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ナトリウム原子は電子を1個失うと、陽子11個に対して電子10個になり、+の電気を帯びたNa⁺になります。塩素原子は逆に電子を1個受け取って−のCl⁻に。この電子のやり取りが、電解質が水中で電離して電気を通すしくみの土台です。
電解質と非電解質
電解質:水に溶けると電気を通す物質(例:食塩、塩化銅、塩酸、硫酸)
非電解質:水に溶けても電気を通さない物質(例:砂糖、エタノール)
イオンとは ── 電気を帯びた粒子
- 陽イオン:電子を失って +の電気を帯びた粒子(例:Na⁺、K⁺、H⁺、Mg²⁺)
- 陰イオン:電子を受け取って −の電気を帯びた粒子(例:Cl⁻、OH⁻、SO₄²⁻)
電離 ── 水中でイオンに分かれる
塩化ナトリウム:NaCl → Na⁺ + Cl⁻
塩化銅:CuCl₂ → Cu²⁺ + 2Cl⁻
塩酸:HCl → H⁺ + Cl⁻
硫酸:H₂SO₄ → 2H⁺ + SO₄²⁻
水酸化ナトリウム:NaOH → Na⁺ + OH⁻
主なイオンの一覧
| 名前 | 記号 | 電荷 |
|---|---|---|
| 水素イオン | H⁺ | +1 |
| ナトリウムイオン | Na⁺ | +1 |
| カリウムイオン | K⁺ | +1 |
| 銅イオン | Cu²⁺ | +2 |
| 亜鉛イオン | Zn²⁺ | +2 |
| マグネシウムイオン | Mg²⁺ | +2 |
| 塩化物イオン | Cl⁻ | −1 |
| 水酸化物イオン | OH⁻ | −1 |
| 硫酸イオン | SO₄²⁻ | −2 |
| 硝酸イオン | NO₃⁻ | −1 |
電子のやりとりで考えるイオン
Na(中性の原子)→ Na⁺ + e⁻(電子1個を失う)
陽子数 > 電子数 → 全体として + の電荷
Cl + e⁻ → Cl⁻(電子1個を受け取る)
陽子数 < 電子数 → 全体として − の電荷
電気を通すしくみ
電解質の水溶液に電極を入れて電圧をかけると、陽イオンは陰極(−極)へ、陰イオンは陽極(+極)へ移動する。これが「電気を通す」現象の正体。
原子の構造とイオン
原子核(陽子+中性子)と 電子でできている
陽子:+電気を持つ(原子番号 = 陽子数)
中性子:電気を持たない
電子:−電気を持つ(陽子と同数なら中性)
→ 中性原子は 陽子数 = 電子数
→ 電子を失う → 陽イオン
→ 電子を受け取る → 陰イオン
同じ元素でも、陽子の数(原子番号)は同じなのに中性子の数が異なる原子が存在することがあります。これを同位体(アイソトープ)といい、化学的な性質はほとんど同じですが、中性子の数が違うぶん質量がわずかに異なります。例えば炭素には陽子6個・中性子6個の炭素12と、陽子6個・中性子8個の炭素14という同位体があります。
イオンになりやすさ(電子配置)
多くの原子は、電子を失ったり受け取ったりすると「貴ガス(安定な電子配置)」と同じ並びになる
ナトリウム Na(11番):電子11個 → 1個失えば Ne(10番)と同じ電子配置になる → Na⁺
塩素 Cl(17番):電子17個 → 1個受け取れば Ar(18番)と同じ → Cl⁻
→ 安定な電子配置を目指して電子をやり取り
→ Ne・Ar・Kr などの貴ガス(希ガス)は安定でイオンになりにくい
食塩水で電気が流れる仕組み
食塩水 + 電極(電源あり)
→ Na⁺ は 陰極(−極)へ移動
→ Cl⁻ は 陽極(+極)へ移動
→ 電極で電子のやり取り → 電流が流れる
→ 砂糖水は分子のままなので電気が流れない
- Cu²⁺ は「銅が 電子2個を失った状態」。+2 とも書く。
- SO₄²⁻ のような 多原子イオンは、まとまって 1 つの陰イオンとして電離する。
- 電離の式では 係数と電荷のバランスをチェック。例:CuCl₂ → Cu²⁺ + 2Cl⁻(電荷 +2 と −1×2 で釣り合う)。
- 電解質:水中でイオンに分かれる(電気を通す)
- 例:NaCl、HCl、NaOH、CuCl₂、CaCl₂
- 非電解質:分子のまま溶ける(電気を通さない)
- 例:砂糖(C₁₂H₂₂O₁₁)、エタノール(C₂H₆O)、グルコース
- 目印は「水に溶けてイオンに分かれる塩」「酸・アルカリ」。金属を含んでも水に溶けにくい物質は例外になる
- 水素原子は電子1個だけ持つ
- 電子を失うと 陽子だけになる(H⁺)
