図でつかむ
この図は、式や定理を読む前に全体像をつかむための補助図です。問題を解くときも、まず同じような簡単な図を自分で描いてから条件を書き込むと、見落としが減ります。
三角形の相似条件3つ
① 3組の辺の比がすべて等しい(3辺比)
② 2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい(2辺比挟角)
③ 2組の角がそれぞれ等しい(2角)
① 3辺比 ── すべての辺の比が同じ
△ABC:AB=3, BC=4, CA=5
△DEF:DE=6, EF=8, FD=10
AB:DE = BC:EF = CA:FD = 1:2 → 相似
② 2辺比挟角
△ABC で AB=4, BC=6, ∠B = 60°
△DEF で DE=6, EF=9, ∠E = 60°
AB:DE = 4:6 = 2:3、BC:EF = 6:9 = 2:3、挟む角 ∠B = ∠E = 60°
→ 相似
③ 2角 ── 一番よく使う
三角形の 2つの角が等しければ、残りの1つも等しい(内角の和 180°)。だから 2角の一致だけで相似が決まる。証明問題で圧倒的によく使う条件。
△ABC で ∠A=50°, ∠B=70°
△DEF で ∠D=50°, ∠E=70°
2組の角が等しい → 相似
相似の証明 ── 基本フォーマット
合同の証明と同じ書き方で、最後だけ 「相似」に置き換える。
△ABC と △DEF において、
仮定または条件 → 等しい角や比を示す
①、② より、2組の角がそれぞれ等しい
よって △ABC ∽ △DEF
相似の証明例
△ABC の辺 AB 上に点 D、辺 AC 上に点 E をとり、△ADE ∽ △ACB であることを示す(条件付き)。
条件:∠ADE = ∠ACB のとき
[証明]
△ADE と △ACB において、
① ∠ADE = ∠ACB(仮定)
② ∠DAE = ∠CAB(∠A は共通)
①、②より、2組の角がそれぞれ等しい
よって △ADE ∽ △ACB
△ABC で BC ∥ DE のとき △ADE ∽ △ABC
[証明]
△ADE と △ABC において、
① ∠ADE = ∠ABC(平行線の同位角)
② ∠A は共通
①、②より △ADE ∽ △ABC
合同と相似の証明、何が違う?
| 合同 | 相似 | |
|---|---|---|
| 辺 | 等しい | 比が等しい |
| 角 | 等しい | 等しい(同じ) |
| 条件の使い分け | SSS, SAS, ASA | 3辺比、2辺比挟角、2角 |
相似を見つけるためのチェックリスト
① 共通角:同じ頂点を共有する角
② 対頂角:交差した2直線で向かい合う角
③ 平行線の同位角・錯角:平行線と1本の直線
④ 直角:2つとも直角なら90°が等しい
⑤ 円周角:同じ弧の円周角は等しい
⑥ 仮定で与えられた角:問題文の条件
頻出パターン:相似な三角形のペア
- 三角形と平行線:△ADE ∽ △ABC(DE ∥ BC のとき)
- 直角三角形の高さ:△ACH ∽ △ABC ∽ △CBH(垂線で3つの相似)
- X字型:2弦の交点で △PAC ∽ △PDB
- 砂時計型:上下対称な相似ペア
- 円周角型:弦の交点や接弦角での相似
直角三角形の3つの相似
頂点 C から斜辺 AB に下ろした垂線の足を H とする
→ △ABC ∽ △ACH ∽ △CBH(3つすべてが相似)
→ CH² = AH × HB(高さの二乗 = 分けた線の積)
→ AC² = AH × AB、BC² = BH × AB
→ 三平方の定理の証明にも使える重要パターン
- 相似の証明で 9 割は 「2組の角がそれぞれ等しい」で押す。
- 共通角、平行線の同位角・錯角、対頂角、二等辺三角形の底角などをフル活用。
- 合同で慣れた書き方そのままで、最後を ∽ にすればOK。
- 「△ABC ∽ △DEF」と書いたら、A と D、B と E、C と F が対応
- 順序を間違えると、辺の比が違ってしまう
- 対応する角に印をつけて、辺と角を確認しながら証明する
- 合同:すべての辺と角が等しい(重ねるとピッタリ)
- 相似:形が同じで大きさが違う(拡大縮小)
- 合同は相似の特殊な場合(比 1:1)
この章でつまずきやすいところ
相似の証明は中3図形の中心テーマ。でも合同条件を覚えたばかりだと、辺は等しい?比が等しい?対応はどう書く?と読み進める途中で手が止まりがち。ここでは本文や問題を読んでいる最中に起きやすい迷いを4つ整理します。
辺が「等しい」と「比が等しい」を取り違える
- つまずく場面:本文の3つの相似条件を読んでいて、合同条件のSSSと並べたとき「3組の辺が等しい」と頭の中で言い換えてしまう。問題で AB=4, DE=6 を見ても、長さが違うから相似ではないと早合点して進んでしまう。
- 克服のコツ:見分け方として「相似は形だけそろえばよい/合同は大きさまでそろう」と思い出す。辺の数字を見たら、まず比を作って約分する手を動かす。AB:DE と BC:EF を並べて書き、同じ比になるかを確かめてから条件名を選ぶ。
- ミニ例:AB=4, BC=6, CA=8 と DE=6, EF=9, FD=12。長さは全部違うが、4:6 = 6:9 = 8:12 = 2:3 と比がそろうので3辺比で相似。
対応順を気にせず相似記号を書いてしまう
- つまずく場面:証明の途中で「△ABC ∽ △…」まで書いたところで、相手の三角形の頂点をアルファベット順に並べたくなる。本文の「対応する頂点の順序をそろえる」を読み飛ばすと、△ABC ∽ △EDF のように対応がずれた式を書いてしまい、あとの比でつまずく。
