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変化の割合 ── y = ax² の傾きは一定ではない

一次関数 y = ax + b の 変化の割合は常に a でした。ところが y = ax² では 変化の割合が一定ではない。x の値によって、変わるのです。それでも計算は決まったルールで求められるので、定義と公式の両方を押さえましょう。

図でつかむ

xの増加量 yの増加量 2点を結ぶ直線の傾き pq
y = ax² の変化の割合は、放物線上の2点を結んだ直線の傾きとして見ることができます。

一次関数と違い、放物線ではどの2点を選ぶかで傾きが変わります。だから「x が p から q まで」と範囲を確認してから計算することが大切です。

変化の割合の定義(復習)

定義
変化の割合
変化の割合 = (y の増加量) ÷ (x の増加量)
例1:y = x² で x が 2 から 5 まで増加

x の増加量:5 − 2 = 3

y の増加量:5² − 2² = 25 − 4 = 21

変化の割合 = 21 ÷ 3 = 7

例2:y = x² で x が 1 から 3 まで増加

x の増加量:3 − 1 = 2

y の増加量:9 − 1 = 8

変化の割合 = 8 ÷ 2 = 4

例1と例2の結果が違う! y = ax² では x の範囲によって変化の割合が変わる。

公式 ── y = ax² の変化の割合は a(p + q)

公式
y = ax² の変化の割合
x が p から q まで増加するときの変化の割合は a(p + q)。
導出

y の増加量 = aq² − ap² = a(q² − p²) = a(q + p)(q − p)

x の増加量 = q − p

割ると:a(q + p)(q − p) / (q − p) = a(p + q)

例3:y = x² で x が 2 から 5(公式で)

a = 1, p = 2, q = 5

変化の割合 = 1·(2 + 5) = 7 ← 例1と一致

例4:y = 2x² で x が −1 から 3

a = 2, p = −1, q = 3

= 2·(−1 + 3) = 2·2 = 4

例5:y = −3x² で x が 1 から 4

a = −3, p = 1, q = 4

= −3·5 = −15

一次関数との対比

変化の割合
一次関数 y = ax + b常に a(一定)
y = ax²(x が p → q)a(p + q)(範囲で変わる)

放物線上の2点を結ぶ直線の傾きと一致

変化の割合は、グラフ上で 2点を結ぶ直線の傾きとイコール。これは一次関数でも y = ax² でも共通の感覚。

例6:y = x² の (2, 4) と (5, 25) を結ぶ直線の傾き

傾き = (25 − 4) / (5 − 2) = 7

これは y = x² で x が 2→5 のときの変化の割合と同じ。

応用:平均の速さ

距離 y、時間 x のとき、変化の割合は 平均の速さになる。物体が落下する問題などで定番。

例7:y = 5x²(x秒で y m 落下) の場合の 1〜3秒の平均の速さ

a = 5, p = 1, q = 3 → 5·(1+3) = 20 m/秒

放物線と直線の関係

2点を通る直線の式を求める

y = ax² 上の2点 P(p, ap²), Q(q, aq²) を通る直線の式:

傾き = a(p + q)

y切片を求めるには、1点を代入

例:y = x² 上の (1, 1) と (3, 9)

傾き = 1·(1+3) = 4

y = 4x + b に (1, 1) 代入 → b = −3

→ y = 4x − 3

平均速度と瞬間速度

  • 平均の速さ:ある区間の平均 = 変化の割合
  • 瞬間の速さ:その瞬間の速さ(高校で微分で求める)
  • 例:自由落下 y = 5x² で、t=2秒のときの速さ ≒ 20 m/s
  • 平均の速さは変化の割合 a(p+q) で求められる

