累乗(るいじょう)── 同じ数を何度もかける
例:2 × 2 = 22(読み:「2の2乗」)
3 × 3 × 3 = 33(読み:「3の3乗」)
5 × 5 × 5 × 5 = 54(読み:「5の4乗」)
右上の小さい数を 指数(しすう)といいます。「何回かけたか」の回数を表します。
24 は「2を4回かける」ではなく、正確には 2を4個かけるという意味です。つまり 2×2×2×2。最初の2を1回目として数えるので、かけ算の記号は3つになります。
2乗・3乗の特別な読み方
- 2乗 = 平方(へいほう) 例:32=「3の2乗」または「3の平方」
- 3乗 = 立方(りっぽう) 例:33=「3の3乗」または「3の立方」
- 4乗以上は単に「4乗」「5乗」と呼ぶ
負の数の累乗:カッコの有無に注意
ここが中学生最大のつまずきポイント。次の2つは 意味がまったく違います。
- (−3)2 = (−3) × (−3) = +9 ── −3を2回かける
- −32 = −(3 × 3) = −9 ── 32=9 にマイナスをつける
違いはカッコ。カッコがあれば、中身全体が累乗される。カッコがなければ 数字部分だけ。
負の数の累乗の符号
負の数を カッコつきで累乗 したときの符号は、指数(何乗するか)で決まります。
- (−2)2 = +4 ── 指数2(偶数)→ +
- (−2)3 = −8 ── 指数3(奇数)→ −
- (−2)4 = +16 ── 指数4(偶数)→ +
- (−2)5 = −32 ── 指数5(奇数)→ −
負の数の累乗:指数が偶数なら+、奇数なら−。前回の「負の数の個数」と同じロジックです。
除法(わり算)── 逆数を使ってかけ算に変える
除法は、教科書では 乗法の逆の計算として考えます。たとえば (+6)÷(+3) は、「何に +3 をかけると +6 になるか」を求める計算です。
(+6)÷(+3) は、□×(+3)=+6 の □ を求める計算 → +2
(+6)÷(−3) は、□×(−3)=+6 の □ を求める計算 → −2
(−6)÷(−3) は、□×(−3)=−6 の □ を求める計算 → +2
例:3 の逆数は 1/3(3 × 1/3 = 1)
−5 の逆数は −1/5(−5 × (−1/5) = 1)
2/3 の逆数は 3/2(2/3 × 3/2 = 1、分数は分母分子をひっくり返す)
a ÷ b = a × (b の逆数)
これにより、すべての除法は乗法に変身します。前回の乗法ルールがそのまま使えます。
正負の数の除法の符号
逆数をかけることになるので、符号のルールは乗法と同じ。
- (+12) ÷ (+4) = +3 ── 同符号 → +
- (−12) ÷ (−4) = +3 ── 同符号 → +
- (+12) ÷ (−4) = −3 ── 異符号 → −
- (−12) ÷ (+4) = −3 ── 異符号 → −
分数の割り算
分数で割るときは、特に「逆数をかける」が活きます。
例:(−6) ÷ (2/3)
2/3 の逆数 3/2 をかけ算に
= (−6) × (3/2)
= −(6×3/2) = −18/2 = −9
- 0を割ることはできる。例:0÷(+5)=0、0÷(−5)=0。
- 0には逆数が存在しない(0 × どんな数 = 0 だから、1にはならない)。
- そのため、0で割る計算はしないのが数学のルール。例:5 ÷ 0、0 ÷ 0 は答えなし。
この章でつまずきやすいところ
累乗と除法・逆数は、書き方の小さな違いで答えがガラッと変わる単元です。本文を読みながら「あれ、どっちだっけ」と止まりやすい場面を取り上げ、見分け方を整理します。
カッコがないのに負の数まで2乗してしまう
- つまずく場面:本文の「(−3)² と −3² は別物」という箇所まで読んだあと、練習問題で −5² を見て、つい (−5)×(−5)=+25 と書きそうになり、ペンが止まる場面。
- 克服のコツ:位置関係で判断します。指数 ² は左隣の数字にだけかかるのが原則。カッコがあれば中身全体、カッコがなければ数字部分だけが累乗されます。マイナスが「カッコの外」にあるなら、累乗を計算したあとに最後にマイナスを付ける、と読みます。
- ミニ例:−5² はマイナスがカッコの外なので、まず 5² を計算して 25、最後にマイナスを付けて −25。一方 (−5)² はカッコの中全体を2回かけて +25。
指数を「かけ算の回数」と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「2⁴ は 2 を 4 回かける」と読んだあと、自分で書き出そうとして「2×2×2×2 だと、かけ算の記号が4個必要では?」と数が合わずに迷う場面。
- 克服のコツ:見分け方として、指数は「かける個数」を表すと覚えます。最初の数を1個目として数えるので、2⁴ は 2 が 4 個並び、間に入る「×」の記号は 1 つ少ない 3 個になります。回数ではなく個数で数えるのがコツです。
- ミニ例:2⁴ は 2 を 4 個並べて 2×2×2×2。記号「×」は 3 個。同じく 3³ は 3 を 3 個並べて 3×3×3、記号は 2 個。
分数で割るときに、分子と分母をひっくり返さずそのままかけてしまう
