図でつかむ
この図は、式や定理を読む前に全体像をつかむための補助図です。問題を解くときも、まず同じような簡単な図を自分で描いてから条件を書き込むと、見落としが減ります。
放物線とは
a > 0 と a < 0 ── 上開き/下開き
- a > 0:上に開く(お椀のような形)。原点が 最低点。y ≧ 0。
- a < 0:下に開く(傘のような形)。原点が 最高点。y ≦ 0。
a > 0: \ / ← y軸を境に対称
\ /
○ ← 原点(頂点)
a < 0: ○ ← 原点(頂点)
/ \
/ \
|a| の大きさ ── グラフの開き方
- |a| が 大きい ほど → グラフは 細く(急に) 開く。
- |a| が 小さい ほど → グラフは 広く(なだらかに) 開く。
- 原点を頂点として通る点:x = ±1 のとき y = a。
y = 3x² → (1, 3) を通る。比較的細い。
y = x² → (1, 1) を通る。普通。
y = (1/2)x² → (1, 1/2) を通る。広い。
y = ax² と y = −ax² ── x 軸対称
y = 2x² と y = −2x² は x 軸を中心に対称。
同じ x で y の値が 符号反転するから。
具体的にグラフをかく ── 5点プロット
テストで「グラフをかけ」と言われたら、x = −2, −1, 0, 1, 2 の5点を計算してプロットし、滑らかな曲線で結ぶ。
| x | −2 | −1 | 0 | 1 | 2 |
|---|---|---|---|---|---|
| y | 4 | 1 | 0 | 1 | 4 |
この5点を打って、なめらかに曲線で結ぶ。頂点は原点 (0, 0)。
| x | −4 | −2 | 0 | 2 | 4 |
|---|---|---|---|---|---|
| y | 8 | 2 | 0 | 2 | 8 |
a = 1/2 なので分数が出にくいよう x を ±2, ±4 でとると整数値が出る。
y の値の範囲(変域)
x の範囲(変域)が決まると、それに応じて y の範囲も決まる。y = ax² は2乗だから単純に最小・最大を求めるとミスする。
x = 0 で y は最小(0)
x の絶対値が最大なのは x = 3 → y = 9(x = −2 のときは y = 4)
→ 0 ≦ y ≦ 9
a < 0 なので、x の絶対値が小さいほど y は大きい
x = 1 → y = −2、x = 3 → y = −18
→ −18 ≦ y ≦ −2
- x の変域が 原点(x=0)をまたぐ 場合、y = ax² の最大・最小は 原点と両端の3点で考える。
- 例:y = x² で −1 ≦ x ≦ 2 → 最小は y = 0(x = 0)、最大は y = 4(x = 2)。−1 のときの y = 1 は最大にも最小にもならない。
- x の変域が原点を含まない → 単純に両端で大小を決められる。
- a > 0 → 原点が 最小、両端のうち x の絶対値大きい方が 最大。
- a < 0 → 原点が 最大、両端のうち x の絶対値大きい方が 最小。
この章でつまずきやすいところ
y = ax² のグラフは比例の直線と見た目も性質もまるで違うため、点をプロットしている途中や変域を考えている最中に手が止まりやすい単元です。読みながら起きる代表的な迷いを、ほどき方とセットで確認しましょう。
5点プロットの後を直線で結んでしまう
- つまずく場面:対応表から (−2, 4)(−1, 1)(0, 0)(1, 1)(2, 4) と5点をとった直後、これまでの一次関数のクセで定規を出し、点と点を直線で結ぼうとして「あれ、お椀にならない」と止まってしまう場面。
- 克服のコツ:因果関係で押さえます。y が x の2乗に比例して増えるので、x が1進む間に y の増え方も変化し、結果として曲線になります。直線で結ぶのは「変化の割合が一定」の関数だけ。y = ax² は変化の割合が一定ではないので、なめらかな曲線で結ぶのが正解です。
- ミニ例:y = x² で x = 0 → 1 → 2 と進むと y は 0 → 1 → 4。同じ「x が1進む」でも y の増え方が 1, 3 と変わるので、直線では結べません。
a の符号と開く向きを逆に思い込む
- つまずく場面:y = −2x² のグラフを描こうとして、「マイナスだから下…でも2乗するとプラスになるよね?」と頭が混乱し、上に開くのか下に開くのか判断できずに対応表の前で止まってしまう場面。
- 克服のコツ:見分け方は x に具体的な数を代入することです。x = 1 を入れて y がプラスになれば上向き、マイナスになれば下向き。x² は必ず0以上なので、最終的な y の符号は a の符号と一致します。教科書では a > 0 で上に開く、a < 0 で下に開く と整理します。
