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電源につないだ陰極(−)には陽イオンのCu²⁺が引かれ、電子を受け取って赤色の銅が付着します。陽極(+)には陰イオンのCl⁻が引かれ、黄緑色で刺激臭のある塩素が発生します。全体ではCuCl₂→Cu+Cl₂の分解です。
電気分解とは
水の電気分解
陰極(−):水素 H₂ が発生(2H⁺ + 2e⁻ → H₂)
陽極(+):酸素 O₂ が発生(4OH⁻ → O₂ + 2H₂O + 4e⁻)
全体:2H₂O → 2H₂ + O₂
水素と酸素の体積比は 2:1。
目的:水に電流を流すと、どのような物質に分かれるかを調べる。
観察事実:両方の電極から気体が出て、陰極側の気体は陽極側のおよそ2倍集まる。
確認:陰極側の気体は火を近づけると小さく音を立てて燃え、陽極側の気体は火のついた線香の燃え方を強める。
結論:水は電気分解によって水素と酸素に分かれ、体積比は水素:酸素 = 2:1 になる。
- 水酸化ナトリウム水溶液は皮膚や目を傷めるため、保護眼鏡を使い、直接触れない。
- 水素は燃えやすく、塩素は有毒なので、気体の確認は少量で、先生の指示のもとで行う。
- 電流を流している装置の電極や導線をぬれた手で触らない。
塩酸の電気分解
陰極:H⁺ + e⁻ → H(水素) → 水素 H₂ が発生
陽極:Cl⁻ → Cl + e⁻ → Cl₂(塩素)
全体:2HCl → H₂ + Cl₂
陽極からは 刺激臭のある黄緑色の塩素ガス。
塩化銅水溶液の電気分解
陰極:Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu → 銅が析出(赤色固体)
陽極:2Cl⁻ → Cl₂ + 2e⁻ → 塩素が発生
全体:CuCl₂ → Cu + Cl₂
陰極と陽極の決まり
- 陰極(−):陽イオンが集まり、電子を受け取る。金属イオン → 金属、または H⁺ → H₂。
- 陽極(+):陰イオンが集まり、電子を放出する。Cl⁻ → Cl₂、OH⁻ → O₂ など。
- 陽イオンは陰極へ、陰イオンは陽極へ(反対の電荷に引かれる)。
電気分解と電池の違い
| 電池 | 電気分解 | |
|---|---|---|
| 方向 | 化学 → 電気 | 電気 → 化学 |
| 自発性 | 勝手に進む | 外部の電源が必要 |
| 負極/陰極 | 負極(電子を出す金属) | 陰極(外部から電子が入る) |
| 正極/陽極 | 正極(電子を受ける) | 陽極(外部に電子を出す) |
身近な電気分解の利用
- アルミニウム精錬(融解した酸化アルミの電気分解)
- 銅の純度を上げる(電解精錬)
- めっき(金や銀のメッキ)
- 水素製造(再生可能エネルギーから)
気体の確認方法
水素 H₂:火を近づけると ポンと音を立てて燃える
酸素 O₂:火のついた線香を入れると 炎が大きくなる
塩素 Cl₂:黄緑色、刺激臭、湿った青色リトマス紙を赤くしたあと漂白
二酸化炭素 CO₂:石灰水を白く濁らせる
イオン化傾向と電気分解
複数のイオンが溶けている場合、反応しやすいイオンが先に電子をやり取り
陰極:イオン化傾向の小さい金属(Ag, Cu)が銀色や赤色で析出しやすい
陽極:Cl⁻ が OH⁻ より反応しやすい(電解の場合)
中3では水・塩酸・塩化銅水溶液など限定的に学ぶ
- 陽極(+)には 陰イオンが集まる(反対の電荷に引かれるから)
- 陰極(−)には 陽イオンが集まる
- 「同じ記号の極」と「集まるイオン」は 反対になることに注意
- 水素:酸素 = 2:1(化学反応式 2H₂O → 2H₂ + O₂ より)
- 陰極の水素のほうが多く出る
- 水素は燃料電池の原料になるため、注目されている
- 電池:化学変化 → 電気(自発的)
- 電気分解:電気 → 化学変化(強制的)
- 反対方向の現象
- 電気分解には 外部の電源が必要
この章でつまずきやすいところ
電気分解は、極の名前とイオンの種類、電池との向きの違いがからんで読み進めるうちに頭が混乱しやすい単元です。本文や問題を見ている途中で迷いがちな具体場面を取り上げ、何を手がかりに整理すればよいかをまとめます。
陽極には陽イオンが集まると思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「陽極(+)」「陰極(−)」が出てきた瞬間、名前が同じだから陽極に陽イオン、陰極に陰イオンが集まると読み流してしまい、塩化銅の図で銅が陽極側に出ると勘違いする場面です。
- 克服のコツ:反対の電荷に引かれるという位置関係で覚え直します。+の極には−のイオン(陰イオン)、−の極には+のイオン(陽イオン)が動くと整理すると、極の記号と集まるイオンの符号が逆になることをいつでも引き出せます。
- ミニ例:塩化銅水溶液では、陽イオンの Cu2+ は陰極(−)へ動いて銅として析出し、陰イオンの Cl− は陽極(+)へ動いて塩素になります。
水の電気分解で水素と酸素が同じ量出ると思い込んでしまう
- つまずく場面:水 H₂O は水素と酸素からできているのだから、電気分解すれば両極から同じ体積の気体が出るはず、と本文を読みながら思い込み、グラフや図で陰極側の気体が多いことに違和感を持つ場面です。
- 克服のコツ:化学反応式の係数という因果関係で整理します。2H₂O → 2H₂ + O₂ で、水素は2、酸素は1の比でできるため、陰極の水素:陽極の酸素=2:1になると順を追って確かめると迷いません。
- ミニ例:水酸化ナトリウムを少し加えた水を電気分解すると、陰極側に集まる水素の体積は、陽極側の酸素のおよそ2倍になります。
電池と電気分解を同じ向きの現象だと取り違えてしまう
