大小比較の基本ルール
前回の数直線の記事で見たように、すべての数は数直線上に位置を持っています。
正の数も負の数も、すべての数について:
- 正の数 > 0 > 負の数(正は必ず負より大きい)
- 正の数どうし:絶対値が大きいほうが大きい(+5 > +3)
- 負の数どうし:絶対値が 小さいほうが大きい(−3 > −5)
不等号の使い方
大小関係を式で書くために 不等号(ふとうごう)を使います。
- < 左 < 右 :左が右より小さい
- > 左 > 右 :左が右より大きい
- ≦ 左 ≦ 右 :左は右以下(等しい場合を含む)
- ≧ 左 ≧ 右 :左は右以上(等しい場合を含む)
記号の 大きく開いている方が大きい数、ぴったり閉じている方が小さい数。
不等号 < や > は、ワニの口に見立てると分かりやすい。口が開いている方に大きい数、閉じている方に小さい数を書きます。
- 3 < 5 ── 口が開いた方(5)が大きい数
- −2 > −7 ── 口が開いた方(−2)が大きい数
3つ以上の数を一度に並べる
不等号は つなげて使えます。たとえば「a は b 以上 c 以下」を1つの式で:
- −5 < −3 < 0 < +3 < +5(左が一番小さく、右が一番大きい)
- −10 ≦ x ≦ 10(x は −10以上 10以下)
このときは すべての不等号を同じ向き に揃えます(< ばかり、または > ばかり)。< と > を混ぜると意味がおかしくなるので注意。
- 「−10 と −3 ではどちらが大きい?」と聞かれて「−10」と答えてしまうのが定番のミス。
- 正解は −3(数直線で右にある方)。
- 気温で考えるとイメージしやすい:「−10℃ より −3℃ のほうが温かい(高い)」 = −3℃ の方が大きい。
- 絶対値だけ見て判断しないこと。負の数では、絶対値が大きいほど数は小さい。
具体例で確かめる
次の数を小さい順に並べてみましょう:−4、+2、0、−7、+5
- 正の数と負の数で分ける:負(−4、−7)/ 0 / 正(+2、+5)
- 負どうしを比較:絶対値が大きい −7 のほうが小さい → −7 < −4
- 正どうしを比較:絶対値が大きい +5 のほうが大きい → +2 < +5
- 全部つなぐ:−7 < −4 < 0 < +2 < +5
この章でつまずきやすいところ
数の大小と不等号は、本文を読んでいる途中に「数字が大きいほど大きいのでは?」と一瞬迷う場面が出やすい単元です。負の数や不等号の向き、『以下/未満』の読みで止まりがちな具体場面を整理し、考えの軸を立てておきましょう。
−10を−3より大きいと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「−10と−3ではどちらが大きい?」と問われた瞬間に、頭の中で『10は3より大きい』が先に動いてしまい、つい−10を選びそうになる場面。数直線の図はあるのに、絶対値の感覚が先に出てしまう。
- 克服のコツ:位置関係で判定するクセをつけます。負の数を見たら必ず数直線の向きを思い出し、右にあるほうが大きいに戻ること。絶対値の大きさはあくまで0からの距離で、向きを考えないと大小の判断にはならない、と頭の中で順序立てる。
- ミニ例:本文の数直線では−10 < −3。0からの距離は−10の方が遠いが、位置は左にあるので小さい数として扱う。
不等号の向きを「左が大きい・小さい」で決めようとして迷う
- つまずく場面:「−6と−1の大小を不等号で表しなさい」を解く途中、答えはわかったのに、<と>のどちらを書くべきか手が止まる場面。式の左右と不等号の向きの関係を、その場で考え直してしまう。
- 克服のコツ:見分け方を固定します。本文の『ワニの口は大きい数を食べる』に従い、開いている側に大きい数を置く、と決めておく。左右どちらに大きい数を書いたかを先に確認し、その方向に口を開けるだけで迷いが消える。
- ミニ例:−6と−1なら大きいのは−1。左に−6を書いたなら、口は右に開けて−6 < −1と書く。
『以下』と『未満』を同じ意味で読んでしまう
- つまずく場面:「aは3以下」を式にする場面で、a < 3と書きかけて止まる瞬間。日本語としては似て聞こえるため、等しい場合を含むのかどうかが本文を読んでいる途中であいまいになる。
