名詞 ── 主語になれる自立語
「学校 が 始まる」「私 は 学生だ」── 名詞は 主語になれるのが最大の特徴。動詞・形容詞などの用言と決定的に違うところです。
名詞の4種類
- 普通名詞 ── 一般的な事物の名前。「本・犬・学校」
- 固有名詞 ── 個別のもの/1つしかないものの名前。「東京・富士山・夏目漱石」
- 代名詞 ── 人や物を指し示す名詞。「私・あなた・これ・そこ」
- 数詞 ── 数や順序を表す名詞。「1つ・3年・第2位」
普通名詞 ── 種類の名前
世の中にたくさんあるものを 種類としてまとめた名前。教科書のテストでは「ふつうの名詞」と表現することもあります。
本/犬/学校/川/空/時間/音楽/勉強/自由
抽象的な概念(自由・愛・正義)も普通名詞に含まれます。
固有名詞 ── 1つしかない名前
地名・人名・国名・作品名など、世界に1つしかないものを指す名前。最初の文字を大きく書く(英語の大文字)ような扱いをします。
東京/富士山/日本/太平洋/夏目漱石/『枕草子』/東京駅
- 「川」は普通名詞、「多摩川」は固有名詞。
- 「町」は普通名詞、「大田区」は固有名詞。
- 判定:その名前で世界に1つだけと決まれば固有名詞。
代名詞 ── 指し示す言葉
「私」「あなた」「これ」── 名前を直接言わずに 指し示す ためのことば。会話で繰り返しを避けるのに使います。
| 分類 | 指す対象 | 例 |
|---|---|---|
| 人称代名詞 | 話し手(1人称) | 私・僕・わたくし・俺 |
| 聞き手(2人称) | あなた・きみ・お前 | |
| 第三者(3人称) | 彼・彼女・あの人 | |
| 不定(だれか) | だれ・どなた | |
| 指示代名詞 | 物 | これ・それ・あれ・どれ |
| 場所 | ここ・そこ・あそこ・どこ | |
| 方向 | こちら・そちら・あちら・どちら | |
| 事柄 | これ・そういうこと |
「こそあど言葉」と連体詞の見分け
指示代名詞は「こ/そ/あ/ど」で始まる仲間が多いので 「こそあど言葉」と呼ばれます。ただし「こそあど」の中には連体詞や副詞も混ざるので注意。
指示代名詞これ・それ・あれ・どれ/ここ・そこ・あそこ・どこ
連体詞この・その・あの・どの/こんな・そんな・あんな・どんな
副詞こう・そう・ああ・どう
- 「これはペンだ。」── 「これ」は主語になれる → 代名詞(名詞)
- 「このペンは赤い。」── 「この」だけでは主語にならず、名詞「ペン」を修飾するだけ → 連体詞
数詞 ── 数や順序を表す名詞
数や順序を表すのも名詞の仲間です。
1つ/3個/5年生/百円/第2位/1番目
用言からできた名詞(参考)
動詞や形容詞の 連用形 がそのまま名詞になることがあります。
- 動詞「動く」の連用形「動き」 → 名詞「動き」(「動きが速い」)
- 動詞「読む」の連用形「読み」 → 名詞「読み」(「漢字の読み」)
- 形容詞「高い」の語幹+「さ」 → 名詞「高さ」
これらは元は動詞・形容詞でも、文中で 主語になれば名詞として扱います。
形式名詞(参考)
「こと」「もの」「とき」などは、本来「事柄」「物体」「時刻」を表す名詞ですが、動詞や修飾語のあとについて 本来の意味が薄れ、形式的に使われることがあります。これを 形式名詞といいます。「食べることが好きだ。」「行くところがない。」のように、多くはひらがなで書きます。
教科書で確認した名詞の働き
- 名詞は体言で、助詞「が」「は」などを付けて主語になれる。
- 普通名詞・固有名詞・代名詞・数詞は、文の中で同じ名詞として働く。
- 「走り」「考え」のように、用言からできた名詞も文中では名詞として扱う。
- 「これ」「そこ」はそれ自体が名詞の代わりになるので代名詞。
- 「この」「そんな」は名詞を修飾するだけなので連体詞。
この章でつまずきやすいところ
名詞の学習でつまずきやすいのは、本文や問題文を読んでいる「途中」です。「これ」と「この」が同じ品詞に見えたり、「走り」が動詞のまま見えたり。読み進める途中で迷う具体場面を、見分け方とともに整理します。
「これ」と「この」を同じ品詞だと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文に「これはペンだ。」「このペンは赤い。」と並んで出てきたとき、どちらも「こ」で始まる似た言葉なので、同じ代名詞として読み進めてしまう。問題文の下線部の品詞を答える段になって、急に判断に迷う場面です。
- 克服のコツ:見分け方は助詞「は・が」を付けて主語にできるかの一点です。「これ+は」で主語として成立すれば代名詞(名詞)。「この」は「このが…」とは言えず、必ず後ろの名詞を修飾するだけなので連体詞です。
- ミニ例:「これを見て!」の「これ」は「これが本だ」と言えるので代名詞。「この本を読む」の「この」は「このが…」と言えず、「本」を修飾するだけなので連体詞です。
「走り」「動き」を動詞のままだと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文に「動きが速い」「漢字の読み」のような表現が出てきたとき、もとが動詞「動く」「読む」だと知っていると、つい動詞のつもりで読み進めてしまう。名詞を抜き出す問題で、これらを見落として失点しがちな場面です。
