図でつかむ
この図は、式や定理を読む前に全体像をつかむための補助図です。問題を解くときも、まず同じような簡単な図を自分で描いてから条件を書き込むと、見落としが減ります。
相似とは
△ABC ∽ △DEF …「△ABC と △DEF は相似」
∽ は「相似」の記号。対応する順に書く(A↔D、B↔E、C↔F)。
合同と相似の違い
| 合同(≡) | 相似(∽) | |
|---|---|---|
| 大きさ | 同じ | 違ってもOK |
| 形 | 同じ | 同じ |
| 角の大きさ | 等しい | 等しい |
| 辺の長さ | 等しい | すべて同じ比 |
相似な図形の性質
① 対応する角は等しい。
② 対応する辺の比はすべて等しい。
相似比 ── 拡大率を表す数
△ABC が AB=3, BC=4, CA=5、△DEF が DE=6, EF=8, FD=10
辺の比:3:6 = 4:8 = 5:10 = 1:2 → 相似比 1:2
大きい方は小さい方の 2倍のサイズ。
縦×横:小 4×6、大 6×9
縦の比 4:6 = 2:3、横の比 6:9 = 2:3 → 相似
対応する辺を見つける
A ↔ D、B ↔ E、C ↔ F
辺 AB は辺 DE に対応
辺 BC は辺 EF に対応
辺 CA は辺 FD に対応
相似な図形で長さを求める ── 比を立てる
△ABC ∽ △DEF で相似比 2:3、AB = 6 のとき DE は?
AB:DE = 2:3 → 6:DE = 2:3
2·DE = 18 → DE = 9
AB = 4、DE = 10 → 相似比 4:10 = 2:5
- △ABC ∽ △DEF と書いたら、A は D、B は E、C は F に対応と確定。
- △ABC ∽ △FED と書いたら、A は F、B は E、C は D に対応する。記号の順で対応関係が決まる。
- 記号の順を間違えると、比の立て方が逆になりミスする。
- 相似比が 1:1のとき、合同になる
- つまり 合同 ⊂ 相似(合同なら必ず相似だが、逆は違う)
- 例:1辺3cm の正三角形 2つは 合同かつ 相似
- 1辺3cm と1辺5cm の正三角形は 相似だが合同ではない
- すべての 正方形同士は相似(角は90°、辺の比1:1:1:1で固定)
- すべての 円同士は相似(半径だけが違う)
- すべての 正三角形同士は相似
- すべての 正多角形(n角形)同士は相似
- 長方形は相似とは限らない(縦横比が違うことがある)
身近な相似
- 写真の拡大・縮小
- 地図(縮尺)
- テレビ画面の縦横比(16:9 など)
- 建物の模型と本物
- 動画の解像度違い(同じ画角)
相似で変わるもの・変わらないもの
- 相似な図形では、対応する角の大きさは等しい。
- 対応する辺の長さの比はすべて等しく、その比を相似比という。
- 形は同じでも大きさは違ってよい。相似比1:1なら合同と同じ状態になる。
- 対応順をまちがえると、辺の比も角の対応も崩れる。記号の順番をそろえる。
AとD、BとE、CとFが対応する。したがって AB:DE = BC:EF = CA:FD。
この章でつまずきやすいところ
相似は「形が同じで大きさが違う」関係。本文を読み進めるうちに、合同と混ざったり、記号の順を読み飛ばしたり、比の立て方で迷う場面がよく起きます。読みながら詰まりやすい4つの場面を整理します。
△ABC∽△DEFの順番を読み飛ばしてしまう
- つまずく場面:本文の例題で「A↔D、B↔E、C↔F」と書かれているのを読みながら、「順番なんてどう書いても同じでは?」と感じ、辺ABに対応するのがDEなのかEFなのか分からなくなって手が止まる場面。
- 克服のコツ:位置関係で押さえる。記号 ∽ の左右で同じ位置にある文字どうしが対応すると決まっている。左の1文字目と右の1文字目、2文字目どうし、3文字目どうし。辺はその対応した頂点を2つ並べたものどうしが対応する。
- ミニ例:△ABC∽△FEDなら、左の1番目Aは右の1番目F、BはE、CはDに対応する。だから辺ABに対応するのはFEで、DEではない。
「形が同じ」を見た目で判定しようとする
- つまずく場面:本文の「長方形は相似とは限らない」を読んだとき、「えっ、長方形はどれも形は同じに見えるのに?」と引っかかり、なぜ正方形どうしは相似で長方形はそうとは限らないのか、読み進めても腑に落ちずに迷う場面。
- 克服のコツ:多角形の相似は「対応する角がすべて等しく、対応する辺の比がすべて等しい」こと。長方形は角がすべて90°で固定だが縦横の比は自由なので相似とは限らない。正方形は角90°かつ縦横比1:1で固定だから、正方形どうしは常に相似。
