数直線:数を1本の線に並べる
小学校でも数直線は使いましたが、そのときは0から右だけでした。中学では 0から左にも 伸ばして、負の数も置きます。
数直線の3つの約束
- 原点(0)を中央あたりに置く。
- 右へいくほど数は大きい、左へいくほど数は小さい。
- 等間隔に目盛りをふる。
2つの数が数直線上にあるとき、右にある方が大きい。これは正の数だけでなく、負の数の世界でも同じ。
- +3 と +5 を比べると、+5の方が右 → +5の方が大きい(当たり前)
- −3 と −5 を比べると、−3の方が右 → −3の方が大きい(注意!)
- 「数字が大きいほど数も大きい」と思い込みがち。これは正の数の世界ではOK。
- 負の数では 逆。−5 と −3 では、−3 の方が大きい。
- 「氷点下5度より氷点下3度のほうが温かい(=高い)」と考えるとイメージしやすい。
絶対値:「0からの距離」
もう1つ重要な概念が 絶対値です。
例:|+5| = 5、|−5| = 5、|0| = 0
距離だから、絶対値は必ず0以上になる(負の数にはならない)。
覚え方:絶対値は「符号を取った数」
- |+7| = 7
- |−7| = 7
- |−2.5| = 2.5
- |0| = 0
正の数の絶対値はその数自身、負の数の絶対値は マイナスを取った数と覚えてOKです。
絶対値が等しい2つの数
絶対値が同じになる数のペアは、0をはさんで対称な位置にあります。
- +3 と −3 → どちらも絶対値3
- +10 と −10 → どちらも絶対値10
言い換えると、「絶対値が等しい数」は2つある(0以外)。例えば「絶対値が4の数」は +4 と −4 の2つ。
この章でつまずきやすいところ
数直線と絶対値の学習では、本文を追う途中で「数字が大きいほど大きい数」というクセや、絶対値の記号を「符号を変える命令」と読み違えるクセが顔を出します。ここでは読みながら迷いやすい場面と立て直し方を整理します。
−5は−3より大きいと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の「−3と−5を比べる」のところで、「5のほうが3より大きいから−5が大きいはず」と読み進めてしまう場面。正の数の感覚のまま負の数を見て、数字部分の大小と数の大小を同じものとして処理してしまう。
- 克服のコツ:位置関係で見分けるのが安全です。数直線上で右にある数のほうが大きいというルールは、正の数でも負の数でも変わりません。−3と−5を線の上に置くと−3のほうが右にあるので、−3>−5になります。温度で「氷点下3度のほうが氷点下5度より高い」と置き換えると感覚が合います。
- ミニ例:−8と−2を比べるとき、数直線上では−2のほうが右にあるので−2>−8。数字だけ見て「8のほうが大きい」とは判断しないようにします。
|+4|を−4と読み替えてしまう
- つまずく場面:絶対値の記号 | | を初めて見たときに、「マイナスをつける記号」「符号を反対にする記号」と読み違えてしまう場面。|+4|を見た瞬間に−4と書きたくなったり、|−5|の答えに−を残したまま書いてしまったりする。
- 克服のコツ:絶対値は0からの距離であり、因果関係でいえば「距離だから負にはならない」が出発点です。距離はマイナス何メートルにならないのと同じで、絶対値の答えは必ず0以上。正の数はそのまま、負の数はマイナスを外した数、と2段階で確認するとブレません。
- ミニ例:|+7|=7、|−7|=7、|0|=0。どれも答えに−はつきません。記号を外したあと符号が残っていたら見直しのサインです。
絶対値が等しい数を1つだけ答えてしまう
- つまずく場面:「絶対値が6となる数をすべて答えなさい」という問題で、+6だけを書いて手が止まってしまう場面。本文の「0をはさんで対称」を読んでいても、いざ答えを書く段になると正の数だけ思い浮かんで、もう片方を書き忘れる。
- 克服のコツ:位置関係で押さえます。絶対値が同じ数は、0を中心に左右対称の位置に必ずペアで現れます(0を除く)。答えを書く前に「右側の数と左側の数、両方書いたか」を自分に問い直すと、片方忘れを防げます。0だけは例外でペアがありません。