- 克服のコツ:判断の手がかりは文中での働きです。動詞・形容詞の連用形や語幹がそのまま主語や目的語になっていれば、その時点で名詞として扱います。「が・は・を」を付けられるかを確かめると、用言から生まれた名詞を見落としません。
- ミニ例:「動きが速い」では「動き」に「が」が付いて主語になっているので名詞。「漢字の読みを答える」の「読み」も動詞「読む」の連用形が目的語になっており、名詞として扱います。
代名詞の「これ」「そこ」が指すものを直前の語だけで決めてしまう
- つまずく場面:本文に「彼は古い本を開いた。それは祖父の形見だった。」のような文が出てきたとき、「それ」を直前の「古い本」だと早合点して読み進めてしまう。あとから問題で「それ」の指す内容を問われ、答えがずれていることに気づく場面です。
- 克服のコツ:代名詞の指示対象は前後の文脈全体で決めます。手順は、まず直前の名詞を候補に挙げ、次にその候補を「それ」の位置に当てはめて文意が通るかを確かめること。直前にあっても意味が合わなければ、さらに前の段落まで戻して根拠を探します。
- ミニ例:「祖父が大切にしていた一冊の本。それは今、私の机にある。」── 直前は「本」ですが、文意から「祖父が大切にしていた一冊の本」全体を指していると確かめられます。
「川」「町」のような語をいつも普通名詞だと決めつけてしまう
- つまずく場面:本文に「多摩川の岸を歩いた」「下町を歩いた」と出てきたとき、「川」「町」が普通名詞だという知識が先に出てしまい、「多摩川」「銀座」のような固有名詞も同じ普通名詞として読み流してしまう場面です。
- 克服のコツ:判断の基準はその名前で世界に1つだけと決まるかです。「川」一般ではなく、その名前で特定の一本に決まるなら固有名詞。読みながら「これは種類の名前か、それとも世界に1つの名前か」と問い直すと、普通名詞と固有名詞のずれを防げます。
- ミニ例:「川」は種類の名前なので普通名詞。「多摩川」はその名前で一本に決まるので固有名詞。同じく「町」は普通名詞、「鎌倉」や「銀座」は固有名詞です。
練習問題
- 京都
- あなた
- 5月
- 友人
- そこ
- 夏目漱石
答えを見る
(1) 固有名詞
(2) 代名詞(人称代名詞・2人称)
(3) 数詞
(4) 普通名詞
(5) 代名詞(指示代名詞・場所)
(6) 固有名詞
- これを見て!
- この本を読む。
- そう言った。
- あれは何?
答えを見る
(1) 代名詞(「これ」が主語)
(2) 連体詞(「この」が「本」を修飾)
(3) 副詞(「そう」が「言った」を修飾)
(4) 代名詞(「あれ」が主語)
答えを見る
私(代名詞)/3つ(数詞)/本(普通名詞)/東京(固有名詞) ── 全部で4つ。
まとめ
- 名詞は 事物の名前 を表す活用しない自立語。「が・は」をつけて 主語になれる(=体言)。
- 4種類:普通名詞/固有名詞/代名詞/数詞。
- 代名詞は 人称代名詞(私・あなた)と 指示代名詞(これ・そこ)に分かれる。
- 「これ」「この」の見分けに注意。主語になれるかがカギ(なれる=代名詞/なれない=連体詞)。
- 動詞・形容詞の活用形からできた名詞(動き・高さ)もある。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
日本でいちばん多い名字は「佐藤」実生活
「佐藤」「鈴木」のような名字は、人を区別する固有名詞のなかまです。明治安田生命の全国同姓調査では、もっとも多い名字は「佐藤」、次いで「鈴木」「高橋」の順で、上位100位までの名字で日本人のおよそ3人に1人をしめると報告されています。
固有名詞が「普通名詞」に変わることがある発展
もとは特定の会社の商品名(固有名詞)だったのに、広く使われるうちに道具全体を指す普通名詞のようになる現象があり、これを商標の普通名称化といいます。こうなると登録商標であっても商標権の効力がおよばなくなることがある、と特許庁は説明しています。
出典:特許庁「商標権の効力」
商標は「目印」としての固有名のはたらき実生活
商標とは、ある事業者が自分の商品やサービスを他者のものと区別するために使うマーク(識別標識)だと、政府は説明しています。商品名やブランド名という固有名詞が、世の中の似た品物の中から「これだ」と特定の対象を指し示すはたらきをしているのです。
こそあど(指示代名詞)は距離で使い分ける発展
「これ・それ・あれ」という指示代名詞は、何を指すかが距離で決まります。国立国語研究所によると、話し手の近くは「これ」、聞き手の近くは「それ」、両方から離れたものは「あれ」と使い分けます。だから代名詞が指す対象は、話す場面や前後の文によって変わるのです。
数詞を「壱・弐・参」で書く決まり実生活
数を表す名詞である数詞は、大切な書類では「一・二・三」ではなく「壱・弐・参・拾」という画数の多い漢字(大字)で書くことがあります。これは線を書き足して数を改ざんするのを防ぐためで、商業登記規則でも縦書きの数量や番号にこの文字を用いるよう定められています。