- 克服のコツ:見分け方として、日本語の語尾で等号の有無を切り分けます。『以下・以上』は等しい場合を含むので≦・≧、『未満・より小さい・より大きい』は含まないので<・>。文章を読んだ瞬間に、まず等号の有無だけを判定してから不等号を書く順序にする。
- ミニ例:「aは3以下」は等しい場合を含むのでa ≦ 3。「aは3未満」ならa < 3と書き分ける。
3つ以上を並べるときに不等号の向きを混ぜてしまう
- つまずく場面:−7、−4、0、+2、+5を小さい順に並べる途中、負の数の大小に気を取られて、つい−4 > −7 < 0のように>と<を混ぜて書いてしまう場面。一つひとつの大小は合っているのに、全体の式が読めなくなる。
- 克服のコツ:位置関係で揃えます。本文のとおり、3つ以上をつなぐときはすべて同じ向きの不等号に統一する。小さい順に並べるなら全部<、大きい順なら全部>、と先に決めてから数字を入れていく順序にすると混在を防げる。
- ミニ例:小さい順なら全部<で−7 < −4 < 0 < +2 < +5。途中で>を混ぜない。
練習問題
- +4 と +9
- −2 と +3
- −6 と −1
- −10 と −15
答えを見る
(1) +4 < +9(正どうしは絶対値の大きい方が大)
(2) −2 < +3(負<正)
(3) −6 < −1(負どうしは絶対値の小さい方が大)
(4) −15 < −10(−15のほうが絶対値が大きく、より小さい)
+3、−5、0、−1、+8、−10
答えを見る
−10 < −5 < −1 < 0 < +3 < +8
負の数同士は絶対値が大きいほうが小さい。正の数と0より、まず負の数すべてが小さい。
答えを見る
解答例:数直線上で −10 は −5 より左にあるため、−10 のほうが小さい数である。気温は数値が小さいほど寒いので、−10℃ のほうが −5℃ より寒い。
絶対値で考えると、|−10| = 10、|−5| = 5 で、−10 のほうが絶対値が大きい。負の数では絶対値が大きいほど小さい数になるので、−10 < −5 となり、より寒い。
まとめ
- 数直線上で 右にあるほうが大きい。これは正・負・0すべてに共通。
- 不等号は4種類:<、>、≦、≧。口が開いている方が大きい数。
- 3つ以上を並べるときは、すべて同じ向きの不等号で揃える。
- 負の数は 絶対値が大きいほうが小さい(例:−10 < −5)。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
日本一寒い記録は −41.0℃実生活
気象庁の公式観測では、日本の最低気温は1902年1月25日に北海道の旭川で記録された −41.0℃ です。0℃を基準にすると、−41.0 は −10 や −3 よりずっと左にある=はるかに小さい数で、数直線で大小を比べる練習がそのまま「どれだけ寒いか」の比較になります。
海より低い土地「死海」は標高マイナス実生活
イスラエルとヨルダンに接する死海の湖面は、海面(標高0m)より約400mも低く、地表で世界一低い場所です。標高を「海面を0」として正負で表すと死海は −400m 前後となり、負の数が地図や地理でも実際に使われていることがわかります。
世界で最も深い海「チャレンジャー海淵」実生活
太平洋のマリアナ海溝にあるチャレンジャー海淵は、水深がおよそ1万メートルにもおよぶ世界で最も深い海底のくぼ地です。海面を0として深さをマイナスで表すと、海の最深部から高い山の頂上まで、私たちは正負の数で同じ数直線上に位置を表せます。
いちばん低い温度「絶対零度」は −273.15℃発展
温度には下限があり、それより低い温度は存在しません。これを絶対零度といい、摂氏では −273.15℃ です。負の数はいくらでも小さくできそうに見えますが、温度のように現実には「これ以上小さくならない最小値」が決まっている量もあることを知ると、数の世界の見方が広がります。
天気や海のデータは「基準からのズレ」を正負で表す発展
気象庁は海面水位や気温を、過去30年の平均(平年値)を基準にして、それより高ければ+(プラス)、低ければ−(マイナス)の「平年差」で公表しています。基準を0と決めて上下のズレを正負で表す考え方は、まさにこの単元の数直線そのもので、ニュースの数値を読む力につながります。
