図でつかむ
この図は、式や定理を読む前に全体像をつかむための補助図です。問題を解くときも、まず同じような簡単な図を自分で描いてから条件を書き込むと、見落としが減ります。
定義 ── y は x の2乗に比例
y = 2x² → a = 2
y = −3x² → a = −3
y = x²/2 → a = 1/2
面積 y = πr²(円の面積)→ y = πr²、r² の係数は π
比例・一次関数との違い
| 比例 | 一次関数 | y = ax² | |
|---|---|---|---|
| 式 | y = ax | y = ax + b | y = ax² |
| 原点 | 通る | 通る場合のみ | 必ず通る |
| グラフ | 直線 | 直線 | 放物線 |
| x の符号で y は? | 反転 | 反転 + 定数 | 2乗で反転しない |
値の対応 ── 対応表をつくる
| x | −3 | −2 | −1 | 0 | 1 | 2 | 3 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| y | 18 | 8 | 2 | 0 | 2 | 8 | 18 |
x = ±2 のとき y = 2·4 = 8。x の符号が違っても y は同じ(2乗のため)。
| x | −2 | −1 | 0 | 1 | 2 |
|---|---|---|---|---|---|
| y | −4 | −1 | 0 | −1 | −4 |
a が負なので y は 常に 0 以下。
a の意味 ── 比例定数の役割
- a > 0:y は 0 以上。x = 0 で最小(y = 0)。
- a < 0:y は 0 以下。x = 0 で最大(y = 0)。
- |a| が大きいほど 急な変化(同じ x でも y が大きく動く)。
- x = ±1 のとき y = a → a の値は (1, a) を通ると覚える。
式を求める ── 1点が分かれば決まる
「y = ax² で、x = 3 のとき y = 18」のような問題:
18 = a·3² = 9a
a = 2
→ y = 2x²
−12 = a·(−2)² = 4a
a = −3
→ y = −3x²
関数の値の計算
y = 3·4² = 3·16 = 48
8 = (1/2)x² → x² = 16 → x = ±4
- y = −3·(−2)² と書くと −3 × (+4) = −12。(−2)² は +4(2乗で必ず+)。
- x² と (−x)² は等しい。y = ax² なら x と −x で同じ y。
- 「a が負だから y も負」ではなく、a が負 ⇔ y ≦ 0。a が正なら y ≧ 0。
- y = ax²:y は x の2乗に比例(中3で学ぶ)
- y² = ax:y² は x に比例(高校で学ぶ)
- 形が似ているが 違う関数
- 「y イコール 何の関数か」を確認
- 円の面積:S = πr²(半径と面積の関係)
- 自由落下:y = (1/2)g·t²(時間と落下距離)
- 制動距離:車の速さの2乗に比例(速度を上げると急に止まれなくなる)
- 運動エネルギー:(1/2)mv²(質量と速さの関係)
この章でつまずきやすいところ
y = ax² は中1の比例、中2の一次関数と式の形が似ているため、読み進めるうちに「同じ感覚で扱えそう」と思い込みやすい単元です。本文や対応表を見ている途中で迷いがちな場面を、見分け方つきで整理します。
xが2倍ならyも2倍と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「xが2倍・3倍になるとyは4倍・9倍」と書かれた行を読んでいる途中、頭の中では一次関数のイメージが残っていて、「y = ax² でもxを2倍にすればyも2倍」と一瞬考えてしまう場面です。
- 克服のコツ:見分け方は式の右側にあるx² の部分に注目すること。x² は「xを2回かける」ので、xが2倍になるとx²は2×2=4倍、xが3倍ならx²は3×3=9倍になります。aはそのあとに掛けるだけなので、倍率を決めているのはx²の側だと押さえると混同が消えます。
- ミニ例:y = 2x² で x=1のときy=2、x=2のときy=8。xは2倍だがyは2→8で4倍になり、一次関数のような単純な2倍にはならない。
xが負ならyも負と決めつけてしまう
- つまずく場面:y = 2x² の対応表を見ている途中で、x = −2 の欄に y = 8 と書いてあるのを見て「xがマイナスなのにyがプラスなのは書き間違いでは?」と迷い、自分の表ではつい y = −8 と書いてしまう場面です。
- 克服のコツ:因果関係で整理します。yの符号を決めているのはaの符号であって、xの符号ではありません。なぜなら (−x)² は必ず0以上になるため、xがプラスでもマイナスでもx²の部分は同じ値になります。だから「a > 0 ならyは0以上」「a < 0 ならyは0以下」と、aだけを見て判断します。
- ミニ例:y = 2x² では x = 2 でも x = −2 でも (±2)² = 4 なのでy = 8。左右で同じyになり、グラフは左右対称になる。
y = ax² と y² = ax を同じ式に見てしまう