- 克服のコツ:位置関係で押さえる。先に等しいと示した角の頂点どうしを同じ位置に並べる。①で ∠A=∠D、②で ∠B=∠E と示したなら、A↔D、B↔E、C↔F の順で書く。順序が決まれば、辺の比も AB:DE、BC:EF と自動で決まる。
- ミニ例:∠ABD=∠ACB、∠ADB=∠ABC を示した場合、∠A は共通なので頂点の対応は A↔A、B↔C、D↔B となり △ABD ∽ △ACB。順を入れ替えてはいけない。
1組の角が等しいだけで相似と言いたくなる
- つまずく場面:図に共通角や直角が1つ見つかると「これで相似が言えそう」と気持ちが先に進む。本文の相似条件3つを読み直さずに、∠A 共通だけで △ADE ∽ △ABC と書きかけてしまい、根拠が1つ足りないまま証明を進めてしまう。
- 克服のコツ:見分け方として、必要な情報の数を指で数える。2角条件は角が2組、2辺比挟角は辺の比2組+その間の角、3辺比は辺の比3組。共通角は1つ目の角にすぎないので、平行線の同位角・対頂角・直角・仮定の角など、もう1組を必ず探す。
- ミニ例:△ADE と △ABC で ∠A 共通だけでは不足。D が AB 上、E が AC 上にあり BC∥DE のとき、直線 AB を横切る2平行線で生じる同位角として ∠ADE=∠ABC も示して、初めて2角条件で相似と言える。
直角三角形の高さで生まれる3つの相似を見落とす
- つまずく場面:∠C=90° の △ABC で頂点Cから斜辺ABに垂線CHを下ろした図を読んでいるとき、△ACH と △ABC の相似までは気づいても、△CBH まで含めた3つすべてが相似になることに気づかず、問題の途中で使える組を見落として手が止まる。
- 克服のコツ:位置関係で覚える。直角と斜辺への垂線がそろうと、もとの三角形・左半分・右半分の3つすべてが相似になる。もとの三角形と左右の小三角形は、共通角+直角の2組ですぐに相似と分かる(∠A 共通で △ACH∽△ABC、∠B 共通で △CBH∽△ABC)。左右の小三角形どうしも、推移律(△ACH∽△ABC∽△CBH)でつながり、結局3つすべてが互いに相似になる。
- ミニ例:∠C=90°、CH⊥AB のとき、△ABC ∽ △ACH ∽ △CBH。∠A 共通+直角で △ACH と △ABC、∠B 共通+直角で △CBH と △ABC が相似と分かり、残る △ACH と △CBH も推移律で相似となる。
練習問題
- △ABC:AB=4, BC=6, CA=8。△DEF:DE=6, EF=9, FD=12
- △ABC で ∠A=70°、∠B=50°。△DEF で ∠D=70°、∠E=50°
- △ABC で AB=5, AC=7, ∠A=60°。△DEF で DE=10, DF=14, ∠D=60°
答えを見る
(1) 4:6 = 6:9 = 8:12 = 2:3 → 3辺比、相似
(2) ∠A = ∠D、∠B = ∠E → 2角、相似
(3) AB:DE = AC:DF = 5:10 = 7:14 = 1:2、挟む角 ∠A = ∠D → 2辺比挟角、相似
△ABC で、∠ACB = 90° の直角三角形がある。C から AB に下ろした垂線の足を H とする。△ACH ∽ △ABC を示せ。
答えを見る
[証明] △ACH と △ABC において、
① ∠AHC = ∠ACB = 90°(仮定と直角)
② ∠A は共通
①、②より、2組の角がそれぞれ等しい
よって △ACH ∽ △ABC
まとめ
- 三角形の相似条件は 3つ:3辺比/2辺比挟角/2角。
- 9 割の証明で 「2組の角がそれぞれ等しい」を使う。
- 定番ポイント:共通角・平行線の同位角/錯角・対頂角・直角。
- 証明の書き方は合同とほぼ同じ。最後を ∽ に。
- 相似条件は番号で 1つ言えば十分(「2組の角が等しい」など)。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
タレスは影でピラミッドの高さを測った発展
紀元前6世紀ごろのギリシャの哲学者タレスは、地面にできた影と自分の身長を比べてピラミッドの高さを測ったと伝えられています。太陽の光が同じ角度で当たるとき、棒とその影、ピラミッドとその影は相似な三角形になり、辺の比が等しいことを利用したものです。
地図の縮尺は「相似」そのもの実生活
地図は実際の土地の形を変えずに縮めて描いたもので、相似な図形の関係になっています。たとえば2万5千分の1の地形図では地図上の4cmが実際の1km(1000m)にあたり、相似比から本当の距離を計算で求めることができます。
山や離れた地点までの距離を測る三角測量実生活
国土地理院は、平らな2点間の距離を正確に測り、もう1点を加えて三角形を作って内角を測ることで、離れた地点の位置を計算してきました。基準となる1辺と角がわかれば三角形の形と大きさが決まるという、相似や三角形の性質を使った測量です。
江戸時代の日本でも相似で測量していた発展
江戸時代の数学(和算)では、直角三角形の相似を使って山の高さや川の幅を測る方法が知られていました。木の先と山頂が重なる場所から距離をはかり、相似な三角形の辺の比をもとに、直接登らなくても高さを計算で求めたのです。
影を使えば直接登らずに木の高さがわかる実生活
同じ時刻には太陽の光がどの物にも同じ角度で当たるので、自分とその影、木とその影は2組の角が等しい相似な三角形になります。タレスがピラミッドで使ったのと同じ原理で、自分の身長と影の長さ、木の影の長さを測れば辺の比から木の高さを計算で求められます。
