図でつかむ
酸とアルカリが打ち消し合う反応は、H+ と OH- が水になる図で見ると分かりやすくなります。
中和反応の本質
H⁺ + OH⁻ → H₂O
酸とアルカリを混ぜると、水素イオン H⁺ と 水酸化物イオン OH⁻ が結びついて水になる。これが中和の正体。
塩(えん)── 中和でできる物質
陽イオン(アルカリ由来)と陰イオン(酸由来)が結びついてできる。
HCl + NaOH → NaCl + H₂O
食塩(NaCl)と水ができる。
H₂SO₄ + 2NaOH → Na₂SO₄ + 2H₂O
硫酸ナトリウム(塩)と水。
2HCl + Ba(OH)₂ → BaCl₂ + 2H₂O
塩化バリウム(塩)と水。
「中和すれば中性」とは限らない
- 中和は 「H⁺ と OH⁻ が結びついて水になる反応」。塩酸と水酸化ナトリウム水溶液のような組み合わせでは、ちょうど反応し切るとほぼ中性になるが、どちらかが余ればその性質が残る。
- 例:塩酸 10mL と水酸化ナトリウム水溶液 5mL を混ぜる → まだ塩酸が余って酸性。
- 「中和」=「混ぜる反応」、「中性」=「結果の性質」、と区別する。
BTB液で中和の進行を見る
塩酸(黄、酸性)に水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ加える
→ 少しずつ 黄 → 緑(中性)→ 青(アルカリ性)
緑になった瞬間が「ちょうど中和した点」
量的関係:H⁺ と OH⁻ の数
中和に必要な量は「H⁺ の数 = OH⁻ の数」のときに完全中和。
H₂SO₄ は H⁺ を 2 個出す(H₂SO₄ → 2H⁺ + SO₄²⁻)
NaOH は OH⁻ を 1 個出す
→ H₂SO₄ 1 個に対して NaOH 2 個で完全中和
身近な中和の例
- 胃薬:胃酸(塩酸)が強すぎるとき、炭酸水素ナトリウム(重曹)で中和
- 虫刺され:毒の性質は種類で異なるため、家庭で酸・アルカリを使って中和しようとせず、水で洗い流して必要なら医療機関に相談する
- 農業:酸性化した土壌に消石灰(水酸化カルシウム)を加える
- 工場排水:酸性排水を中和してから放流
- 歯みがき:口の中の酸性を弱アルカリ性の歯磨き粉で中和
代表的な塩の組み合わせ
| 酸 | アルカリ | 塩 |
|---|---|---|
| HCl(塩酸) | NaOH | NaCl(食塩) |
| HCl | KOH | KCl(塩化カリウム) |
| H₂SO₄(硫酸) | NaOH | Na₂SO₄(硫酸ナトリウム) |
| H₂SO₄ | Ba(OH)₂ | BaSO₄(硫酸バリウム・白色沈殿) |
| HNO₃(硝酸) | NaOH | NaNO₃(硝酸ナトリウム) |
| HCl | Ca(OH)₂ | CaCl₂(塩化カルシウム) |
沈殿する塩・しない塩
塩は2種類:水に溶ける(白色沈殿しない) vs 水に溶けない(白色沈殿)
例:BaSO₄(硫酸バリウム)→ 水に溶けない、白い沈殿
例:NaCl(食塩)→ 水に溶ける、無色透明
硫酸バリウムは水に非常に溶けにくく、胃のレントゲン撮影の造影剤にも使われる
- 1価の酸(HCl)と1価のアルカリ(NaOH)は 1:1で中和
- 2価の酸(H₂SO₄)と1価のアルカリ(NaOH)は 1:2で中和
- 1価の酸(HCl)と2価のアルカリ(Ca(OH)₂)は 2:1で中和
- H⁺ の総数 = OH⁻ の総数 が完全中和の条件
- 「塩」は 食塩(NaCl)のことだけではない
- 中和で生じる「塩(えん)」は広い概念。NaCl, KCl, BaSO₄, CaCl₂ などすべて塩
- 陽イオン(金属由来)+ 陰イオン(非金属由来)の組み合わせ
練習問題
次の中和を化学式で表せ。
- 塩酸 + 水酸化ナトリウム
- 硫酸 + 水酸化カリウム
- 塩酸 + 水酸化カルシウム(係数も)
答えを見る
(1) HCl + NaOH → NaCl + H₂O
(2) H₂SO₄ + 2KOH → K₂SO₄ + 2H₂O
(3) 2HCl + Ca(OH)₂ → CaCl₂ + 2H₂O
塩酸 20mL(BTB黄)に水酸化ナトリウム水溶液を加えていく。緑(中性)になったところで止めたい。さらに加えたらどうなる。
答えを見る
水酸化ナトリウムが余って、青色(アルカリ性)になる。
H⁺ を 100 個出す塩酸を完全中和するには、NaOH からの OH⁻ が何個必要か。
答えを見る
同じ 100 個(H⁺ + OH⁻ → H₂O)
まとめ
- 中和反応:酸 + アルカリ → 塩 + 水。本質は H⁺ + OH⁻ → H₂O。
- 塩(えん):陽イオン(アルカリ由来)+ 陰イオン(酸由来)でできる物質。例:NaCl。
- 中和 ≠ 中性:H⁺ と OH⁻ が反応しても、酸やアルカリが余れば中性にはならない。
- BTB液で進行を見れる:黄 → 緑 → 青。
- 身近な応用:胃薬・農業の土壌改良・工場排水の処理など。虫刺されは種類で性質が違うため、家庭で酸・アルカリを使って中和しようとしない。