- つまずく場面:本文の「つまずきポイント②」の行を読んでいる途中、y = ax² と y² = ax の二つが並んでいて、文字の並びがそっくりなため「どちらも2乗が関係するなら同じ意味では?」と一瞬迷ってしまう場面です。
- 克服のコツ:位置関係で見分けます。2乗の記号がxの右肩についていれば y = ax²(中3で学ぶ関数)、yの右肩についていれば y² = ax(中3では扱わない別の関数)です。「y イコール 何の関数か」を口に出して、左辺がyだけか、yの2乗かを最初に確認すると取り違えません。
- ミニ例:y = 3x² は x = 2 のとき y = 3·4 = 12。一方 y² = 3x の形は中3の教材では扱わないので、混同しそうになったら左辺を読み直す。
aの値を無視して対応表を作ってしまう
- つまずく場面:「y = −x² の対応表を作れ」という問題を解いている途中、aが書かれていないように見えて x = 2 のときに y = 4 と書いてしまい、マイナスを付け忘れる場面です。
- 克服のコツ:見分け方は、式の x² の前に何があるかを毎回確認することです。−x² は「a = −1 が省略された形」で、x² の前に見えない −1 が掛かっています。対応表に値を入れる前に、まずaの符号と大きさを式の余白にメモしてから代入する手順を固定すると、符号落ちが減ります。
- ミニ例:y = −x² で x = 2 のとき、x² = 4 にaの −1 を掛けてy = −4。aが負なので表のyはすべて0以下になり、x = 0 で最大値0をとる。
練習問題
- y = x² で x = 5
- y = 3x² で x = −2
- y = −2x² で x = 4
- y = (1/3)x² で x = 6
答えを見る
(1) 25 (2) 12 (3) −32 (4) 12
- (2, 12)
- (−3, 18)
- (4, −16)
- (5, 5)
答えを見る
(1) 12 = 4a → a = 3 (2) 18 = 9a → a = 2 (3) −16 = 16a → a = −1 (4) 5 = 25a → a = 1/5
y = −x² について、x = −3, −2, ..., 3 の対応表を作り、y の最大値と最小値を答えよ(−3 ≦ x ≦ 3 の範囲で)。
答えを見る
対応表:x = ±3 → y = −9、x = ±2 → y = −4、x = ±1 → y = −1、x = 0 → y = 0
最大値 0(x = 0 のとき)、最小値 −9(x = ±3 のとき)
まとめ
- y = ax²:y が x² に比例する関数。a は比例定数。
- x = 0 で y = 0 → 必ず原点を通る。
- x の符号が違っても y は同じ(2乗だから)。
- a > 0 → y ≧ 0、a < 0 → y ≦ 0。|a| が大きいほど変化が急。
- 1点が分かれば a が決まり、関数が決まる。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
車の制動距離は速さの「2乗」で伸びる実生活
走っている車がブレーキで止まるまでの制動距離は、速さ V の2乗に比例します。これは運動エネルギーが mV² の形で表され、それが路面との摩擦で消える仕組みのためで、速さが2倍になると制動距離はおよそ4倍に伸びます。スピードを少し上げただけで急に止まれなくなるのは、まさに y = ax² と同じ関係なのです。
安全な車間距離は「車間時間」で考える実生活
JAFは安全な車間距離の目安として、時速40kmなら2秒で約22m、時速60kmなら2秒で約33m、時速100kmなら3秒で約83mと示しています。これは「前の車が通った地点に自分の車が達するまで何秒か」という車間時間を一定に保つ考え方で、必要な車間距離は速さにおおむね比例して大きくなります。同じ時間でも速い車ほど長い距離を進むため、前の車との間隔をより広くとる必要があるのです。
物が落ちる距離は時間の2乗に比例する発展
空気の抵抗が無視できるとき、物体が自由落下する距離 y は y = (1/2)g t² で表され、g(重力加速度)は約9.8 m/s²です。これも y = ax² の形の関数で、落ち始めから2倍の時間がたつと落下距離は4倍になります。比例定数 a が a = (1/2)g にあたると考えると、教科書の式が現実の運動とつながって見えてきます。
自由落下で「無重力」を作る実験発展
物がただ自由落下している間は、中にある物も一緒に同じように落ちるため、ほんの短い時間だけ重さを感じない微小重力(無重力に近い)の状態が作れます。遊園地の落下系アトラクションが一瞬ふわっとするのも同じ理由です。このとき落ちた距離は y = (1/2)g t² のように時間の2乗で決まる y = ax² の関係に従っています。
円の面積も半径の2乗に比例する関数発展
半径 r の円の面積は S = πr² で求められ、これは比例定数 a が円周率 π にあたる y = ax² の形です。半径を2倍にすると面積は4倍、3倍にすると9倍になり、x が2倍・3倍でy が4倍・9倍になるという二乗比例の性質がそのまま現れます。図形の公式の中にも y = ax² がひそんでいることがわかります。