- つまずく場面:前の章で「電池:化学変化→電気」を学んだあとに電気分解の本文を読み、どちらも金属と電極が出てくるため、電気分解にも外部電源が必要なことを忘れて「自然に電流が流れる」と読み違える場面です。
- 克服のコツ:エネルギーの向きという因果関係で整理します。電池は化学→電気で自発的に進み、電気分解は電気→化学で外部の電源がないと起きません。「向き」と「外部電源の有無」をセットで確認すると混同しません。
- ミニ例:電気分解の装置の図には必ず電源(電池や直流電源)がつながれており、これがないと水も塩化銅水溶液もただの溶液のままで反応しません。
発生した気体の確認方法を取り違えてしまう
- つまずく場面:問題文に「陰極から出た気体に火を近づけたら…」「陽極から出た気体に線香を入れたら…」と書かれているのに、水素と酸素のどちらがどちらの確かめ方だったか思い出せず、本文の確認実験のところで止まってしまう場面です。
- 克服のコツ:気体ごとの見分け方を、出る極の位置関係とセットで覚えます。陰極側の水素は火を近づけるとポンと音を立てて燃える、陽極側の酸素は火のついた線香の炎を大きくする、塩素は黄緑色で刺激臭があり、赤インクの色を消す(漂白作用)で確かめると、観察(色・臭い)と確認実験(試薬反応)を区別して「極→気体→確認法」の順でたどれます。
- ミニ例:塩酸の電気分解では、陰極からの水素は火を近づけるとポンと音を立てて燃え、陽極からは黄緑色で刺激臭のある塩素が出てきます。
練習問題
水の電気分解で、陰極から発生する気体と陽極から発生する気体、それらの体積比を答えよ。
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陰極:水素 / 陽極:酸素 / 体積比 水素:酸素 = 2:1
塩化銅水溶液の電気分解で、陰極と陽極で起こることをそれぞれ答えよ。
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陰極:銅が析出(赤色) / 陽極:塩素が発生
塩酸の電気分解で発生する気体は。
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陰極:水素 / 陽極:塩素(黄緑色、刺激臭)
ある水溶液を電気分解すると、陰極に赤色の固体がつき、陽極から刺激臭のある気体が出た。この水溶液と、陰極・陽極で起きた変化を答えよ。
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水溶液は塩化銅水溶液。陰極では銅イオン Cu²⁺ が電子を受け取って銅 Cu として析出し、陽極では塩化物イオン Cl⁻ が電子を失って塩素 Cl₂ が発生した。
電気分解の工業利用
- アルミニウム精錬:ボーキサイト → 酸化アルミニウム → 電気分解でアルミニウム
- 銅の電解精錬:粗銅から純度99.99%の銅を作る
- めっき:金属の表面に薄く別の金属を析出(電気めっき)
- 食塩水の電気分解:水酸化ナトリウム・塩素・水素を製造
- 水素製造:燃料電池の燃料として注目
まとめ
- 電気分解:電気エネルギーで 化学反応を強制的に起こす。
- 陰極(−)に陽イオンが集まり、電子を受け取って金属・水素に。
- 陽極(+)に陰イオンが集まり、電子を放出してハロゲン・酸素に。
- 水の電気分解:水素と酸素が 2:1 の体積比で発生。
- 塩化銅水溶液:陰極に銅、陽極に塩素。
- 応用:アルミ精錬、銅の電解精錬、めっき、水素製造。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
アルミは「電気の缶詰」── リサイクルなら電気は約3%実生活
ボーキサイトから新しいアルミニウムを取り出すには、酸化アルミニウムを高温でとかして電気分解するため、ばく大な電気が必要です。一度作ったアルミ缶をとかして再利用すると、原料から作るのに比べてエネルギーをおよそ3%しか使わず、約97%を節約できます。だからアルミ缶のリサイクルはとても効率がよいといわれます。
銅の電解精錬では金や銀も回収できる発展
純度の低い粗銅を陽極、純銅を陰極にして硫酸銅水溶液を電気分解すると、純度99.99%以上の銅が陰極に得られます。このとき、銅よりもイオンになりにくい金や銀はとけ出さず、陽極の下に「陽極泥」としてたまります。銅をきれいにする工程で、貴重な金属も同時に回収できるのです。
再生可能エネルギーで水を分けて作る「グリーン水素」実生活
太陽光や風力でつくった電気で水を電気分解すれば、二酸化炭素を出さずに水素を取り出せます。これは「グリーン水素」と呼ばれ、日本でも山梨県に国内最大級の水電解による水素製造の拠点がつくられています。教科書で学ぶ水の電気分解が、未来のエネルギーづくりにそのまま生かされています。
燃料電池自動車は「水の電気分解の逆」で走る実生活
水の電気分解では電気を流して水素と酸素に分けますが、燃料電池はその逆で、水素と酸素を反応させて電気を取り出します。トヨタMIRAIのような燃料電池自動車はこの仕組みで走り、走るときに出るのは水だけです。電気分解と逆向きの反応が、環境にやさしい車を支えています。
食塩水の電気分解で水酸化ナトリウムと塩素を作る発展
塩化ナトリウム水溶液(食塩水)を電気分解すると、陽極から塩素、陰極から水素が発生し、あとに水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)が残ります。これは「電解ソーダ法」と呼ばれ、紙・せっけん・水道の消毒など、生活を支える材料を作る基本の工業です。教科書で学ぶ塩化銅や塩酸の電気分解と同じ考え方が産業でも使われています。
