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電池 ── 化学エネルギーから電気エネルギーへ

電池の中では、金属が電子を放出する反応イオンが電子を受け取る反応が同時に起こり、電子の流れを外部回路に取り出します。電流の向きは電子の流れと反対向きです。中3で 仕組みのコアを理解しましょう。

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電池は化学変化で電流を取り出す 反応前 条件 粒子変化 反応後 電池では物質の変化にともなって電子が動き、その流れを外部 回路で電流として利用します。
電池は化学変化で電流を取り出す

電池では物質の変化にともなって電子が動き、その流れを外部回路で電流として利用します。

電池の基本構造

用語
電池
化学反応で生じる 電子の流れを、外部の回路に取り出す装置。化学エネルギーを電気エネルギーに変換する。
  • 負極(−極):電子を放出する電極(イオン化しやすい金属)
  • 正極(+極):電子を受け取る電極
  • 電子は 負極 → 外部回路 → 正極へ流れる
  • 電流の向き:正極 → 負極(電子の逆向き)

ボルタ電池(最初の電池)

構造:希硫酸 + 銅板(+極)+ 亜鉛板(−極)

負極(亜鉛):Zn → Zn²⁺ + 2e⁻(亜鉛が溶け、電子が出る)

電子は導線を通って銅板へ

正極(銅):2H⁺ + 2e⁻ → H₂(水素ガスが発生)

ダニエル電池(実用的な電池)

構造:硫酸亜鉛水溶液 + 亜鉛板(−極)/硫酸銅水溶液 + 銅板(+極)

負極(亜鉛):Zn → Zn²⁺ + 2e⁻

正極(銅):Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu(銅イオンが銅に戻る、銅板が太る)

2つの水溶液は 素焼き板やセロハンで仕切る → 水溶液が直接混ざりにくく、イオンは移動できる

イオン化傾向(金属の元気度)

用語
イオン化傾向
金属が 陽イオンになりやすい順。イオン化傾向が大きい金属ほど、電子を出しやすい(負極になりやすい)。

イオン化列(中学範囲):Mg > Zn > Fe > Cu > Ag

  • Mg(マグネシウム):最もイオン化しやすい
  • Zn(亜鉛):ダニエル電池の負極
  • Cu(銅):ダニエル電池の正極
  • Ag(銀):イオン化しにくい

電池の種類

  • 一次電池:使い切り(マンガン乾電池、アルカリ乾電池)
  • 二次電池:充電して繰り返し使える(ニカド、リチウムイオン、鉛蓄電池)
  • 燃料電池:水素と酸素から水と電気を作る。次世代エネルギー(FCV、定置式)

燃料電池の仕組み

水素 + 酸素 → 水 + 電気

負極:H₂ → 2H⁺ + 2e⁻(水素が電子を出す)

正極:O₂ + 4H⁺ + 4e⁻ → 2H₂O(酸素と水素イオンと電子で水ができる)

全体:2H₂ + O₂ → 2H₂O

→ 発電時にできる主な物質は水。水素を使う段階では CO₂ を出さない

身近な電池の種類

電池種類用途
マンガン乾電池一次電池リモコン、時計(弱電流)
アルカリ乾電池一次電池強電流のおもちゃ・LEDライト
ボタン電池一次電池腕時計・電卓・補聴器
リチウムイオン二次電池スマホ・PC・電気自動車
ニッケル水素二次電池充電池・ハイブリッド車
鉛蓄電池二次電池自動車のバッテリー
燃料電池連続供給FCV(燃料電池車)

電池の歴史

電池の発明史

1800年:ボルタ電池(イタリア・ボルタ)── 世界初の化学電池

1836年:ダニエル電池(イギリス・ダニエル)── 実用的な電池

1859年:鉛蓄電池(フランス・プランテ)── 充電可能

1888年:マンガン乾電池(屋井先蔵、日本)

1991年:リチウムイオン電池(ソニー)── 商業化

2019年:吉野彰がリチウムイオン電池でノーベル賞

ダニエル電池の改善点

ボルタ電池の問題

ボルタ電池は 水素の泡が正極にたまる → 電気が流れにくくなる(分極)

→ すぐ電圧が下がる

ダニエル電池の解決策

2つの水溶液を 分けてセットする(素焼き板やセロハンで仕切る)

→ 銅イオンが銅板にくっつく → 水素が出ない

→ 安定して長く電気を供給できる

つまずきポイント①:電子の向きと電流の向き
  • 電子の流れ:負極 → 外部回路 → 正極
  • 電流の向き:正極 → 外部回路 → 負極(電子の逆)。
  • 「電子は − から + へ、電流は + から − へ」と覚える。
つまずきポイント②:イオン化傾向と電池
  • 2種類の金属で電池を作るとき、イオン化傾向が大きい方が負極
  • マグネシウム vs 銅 → マグネシウムが負極
  • 亜鉛 vs 銅 → 亜鉛が負極(ダニエル電池)
  • イオン化列:Mg > Zn > Fe > Cu > Ag を覚える
つまずきポイント③:一次電池と二次電池
  • 一次電池:使い切り(マンガン・アルカリ乾電池)
  • 二次電池:充電できる(リチウムイオン・鉛蓄電池)
  • 充電できる電池の仕組み:放電と逆の化学反応を起こす

練習問題

問題1(ボルタ電池)

希硫酸に亜鉛板と銅板を入れて電池を作った。どちらが正極で、どちらが負極か。理由も。

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負極:亜鉛板(イオン化しやすい、電子を出す)

正極:銅板(水素イオンが電子を受け取る)

問題2(ダニエル電池)

ダニエル電池で、亜鉛板はどう変化するか、銅板はどう変化するか。

答えを見る

亜鉛板:溶けて減る(Zn → Zn²⁺ + 2e⁻)

銅板:銅が析出して太る(Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu)

問題3(イオン化傾向)

マグネシウムと銅で電池を作るとどちらが負極か。

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マグネシウムが負極(イオン化傾向が大)。

問題4(燃料電池)

燃料電池の原料と排出物を答えよ。

答えを見る

原料:水素と酸素 / 排出物:水(だけ)

まとめ

  • 電池:化学エネルギー → 電気エネルギー。
  • 負極:イオン化しやすい金属が電子を出す。
  • 正極:イオンが電子を受け取る。
  • 電子の流れ:負極 → 外部 → 正極。電流は逆向き。
  • ダニエル電池:Zn(−)/Cu(+)、亜鉛が溶け銅が析出。
  • イオン化傾向:Mg > Zn > Fe > Cu > Ag
  • 燃料電池は 水だけ排出のクリーン電池。