図でつかむ
グラフ上では交点を探す問題ですが、計算では「同じ x で y も同じ」と考えて式を連立します。交点が2つなら、二次方程式の解も2つ出るのが自然です。
放物線と直線の交点
放物線 y = ax² と直線 y = mx + n の交点を求めるには、連立方程式を解く。x 座標は二次方程式 ax² = mx + n の解。
x² = x + 2 → x² − x − 2 = 0
(x − 2)(x + 1) = 0 → x = 2 または −1
x = 2 のとき y = 4 → (2, 4)
x = −1 のとき y = 1 → (−1, 1)
交点は (2, 4) と (−1, 1)
2交点間の直線の式を求める
変化の割合(傾き)= 1·(−1 + 2) = 1
y = x + b に A(−1, 1) 代入:1 = −1 + b → b = 2
→ y = x + 2
三角形の面積 ── 原点と2交点
放物線と直線の問題の定番。直線と x 軸(または y 軸)の交点を底辺の端、放物線の交点や原点を頂点として、三角形の面積を求める。
三角形 OAB の面積:原点を頂点、底辺を AB の長さ … というのは難しいので、x 軸または y 軸を底辺にする方法が定番。
直線 y = x + 2 と x 軸の交点 C(−2, 0)、y 軸との交点 D(0, 2) を使う。
三角形 OAB = 三角形 ODB(高さ 2、底辺 |xB| = 2、面積 2) + 三角形 OCA(同様に計算) → 各自で図示。
頻出パターン:「直線の y 切片 × |xA − xB|(または x切片 × |yA − yB|)÷ 2」 の公式が使える。
動点と関数 ── x の値と図形の関係
AP = x、AQ = x
y = (1/2)·x·x = (1/2)x²
→ y = (1/2)x²(0 ≦ x ≦ 10)
(1/2)x² = 8 → x² = 16 → x = 4(正の値のみ)
→ 4秒後
物理:自由落下
物体が落下する距離 y[m] と時間 x[秒] の関係は y = (1/2)gx²(g ≒ 9.8 m/s²)。中学では教科書ごとに g = 10 や g = 9.8 で示す。
y = 5·2² = 20 m
5x² = 80 → x² = 16 → x = 4秒
放物線の対称性を使う
y = 9 → x = ±3 → (3, 9) と (−3, 9)。
放物線は y 軸対称だから、同じ y 座標を持つ 2 点は x 軸方向に対称。
三角形の面積公式(座標)
3点 A(x₁, y₁), B(x₂, y₂), C(x₃, y₃) の三角形の面積:
S = (1/2)|x₁(y₂−y₃) + x₂(y₃−y₁) + x₃(y₁−y₂)|
原点を含む場合は更にシンプル:
S = (1/2)|x₁y₂ − x₂y₁|(原点 O, A(x₁, y₁), B(x₂, y₂) の三角形)
放物線の傾きの公式
y = ax² 上の 2点 P(p, ap²), Q(q, aq²) について、
変化の割合 = (aq² − ap²) / (q − p)
= a(q + p)(q − p) / (q − p)
= a(p + q)
→ 2点の x 座標の和に a をかけるだけ
例:y = x² 上の(−1, 1) と (3, 9) → 傾き = 1·(−1+3) = 2
等積変形を使った応用
- 等積変形:底辺を共有して、頂点を平行線上で動かしても面積は不変
- 「三角形 ABC と等しい面積をもつ三角形 ABP を作るには?」 → C を通る AB に平行な直線上に P を取る
- 放物線の問題で 面積を2等分する直線を求めるときに活用
- 放物線・直線・三角形の融合問題は 必ず図を描く。
- 原点・交点・座標軸との交点を すべて打ってから 公式を当てる。
- 底辺と高さの選び方で計算量が変わる。軸に平行な底辺がベスト。
- 動点問題では x の範囲(変域)に注意
- 正方形の1辺が10cmなら、動点が辺を進むときの x は 0 ≦ x ≦ 10
- 場合分け:辺を渡るタイミングで式が変わる
- 自由落下:y[m] = (1/2)gx²、x は秒、y はメートル
- g = 9.8 m/s² または問題で与えられる(10 で計算されることが多い)
- 単位を意識して立式する
この章でつまずきやすいところ
放物線と直線の融合や、動点・落下の問題は、図やグラフを目で追いながら式に直す途中で迷いが起きやすい単元です。読みながら手が止まりやすい4つの場面を取り上げ、どこで考え直せば前に進めるかを整理します。
交点をグラフの見た目で読み取ろうとしてしまう
- つまずく場面:放物線 y = x² と直線 y = x + 2 のグラフが描かれた図を見て、「交点はだいたい (2, 4) と (−1, 1) くらいかな」と目分量で答えを書き始め、整数に丸めてよいのか不安になって手が止まる場面。
- 克服のコツ:因果関係で整理すると、「交点である」→「同じ x のとき y も等しい」という条件が原因で、結果として ax² = mx + n の二次方程式が成り立ちます。式を連立して x を出してから y を計算する、という順序を守ると、見た目に頼らず座標を確定できます。
- ミニ例:y = x² と y = x + 2 では、x² = x + 2 から x² − x − 2 = 0、(x − 2)(x + 1) = 0 で x = 2, −1。代入して交点は (2, 4) と (−1, 1)。
三角形の底辺と高さをどこに取るか決められない
- つまずく場面:原点 O と放物線上の A(−1, 1)、B(2, 4) からなる三角形 OAB の面積を求めるとき、「底辺を AB にすると高さがわからない」と感じて、どの辺を底辺にすればよいか決めかねて手が止まる場面。