- 水中では水分子と結合して H₃O⁺(オキソニウムイオン)になっている
- 中学では H⁺で書く(簡略表現)
この章でつまずきやすいところ
イオンの単元は、本文をなぞるだけでは「電子のやり取り」と「電気を帯びる向き」が頭の中で入れ替わりがちです。読み進めている途中で迷いやすい場面を、見分け方と短い例で整理します。
「陽イオンは陽極へ動く」と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の「陽イオンは陰極(−極)へ、陰イオンは陽極(+極)へ移動する」を読むときに、名前が同じ「陽」だから陽極へ動くのでは、と引っかかってしまう場面。
- 克服のコツ:位置関係で覚えるのがコツです。電気の世界では異なる符号どうしが引き合うので、+の電気を帯びた陽イオンは−極(陰極)に引かれます。名前の「陽」と移動先の極は逆になると意識しておくと迷いません。
- ミニ例:食塩水に電極を入れると、Na⁺は陰極(−極)へ、Cl⁻は陽極(+極)へ移動します。+と−が引き合う、と確認しましょう。
イオンを「原子が壊れたもの」と思い込んでしまう
- つまずく場面:「原子は電子を失ったり受け取ったりして電気を帯びる」と読んだとき、原子核が割れたり粒が砕けたりするイメージを持ってしまい、Na⁺とNaを別物として捉えてしまう場面。
- 克服のコツ:因果関係でとらえ直しましょう。変わるのは外側の電子の数だけで、原子核(陽子+中性子)はそのまま。陽子数>電子数になれば+、陽子数<電子数になれば−の電気を帯びる、というのが「イオンになる」ということです。
- ミニ例:Na → Na⁺ + e⁻ では、陽子は11個のままで電子が1個減るだけ。原子核は壊れていません。
電離の式で「電荷のつり合い」を見落としてしまう
- つまずく場面:CuCl₂ → Cu²⁺ + Cl⁻ のように書いて先へ進もうとしたところで、左右の電荷が合っているか自信が持てず、係数を付けるべきか迷う場面。
- 克服のコツ:見分け方は「左辺は全体で電気的に中性、右辺の+と−の合計も0になるか」を確かめること。係数は粒子の数、右上の数字は1粒の電荷と役割が違うので、両方をかけ算して合計をチェックします。
- ミニ例:CuCl₂ → Cu²⁺ + 2Cl⁻。右辺は (+2) + (−1)×2 = 0 となり、左辺の中性とつり合います。
「水に溶ければ電気を通す」と思い込んでしまう
- つまずく場面:食塩水が電流を通す実験を読んだ直後に、砂糖水も水に溶けているのだから同じように電流を通すはず、と感じてしまう場面。
- 克服のコツ:見分け方は「水中でイオンに分かれているか」だけです。電解質はイオンに分かれて電気を運べますが、非電解質は分子のまま溶けるので運び手がいません。溶ける/溶けないと、電気を通す/通さないは別の話だと整理しましょう。
- ミニ例:食塩(NaCl)は水中でNa⁺とCl⁻に分かれて電流が流れますが、砂糖やエタノールは分子のままなので流れません。
練習問題
次のうち電解質はどれか。砂糖、塩化ナトリウム、エタノール、塩酸、水酸化ナトリウム。
答えを見る
塩化ナトリウム、塩酸、水酸化ナトリウム
次の電離を化学式で表せ。
- 塩化ナトリウム
- 塩酸
- 水酸化ナトリウム
- 硫酸
- 塩化銅
答えを見る
(1) NaCl → Na⁺ + Cl⁻
(2) HCl → H⁺ + Cl⁻
(3) NaOH → Na⁺ + OH⁻
(4) H₂SO₄ → 2H⁺ + SO₄²⁻
(5) CuCl₂ → Cu²⁺ + 2Cl⁻
- 水素イオン
- 銅イオン
- 水酸化物イオン
- 硫酸イオン
答えを見る
(1) H⁺ (2) Cu²⁺ (3) OH⁻ (4) SO₄²⁻
まとめ
- 電解質:水に溶けて電気を通す。非電解質:通さない。
- イオン:電子のやり取りで電気を帯びた粒子。陽イオン+、陰イオン−。
- 電離:電解質が 水中でイオンに分かれる。
- 主なイオン記号:H⁺、Na⁺、Cu²⁺、Cl⁻、OH⁻、SO₄²⁻ など。
- 電離の式は 電荷のバランスを取って書く。
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※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
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