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速さと運動 ── 距離・時間・速さの関係

「速さ」は、物体がどれくらい速く動いているかを表す数値。距離 ÷ 時間で求まる、シンプルな関係です。中3では 記録タイマーを使って運動を分析し、等速直線運動や 速さの変化を読み取れるようになります。

図でつかむ

記録テープで運動を見分ける(50Hz・5打点=0.1秒で1区間) ●は5打点ごとの区切り。区切りの間隔=0.1秒間に進んだ距離 等速直線運動 ── 間隔がすべて同じ 3cm 3cm 3cm 3cm 0.1秒ごとに3cmずつ 0.03m÷0.1s =0.3m/s で一定 加速運動 ── 間隔がだんだん広がる 1cm 2cm 3cm 4cm 同じ0.1秒で進む距離が 1cm→2→3→4cmと増える =加速している 速さ[m/s]=区間の長さ[m]÷0.1[s] 例:3cm=0.03m → 0.03÷0.1=0.3m/s
記録テープの読み方 ── 間隔がすべて3cmなら等速直線運動(0.3m/s)、1cm→4cmと広がれば加速運動

50Hzの記録タイマーでは5打点ごとに切った1区間が0.1秒にあたります。間隔がすべて3cmなら速さは0.03m÷0.1s=0.3m/sで一定の等速直線運動、1cm→2cm→3cm→4cmと広がっていれば加速運動と読み取れます。

速さ ── 単位時間あたりの距離

公式
速さ
速さ = 移動距離 ÷ 時間
単位:m/s(メートル毎秒)または km/h(キロメートル毎時)
例1

10秒で 80m 走った人の速さ:

速さ = 80 ÷ 10 = 8 m/s

例2:単位の変換

36 km/h を m/s に:

36 km = 36000 m、1時間 = 3600 秒

→ 36000 / 3600 = 10 m/s

公式:m/s = (km/h) × 1000/3600 = (km/h) ÷ 3.6

平均の速さと瞬間の速さ

  • 平均の速さ:全行程の 距離 ÷ 時間。途中で加減速していても、全体としての速さ。
  • 瞬間の速さ:ある瞬間の速さ。スピードメーターが示す値。
例3:100m を 12秒、200m を 28秒

前半 100m の速さ = 100/12 ≒ 8.3 m/s

後半 100m の速さ = 100/16 = 6.25 m/s

全体(200m, 28秒):200/28 ≒ 7.1 m/s(平均の速さ)

記録タイマーの使い方

記録タイマー(東日本 50Hz、西日本 60Hz)

50Hz:1秒間に 50回点を打つ → 1点間隔 = 0.02秒

60Hz:1秒間に 60回点を打つ → 1点間隔 = 1/60 秒

5点間隔(0.1秒)でテープを切って、長さ=速さの目安として並べる

等速直線運動 ── 速さが一定の運動

用語
等速直線運動
速さが 変わらず、直線方向に進む運動。物体にはたらく力がない、または力がつり合っているときに続く。
  • 記録テープの間隔が すべて同じ長さ
  • 時間と距離のグラフは 原点を通る直線(比例)
  • 時間と速さのグラフは 水平な直線(一定値)

運動の3パターン

  • 等速:速さが一定。力がつり合っている、または運動方向の合力がない運動。
  • 加速:速さが増す。重力下の落下、坂を下る台車。
  • 減速:速さが減る。摩擦やブレーキ。

速さ・距離・時間の関係(公式)

3つの公式

速さ = 距離 ÷ 時間(v = d/t)

距離 = 速さ × 時間(d = vt)

時間 = 距離 ÷ 速さ(t = d/v)

覚え方:「は・じ・き」の図(速さ・時間・距離)

記録タイマーで分かること

  • テープの点の間隔が一定 → 等速直線運動
  • 間隔がだんだん 長くなる → 加速運動
  • 間隔がだんだん 短くなる → 減速運動
  • 5点ごとに切って棒グラフにすると、各 0.1秒間の進む距離 = 速さの目安
記録テープの考察手順

