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中和 ── 酸+アルカリ→塩+水

酸とアルカリを混ぜると、お互いの性質を 打ち消し合う。これが 中和です。胃酸過多を抑える制酸剤、酸性土壌にまく消石灰、工場排水の処理など、身近な場面でも使われます。仕組みを H⁺ と OH⁻ の出会いで理解しましょう。

図でつかむ

中和では水と塩ができる 反応前 条件 粒子変化 反応後 酸とアルカリが打ち消し合う反応は、H+ と OH- が水 になる図で見ると分かりやすくなります。
中和では水と塩ができる

酸とアルカリが打ち消し合う反応は、H+ と OH- が水になる図で見ると分かりやすくなります。

中和反応の本質

公式
中和の化学式
酸 + アルカリ → 塩(えん)+ 水
H⁺ + OH⁻ → H₂O

酸とアルカリを混ぜると、水素イオン H⁺水酸化物イオン OH⁻ が結びついて水になる。これが中和の正体。

塩(えん)── 中和でできる物質

用語
塩(えん)
中和反応で 水以外にできる物質
陽イオン(アルカリ由来)と陰イオン(酸由来)が結びついてできる。
例1:塩酸 + 水酸化ナトリウム

HCl + NaOH → NaCl + H₂O

食塩(NaCl)と水ができる。

例2:硫酸 + 水酸化ナトリウム

H₂SO₄ + 2NaOH → Na₂SO₄ + 2H₂O

硫酸ナトリウム(塩)と水。

例3:塩酸 + 水酸化バリウム

2HCl + Ba(OH)₂ → BaCl₂ + 2H₂O

塩化バリウム(塩)と水。

「中和すれば中性」とは限らない

つまずきポイント①:中和 ≠ 中性
  • 中和は 「H⁺ と OH⁻ が結びついて水になる反応」。塩酸と水酸化ナトリウム水溶液のような組み合わせでは、ちょうど反応し切るとほぼ中性になるが、どちらかが余ればその性質が残る。
  • 例:塩酸 10mL と水酸化ナトリウム水溶液 5mL を混ぜる → まだ塩酸が余って酸性。
  • 「中和」=「混ぜる反応」、「中性」=「結果の性質」、と区別する。

BTB液で中和の進行を見る

実験:塩酸+水酸化ナトリウム

塩酸(黄、酸性)に水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ加える

→ 少しずつ 黄 → 緑(中性)→ 青(アルカリ性)

緑になった瞬間が「ちょうど中和した点」

量的関係:H⁺ と OH⁻ の数

中和に必要な量は「H⁺ の数 = OH⁻ の数」のときに完全中和。

例4:H₂SO₄ vs NaOH の比

H₂SO₄ は H⁺ を 2 個出す(H₂SO₄ → 2H⁺ + SO₄²⁻)

NaOH は OH⁻ を 1 個出す

→ H₂SO₄ 1 個に対して NaOH 2 個で完全中和

身近な中和の例

  • 胃薬:胃酸(塩酸)が強すぎるとき、炭酸水素ナトリウム(重曹)で中和
  • 虫刺され:毒の性質は種類で異なるため、家庭で酸・アルカリを使って中和しようとせず、水で洗い流して必要なら医療機関に相談する
  • 農業:酸性化した土壌に消石灰(水酸化カルシウム)を加える
  • 工場排水:酸性排水を中和してから放流
  • 歯みがき:口の中の酸性を弱アルカリ性の歯磨き粉で中和

代表的な塩の組み合わせ

アルカリ
HCl(塩酸)NaOHNaCl(食塩)
HClKOHKCl(塩化カリウム)
H₂SO₄(硫酸)NaOHNa₂SO₄(硫酸ナトリウム)
H₂SO₄Ba(OH)₂BaSO₄(硫酸バリウム・白色沈殿)
HNO₃(硝酸)NaOHNaNO₃(硝酸ナトリウム)
HClCa(OH)₂CaCl₂(塩化カルシウム)

沈殿する塩・しない塩

水に溶ける/溶けない

塩は2種類:水に溶ける(白色沈殿しない) vs 水に溶けない(白色沈殿)

例:BaSO₄(硫酸バリウム)→ 水に溶けない、白い沈殿

例:NaCl(食塩)→ 水に溶ける、無色透明

硫酸バリウムは水に非常に溶けにくく、胃のレントゲン撮影の造影剤にも使われる

つまずきポイント②:中和の量的関係
  • 1価の酸(HCl)と1価のアルカリ(NaOH)は 1:1で中和
  • 2価の酸(H₂SO₄)と1価のアルカリ(NaOH)は 1:2で中和
  • 1価の酸(HCl)と2価のアルカリ(Ca(OH)₂)は 2:1で中和
  • H⁺ の総数 = OH⁻ の総数 が完全中和の条件
つまずきポイント③:塩の名前と性質
  • 「塩」は 食塩(NaCl)のことだけではない
  • 中和で生じる「塩(えん)」は広い概念。NaCl, KCl, BaSO₄, CaCl₂ などすべて塩
  • 陽イオン(金属由来)+ 陰イオン(非金属由来)の組み合わせ

練習問題

問題1(中和の式)

次の中和を化学式で表せ。

  1. 塩酸 + 水酸化ナトリウム
  2. 硫酸 + 水酸化カリウム
  3. 塩酸 + 水酸化カルシウム(係数も)
答えを見る

(1) HCl + NaOH → NaCl + H₂O

(2) H₂SO₄ + 2KOH → K₂SO₄ + 2H₂O

(3) 2HCl + Ca(OH)₂ → CaCl₂ + 2H₂O

問題2(BTB液)

塩酸 20mL(BTB黄)に水酸化ナトリウム水溶液を加えていく。緑(中性)になったところで止めたい。さらに加えたらどうなる。

答えを見る

水酸化ナトリウムが余って、青色(アルカリ性)になる。

問題3(量的関係)

H⁺ を 100 個出す塩酸を完全中和するには、NaOH からの OH⁻ が何個必要か。

答えを見る

同じ 100 個(H⁺ + OH⁻ → H₂O)

まとめ

  • 中和反応:酸 + アルカリ → 塩 + 水。本質は H⁺ + OH⁻ → H₂O
  • 塩(えん):陽イオン(アルカリ由来)+ 陰イオン(酸由来)でできる物質。例:NaCl。
  • 中和 ≠ 中性:H⁺ と OH⁻ が反応しても、酸やアルカリが余れば中性にはならない。
  • BTB液で進行を見れる:黄 → 緑 → 青。
  • 身近な応用:胃薬・農業の土壌改良・工場排水の処理など。虫刺されは種類で性質が違うため、家庭で酸・アルカリを使って中和しようとしない。