- ミニ例:y = −2x² に x = 1 を代入すると y = −2。点 (1, −2) は x 軸の下にあるので、グラフは下に開くと確定できます。
変域の最大・最小を両端だけで決めてしまう
- つまずく場面:y = x² で −1 ≦ x ≦ 2 のときの y の変域を聞かれ、「両端だから x = −1 と x = 2 を入れて y = 1 と y = 4、答えは 1 ≦ y ≦ 4」と書きそうになる場面。原点をまたいでいることに気づかず手が進んでしまう。
- 克服のコツ:位置関係で確認します。まず x の変域が原点 (x = 0) をまたぐかを見ます。またぐときは、両端と原点の3点で y を計算する必要があります。a > 0 なら原点で最小、a < 0 なら原点で最大になる、と整理しておくと迷いません。
- ミニ例:y = x² で −1 ≦ x ≦ 2 のとき、x = 0 で y = 0(最小)、x = 2 で y = 4(最大)。よって 0 ≦ y ≦ 4 となります。
|a| が大きいほど「広い」と直感で逆に捉える
- つまずく場面:y = 3x² と y = (1/2)x² のグラフを並べて、「3 のほうが大きいから、グラフも大きく広がっていそう」と感覚で判断しそうになり、開き方の比較で迷う場面。
- 克服のコツ:見分け方は x = 1 のときの y を比べることです。y = ax² のグラフは x = 1 で y = a を通るので、a が大きいほど点が高い位置にきて、グラフは細く立ち上がります。教科書では |a| が大きいほど細く、小さいほど広く 開くと整理します。
- ミニ例:x = 1 のとき、y = 3x² は (1, 3)、y = x² は (1, 1)、y = (1/2)x² は (1, 1/2)。点が高いほど細い放物線になります。
練習問題
- y = 2x²
- y = −3x²
- y = x²/4
- y = −x²/2
答えを見る
a > 0 のもの:(1), (3)
- y = x² で −3 ≦ x ≦ 2
- y = 2x² で 1 ≦ x ≦ 4
- y = −x² で −2 ≦ x ≦ 3
答えを見る
(1) 原点をまたぐ、最小0、最大9(x = −3)→ 0 ≦ y ≦ 9
(2) 原点含まず、両端 x=1→y=2、x=4→y=32 → 2 ≦ y ≦ 32
(3) a<0、原点またぐ、最大 0、最小は x=3 → −9 → −9 ≦ y ≦ 0
y = ax² のグラフが (2, −12) を通るとき:
- a の値
- x = −3 のときの y の値
- このグラフは上向き/下向きどちらか
答えを見る
(1) −12 = 4a → a = −3
(2) y = −3·9 = −27
(3) a < 0 なので 下向き(下に開く)
まとめ
- y = ax² のグラフは 放物線。y 軸が対称軸、原点が頂点。
- a > 0 で上に開く、a < 0 で下に開く。
- |a| が大きいほど 細く、小さいほど 広く開く。
- 変域:x が 原点をまたぐかで、最大・最小の取り方が変わる。
- かくときは 5点プロット+なめらかに結ぶ。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
「放物線」の名前は物を投げた軌道から実生活
y = ax² のグラフを放物線と呼ぶのは、物を放った(投げた)ときに物体が描く軌道がこの曲線の形になるからです。ボールを斜めに投げ上げると、空中での通り道はちょうど上に開いた放物線をひっくり返したような曲線を描きます。
宇宙と交信するパラボラアンテナ実生活
JAXA が宇宙機との通信に使うパラボラアンテナは、放物線を回転させたお椀の形をしています。この形のおかげで、宇宙から届く弱い電波をお椀の面で反射させ、ちょうど一点(焦点)に集めて受信機に取り込むことができます。
光や電波を1点に集める放物線の性質発展
反射望遠鏡では、放物面(パラボラ)の形をした鏡で星からの弱い光を集めます。放物線の対称軸に平行に入ってきた光や電波は、面で反射すると必ず焦点という一点に集まる性質があり、この仕組みが望遠鏡やアンテナに使われています。
世界最大級の電波望遠鏡もパラボラ発展
長野県にある国立天文台 野辺山の45m電波望遠鏡は、ミリ波を観測できる望遠鏡として世界最大級の口径をもっています。直径45mの巨大なパラボラ面で天体からのかすかな電波を効率よく集めており、放物線の形が大きな観測の力を生み出しています。
実験で確かめる「焦点に集まる」性質発展
NHKの大科学実験では、2mのパラボラ(放物面)に100個のボールを上からまっすぐ落とす実験を行いました。すると、ボールは反射して必ず一か所(焦点)に集まります。放物線が、軸に平行に入ってきたものを一点に集める形であることを目で確かめられる例です。