目的:一定時間ごとの移動距離から、物体の速さが変化したかを判断する。

手順:50Hzなら5打点ごとに切る。各区間は0.1秒なので、長さがそのまま速さの変化を表す。

観察事実:切ったテープの長さが 2cm、4cm、6cm と増えるなら、同じ0.1秒で進む距離が増えている。

結論:同じ時間で進む距離が増えるので加速している。長さが一定なら等速直線運動である。

速さの単位換算

換算の練習

36 km/h = 36 ÷ 3.6 = 10 m/s

72 km/h = 72 ÷ 3.6 = 20 m/s

5 m/s = 5 × 3.6 = 18 km/h

10 m/s = 10 × 3.6 = 36 km/h

→ ÷3.6 と ×3.6 をセットで覚える

つまずきポイント①:単位を統一
  • 計算では 単位をそろえるのが鉄則。距離 m、時間 s なら速さ m/s。
  • km/h と m/s の換算:÷3.6 で km/h → m/s、×3.6 で m/s → km/h。
  • 記録タイマー:50Hz は 0.02秒間隔、5点で 0.1秒。
つまずきポイント②:平均の速さの計算
  • 平均の速さ ≠ (前半の速さ + 後半の速さ) / 2(これは間違い)
  • 正しくは 全距離 ÷ 全時間
  • 速さは時間で重みづけされた平均
つまずきポイント③:50Hzと60Hz
  • 東日本(東京・札幌など)は 50Hz、1秒に50回打点
  • 西日本(大阪・福岡など)は 60Hz、1秒に60回打点
  • 1点間隔は 50Hz で 0.02秒、60Hz で 約0.017秒
  • 問題文で周波数の指定があるので確認する

この章でつまずきやすいところ

速さの単元は公式が一つに見えて、本文を読み進めるうちに「単位」「平均」「グラフの見方」で手が止まりやすい場所です。問題を解く途中で迷いやすい4つの場面を取り上げ、見分け方と短い具体例で整理します。

km/h と m/s を混ぜたまま式に入れてしまう

  • つまずく場面:本文で「速さ = 距離 ÷ 時間」を読んだ直後、問題に「36km/h の車が10秒で進む距離は?」とあると、頭に「速さ × 時間 = 距離」のかけ算の形が残ったまま、つい 36 × 10 = 360 と置いてしまう。ところが答えが 360m なのか 360km なのか自分でも分からなくなって、ペンが止まる。
  • 克服のコツ:見分け方は「距離 m・時間 s なら速さ m/s」「距離 km・時間 h なら速さ km/h」と単位の組をそろえること。式に入れる前に数字の横に単位を書き出してから式を立てるとズレに気づきやすく、km/h → m/s は ÷3.6、m/s → km/h は ×3.6 をセットで使う。
  • ミニ例:36km/h を m/s に直すと 36 ÷ 3.6 = 10m/s。これで「10秒で進む距離 = 10m/s × 10s = 100m」と単位がそろい、教科書の換算とも合う。

平均の速さを「前半と後半の速さの平均」で出してしまう

  • つまずく場面:本文に「前半 100m を 12秒、後半 100m を 16秒で進んだ」と出てくると、つい前半の速さ 8.3m/s と後半の速さ 6.25m/s を出してから (8.3 + 6.25) ÷ 2 ≒ 7.3m/s と計算し、教科書の答え 7.1m/s と合わずに止まってしまう。
  • 克服のコツ:因果関係で整理すると、速さは「進んだ距離」÷「かかった時間」。区間ごとに時間が違えば、長くかかった区間の速さが全体に強く効くため、単純平均では合わない。全距離 ÷ 全時間 が唯一の手順。
  • ミニ例:前半 100m を 12秒、後半 100m を 16秒なら、全体は 200 ÷ 28 ≒ 7.1m/s。前半 8.3m/s と後半 6.25m/s の単純平均 7.3m/s とはずれる。

距離-時間グラフを「高さ」で速さと判断してしまう

  • つまずく場面:距離-時間グラフの問題で、原点から右上に伸びる2本の直線を見て、一瞬どちらが速いか迷ってしまう。本文の「傾きが大きいほど速い」を読み流したため、グラフの「高さ」と「傾き」のどちらを見ればよいか手が止まる。
  • 克服のコツ:位置関係で整理すると、グラフの縦軸は距離・横軸は時間。原点から出発する2本の直線なら、同じ時間で見て傾きが急な線ほど短時間で大きく進む=速い。高さは「これまでに進んだ距離の合計」を表すだけで、速さそのものではない。
  • ミニ例:原点から (10秒, 80m) に伸びる直線は傾き 8m/s、(10秒, 50m) に伸びる直線は傾き 5m/s。両方とも原点から右上に伸びるが、同じ時間で見ると傾きが急な前者の方が常に上にあり、こちらが速い。

記録タイマーの「点の数」と「区間の数」を取り違える

  • つまずく場面:本文で「50Hz は1秒に50回打点、5点ごとに切る」と読んだあと、問題のテープを見て点を5つ数え、その間を「0.02秒 × 5 = 0.1秒」と出すか、「点と点の間(間隔)は4つだから 0.02秒 × 4 = 0.08秒」と出すかで迷い、計算が進まなくなる。教科書の「5点ごとに切る」は「5打点(=5間隔)ごと」の意味で、最初の点を 0 として5つ目の点までを5間隔と数えるので、対応するのは 0.1秒 の方。
  • 克服のコツ:時系列で整理すると、50Hz は「点と点の間隔が 0.02秒」。教科書の「5点ごとに切る」は、ある点から数えて5つ先の点までを1区間(=5間隔)とする切り方なので、その1区間は 0.02秒 × 5 = 0.1秒 に対応する。
  • ミニ例:50Hz の記録タイマーで5点ごとに切ったテープの長さが 3cm なら、0.1秒で 0.03m 進んだと読み、速さは 0.03 ÷ 0.1 = 0.3m/s となる。