変化の割合の応用パターン

頻出問題

① 変化の割合を求める:a(p+q) に代入

② a を求める:変化の割合と x の範囲から a を逆算

③ x の範囲を求める:変化の割合と a から p+q を出す

④ 2点を結ぶ直線の式:傾き = 変化の割合 と y切片

⑤ 1次関数の傾きと等しい:a(p+q) = 1次関数の傾き

つまずきポイント①:負の x を含む計算
  • p = −2, q = 3 のとき、p + q = 1(負の数の足し算)。符号付きで計算する。
  • x の増加量を「q − p」で求めるとき、p が負だと q − p = q + |p|。例:3 − (−2) = 5。
  • 「公式 a(p + q)」を使えば、増加量を経由せず一発で出せる。
つまずきポイント②:一次関数との違い
  • 一次関数 y = ax + b の変化の割合は 常に a
  • y = ax² の変化の割合は x の範囲で変わる
  • 一次関数と y = ax² を比べる場合は「変化の割合が一定 → 一次関数」「変化する → 2次関数」と判別できる(変化の割合が一定でない関数は2次関数に限らない)
つまずきポイント③:公式 a(p+q) の覚え方
  • x が p から q に増えるとき、2点の x 座標の和に a をかける
  • 例:y = 2x² で 1→5 → 2·(1+5) = 12
  • 例:y = −x² で −2→3 → −1·(−2+3) = −1
  • 導出を理解しておくと忘れない

この章でつまずきやすいところ

y = ax² の「変化の割合」は、本文を読んでいるその場で混乱しやすい場所です。一次関数とのギャップ、公式 a(p+q) の意味、符号や区間の読み取り。読みながら手が止まる典型場面を3つ取り上げ、その場での迷いをほどきます。

y = ax² でも変化の割合は a だと思い込んでしまう

  • つまずく場面:本文で「一次関数の変化の割合は常に a」と読んだ直後に y = ax² に進むと、つい「じゃあ y = 2x² の変化の割合も 2 だ」と書きそうになります。例1と例2で結果が違うと示されても、最初の刷り込みが残って迷いがちです。
  • 克服のコツ:見分け方で整理します。式に x² が入っていれば「区間ごとに変わる」、入っていなければ「常に a」。本文を読むときは、まず式の形を見て「定数 a 型」か「a(p+q) 型」かをラベリングしてから例題に進むと、ブレません。
  • ミニ例:y = 2x² で x が 1→3 のとき、変化の割合は 2 ではなく 2·(1+3) = 8。同じ y = 2x² でも x が 2→4 なら 2·(2+4) = 12 と変わります。

公式 a(p+q) の p と q を何に当てればよいか迷ってしまう

  • つまずく場面:本文中の「x が p から q まで」という書き方を読み流すと、いざ a(p+q) に代入する場面で、p と q に y の値を入れるべきか、x の増加量を入れるべきか、一瞬手が止まります。とくに「1 から 4」と書かれていると p+q=3 と書きたくなる迷いが出ます。
  • 克服のコツ:位置関係で覚えます。p と q は区間の両端の x 座標で、足し算するもの。引き算するのは「x の増加量 q − p」のときだけ。本文で「x が ◯ から △ まで」と出てきたら、その場で p=◯、q=△ とメモしてから公式に入ると安全です。
  • ミニ例:y = x² で x が 1→4 のとき、p=1, q=4 なので p+q=5、変化の割合は 1·5 = 5。引き算の 4−1=3 を入れて 3 と書くのは誤りです。

負の x が混じると p+q の符号がこんがらかってしまう

  • つまずく場面:本文の例4「y = 2x² で x が −1 から 3」を読んでいる途中、p+q の計算で頭が止まります。「マイナスとプラスを足す」のか「引き算になる」のか、増加量 q − p の場面と混ざって、−1 + 3 を −4 や 4 と書きそうになる迷いです。
  • 克服のコツ:時系列で手順を分けます。①まず p と q を符号付きで書き出す(p = −1, q = 3)。②次に p+q を符号付きで計算する(−1+3 = 2)。③最後に a を前から掛ける。一行で済まそうとせず、ステップを分けて書くと符号ミスが消えます。
  • ミニ例:y = −3x² で x が −2→1 のとき、p+q = −2+1 = −1、変化の割合は (−3)·(−1) = 3。p+q を 3 や −3 と書くのは符号の取り違えです。