- ミニ例:縦2cm横3cmと縦4cm横6cmの長方形は、比が2:3で一致するので相似。縦2cm横3cmと縦2cm横5cmは比が違うので相似ではない。
合同と相似を別物として覚えてしまう
- つまずく場面:本文に「合同は相似比1:1の相似である」「合同は相似の特別な場合」と出てきた瞬間、中2で習った合同とは別の話だと思っていたのに急に重なってきて、「合同なのに相似でもあるの?」と混乱して読み進められなくなる場面。
- 克服のコツ:因果関係で整理する。合同は「ぴったり重なる」関係で、辺の比はすべて1:1。相似比が1:1のときが合同という関係。だから合同ならば必ず相似(合同は相似の特別な場合)、相似だからといって合同とは限らない。
- ミニ例:1辺3cmの正三角形2つは合同かつ相似(相似比1:1)。1辺3cmと1辺5cmの正三角形は相似比3:5の相似だが合同ではない。
辺の長さを求める問題で比の式の置き方に迷う
- つまずく場面:対応関係を示す例で「△ABC∽△DEF、相似比2:3、AB=6のときDE=?」を読んでいる途中、AB:DE=2:3と書くのか、6:DE=2:3と書くのか、左右どちらに何を入れるか分からなくなって式が立てられない場面。
- 克服のコツ:位置関係を固定して書く。記号の左側の図形の辺は比の左に、右側の図形の辺は比の右にそろえる。△ABC∽△DEFなら、ABなどABC側の辺は比の左、DEなどDEF側の辺は比の右。長さが分かっている方を数値に置き換える。
- ミニ例:△ABC∽△DEF、相似比2:3、AB=6のときDEを求める式は、AB:DE=2:3 → 6:DE=2:3。比の性質(外項の積=内項の積)から 6×3=2×DE → 2·DE=18 → DE=9となる。
練習問題
- 1辺 3cm の正方形と、1辺 5cm の正方形
- 半径 4cm の円と、半径 9cm の円
- 3辺が 4, 6, 8 の三角形と、3辺が 6, 9, 12 の三角形
答えを見る
(1) 3:5 (2) 4:9 (3) 4:6 = 6:9 = 8:12 = 2:3 → 相似比 2:3
△ABC ∽ △DEF、相似比 3:4、AB = 12cm。DE の長さは。
答えを見る
12:DE = 3:4 → 3·DE = 48 → DE = 16cm
△ABC ∽ △PQR で、A の角 = 60°、B の角 = 80° のとき、R の角は。
答えを見る
A ↔ P、B ↔ Q、C ↔ R。三角形の内角の和 180°、C の角 = 180 − 60 − 80 = 40°。対応する R の角 = 40°
まとめ
- 相似:形は同じ、大きさは違う関係。記号は ∽。
- 対応する 角は等しい、対応する 辺の比はすべて等しい。
- 相似比 = 対応する辺の長さの比。
- 記号 △ABC ∽ △DEF は 対応の順を表す。
- 身近な例:地図・写真・模型・テレビ画面など。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
地図の縮尺は「実物を相似に縮めた」もの実生活
国土地理院の2万5千分の1地形図は、実際の地形を相似の関係で2万5千分の1に縮めた図です。だから地図上の長さを2万5千倍すれば実際の距離がわかり、地図上で4cmなら実際は4×25000=100000cm=1kmになります。
古代ギリシャのタレスは「影」と相似でピラミッドを測った発展
紀元前の数学者タレスは、地面にできた影と自分の身長を比べてピラミッドの高さを測ったと伝えられています。太陽の光でできる棒の影とピラミッドの影は相似な直角三角形になり、辺の比が等しいことを使えば、登らなくても高さが計算できるのです。
出典:ウィキペディア(タレス)
コピー用紙(A判)は半分に折っても相似になるよう作られている発展
ISO規格やJISのA判・B判の用紙は、縦と横の比が1:√2(白銀比)という長方形です。この比だと長辺の真ん中で半分に折ったとき、できる長方形がもとの長方形と相似になります。だからA4を半分にしたA5も、拡大・縮小コピーをしても、形のバランスが変わりません。
出典:ウィキペディア(白銀比)
プラモデルの「1/72」「1/100」は相似比そのもの実生活
飛行機や戦車のプラモデルに書かれた1/72や1/100という数字は、実物と模型の相似比を表しています。模型の各部分の長さを72倍や100倍すれば実物のおよその長さになり、実物全体が同じ倍率で縮んでいるからこそ、模型は実物と「形が同じ」に見えるのです。
テレビ画面の「16:9」はどの大きさでも相似な長方形実生活
現在のハイビジョンのテレビ画面は、横と縦の比が16:9と国際的に決められています。大きさの違うテレビでも縦横の比が同じなので、画面はすべて相似な長方形になり、同じ映像を比率を崩さずに映すことができます。