練習問題

問題1(速さの計算)
  1. 15秒で 90m 走った人の速さ(m/s)
  2. 72 km/h を m/s に変換
  3. 2時間で 100km 走った車の速さ(km/h)
答えを見る

(1) 6 m/s (2) 20 m/s (3) 50 km/h

問題2(平均の速さ)

前半 100m を 13秒、続く 200m を 24秒で走った。全体の平均の速さ(m/s)。

答えを見る

300/37 ≒ 8.1 m/s

問題3(記録タイマー)

50Hz の記録タイマーで、5点間隔の長さが 3cm だった。この運動の速さ(m/s)。

答えを見る

5点間隔 = 0.1秒。3cm = 0.03m。速さ = 0.03/0.1 = 0.3 m/s

問題4(記録テープの考察)

50Hz の記録タイマーで5点ごとに切ったテープの長さが、順に 1.0cm、2.0cm、3.0cm、4.0cm だった。速さはどう変化しているか。

答えを見る

各区間は0.1秒で同じ時間なのに、進む距離がだんだん長くなっている。したがって速さは増加しており、加速運動である。

まとめ

  • 速さ = 距離 ÷ 時間。単位は m/s や km/h。
  • 平均の速さ:全体の距離 ÷ 全体の時間。
  • 瞬間の速さ:その瞬間の速さ。
  • 等速直線運動:速さ一定。時間-距離は比例(原点を通る直線)。
  • 記録タイマー:50Hz は 1/50 秒間隔、5点で 0.1秒。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

雷までの距離を「速さ=距離÷時間」で計算できる実生活

雷では光と音がほぼ同時に発生しますが、音の速さは空気中で1秒あたり約340mと光よりずっと遅いため、音は遅れて聞こえます。ピカッと光ってからゴロゴロ鳴るまでの秒数を数え、その秒数に340mをかければ、距離=速さ×時間の式で雷までのおよその距離が求められます。たとえば3秒遅れたなら約1km先で雷が鳴ったと分かります。

出典:気象庁 はれるん(気象庁こどものページ)

車の制動距離は速さが2倍になると約4倍になる実生活

車が止まるまでの停止距離は、危険に気づいてブレーキが効き始めるまでに進む空走距離と、ブレーキが効いてから止まるまでの制動距離の合計です。空走距離は速さに比例し、制動距離は速さの2乗に比例するため、速さが2倍になると制動距離は約4倍にもなります。停止距離はこの2つの合計なので、速さが2倍になると約2〜4倍の間まで大きくのびます。だから少し速度を上げただけでも、止まるのに必要な距離は大きくのびて危険が増します。

出典:JAF(日本自動車連盟)クルマ何でも質問箱「走行中の適切な車間距離は?」

100m走の世界記録から平均の速さを計算してみよう実生活

100mを9.58秒で走ったウサイン・ボルト選手の世界記録で平均の速さを計算すると、100÷9.58≒10.4m/sとなり、これは約37km/hにあたります。ただしこれは全体の平均の速さで、レース中盤の最高速度(瞬間の速さ)はさらに大きく、桐生祥秀選手の例でも最高速度は時速42kmほどに達したと報告されています。スタート直後はおそく、途中で最も速くなるため、平均の速さと瞬間の速さは一致しません。

出典:日本陸上競技連盟(JAAF 記録と数字からみたお話)

新幹線の最高速度をm/sに直すと?実生活

東北新幹線の「はやぶさ」は営業運転で最高320km/hを出しており、これをm/sに換算すると320÷3.6≒88.9m/sになります。これは1秒間に約89m、つまり学校のプール(25m)3つ分以上を進む速さです。身近な速さの単位km/hも、理科で使うm/sに÷3.6でそろえれば比べられます。

出典:東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本 プレスリリース)

もっとも速いのは光で、秒速約30万km発展

自然界でもっとも速いのは真空中を進む光で、その速さは秒速約30万km(30万km/s)にもなります。これは1秒間に地球を約7周半できる速さで、新幹線や音とは比べものになりません。だから雷でも、遠くで発生した光はほぼ一瞬で目に届き、音だけが遅れて聞こえるのです。

出典:国立天文台(NAOJ よくある質問)

気象庁も使う速さの単位換算表発展

気象庁は風速などをm/s、km/h、ノットなど複数の単位で表すため、単位どうしを正確に換算する表を公開しています。理科で習う「m/s=km/h÷3.6」「km/h=m/s×3.6」と同じ考え方が、実際の気象や交通の現場でも使われています。単位をそろえてから計算するという理科の鉄則は、社会の中でも欠かせない約束ごとです。

出典:気象庁(速度、風速、距離の換算表)