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塩酸や硫酸はH⁺を、水酸化ナトリウムはOH⁻を出すことが電離の式で確かめられます。下のpHスケールには胃酸(pH1)から水酸化ナトリウム(pH13〜14)までを並べました。pHが1ちがうとH⁺の濃さは10倍ちがいます。
酸とアルカリ ── 出すイオンで決まる
酸:水に溶けると H⁺(水素イオン)を出す物質。
例:HCl(塩酸)、H₂SO₄(硫酸)、HNO₃(硝酸)、酢酸 CH₃COOH
アルカリ:水に溶けると OH⁻(水酸化物イオン)を出す物質。
例:NaOH(水酸化ナトリウム)、Ca(OH)₂(水酸化カルシウム)、KOH
塩酸:HCl → H⁺ + Cl⁻ ← H⁺ を出す → 酸
水酸化ナトリウム:NaOH → Na⁺ + OH⁻ ← OH⁻ を出す → アルカリ
酸性・中性・アルカリ性 ── 性質の3区分
- 酸性:青色リトマス紙を 赤に変える。BTB液が 黄
- 中性:BTB液が 緑、リトマス紙はそのまま
- アルカリ性:赤色リトマス紙を 青に変える。BTB液が 青
身近な酸とアルカリ
| 酸(H⁺ を出す) | アルカリ(OH⁻ を出す) |
|---|---|
| レモン汁(クエン酸) | 石けん水 |
| 食酢(酢酸) | 重曹水 |
| 炭酸水(炭酸) | アンモニア水 |
| 胃酸(塩酸) | 水酸化カルシウム(消石灰) |
| 硫酸(自動車バッテリーの液など) | 水酸化ナトリウム(パイプクリーナー) |
指示薬の色変化
青色リトマス紙 → 酸性で赤に変化
赤色リトマス紙 → アルカリ性で青に変化
BTB液:酸性 黄/中性 緑/アルカリ性 青
フェノールフタレイン:酸性・中性 無色/アルカリ性 赤
紫キャベツ液:色がpHにより細かく変化
pH(ピーエイチ)── 酸性・アルカリ性の強さ
pH = 7 が中性、7 より小さいほど酸性が強い、7 より大きいほどアルカリ性が強い。
- pH 0〜2:強酸(塩酸、硫酸)
- pH 3〜6:弱酸(レモン、酢、雨水)
- pH 7:中性(純水)
- pH 8〜10:弱アルカリ(重曹、石けん)
- pH 12〜14:強アルカリ(水酸化ナトリウム)
酸とアルカリの強さは「電離度」で決まる
同じ酸でも、強い酸(塩酸、硫酸)は 水に溶けたほぼ全部が電離する。一方、弱い酸(酢酸、炭酸)は 一部しか電離しない。アルカリも同様で、電離度の高いものほど強い。
pHの数値と身近な液体
| pH | 液体 | 性質 |
|---|---|---|
| 1 | 胃酸・塩酸 | 強酸 |
| 2-3 | レモン汁・酢 | 強めの酸性 |
| 4-5 | 炭酸水・コーヒー | 弱酸 |
| 5.6 | 普通の雨水 | 弱酸(CO₂溶解) |
| 6 | 牛乳 | ほぼ中性 |
| 7 | 純水・人の血液(7.4) | 中性 |
| 8-9 | 海水・重曹水 | 弱アルカリ |
| 10-11 | 石けん水 | 中アルカリ |
| 13-14 | 水酸化ナトリウム | 強アルカリ |
強酸・強アルカリの危険性
濃硫酸 H₂SO₄:水を吸収して発熱、皮膚を激しく腐食
塩酸 HCl:気体(塩化水素)が出やすい、目・呼吸器に有害
水酸化ナトリウム NaOH:タンパク質を溶かす、目に入ると失明の恐れ
→ 実験では 保護メガネ・ゴム手袋必須
→ 薄めるときは 水に酸を加える(逆は飛び散る危険)
電離度と強さ
電離度 = 電離した分子数 / 全分子数
強酸・強アルカリ:電離度がほぼ1(100%電離)
例:HCl、HNO₃、H₂SO₄、NaOH、KOH
弱酸・弱アルカリ:電離度が小さい(一部だけ電離)
例:酢酸、炭酸、アンモニア
- 「酸 = 酸っぱい」と感覚で覚えるのでなく、「H⁺ を出す物質」と定義で覚える。
