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8章 標本調査 ── 章末30問問題集

8章の総まとめ 30問。用語と推定計算を中心に、テスト前の総復習に最適。標本調査の基本パターンを体に染み込ませましょう。

復習のポイント

  • 全数調査:母集団全体を調べる(国勢調査・学校の身体測定など)
  • 標本調査:母集団から一部を取り出して推定(視聴率・世論調査など)
  • 無作為抽出:偏りなく標本を選ぶ(くじ引き・乱数表)
  • 推定の公式:母集団中の対象数 = 母集団の大きさ × (標本中の対象数 / 標本の大きさ)
  • 捕獲再捕獲法:印をつけて放ち、再捕獲数から推定

標本調査の計算を始める前に

  • 母集団は調べたい全体、標本はそこから取り出した一部。どちらの大きさを聞かれているかを先に確認する。
  • 推定では、標本の割合が母集団にもほぼ当てはまるとみなして計算する。
  • 標本は無作為に選ぶ。取り出し方に偏りがあると、標本数が多くても推定は信頼しにくい。
  • 全数調査は正確だが時間や費用がかかる。標本調査は速いが誤差を含む。
例:不良品数の推定

製品1200個から無作為に60個を調べ、3個が不良品だった。

標本での割合は 3/60=1/20。母集団では 1200×1/20=60 個程度と推定できる。

この章でつまずきやすいところ

標本調査の問題を読んでいると、「母集団?標本?」「掛けるのか割るのか」と途中で手が止まりがちです。ここでは数値を式に入れる直前で迷う具体場面を整理し、止まらず読み進めるコツを示します。

母集団と標本のどちらの数を聞かれているのか分からなくなる

  • つまずく場面:「製品1200個から60個調べ、3個不良」と読んだ瞬間、1200・60・3の3つの数が並んで、どれが母集団でどれが標本か頭の中で入れ替わり、式を立てる前に手が止まってしまう。
  • 克服のコツ:位置関係で整理する。文の前半に出てくる「全体の数(1200個)」が母集団、「無作為に取り出した数(60個)」が標本、「そのうちの〜個」が標本中の対象。問題文に出る順に「母集団→標本→対象」と縦に並べてメモしてから式に入ると迷わない。
  • ミニ例:「1200個から60個調べて3個不良」→ 母集団1200、標本60、対象3。推定は 1200 × 3/60 = 60個。

捕獲再捕獲法で「印の数」と「再捕獲数」を取り違える

  • つまずく場面:「池に200匹印をつけ、後日250匹捕って印が10匹」と読み進めると、200・250・10の役割が混ざり、(200×10)/250 と (200×250)/10 のどちらが正しいか途中で分からなくなる。
  • 克服のコツ:因果関係でとらえる。最初に印をつけたM匹は池全体Nに混ざる → 後日n匹捕まえると、その中の印つきm匹は「池全体に対する印の割合」と同じはず。だから M/N = m/n、つまり N = M × n ÷ m。割るのは必ず「再捕獲の中の印の数」。
  • ミニ例:印200匹、後日250匹中印10匹 → N = 200×250÷10 = 5000匹。割る数は「印つき10」で固定。

標本の結果をそのまま母集団の正確な値だと思い込む

  • つまずく場面:「1000人中750人が賛成」と書いてあるのを見て、「全国民の75%が賛成と決まった」と読んでしまい、設問の「およそ何人か」を見落として整数の答えだけで満足してしまう。
  • 克服のコツ:見分け方。標本調査の数値は推定値であって正確値ではない、と読みながら頭の中で「およそ」を付け足す。答えるときは「およそ◯人」「約◯個」と書き、小数点以下は四捨五入して整数にそろえる。
  • ミニ例:1.2億人 × 750/1000 = 9000万人 → 答えは「およそ9000万人」と書く。

