
- ミニ例:「人は他人の評価を気にしすぎる。これが悩みの種だ」では、「これ」は「他人」ではなく前の文全体を指します。入れ替えて読むと自然になります。
随筆を自分の感想で読んでしまう
- つまずく場面:随筆を読んでいる途中、「自分も同じ気持ちになったことがある」と共感して、筆者が何を感じたのかを本文から探さずに自分の体験で補ってしまう。設問で「筆者の気づき」を問われたとき、本文に根拠がない答えになりやすい。
- 克服のコツ:因果関係で整理します。随筆では「体験 → 気づき」の順で書かれることが多いので、まず体験の場面を押さえ、その後ろにある気づきを述べた一文を本文から探します。自分の感想ではなく本文中の表現を根拠にして読むことが大切です。
- ミニ例:「ある朝、霧の中を歩いた。そのとき、見えないことも豊かさだと感じた」とあれば、体験は前半、気づきは後半の一文。本文の表現を答えに使います。
練習問題
次は評論文か随筆か。
- 「私の朝の散歩について」
- 「現代日本人の労働観について」
- 「ある詩人との出会い」
答えを見る
(1) 随筆 (2) 評論 (3) 随筆
次の接続語の役割を答えよ。
- しかし
- たとえば
- つまり
- また
答えを見る
(1) 逆接 (2) 例示 (3) 要約 (4) 並列
評論文を要約するとき、具体例はどう扱うのがよいか。
答えを見る
具体例は原則として削り、そこから支えられている筆者の主張や理由を残す。
まとめ
- 評論文:客観的・論理的 / 随筆:主観的・感性的。
- 評論:話題 → 主張 → 根拠 → 例の流れ。
- 接続語の役割をおさえる(順接・逆接・並列・例示・要約)。
- 指示語の指す内容を本文中で特定。
- 「主張」と「具体例」を区別する。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
接続詞は「次に何が来るか」を読み手に予告する発展
国立国語研究所の石黒圭教授は、文章理解では読み手が先の展開を「予測」しながら読むしくみを研究し、その博士論文の題は「日本語の文章理解過程における予測の型と機能」でした。「しかし」「つまり」などの接続詞は、その予測の方向を読み手に知らせる道しるべだといえます。だから接続詞を手がかりにすると、評論文の論理の流れが追いやすくなります。
情報の「出典」を確かめる力は本文根拠を探す力と同じ実生活
総務省は、ネット上の情報が正しいか確かめるために、複数の情報を読み比べ、引用や伝聞ではなく元になったオリジナルの情報源(一次情報)をたどることをすすめています。これは評論文で主張を本文の根拠まで確かめる読み方とよく似ています。自分の感想だけで判断せず、根拠をたどる習慣は読解にも生活にも役立ちます。
日本の中学生の読解力は世界トップレベル実生活
OECDが約3年ごとに行う学習到達度調査(PISA)の2022年の結果で、日本の読解力は516点(OECD平均476点)でした。OECD加盟国中2位、全参加国・地域中3位という高い水準です。評論や随筆を根拠にもとづいて読む練習は、この「読解力」を支える基礎の力になります。
中学生の約4人に1人は1か月に1冊も本を読んでいない発展
全国学校図書館協議会の第69回学校読書調査(2024年)によると、中学生が2024年5月の1か月に読んだ本は平均4.1冊で、1冊も読まなかった人(不読者)の割合は23.4%でした。読む量だけでなく、評論や随筆を根拠にそって深く読む経験を重ねることが、要旨をつかむ力を育てます。
「読み手の理解」そのものが研究されている発展
国立国語研究所は、日本語学・言語学・日本語教育を研究する国の研究機関で、文章理解や談話の分析も研究対象にしています。読み手が語彙・文脈・全体の意味をどうとらえながら文章を理解するかが科学的に調べられています。私たちが評論や随筆を読むときに行っている読解は、こうした研究に支えられた奥の深い活動なのです。