- 水酸化ナトリウムは強アルカリ。皮膚や目に触れると危険(タンパク質を溶かす)。
- レモンは pH 2〜3 で酸性は強め。ただし塩酸のような「強酸」とは、電離度で区別する。
- pH が 1 違う = 水素イオン濃度が 10倍違う
- pH 3 と pH 5 では 100倍の差
- pH 7 は中性、6 でも弱酸、8 でも弱アルカリ
- 強い酸 = 電離度が大きい(HCl, H₂SO₄)
- 濃い酸 = 水溶液の中に酸が多い(薄めれば薄まる)
- 強い酸でも薄めれば pH は上がる(中性に近づく)
- 弱い酸でも濃ければ pH は下がる
この章でつまずきやすいところ
酸とアルカリは「酸っぱい・苦い」のような感覚や、リトマス紙の色だけで判断しがちな単元。本文を読み進めるうちに、強さと濃さ、pHの大小、イオンの種類で頭がこんがらがる場面があります。読み途中の迷いを先回りでほぐしておきます。
「強い酸」と「濃い酸」を同じ意味だと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の「強酸≠濃酸」を読んでいる途中で、塩酸を水で薄めた場合に「強い酸のままなのか、弱い酸に変わるのか」が分からなくなる場面。電離度と濃度がごちゃ混ぜになって止まりがちです。
- 克服のコツ:因果関係で整理します。酸の「強さ」は電離度で決まり、これは物質ごとにほぼ決まっている性質。「濃さ」は水溶液中の酸の量で、薄めれば変わる性質。つまり、薄い塩酸でも「強酸」であり、濃い酢酸でも「弱酸」のままです。
- ミニ例:塩酸(HCl)をうすめるとpHは7に近づくけれど、溶けたHClはほぼ全部電離しているので「強酸」のまま。pHの値(濃さの目安)と、電離度(強さ)は別の話、と意識して読み進めます。
pHの差を「数字の差」のままで読んでしまう
- つまずく場面:pHの章で「pH3とpH5」と出てきたとき、「2違うだけだからちょっと違うくらい」と感じてしまう場面。本文の「pHが1違う=10倍違う」をなんとなく読み流し、後の練習問題で強さの順を間違えそうになります。
- 克服のコツ:見分け方として、pHは10倍ずつ段がつく目盛りだと意識します。pHが1減るごとに水素イオンの濃さが10倍。だから「pH3とpH5」は2段=100倍の差。数字の引き算ではなく、段数として読むのがコツです。
- ミニ例:pH3のレモン汁とpH5のブラックコーヒーでは、H⁺の濃さが約100倍違うイメージ。「pH1違うごとに10倍」とつぶやきながら読み進めます。
リトマス紙の色変化の向きを逆に覚えてしまう
- つまずく場面:指示薬の段落を読みながら、「青→赤」と「赤→青」のどちらが酸性だったかが分からなくなる場面。BTB液の色も合わさって、本文を行き来するうちに混乱してきます。
- 克服のコツ:位置関係で固定します。酸性は青→赤、アルカリ性は赤→青。語呂で「酸はアオを赤くする」と覚えると向きを間違えにくく、出てきた色から逆算もできます。
- ミニ例:塩酸(H⁺を出す)に青色リトマス紙を入れると赤に、BTB液なら黄。水酸化ナトリウム水溶液(OH⁻を出す)なら、赤色リトマス紙が青、BTB液は青。中性ならBTBは緑になります。
「酸=危険・アルカリ=安全」と感覚で決めつけてしまう
- つまずく場面:身近な例の一覧を読みながら、レモンや酢があるから「酸はそんなに怖くない」、石けんがあるから「アルカリは安全」と思ってしまう場面。直後の取り扱い注意の段落で混乱しがちです。
- 克服のコツ:因果関係で考えます。危険かどうかを決めるのは「酸かアルカリか」ではなく、強さ(電離度)と濃さ。強い酸・強いアルカリは、こい状態だと皮膚をいためやすいので、見た目や名前ではなく強さ・濃さで判断します。
