復習のポイント
- 全数調査:母集団全体を調べる(国勢調査・学校の身体測定など)
- 標本調査:母集団から一部を取り出して推定(視聴率・世論調査など)
- 無作為抽出:偏りなく標本を選ぶ(くじ引き・乱数表)
- 推定の公式:母集団中の対象数 = 母集団の大きさ × (標本中の対象数 / 標本の大きさ)
- 捕獲再捕獲法:印をつけて放ち、再捕獲数から推定
標本調査の計算を始める前に
- 母集団は調べたい全体、標本はそこから取り出した一部。どちらの大きさを聞かれているかを先に確認する。
- 推定では、標本の割合が母集団にもほぼ当てはまるとみなして計算する。
- 標本は無作為に選ぶ。取り出し方に偏りがあると、標本数が多くても推定は信頼しにくい。
- 全数調査は正確だが時間や費用がかかる。標本調査は速いが誤差を含む。
製品1200個から無作為に60個を調べ、3個が不良品だった。
標本での割合は 3/60=1/20。母集団では 1200×1/20=60 個程度と推定できる。
この章でつまずきやすいところ
標本調査の問題を読んでいると、「母集団?標本?」「掛けるのか割るのか」と途中で手が止まりがちです。ここでは数値を式に入れる直前で迷う具体場面を整理し、止まらず読み進めるコツを示します。
母集団と標本のどちらの数を聞かれているのか分からなくなる
- つまずく場面:「製品1200個から60個調べ、3個不良」と読んだ瞬間、1200・60・3の3つの数が並んで、どれが母集団でどれが標本か頭の中で入れ替わり、式を立てる前に手が止まってしまう。
- 克服のコツ:位置関係で整理する。文の前半に出てくる「全体の数(1200個)」が母集団、「無作為に取り出した数(60個)」が標本、「そのうちの〜個」が標本中の対象。問題文に出る順に「母集団→標本→対象」と縦に並べてメモしてから式に入ると迷わない。
- ミニ例:「1200個から60個調べて3個不良」→ 母集団1200、標本60、対象3。推定は 1200 × 3/60 = 60個。
捕獲再捕獲法で「印の数」と「再捕獲数」を取り違える
- つまずく場面:「池に200匹印をつけ、後日250匹捕って印が10匹」と読み進めると、200・250・10の役割が混ざり、(200×10)/250 と (200×250)/10 のどちらが正しいか途中で分からなくなる。
- 克服のコツ:因果関係でとらえる。最初に印をつけたM匹は池全体Nに混ざる → 後日n匹捕まえると、その中の印つきm匹は「池全体に対する印の割合」と同じはず。だから M/N = m/n、つまり N = M × n ÷ m。割るのは必ず「再捕獲の中の印の数」。
- ミニ例:印200匹、後日250匹中印10匹 → N = 200×250÷10 = 5000匹。割る数は「印つき10」で固定。
標本の結果をそのまま母集団の正確な値だと思い込む
- つまずく場面:「1000人中750人が賛成」と書いてあるのを見て、「全国民の75%が賛成と決まった」と読んでしまい、設問の「およそ何人か」を見落として整数の答えだけで満足してしまう。
- 克服のコツ:見分け方。標本調査の数値は推定値であって正確値ではない、と読みながら頭の中で「およそ」を付け足す。答えるときは「およそ◯人」「約◯個」と書き、小数点以下は四捨五入して整数にそろえる。
- ミニ例:1.2億人 × 750/1000 = 9000万人 → 答えは「およそ9000万人」と書く。
「無作為抽出」を「都合よく選ぶ」と取り違えて読んでしまう
- つまずく場面:応用問題で「朝の駅で電車利用を聞く」「SNSで意見を集める」と出てきたとき、人数が多いから無作為抽出だと思い込み、なぜ偏るのかが本文を読んでもピンと来ない。
- 克服のコツ:因果関係で考える。無作為とは「母集団のどの個体も同じ確率で選ばれる」こと。選ぶ場所・時間・媒体に条件がつくと、その条件に合う層だけが集まる → 標本数を増やしても偏りは消えない。「誰が選ばれにくいか」を一度自問するクセをつける。
- ミニ例:朝の駅調査 → 電車を使わない人が最初から選ばれない。標本数を増やしても通勤者比率は是正されない。
- 国勢調査は全数か標本か
- 視聴率は全数か標本か
- 母集団から無作為に取り出した一部を何という
- 標本の大きさとは
- くじ引きで標本を選ぶ方法を何という
- 学校の身体測定は全数か標本か
- 選挙の出口調査は全数か標本か
- 母集団とは何か
- 標本平均と母平均の関係
- 標本を多くするほど推定の精度はどうなるか
答えを見る
(1) 全数 (2) 標本 (3) 標本 (4) 標本に含まれる個数 (5) 無作為抽出
(6) 全数 (7) 標本 (8) 調査の対象となる集団全体 (9) 標本平均は母平均に近い値
(10) 高くなる
- 袋に赤白合計400個、無作為40個中 赤16個 → 赤の総数推定