練習問題

問題1(変化の割合)
次の関数で、x が指定の範囲で増加するときの変化の割合を求めよ。
  1. y = x² で x が 1 から 4
  2. y = 2x² で x が −1 から 2
  3. y = −x² で x が 2 から 5
  4. y = (1/2)x² で x が −4 から 2
答えを見る

(1) 1·(1+4) = 5 (2) 2·(−1+2) = 2 (3) −1·(2+5) = −7 (4) (1/2)·(−4+2) = −1

問題2(a を求める)

y = ax² で、x が 2 から 5 まで増加したとき、変化の割合が −14 だった。a を求めよ。

答えを見る

a·(2 + 5) = −14 → 7a = −14 → a = −2

問題3(一次関数の傾きと等しい)

y = x² 上の2点 (1, 1) と (a, a²) を結ぶ直線の傾きが 5 のとき、a を求めよ。

答えを見る

傾き = 変化の割合 = 1·(1 + a) = 5 → a = 4

まとめ

  • 変化の割合 = y の増加量 ÷ x の増加量。
  • 一次関数は 常に一定(傾き a)、y = ax² は 範囲で変わる。
  • y = ax² の変化の割合は a(p + q)(x が p → q)。
  • 変化の割合 = 放物線上の 2点を結ぶ直線の傾きと一致。
  • 物理では 平均の速さとして現れる。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

落下距離は時間の2乗に比例する(自由落下)実生活

空気抵抗を無視して物を落とすと、落下距離は落下時間の2乗に比例し、重力の加速度(約9.8 m/s²)に時間の2乗を掛けた半分になります。最初の1秒間では約4.9 m、2秒間では約19.6 mと、ちょうど y=ax² の形になっています。だから落下の問題でx秒間の「平均の速さ」を出すことは、y=ax² の変化の割合 a(p+q) を求めることと同じなのです。

出典:日本大百科全書(ニッポニカ)「自由落下」JapanKnowledge

ガリレオが見つけた「落下の法則」発展

17世紀初め、ガリレオは斜面の実験などから、落体の運動が等加速度運動であり「通過距離は通過時間の2乗に比例する」ことを論証しました。これは y=ax² が現実の運動を表す最初の例の一つで、近代科学の出発点になりました。みなさんが学ぶ変化の割合は、その運動の「平均の速さ」を読み取る道具になっています。

出典:京都大学文学研究科 伊藤和行「落下法則―古典力学の誕生と数学―」

平均の速さを縮めていくと「瞬間の速さ」になる発展

ある区間の平均の速さは、その区間での変化の割合のことです。区間の幅をどんどん小さくして限りなく0に近づけると、平均の速さは「瞬間の速さ」へと近づきます。中学で学ぶ変化の割合は、この極限として速さをとらえる高校の微分の考え方に、まっすぐつながっています。

出典:数研出版 数研通信「瞬間の速さは誰でも分かっている」

投げたボールの軌道は放物線(y=ax²)実生活

ボールを斜めに投げ上げると、その軌道は放物線、つまり2次関数 y=ax² のグラフの形を描きます。たとえば外野手が同じ速さで投げても、角度によって届く距離が変わるのは放物線の性質によるものです。身の回りの「飛ぶもの」の動きには、2次関数がかくれています。

出典:金沢工業大学 工学基礎教育センター 青木克比古「実用面からの2次関数(放物線)」

パラボラアンテナは放物線の性質を使っている実生活

放物線には、軸に平行に入ってきた光や電波が反射すると一点(焦点)に集まるという性質があります。衛星放送などを受けるパラボラアンテナは、断面を放物線(2次関数)の形にして、弱い電波を焦点に集めて強く受信しています。教科書の y=ax² が、こうした機器の設計の土台になっているのです。

出典:金沢工業大学 工学基礎教育センター 青木克比古「実用面からの2次関数(放物線)」