- ミニ例:食酢(弱酸)はかけても平気でも、濃硫酸は皮膚を激しく腐食。一方、石けん水は弱アルカリで安全寄りでも、水酸化ナトリウム水溶液は強いアルカリ性で、皮膚や目を傷つける恐れがあると注意書きされます。
練習問題
次の物質は酸かアルカリか。電離の式で示せ。
- 塩酸 HCl
- 水酸化カリウム KOH
- 硫酸 H₂SO₄
- 水酸化カルシウム Ca(OH)₂
答えを見る
(1) HCl → H⁺ + Cl⁻ 酸
(2) KOH → K⁺ + OH⁻ アルカリ
(3) H₂SO₄ → 2H⁺ + SO₄²⁻ 酸
(4) Ca(OH)₂ → Ca²⁺ + 2OH⁻ アルカリ
BTB液を加えると次の色になった。それぞれ酸性・中性・アルカリ性のどれか。
- 黄
- 緑
- 青
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(1) 酸性 (2) 中性 (3) アルカリ性
pH = 4 の水溶液は、酸性・中性・アルカリ性のどれか。pH 12 は。
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pH 4:酸性(弱酸〜中酸) / pH 12:強アルカリ性
まとめ
- 酸 = 水に溶けて H⁺ を出す 物質。アルカリ = OH⁻ を出す。
- 酸性:青リトマス → 赤、BTB 黄/アルカリ性:赤リトマス → 青、BTB 青
- pH:0〜14。pH 7 が中性、それより小=酸性、大=アルカリ性。
- 強さは 電離度(水に溶けたとき何%がイオンになるか)で決まる。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
酸性雨は空気の汚れが酸に変わったもの実生活
工場や自動車から出る硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)が、空気中で硫酸や硝酸という強い酸に変わり、雨にとけ込んだものが酸性雨です。ふつうの雨も空気中の二酸化炭素がとけて少し酸性ですが、pH5.6より小さくなると酸性雨と呼ばれ、森林を枯らしたり川の生き物にえいきょうを与えたりします。
わたしたちの胃の中は強い酸性実生活
胃のかべからは塩酸(HCl)をふくむ胃液が出ていて、胃の中はpH1ほどの強い酸性になっています。この強い酸性が、食べたタンパク質を分解しやすくし、食べ物といっしょに入った細菌の増殖をおさえるはたらきをしています。
酸性になった畑の土を石灰で中和する実生活
雨が多い日本では、土の中のカルシウムなどが流されて土が酸性にかたよりやすく、作物が育ちにくくなります。そこで畑には消石灰(水酸化カルシウム)などのアルカリ性の資材をまいて、土の酸性をやわらげる(中和する)工夫が行われています。
アジサイの花の色とpH発展
アジサイの花の色は、土が酸性かアルカリ性かによって変わることが知られ、酸性の土では青っぽく、アルカリ性に近い土では赤っぽくなる傾向があります。これは花にふくまれるアントシアニンという色素が、酸性の土からとけ出したアルミニウムイオンと結びつくことで色が変わるためで、土のpHが身近な植物の見た目に関わっています。
強酸性の川を石灰石で中和する事業発展
草津温泉などを源とする群馬県の川は、pH2前後の強い酸性で、鉄やコンクリートをとかしてしまうため、魚もすめずダムも造れませんでした。そこでアルカリ性の石灰石(炭酸カルシウム)を川に加えて酸を打ち消す世界初の中和工場がつくられ、中和反応によって川を生き物がすめる水質にもどしています。
電離する割合が酸・アルカリの強さを決める発展
酸の「強い・弱い」は、こさではなく、水にとけたときどれくらいの割合がイオンに分かれるか(電離度)で決まります。塩酸や硫酸はほとんど全部が電離するので強酸、酢酸や炭酸は一部しか電離しないので弱酸で、同じ酸でも薄めるとpHは中性に近づきます。