- 袋に黒白合計300個、無作為30個中 黒18個 → 黒の総数推定
- 池の魚 200匹に印、別日250匹中印10匹 → 池の魚総数
- 池の魚 80匹印、後日120匹中印8匹 → 総数
- 不良品検査 5000個中無作為100個に不良4個 → 不良総数
- 不良品検査 8000個中無作為200個に不良5個 → 不良総数
- 学校 800人中100人にアンケート、78人がスマホ持つ → 全体推定
- 1000ページ中50ページに誤字3個 → 全体推定
- 大豆を1000粒中50粒に発芽不良2粒 → 全体不良数
- 大量生産10万個から500個調査、不良6個 → 全体推定
答えを見る
(1) 400·16/40 = 160個 (2) 300·18/30 = 180個
(3) (200·250)/10 = 5000匹 (4) (80·120)/8 = 1200匹
(5) 5000·4/100 = 200個 (6) 8000·5/200 = 200個
(7) 800·78/100 = 624人 (8) 1000·3/50 = 60個
(9) 1000·2/50 = 40粒 (10) 100000·6/500 = 1200個
- 世論調査で1000人中750人が賛成。全国民1億2千万人の賛成数
- 箱に同色ボール多数、標本60個中30個赤 → 1000個中赤の数
- 1ページあたり誤字平均1.5個 → 全350ページの推定誤字数
- 大量の電池から100個中不良1個 → 50000個中不良数
- 森の木 200本に番号、後日300本中50本番号付き → 森の木総数
- 選挙の出口調査 1000人中候補A 520人 → 投票総数5万人での得票推定
- テストで100人中合格30人 → 全1000人での合格推定
- 湖の魚 50匹に印、後日100匹中印5匹 → 総数
- 輸入オレンジ 200個中不良6個 → 5000個中不良数
- 調査人数を増やすと推定のばらつきはどう変わるか
答えを見る
(1) 1.2億 × 0.75 = 9000万人 (2) 1000 × 30/60 = 500個
(3) 350 × 1.5 = 525個 (4) 50000 × 1/100 = 500個
(5) (200 × 300) / 50 = 1200本 (6) 50000 × 520/1000 = 26000票
(7) 1000 × 30/100 = 300人 (8) (50·100)/5 = 1000匹
(9) 5000 × 6/200 = 150個 (10) ばらつきが小さくなり、真の値に近い推定になりやすい
テスト前のチェックリスト
- □ 全数調査と標本調査の判別
- □ 無作為抽出の意味(偏りなく選ぶ)
- □ 推定の公式:母集団 = 標本 × 倍率
- □ 捕獲再捕獲法:母数 = (印数 × 再捕獲数) / 再捕獲した印数
- □ 不良品検査・世論調査の典型パターン
- □ 標本が多いほど精度が高い
- 母集団と標本の関係:標本の特徴が母集団にも当てはまる前提
- 無作為抽出の重要性:偏ると推定が外れる
- 計算式:割合(標本中の対象 / 標本数)を母集団に掛ける
- 四捨五入:人数や個数は整数で答える
標本調査の具体的な手順
① 母集団を確認(全体は何個・何人か)
② 標本を無作為に取り出す(標本の大きさを決める)
③ 標本中の比率から母集団を推定
公式:母集団中の対象 = 母集団 × (標本中の対象 / 標本数)
例:500個中、標本20個中3個が不良 → 500 × 3/20 = 75個
捕獲再捕獲法(標識再捕獲法)
N:池の魚の総数(求めたい)
M:最初に印をつけた数
n:後日捕獲した総数
m:後日の中で印つきの数
→ M/N ≒ m/n(比率が等しい)
→ N = M × n / m
例:50匹に印、後日100匹中5匹が印 → N = 50·100/5 = 1000匹
標本調査の身近な例
- テレビ視聴率:全世帯の0.1%程度の世帯を選んで推定
- 世論調査:1000〜2000人で全国民の意見を推定
- 選挙の出口調査:投票直後の数千人で当落を早期予測
- 品質検査:大量生産品の一部を抜き取り検査
- 魚の生息数:捕獲再捕獲法で池・海の魚を推定
- 朝の駅で「電車をよく使うか」と聞く → 通勤者ばかりで偏る
- SNSで意見を集める → ネット利用層に偏る
- 無作為抽出の徹底が標本調査の生命線
- 標本が少なすぎる → 誤差が大きい
- 標本が多すぎる → コストがかかる
- 一般に標本数を 4倍にすると、誤差は 1/2になる
- 標本の大きさを大きくすると、推定値のばらつきは小さくなりやすい
- 標本調査の結果はあくまで 推定値
- 答えは「およそ◯◯個」「約◯◯人」と書く
- 整数で答えるのが基本(小数点以下は四捨五入)
