副詞と連体詞 ── 似ているが相手が違う
- 副詞:用言(動詞・形容詞・形容動詞)を修飾する。連用修飾語になる。
- 連体詞:体言(名詞)を修飾する。連体修飾語になる。
- 両方とも 活用しない自立語。主語にも述語にもならない。
副詞 ── 用言をくわしくする
①ゆっくり歩く ── 動詞「歩く」を修飾
②とても美しい ── 形容詞「美しい」を修飾
③たいへん静かだ ── 形容動詞「静かだ」を修飾
④もっとゆっくり ── 副詞「ゆっくり」を修飾
副詞の3分類
- 状態の副詞:「どのように」を表す。ようすや動作の様子。
例:ゆっくり・じっと・はっきり・もう・すぐ - 程度の副詞:「どのくらい」を表す。
例:とても・たいへん・もっと・少し・かなり - 呼応の副詞(陳述の副詞):決まった言い方を後ろに 呼び寄せる。
例:決して〜ない/たぶん〜だろう/もし〜なら
呼応の副詞 ── テストの定番
呼応の副詞は、「文末がどう終わるか」 をあらかじめ決めてしまうのが特徴。穴埋め問題で頻出です。
- 決して〜ない(打消し)
- もし〜たら/なら(仮定)
- たとえ〜ても(仮定・逆接)
- たぶん/きっと〜だろう(推量)
- まるで〜ようだ(比喩)
- なぜ/どうして〜か(疑問)
- まさか〜ない/〜まい(打消・推量)
- ぜひ〜たい/〜てください(願望・依頼)
問:( )忘れない。── 「決して」
問:( )雨が降っても行く。── 「たとえ」
問:( )明日は晴れるだろう。── 「たぶん/きっと」
連体詞 ── 体言(名詞)だけをくわしくする
「〜の」型この・その・あの・どの
「〜な」型大きな・小さな・おかしな・いろんな
「〜る/〜ろ」型ある(あの人)・あらゆる・いわゆる
「〜だ/〜た」型たいした(人物)・とんだ(災難)
連体詞と形容詞・形容動詞・代名詞の見分け
連体詞は活用しません。これがすべての見分けの根拠です。
- 「大きな」は活用しない(×大きなかった)── 連体詞。
- 「大きい」は活用する(○大きかった)── 形容詞。
- 「この本」── 「この」だけでは主語にならない。「本」を修飾するだけ → 連体詞。
- 「これは本だ」── 「これ」が主語になる → 代名詞。
- 動詞のように見えるが、活用しない。「あらゆる人」「いわゆる秀才」のように 名詞を修飾する形のみ。
副詞 vs 連体詞 ── 修飾先で見分ける
「ゆっくり歩く」 ── 修飾先=動詞「歩く」 → 副詞
「この本」 ── 修飾先=名詞「本」 → 連体詞
「とても静かだ」 ── 修飾先=形容動詞「静かだ」 → 副詞
「大きな家」 ── 修飾先=名詞「家」 → 連体詞
教科書で確認した修飾語の分け方
- 副詞は用言を修飾し、連体詞は体言を修飾する。
- 副詞には状態・程度・呼応の働きがある。特に呼応は文末表現とセットで出る。
- 連体詞は活用しない。「大きな」「この」「ある」などは後ろに名詞を必要とする。
- 「ある日」の「ある」は連体詞。
- 「机がある」の「ある」は存在を表す動詞。
この章でつまずきやすいところ
副詞は主に用言(動詞・形容詞・形容動詞)や他の副詞、文全体を修飾し、連体詞は体言(名詞)を修飾する品詞です。どちらも活用しないため見分けに迷いやすく、読みながら品詞を判定する途中で、修飾先の見落としや活用の有無の確認漏れで止まる中学生は多いです。ここでは本文や例文を読んでいる最中に起きる、典型的な「迷いの場面」を整理します。
「大きな」を形容詞だと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の「大きな家」を見て、「『大きい』と似ているからこれも形容詞だろう」と判断しかけ、副詞・連体詞のページに戻って「あれ、連体詞の例にも『大きな』がある」と止まってしまう場面。
- 克服のコツ:判定軸は『活用するかどうか』一本にしぼる。「大きい家/大きかった/大きく/大きければ」のように形を変えられれば形容詞。「大きな」のように形が一つしかなく、名詞しか修飾できないなら連体詞。後ろが名詞でも、活用できる形容詞(例:『大きい家』)と区別する点に注意する。
- ミニ例:「大きな家」→「大きなかった」「大きなく」と言えず形が変わらない→連体詞。「大きい家」「大きく育つ」→「大きかった/大きく」と活用できる→形容詞。活用の有無で切り分ける。
呼応の副詞だけ見て文末を確認し忘れる
- つまずく場面:穴埋め問題で「( )失敗してもあきらめない」を読み、空欄の前後だけ見て「決して」と入れてしまう場面。読み終えると文末は「〜ても」で、意味がつながらず、答えを書いた後に違和感だけが残る。
- 克服のコツ:呼応の副詞は『文末とのセット』で決まる。空欄を埋める前に、まず文末を最後まで読み切ってから選ぶ手順にする。「決して〜ない(打消し)」だけでなく、「たぶん〜だろう(推量)」「まるで〜ようだ(たとえ)」など、副詞と文末のペアは複数パターンあると意識する。
- ミニ例:「( )失敗してもあきらめない」→文末が「〜ても」だから「たとえ」。「私は( )約束を忘れない」→文末が打消しだから「決して」。「( )明日は晴れるだろう」→推量だから「たぶん」。文末を先に確認する。