- ミニ例:絶対値が6の数は+6と−6の2つ。同じように絶対値が10なら+10と−10。絶対値が0なら0だけ、と覚えておきます。
−1.5を−1と−2の外側に置いてしまう
- つまずく場面:問題1で数直線上に−1.5を書き込むとき、「−のほうへ少しずらせばよい」と考えて、−2より左や−1より右に置いてしまう場面。マイナスがついていることに気を取られて、小数の位置取りが正の数のときの感覚から外れてしまう。
- 克服のコツ:位置関係でとらえ直します。負の数でも、小数は隣り合う整数の間にあるというルールは同じです。−1.5なら−1と−2のちょうど中間。「絶対値で見ると1と2の間に1.5があるのと対称」と確認すると、左右どちら側に置くか迷いません。
- ミニ例:−1.5は−1と−2の中央、−0.5は0と−1の中央。等間隔の目盛りを先に書いてから、整数の間のどこかに点を打つ順番にすると安定します。
練習問題
−4、+2、−1.5、0、+3
答えを見る
左から順に −4、−1.5、0、+2、+3 の位置に点を打つ。
ポイント:等間隔の目盛りを描いて、−1.5 は −1 と −2 のちょうど中間に置く。
- |+8|
- |−12|
- |0|
- |−3.5|
答えを見る
(1) 8 (2) 12 (3) 0 (4) 3.5
※ 絶対値は必ず0以上になる。負の数の絶対値はマイナスを取った数。
- 絶対値が6となる数をすべて答えなさい。
- 絶対値が0となる数を答えなさい。
- 「−10より絶対値が大きい負の数」を1つ答えなさい。
答えを見る
(1) +6 と −6(2つ)
(2) 0(0だけ)
(3) 例:−15(絶対値が10より大きく、かつ負の数)。−11、−20、−100 などでもよい。
まとめ
- 数直線:負の数を含めて、すべての数を1本の線に並べたもの。右ほど大きく、左ほど小さい。
- 負の数の大小に注意:−5 < −3(絶対値が大きいほうが小さい数)。
- 絶対値=0からの距離。記号 | |。必ず0以上。
- 絶対値が同じ数は、0をはさんで 2つある(+aと−a)。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
標高がマイナスになる土地 ── 海面を0とした数直線実生活
日本の標高は東京湾の平均海面を0mと決めて測られていて、これは縦向きの数直線と同じ仕組みです。海面より低い土地は標高がマイナスで表され、東京の下町などには標高が0m以下の「海抜ゼロメートル地帯」が広がっています。
海抜ゼロメートル地帯と防災実生活
海岸近くで地表が満潮時の海面より低い土地を海抜ゼロメートル地帯といい、標高がマイナスの場所も多くあります。0を基準に「どれだけ下か」を数で表せることが、洪水や高潮への備えを考えるうえで役立ちます。
日本の歴代最低気温は −41.0℃実生活
日本で公式に記録された最も低い気温は、1902年1月25日に北海道旭川市で観測された −41.0℃です。氷点下の温度はまさに数直線の0より左側で、数字部分が大きいほど寒い(小さい数)という、負の数の大小の感覚そのものです。
絶対零度 ── 数直線にも「いちばん下」がある発展
温度には下限があり、摂氏 −273.15℃ を絶対零度といって、これより低い温度は存在しないと考えられています。ふつうの数直線は左に限りなく伸びますが、温度の世界では負の方向に最も遠い点が決まっているのが面白いところです。
負の数は2000年前の中国でも使われていた発展
負の数は新しい考えに思えますが、約2000年前の中国の数学書『九章算術』では、すでに負の数を正の数と並べて計算に使っていました。連立方程式を解くときに正と負の数の両方が現れる場面で活用されていたと伝えられています。
絶対値は「距離」だから記録の更新でも使われる発展
気象庁は各地の観測所で、観測史上1位となる最高・最低気温などの記録を管理し、更新があると公表しています。0からどれだけ離れているかを表す絶対値の考え方は、基準からのへだたりの大きさを符号抜きで比べたいときに役立ちます。