「無作為抽出」を「都合よく選ぶ」と取り違えて読んでしまう

  • つまずく場面:応用問題で「朝の駅で電車利用を聞く」「SNSで意見を集める」と出てきたとき、人数が多いから無作為抽出だと思い込み、なぜ偏るのかが本文を読んでもピンと来ない。
  • 克服のコツ:因果関係で考える。無作為とは「母集団のどの個体も同じ確率で選ばれる」こと。選ぶ場所・時間・媒体に条件がつくと、その条件に合う層だけが集まる → 標本数を増やしても偏りは消えない。「誰が選ばれにくいか」を一度自問するクセをつける。
  • ミニ例:朝の駅調査 → 電車を使わない人が最初から選ばれない。標本数を増やしても通勤者比率は是正されない。
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A 用語と判別(10問)
  1. 国勢調査は全数か標本か
  2. 視聴率は全数か標本か
  3. 母集団から無作為に取り出した一部を何という
  4. 標本の大きさとは
  5. くじ引きで標本を選ぶ方法を何という
  6. 学校の身体測定は全数か標本か
  7. 選挙の出口調査は全数か標本か
  8. 母集団とは何か
  9. 標本平均と母平均の関係
  10. 標本を多くするほど推定の精度はどうなるか
答えを見る

(1) 全数 (2) 標本 (3) 標本 (4) 標本に含まれる個数 (5) 無作為抽出

(6) 全数 (7) 標本 (8) 調査の対象となる集団全体 (9) 標本平均は母平均に近い値

(10) 高くなる

B 推定計算(10問)
  1. 袋に赤白合計400個、無作為40個中 赤16個 → 赤の総数推定
  2. 袋に黒白合計300個、無作為30個中 黒18個 → 黒の総数推定
  3. 池の魚 200匹に印、別日250匹中印10匹 → 池の魚総数
  4. 池の魚 80匹印、後日120匹中印8匹 → 総数
  5. 不良品検査 5000個中無作為100個に不良4個 → 不良総数
  6. 不良品検査 8000個中無作為200個に不良5個 → 不良総数
  7. 学校 800人中100人にアンケート、78人がスマホ持つ → 全体推定
  8. 1000ページ中50ページに誤字3個 → 全体推定
  9. 大豆を1000粒中50粒に発芽不良2粒 → 全体不良数
  10. 大量生産10万個から500個調査、不良6個 → 全体推定
答えを見る

(1) 400·16/40 = 160個 (2) 300·18/30 = 180個

(3) (200·250)/10 = 5000匹 (4) (80·120)/8 = 1200匹

(5) 5000·4/100 = 200個 (6) 8000·5/200 = 200個

(7) 800·78/100 = 624人 (8) 1000·3/50 = 60個

(9) 1000·2/50 = 40粒 (10) 100000·6/500 = 1200個

C 応用問題(10問)
  1. 世論調査で1000人中750人が賛成。全国民1億2千万人の賛成数
  2. 箱に同色ボール多数、標本60個中30個赤 → 1000個中赤の数
  3. 1ページあたり誤字平均1.5個 → 全350ページの推定誤字数
  4. 大量の電池から100個中不良1個 → 50000個中不良数
  5. 森の木 200本に番号、後日300本中50本番号付き → 森の木総数
  6. 選挙の出口調査 1000人中候補A 520人 → 投票総数5万人での得票推定
  7. テストで100人中合格30人 → 全1000人での合格推定
  8. 湖の魚 50匹に印、後日100匹中印5匹 → 総数
  9. 輸入オレンジ 200個中不良6個 → 5000個中不良数
  10. 調査人数を増やすと推定のばらつきはどう変わるか
答えを見る

(1) 1.2億 × 0.75 = 9000万人 (2) 1000 × 30/60 = 500個

(3) 350 × 1.5 = 525個 (4) 50000 × 1/100 = 500個

(5) (200 × 300) / 50 = 1200本 (6) 50000 × 520/1000 = 26000票

(7) 1000 × 30/100 = 300人 (8) (50·100)/5 = 1000匹

(9) 5000 × 6/200 = 150個 (10) ばらつきが小さくなり、真の値に近い推定になりやすい

テスト前のチェックリスト

  • □ 全数調査と標本調査の判別
  • □ 無作為抽出の意味(偏りなく選ぶ)
  • □ 推定の公式:母集団 = 標本 × 倍率
  • □ 捕獲再捕獲法:母数 = (印数 × 再捕獲数) / 再捕獲した印数
  • □ 不良品検査・世論調査の典型パターン
  • □ 標本が多いほど精度が高い
つまずきポイントの再確認
  • 母集団と標本の関係:標本の特徴が母集団にも当てはまる前提
  • 無作為抽出の重要性:偏ると推定が外れる
  • 計算式:割合(標本中の対象 / 標本数)を母集団に掛ける
  • 四捨五入:人数や個数は整数で答える