「ある」を全部同じ品詞だと思ってしまう
- つまずく場面:本文中の「ある日、出かけた」と「机がある」を続けて読み、「字も同じだし、どちらも動詞でいいや」と流してしまう場面。あとで品詞を問われて手が止まる。
- 克服のコツ:軸は『活用するかどうか』。「ある日」を「あった日」「あれば日」と言い換えられず形が変わらないなら連体詞。「そこにある本」のように「そこにあった本/そこにあれば(あの)本」と活用でき、存在の意味を持つなら動詞。後ろが名詞かどうかだけでは決められず、活用の有無で切り分ける。
- ミニ例:「ある日」→「あった日」「あれば日」とは言えず形が変わらない→連体詞。「そこにある本」→「そこにあった本」と活用でき、存在を表す→動詞。
「この」と「これ」をどちらも代名詞だと思ってしまう
- つまずく場面:「この本」と「これは本だ」を続けて読み、「どちらも『指している言葉』だから代名詞」と判断してしまう場面。修飾語と主語の役割の違いに気づかないまま読み進めてしまう。
- 克服のコツ:その語が単独で主語になれるかで見分ける。「この」だけでは「この は〜」のように主語に立てず、必ず後ろに名詞を伴って「この本は」となる→連体詞。「これ」は「これは/これが」と単独で主語になれる→代名詞。
- ミニ例:「この本」→「この」だけでは主語にならず、名詞「本」を修飾→連体詞。「これは本だ」→「これ」が主語に立っている→代名詞。
練習問題
- とてもうれしい。
- たぶん明日は晴れるだろう。
- ゆっくり歩く。
- 決して負けない。
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(1) 程度の副詞
(2) 呼応の副詞(〜だろう)
(3) 状態の副詞
(4) 呼応の副詞(〜ない)
- ( )失敗してもあきらめない。
- ( )明日は雨だろう。
- ( )雪が降っても出かけたい。
- ( )あなたに会えないとは思わなかった。
答えを見る
(1) たとえ(〜ても)
(2) たぶん/きっと(〜だろう)
(3) たとえ/もし(〜ても)
(4) まさか(〜とは思わない)
- 大きな家
- 大きく育つ
- あらゆる方法
- はっきり言う
答えを見る
(1) 連体詞(「家」を修飾、活用なし)
(2) 形容詞「大きい」の連用形(「育つ」を修飾。活用する)
(3) 連体詞(「方法」を修飾、活用なし)
(4) 副詞(「言う」を修飾)
まとめ
- 副詞も連体詞も 活用しない自立語で、修飾語にしかならない。
- 副詞は用言を修飾、連体詞は体言(名詞)を修飾。
- 副詞は 状態・程度・呼応 の3種類。
- 呼応の副詞はテスト頻出。「決して〜ない」「もし〜たら」「たとえ〜ても」「まさか〜まい」を暗記する。
- 連体詞「大きな」と形容詞「大きい」、連体詞「この」と代名詞「これ」を混同しない。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
「全然」は本来、打消しにも肯定にも使えた発展
今は「全然〜ない」のように打消しと呼応させるのが標準とされる呼応の副詞ですが、もともと「全然」は「すべてにわたって・残らず」の意味で、肯定にも否定にも使えました。打消しとの結びつきが強まったのは大正末から昭和にかけてで、明治期には肯定表現での用例も多く見られます。
程度の副詞「とても」も昔は打消し専用だった発展
今では「とても大きい」と肯定でふつうに使う程度の副詞「とても」ですが、大正期には打消しの言葉で結ぶのが東京の標準的な言い方とされ、「とても大きい」のような肯定の使い方は新しい流行で正しくないと見られていました。芥川龍之介なども当時はこれを東京の言葉ではないと述べています。副詞の使い方は時代とともに変化することがわかります。
副詞は3種類、呼応の副詞は文末を支配する発展
辞典でも副詞は状態副詞(ゆっくり・しばらく)、程度副詞(いささか・たいそう)、陳述(呼応)副詞(決して・もし)の3つに分けられます。陳述副詞は「受ける語に一定の制約を要求する」とされ、「もしも」「全然」のように決まった文末の言い方を呼び寄せる働きをもちます。教科書の3分類は辞典の説明とも一致しています。
状態の副詞の多くは「オノマトペ」実生活
「ゆっくり」「はっきり」のように動作のようすを表す状態の副詞には、擬音語・擬態語(オノマトペ)が数多く含まれます。国立国語研究所によれば、日本語のオノマトペは辞書に載るものだけで約2,000語以上あり、日本語は世界の言語の中でも擬音語・擬態語がとても多い言語だとされています。日常の表現が豊かなのは、この状態の副詞の仲間が多いことと関係しています。
連体詞「大きな」は形容動詞の生き残り発展
連体詞「大きな」は、もとは形容動詞「おおきなり」の連体形「おおきなる」が変化してできた語で、名詞の前にしか使えず活用しません。一方の形容詞「大きい」は述語にもなり「大きかった」と活用します。形がよく似ていても成り立ちと働きが違うため、品詞が分かれるのです。