- つまずく場面:本文の「割る=逆数をかける」を読んだ直後、(−6)÷(2/3) を見て、つい (−6)×(2/3)=−4 と書きそうになり、「逆数って分母を変えるだけだっけ」と手が止まる場面。
- 克服のコツ:時系列で処理します。①まず「÷」を「×」に書き換える、②次に割る数を分数に直す、③最後に分母と分子を入れ替える、の順。符号は触らず、入れ替えるのは分母と分子だけです。途中で符号まで変えてしまわないよう注意します。
- ミニ例:(−6)÷(2/3) は、÷を×に直し、2/3 を 3/2 に入れ替えて (−6)×(3/2)。あとは乗法のルールで −18/2=−9。
四則混合で、累乗より先に足し算を計算してしまう
- つまずく場面:本文を読み終えたあと、−3+2² のような式を見て、左から順に −3+2 をしたくなり、「累乗が先だった気もする」と優先順位で迷う場面。
- 克服のコツ:因果関係で覚えます。累乗は「同じ数を何個もかける」というかけ算の塊なので、加減より優先される乗除よりもさらに先に処理します。順番は、①カッコの中と累乗、②乗除、③加減。書き出す前に、式の中の累乗をすべて先に数値に直してしまうと迷いません。
- ミニ例:−3+2² は、まず累乗 2²=4 を先に計算してから −3+4=+1。左から順に −3+2 をしてから2乗するのは順序違反で誤答になります。
練習問題
- 24
- (−5)2
- −52
- (−2)3
- (−1)10
答えを見る
(1) 2×2×2×2 = 16
(2) (−5)×(−5) = +25
(3) −(5×5) = −25 ※ (2)と区別!
(4) (−2)×(−2)×(−2) = −8(指数3=奇数 → −)
(5) 指数10=偶数 → +、絶対値は110=1 → +1
- (+24) ÷ (+6)
- (−45) ÷ (−9)
- (+30) ÷ (−5)
- (−18) ÷ (+3)
- (−12) ÷ (3/4)
答えを見る
(1) 同符号 → +、24÷6=4 → +4
(2) 同符号 → +、45÷9=5 → +5
(3) 異符号 → −、30÷5=6 → −6
(4) 異符号 → −、18÷3=6 → −6
(5) (−12)×(4/3) = −16 → −16
- 0 ÷ (+4)
- 0 ÷ (−7)
- (+4) ÷ 0
- 0 ÷ 0
答えを見る
(1) 0。0を0でない数で割ることはできる。
(2) 0。符号に関係なく、0÷a=0(ただし a≠0)。
(3) できない。0で割っている。
(4) できない。0で割っている。
- 5
- −4
- 3/8
- −2/7
答えを見る
(1) 1/5 (2) −1/4 (3) 8/3 (4) −7/2
※ 整数は分母1の分数として見て、ひっくり返す。負の数の逆数も負のまま。
まとめ
- 累乗=同じ数を何度もかける表記。右上の数を 指数と呼ぶ。
- (−3)2=+9 と −32=−9 はカッコの有無で違う。
- 負の数の累乗:指数が 偶数なら+、奇数なら−。
- 逆数=かけたら1になる数。分数は分母分子をひっくり返す。
- 除法は 逆数をかけるに変えれば、乗法と同じルールで計算できる。
- 0を割ることはできるが、0で割ることはできない(0には逆数がない)。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
地震のマグニチュードは「累乗」でエネルギーを表す実生活
気象庁によると、マグニチュード(M)が1大きくなると地震のエネルギーは約32倍に、2大きくなると約1000倍になります。だからM8の地震1つは、M6の地震およそ1000個分のエネルギーに相当します。数字の見た目はわずかな差でも、累乗のように一気に大きくなるしくみです。
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国立研究開発法人産業技術総合研究所によると、キロ(k)・メガ(M)・ギガ(G)などのSI接頭語は、10のべき乗を表すために単位につける記号です。たとえばキロは10の3乗、メガは10の6乗、ギガは10の9乗で、3乗ずつ大きくなっていきます。累乗を知っていると、大きな量や小さな量を短く正確に書けるのです。
コンピュータの容量に2の累乗が現れる理由実生活
コンピュータは0と1の2進法で動くため、データの大きさには2の累乗がよく出てきます。たとえば1キビバイトは2の10乗=1024バイトで、ちょうど1000(キロ)に近い数になっています。256や1024といったメモリの容量の数字は、2を何回もかけた累乗の値なのです。
出典:日本産業規格 JIS Z 8000-1:2014「量及び単位-第1部:一般」(2進接頭語 キビ Ki=2^10=1024)
「割る=逆数をかける」は国の指導要領にも書かれた考え方発展
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小さい量にも10の累乗が使われる(ミリ・マイクロ・ナノ)発展
産業技術総合研究所によると、ミリ(m)は10のマイナス3乗、マイクロ(μ)は10のマイナス6乗、ナノ(n)は10のマイナス9乗を表します。中1では負の指数はまだ習いませんが、累乗の考え方は大きな数だけでなく、ウイルスの大きさのようなとても小さい量を表すときにも役立ちます。