標本調査の具体的な手順

推定の3ステップ

① 母集団を確認(全体は何個・何人か)

② 標本を無作為に取り出す(標本の大きさを決める)

③ 標本中の比率から母集団を推定

 公式:母集団中の対象 = 母集団 × (標本中の対象 / 標本数)

 例:500個中、標本20個中3個が不良 → 500 × 3/20 = 75個

捕獲再捕獲法(標識再捕獲法)

公式の意味

N:池の魚の総数(求めたい)

M:最初に印をつけた数

n:後日捕獲した総数

m:後日の中で印つきの数

→ M/N ≒ m/n(比率が等しい)

→ N = M × n / m

例:50匹に印、後日100匹中5匹が印 → N = 50·100/5 = 1000匹

標本調査の身近な例

  • テレビ視聴率:全世帯の0.1%程度の世帯を選んで推定
  • 世論調査:1000〜2000人で全国民の意見を推定
  • 選挙の出口調査:投票直後の数千人で当落を早期予測
  • 品質検査:大量生産品の一部を抜き取り検査
  • 魚の生息数:捕獲再捕獲法で池・海の魚を推定
つまずきポイント①:偏りのある標本
  • 朝の駅で「電車をよく使うか」と聞く → 通勤者ばかりで偏る
  • SNSで意見を集める → ネット利用層に偏る
  • 無作為抽出の徹底が標本調査の生命線
つまずきポイント②:標本の大きさ
  • 標本が少なすぎる → 誤差が大きい
  • 標本が多すぎる → コストがかかる
  • 一般に標本数を 4倍にすると、誤差は 1/2になる
  • 標本の大きさを大きくすると、推定値のばらつきは小さくなりやすい
つまずきポイント③:「およそ」と「正確に」
  • 標本調査の結果はあくまで 推定値
  • 答えは「およそ◯◯個」「約◯◯人」と書く
  • 整数で答えるのが基本(小数点以下は四捨五入)

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

国勢調査は数少ない「全数調査」実生活

日本に住むすべての人と世帯を5年ごとに調べる国勢調査は、標本調査ではなく全数調査です。統計法という法律で「基幹統計」と定められ、ほかの統計を設計する土台になるため、誤差を含む推定ではなく全員を調べる方法がとられています。

出典:総務省統計局 令和7年国勢調査に関するQ&A

視聴率は数千世帯で全体を推定する標本調査実生活

テレビの世帯視聴率は、関東地区では約2700世帯という標本を住民基本台帳から無作為に選んで測定し、地区全体を推定したものです。全世帯を調べているわけではなく、章末問題の「視聴率は標本調査」という答えが現実そのままに使われています。

出典:ビデオリサーチ 視聴率の調査地区と測定方法

捕獲再捕獲法はペテルセン法・リンカーン法とも呼ばれる発展

問題集の「池の魚」で使う捕獲再捕獲法は、魚にタグを付けて放し、再捕獲した標本中の目印の割合から全体数を求める方法で、ペテルセン法やリンカーン法と呼ばれます。式 N=(n1×n2)/m は、再標本での目印の割合が全体の割合に等しいとみなす考え方です。

出典:総務省統計局 なるほど統計学園「生物の個体数を把握」

捕獲再捕獲法が使えない条件発展

捕獲再捕獲法は便利ですが、調査の間に生き物が生まれたり死んだりして総数が変わる場合や、ほとんど移動しない生き物が相手の場合には、推定が当てになりません。標本調査には「前提が成り立つときだけ正しい」という限界があることを示す良い例です。

出典:総務省統計局 なるほど統計学園「生物の個体数を把握」

世論調査は無作為に選んだ人で国全体の意見を推定する実生活

内閣府などの世論調査は、日本に住む全員に聞くのではなく、無作為に選んだ人々を標本として調査し、結果を国全体の意見の推定とします。だからこそ標本の選び方に偏りがないことが結果の信頼性を支えており、問題集の「無作為抽出」が現実の調査の生命線になっています。

出典:内閣府 国民生活に関する世論調査(令和6年)標本抽出方法