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古墳時代と大和政権 ── 巨大古墳が語るもの

大阪府堺市の 大仙古墳(仁徳天皇陵)は、底面積で クフ王のピラミッドより大きい世界最大級の墓。なぜ4〜6世紀の日本に、これほどの墓が作られたのか? 答えは 大和政権の権力。今回は古墳時代の社会と、日本を統一していった大和政権の歩みを、一段くわしく整理します。

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古墳時代と大和政権 ── 巨大古墳が語るものの流れ 背景 できごと 変化 影響 歴史は、背景、できごと、社会の変化、後の時代への影響を順 に並べると因果関係が見えます。
古墳時代と大和政権 ── 巨大古墳が語るものの流れ

歴史は、背景、できごと、社会の変化、後の時代への影響を順に並べると因果関係が見えます。

古墳時代の年代と特徴

  • 3世紀末〜6世紀末(約300年間)
  • 古墳権力者の大きな墓が日本各地に作られた時代。
  • 大和(やまと)地方(奈良盆地)を中心に、政治勢力が広がる。

古墳とは ── 権力の象徴

用語
古墳(こふん)
3世紀末〜7世紀初めに作られた、土を盛って作った大きな 。豪族や王の権力を示すモニュメント。さまざまな形がある。

古墳の形 ── 前方後円墳が主流

  • 前方後円墳:方形(四角)と円形を組み合わせた、独特の鍵穴のような形。日本特有の形で、大和政権の影響範囲を示す。
  • 円墳:丸い形。地方の小規模な古墳に多い。
  • 方墳:四角い形。
  • 八角墳:八角形。7世紀末以降の天皇陵に見られる。

大仙古墳(仁徳天皇陵) ── 世界最大級

大仙古墳の規模

場所大阪府堺市

全長約 486m(前方後円墳)

面積底面積でみると、エジプトのクフ王のピラミッドや秦の始皇帝陵を上回る

時期5世紀中ごろ

登録2019年に 百舌鳥・古市古墳群として世界遺産に登録

大仙古墳は 仁徳天皇(にんとくてんのう)の墓と伝えられていますが、内部の発掘調査はされていないため確定はしていません。

古墳に何が埋められていたか

  • 埴輪(はにわ):古墳の周りに並べた素焼きの像。人物・動物・家・武具など。
  • 副葬品:石室の中に納められた、銅鏡・刀剣・玉・装飾品など。
  • 勾玉(まがたま):曲がった形の玉。神聖な装身具とされる。

大和政権 ── 日本を統一する勢力

用語
大和政権(ヤマト王権)
4世紀ごろから 奈良盆地を中心に勢力を広げた政治勢力。リーダーを 大王(おおきみ)と呼ぶ(後に「天皇」へ)。5〜6世紀には九州〜関東を支配下に置く。
  • 4世紀:奈良盆地を中心に統一が進む。
  • 5世紀:「倭の五王」が中国(宋)に使者を送る。
  • 6世紀:朝鮮半島の百済(くだら)と関係を深め、文化を取り入れる。

稲荷山古墳と江田船山古墳 ── 鉄剣に刻まれた「ワカタケル」

大和政権の支配範囲を示す証拠

稲荷山古墳(埼玉県)の鉄剣と、江田船山古墳(熊本県)の鉄剣 ── ともに 「ワカタケル大王」の名が刻まれている。

ワカタケル=雄略天皇(ゆうりゃくてんのう)と推定される。

これにより、5世紀後半には 関東から九州まで大和政権の影響が及んでいたことが分かる。

渡来人(とらいじん) ── 文化の輸入者

用語
渡来人
朝鮮半島・中国から日本に移り住んだ人々。進んだ技術と文化を伝えた。

渡来人が伝えたもの

  • 漢字:日本に文字をもたらす。
  • 儒教:中国の思想・道徳。
  • 仏教:6世紀中ごろ、百済の聖明王から伝来(538年または552年)。
  • 須恵器(すえき):高温で焼いた硬い土器。
  • 機織り・養蚕:絹織物の技術。
  • 鉄器の製造技術:刀剣・農具の発展。

朝鮮半島との関係

  • 高句麗(こうくり):朝鮮半島北部の強国。
  • 百済(くだら):朝鮮半島南西部。日本と友好関係。仏教・儒教を伝えた。
  • 新羅(しらぎ):朝鮮半島南東部。日本としばしば対立。
  • 伽耶(かや):朝鮮半島南端。日本が影響力を持っていたとされる地域。

古墳が作られなくなった理由

6世紀末〜7世紀になると、巨大古墳は作られなくなります。理由は次の通り。

  • 仏教の普及で、巨大な墓よりも 寺院を建てるようになった。
  • 大化の改新(645年)後、権力者の墓を大きく作るのを禁じる政策が出された(薄葬令)。
  • 権力構造が「個人の力」から「律令国家」の制度へ移っていった。

練習問題

問題1(古墳)
日本特有の古墳の形を答えなさい。また、世界最大級の古墳の名前と所在地を。
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形:前方後円墳

古墳:大仙古墳(仁徳天皇陵) 所在地:大阪府堺市

問題2(埴輪)
古墳の周りに並べられた素焼きの像を何というか。
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埴輪(はにわ)。人物・動物・家など、さまざまな形があった。

問題3(ワカタケル)
埼玉と熊本の古墳から「ワカタケル大王」の名が刻まれた鉄剣が見つかった。これは何を意味するか。
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5世紀後半には、大和政権の影響が関東から九州まで及んでいたことを示す。ワカタケルは雄略天皇に当たると推定される。

問題4(渡来人)
渡来人が日本に伝えたものを4つ挙げなさい。
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漢字/儒教/仏教/須恵器/機織り・養蚕/鉄器の製造技術 など。

まとめ

  • 古墳時代は 3世紀末〜6世紀末。各地に大きな墓(古墳)が作られた。
  • 日本特有の形 前方後円墳。最大は 大仙古墳(仁徳天皇陵・大阪府堺市)、全長486m。
  • 古墳の周りには 埴輪、内部には銅鏡・玉・刀剣などの副葬品。
  • 大和政権が奈良盆地を中心に成立。大王を頂点とする。
  • 「ワカタケル」鉄剣により、5世紀後半には 関東〜九州を支配していたことが確認できる。
  • 渡来人が漢字・儒教・仏教・須恵器などをもたらした。