- 克服のコツ:位置関係で整理すると、底辺を軸に平行な線分にとると高さは座標の差そのものになり、計算がぐっと楽になります。直線と x 軸(または y 軸)の交点を作って、x 軸や y 軸を底辺に使う発想に切り替えると、迷いが解けやすくなります。
- ミニ例:直線 y = x + 2 は y 軸と C(0, 2) で交わるので、OC を底辺(長さ 2)として三角形を OCA と OCB の二つに分ける。A は y 軸の左、B は y 軸の右にあるので、それぞれの高さは A の x 座標の絶対値 1 と B の x 座標の絶対値 2。面積は (1/2)·2·1 + (1/2)·2·2 = 1 + 2 = 3。
動点問題で x の範囲を考えずに式を作ってしまう
- つまずく場面:1辺 10cm の正方形 ABCD で、点 P が A を出発して AB 上を毎秒 1cm の速さで進み、B に着いたら続けて BC 上を進む。同時に点 Q が A を出発して AD 上を同じ速さで進むとき、x 秒後の三角形 APQ の面積 y を式にしようとして、「x = 15 のときはどうなるんだろう」と気になり、P が辺をはみ出すケースをどう扱えばよいか迷う場面。
- 克服のコツ:時系列で整理すると、P が動く時間はまず「AB 上にいる間」「B を通り過ぎて BC 上に移った後」と段階に分かれ、それぞれで式が変わります。先に変域(0 ≦ x ≦ 10 など)を書き出してから式を立てると、はみ出した場合の場合分けが見えやすくなります。
- ミニ例:P が AB 上、Q が AD 上にいるのは 0 ≦ x ≦ 10。このとき AP = x、AQ = x で、直角をはさむ三角形 APQ の面積は y = (1/2)·x·x = (1/2)x²。x が 10 を超えると P は B を通り過ぎて BC 上に移るので、別の式に切り替える必要がある。
落下の式から出た負の解もそのまま答えにしてしまう
- つまずく場面:自由落下 y = 5x² で「80m 落下するのは何秒後か」を解くとき、x² = 16 から x = ±4 と出して、「正と負を両方書いてよいのか、それとも片方だけか」と迷って手が止まる場面。
- 克服のコツ:因果関係で整理すると、x は「落下が始まってからの時間」なので、現実の条件として x は 0 以上に限られます。式の解が複数出たら、最後に問題文の意味(時間・長さ・面積など)に合うものだけ採用すると決めておくと、迷わず選べます。
- ミニ例:y = 5x² で y = 80 のとき、x² = 16 → x = ±4。時間は負にならないので、教科書では x = 4 秒のみを採用する。
練習問題
放物線 y = x² と直線 y = 2x + 3 の交点の座標を求めよ。
答えを見る
x² = 2x + 3 → x² − 2x − 3 = 0 → (x − 3)(x + 1) = 0 → x = 3, −1
→ (3, 9) と (−1, 1)
y = x² 上の 2点 A(−2, 4)、B(3, 9) を結ぶ直線の式を求めよ。
答えを見る
傾き = 1·(−2 + 3) = 1
y = x + b に A 代入:4 = −2 + b → b = 6
→ y = x + 6
1 辺 6cm の正方形 ABCD で、P が AB を毎秒 1cm、Q が BC を毎秒 1cm で進む。x 秒後の △BPQ の面積 y を表せ。x = 4 のときの y は。
答えを見る
BP = 6 − x、BQ = x、y = (1/2)(6 − x)x = (1/2)(6x − x²)
x = 4 のとき y = (1/2)(24 − 16) = 4
まとめ
- 放物線と直線の交点:連立 → 二次方程式で求める。
- 2交点間の直線:傾きは 変化の割合 a(p + q)、切片は1点代入で決まる。
- 三角形の面積:軸に平行な底辺を選ぶと計算がラク。
- 動点問題:x と y の関係を 二次式で立てる。範囲(変域)も意識。
- 物理:自由落下 y = (1/2)gx² は y = ax² の典型例。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
車の制動距離は「速度の2乗」に比例する実生活
ブレーキがきき始めてから止まるまでの制動距離は、おおよそ車の速度の2乗に比例して長くなります。警察庁の資料では、前方30mに子どもが飛び出した場合、50km/hなら止まれても60km/hでは衝突すると示されており、わずかな速度差が大きな差になる理由が y=ax² で説明できます。
ものが落ちる距離は「時間の2乗」に比例する発展
重力だけを受けて落ちる自由落下では、落ちた距離 h と時間 t の間に h=½gt²(g は重力加速度、約9.8m/s²)という関係が成り立ちます。これは教材の y=5x² と同じ y=ax² の形で、時間が2倍になると落下距離は4倍になります。
放物線の鏡は平行光線を1点(焦点)に集める発展
放物線を軸のまわりに回した曲面でできた鏡(放物面鏡)には、軸に平行に入ってきた光を幾何学的な焦点に集める性質があります。逆に焦点に光源を置くと平行光線が出るため、サーチライトや反射望遠鏡の対物鏡に使われています。
衛星放送のパラボラアンテナも放物線の応用実生活
パラボラアンテナは、放物線を回転させた回転放物面の反射器と、その焦点に置いたアンテナ素子でできています。宇宙の衛星からほぼ平行にやってくる弱い電波を焦点に集めて受信できるため、衛星放送やマイクロ波通信に使われています。
電波望遠鏡も放物曲面で星の電波を集める発展
宇宙からの弱い電波を観測する電波望遠鏡は、正面からまっすぐ来た電波を中心の副鏡に集める「放物曲面」の大きな反射鏡を持っています。放物線がもつ「平行に来たものを1点に集める」性質を、星の研究に役立てている例です。
