図でつかむ
分裂前に染色体が複製されるため、分かれた細胞にも同じ情報が受け継がれます。
生物の成長 ── 細胞分裂と細胞の成長
- 細胞が 分裂して数を増やす
- 分裂直後の細胞が 大きく成長する
- この2段階で生物全体が大きくなる
体細胞分裂とは
用語
体細胞分裂
体を作る細胞が分裂すること。1つの細胞から 同じ遺伝情報を持つ2つの細胞ができる。
染色体 ── 細胞分裂中だけ見える糸状のもの
用語
染色体
細胞の核の中に普段は 糸状にほどけているが、分裂中だけ 太く短く凝集して見える。遺伝情報(DNA)を含む。
- ヒトの体細胞:染色体は 46本(22対の常染色体 + 1対の性染色体)
- 分裂前に 各染色体が複製され、X字型になる
- 分裂で2つに分かれて、それぞれの娘細胞へ
体細胞分裂の過程
5段階(教科書順)
① 間期:染色体は糸状、複製される
② 前期:染色体が太く短く凝集
③ 中期:染色体が中央(赤道面)に並ぶ
④ 後期:染色体が両端に引き離される
⑤ 終期:細胞質が分かれ、2つの細胞に
細胞分裂の観察 ── タマネギの根
標準的な観察手順
① タマネギの根の 先端(成長点)を切り取る
② うすい塩酸に浸す(細胞をばらけさせる)
③ プレパラートに乗せ、酢酸オルセインまたは カルミンで染色
④ カバーガラスをかけ、上から ろ紙で押しつぶす
⑤ 顕微鏡で観察
→ 染色体が 赤紫に染まって見える
植物と動物の細胞分裂の違い
- 植物細胞:終期に細胞板ができて2つに分かれる
- 動物細胞:終期に細胞質がくびれて2つに分かれる
細胞分裂が活発な場所
- 植物:成長点(根の先端、茎の先端、葉の付け根)
- 動物:骨髄(血液細胞)、皮膚(表皮)、消化管(粘膜)
- 成長期の動物は全身で活発
- 大人になると、組織の修復や交換のために続く
- がん細胞は 無制限に分裂する異常細胞
細胞周期
細胞周期の概念
細胞は 分裂と分裂の間に長い期間がある
分裂期(M期):細胞分裂をしている期間(短い)
間期:分裂していない期間(長い、染色体は糸状)
→ 顕微鏡で見ると、大部分は間期の細胞
分裂中の細胞は数が少ないが、染色体がはっきり見える
つまずきポイント①:体細胞分裂と減数分裂
- 体細胞分裂:体を作る細胞が増える → 同じ染色体数の細胞2つ
- 減数分裂(次回):生殖細胞を作るときに起こる → 染色体数が半分
- 今は体細胞分裂、次回は減数分裂、と区別する
つまずきポイント②:分裂前の染色体複製
- 分裂前に染色体の中の DNA が 複製され、同じ情報を2組用意する
- 分裂後に2つの細胞へ同じ情報が分配され、染色体数は親細胞と同じになる
- だから親細胞と子細胞は 同じ染色体数
つまずきポイント③:観察の手順
- 塩酸で細胞をばらけさせる(解離)
- 染色液(酢酸オルセイン)で染色体を染める
- カバーガラスを乗せて押しつぶす(押しつぶし)
- 顕微鏡で観察
練習問題
問題1(細胞分裂の順序)
次を分裂の順に並べよ。
(ア) 染色体が中央に並ぶ (イ) 染色体が両端に引き離される (ウ) 染色体が太く短くなる (エ) 細胞が2つに分かれる
答えを見る
(ウ) 前期 → (ア) 中期 → (イ) 後期 → (エ) 終期
問題2(染色体)
染色体は何を含んでいるか。また、ヒトの体細胞の染色体数。
答えを見る
遺伝情報(DNA)。ヒトの体細胞:46本。
問題3(観察)
タマネギの根の細胞分裂を観察するときの染色液は。
答えを見る
酢酸オルセインまたは酢酸カルミン
動物と植物の細胞分裂の違い
| 動物細胞 | 植物細胞 | |
|---|---|---|
| 細胞質分裂 | くびれて2つに | 細胞板ができて2つに |
| 細胞壁 | なし | あり(あとから作られる) |
| 分裂の場所 | 体のあらゆる場所 | 成長点に集中 |
ヒトの細胞の特徴
体細胞のしくみ
ヒトの体細胞 = 46本の染色体(23対)
うち22対が 常染色体、1対が 性染色体(XX または XY)
体内には約 37兆個の細胞
1日に 数百億個の細胞が分裂・新生
受精卵1個から細胞分裂を繰り返して個体が完成
まとめ
- 生物の成長 = 細胞分裂で 数を増やす + 細胞が 大きくなる。
- 体細胞分裂:同じ染色体を持つ 2つの娘細胞を作る。
- 染色体:分裂中だけ見える 太く短い形。遺伝情報を含む。
- 過程:間期 → 前期 → 中期 → 後期 → 終期。
- 観察:タマネギの根 + 塩酸処理 + 酢酸オルセイン染色。
- 動物:くびれ/植物:細胞板。