項(こう)── 式の中の1つひとつの部品
例:3x − 5 + 2y は、項が 3x、−5、+2y の3つ。
1章でも「項」という言葉は出てきました。文字式でも考え方は同じです。式は 項のたし算 として読みます。
係数(けいすう)── 文字の前の数
例:3x の係数は 3 / −5y の係数は −5 / a の係数は 1(省略) / −x の係数は −1
係数は、後で「同類項をまとめる」とき(次回)に重要な役割を果たします。
定数項(ていすうこう)── 文字を含まない項
例:3x − 5 + 2y では −5 が定数項。 「定」まった「数」の項、というイメージ。
文字の項は、文字に何を代入するかで値が変わりますが、定数項は そのまま値が決まっている。それで「定数項」と呼びます。
1次式とは:文字の指数が1の式
例:3x + 5、 a − 2、 4x − y + 7 などはすべて1次式。
例外:x2 や 3x2 は1次式ではない(指数が2なので「2次」)。
「1次」というのは 「文字の指数が1」 のこと。x や a は実際には x1、a1 ですが、1乗は省略しているのでパッと見は文字だけ。これが1次の項です。
- 「1次」と「1個」を混同しない:「1次」は文字の指数が1という意味で、項の個数とは無関係。例 4x − y + 7 は項3つでも1次式。
- x2 は2次式、xy も2次式:文字の指数の合計(次数)が2なら2次式。中1では1次式中心、2次式は中3で詳しく。
- 定数項だけの式(数のみ)は 0次式 と呼ばれる。
項を見つける練習
項:5x、 −3y、 +7(3つ)
x の係数:5
y の係数:−3
定数項:+7
項:a、 −b、 +4
a の係数:1(省略)
b の係数:−1(−b=(−1)b)
定数項:+4
この章でつまずきやすいところ
「3x − 5 + 2y」のような式を読むとき、どこで区切ってよいか、符号をどう扱うかで手が止まることがあります。ここでは、本文や問題を見ている途中に起きやすい4つの迷いを取り上げ、見分け方のコツを整理します。
係数に符号を含めずに読んでしまう
- つまずく場面:「−3x の係数を答えなさい」と問題に書かれた瞬間、目に入った数字 3 だけを答えに書きそうになる。マイナスは式をつなぐ記号だと思い込み、文字の前の数だけを切り取ってしまう迷いが起きる場面。
- 克服のコツ:位置関係で整理する。まず式を加法の形に直し、項を「+や−の後ろ側のかたまり」として見る。すると −3x は一つの項であり、文字 x の前についている数は −3 だと分かる。符号は数とセットで項に属すると覚えておく。
- ミニ例:−5a の係数は −5。マイナスごと係数。−x なら係数は −1、a なら係数は 1(省略されているだけ)。
「+」を見て勝手に一つの項にまとめてしまう
- つまずく場面:本文に「3x + 2 の項を答えなさい」とあるとき、3x+2 をひとかたまりに見えてしまい、これで1項と書いてしまう迷い。式の真ん中にある+が、つなぎ目なのか中身なのか判断がつかなくなる場面。
- 克服のコツ:見分け方として、式を必ず加法の形に直してから+や−の前で区切ると決める。区切られた一つ一つが項であり、+や−は後ろの項の符号として読む。先頭の項に符号がなければ+が省略されていると考える。
- ミニ例:3x + 2 の項は 3x と +2 の2つ。同じく 2a − 3b + 5 は 2a、−3b、+5 の3項に分かれる。
「1次」を項の個数だと思い込んでしまう
- つまずく場面:「4x − y + 7 は1次式ですか」と問題に出たとき、項が3つあるのに「1次」と呼ぶのが不自然に感じ、1次=項が1つの式と勘違いして「違う」と答えそうになる場面。
- 克服のコツ:見分け方として、1次の「1」は項の個数ではなく文字の指数を指すと押さえる。式の中の文字の指数がすべて1で、文字同士の積(xy など)がなければ1次式。項がいくつあっても次数の話とは無関係だと整理する。
- ミニ例:4x − y + 7 は1次式(項は3つだが文字の指数は1)。一方 x² + 3 は2次式、4xy も2次式(x×y で次数1+1=2)。
定数項を係数と同じ仲間として数えてしまう
- つまずく場面:「3x − 7 の x の係数と定数項を答えなさい」を読んでいる途中、−7 も x にかかっている数のように見え、係数を 3 と −7 の二つだと書いてしまう迷い。文字のない数の居場所が分からなくなる場面。
- 克服のコツ:位置関係で整理する。係数は文字を含む項の中で文字の前についている数、定数項は文字を含まない、数だけの項。同じ「数」でも、文字と一緒にいるか単独でいるかで呼び名が変わると分けて考える。
- ミニ例:3x − 7 では、x の係数は 3、定数項は −7。a − b + 4 なら a の係数 1、b の係数 −1、定数項 +4。
練習問題
- 4x + 7
- 2a − 3b + 5
- −x + y − 8
答えを見る
(1) 4x、+7
(2) 2a、−3b、+5
(3) −x、+y、−8
- 3x − 7
- −5a + 9
- x − y + 2
- (2/3)x − 4
答えを見る
(1) x の係数:3、定数項:−7
(2) a の係数:−5、定数項:+9
(3) x の係数:1、y の係数:−1、定数項:+2
(4) x の係数:2/3、定数項:−4
(ア) 5x + 3 (イ) x2 + 2 (ウ) 4 (エ) −2y (オ) 3xy
答えを見る
1次式:(ア)、(エ)
(イ) は x2 があるので2次式。 (ウ) は文字なしの定数なので0次式。 (オ) は xy で次数2 なので2次式。
まとめ
- 項=+や−の前で区切った1つ1つ。式は項のたし算。
- 係数=文字の前の数。x なら係数は1、−x なら−1。
- 定数項=文字を含まない、数だけの項。
- 1次式=文字の指数がすべて1の式。x2 や xy が含まれていれば1次式ではない。
- これらの言葉は次回の「同類項のまとめ方」を学ぶ前提になる。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
「代数(algebra)」の語源は9世紀の数学書から発展
文字を使って式を整理する代数学は、9世紀の数学者フワーリズミーの著書の題名にあるアラビア語「アル・ジャブル(al-jabr)」が語源です。この本は一次方程式や二次方程式の解き方を体系的に論じ、12世紀にラテン語へ訳されてヨーロッパの数学に大きな影響を与えました。みなさんが学ぶ「項」や「係数」をそろえて整理する考え方は、この時代までさかのぼります。
x や a で表す習慣はデカルトが広めた発展
わかっている数(既知数)を a・b・c、まだわからない数(未知数)を x・y・z で表す書き方は、1637年に哲学者・数学者のデカルトが著書『幾何学』で用いて広まりました。それ以前は人によって文字の使い方がバラバラでした。今あなたが「x の係数」「定数項」と言えるのは、こうした記号のルールが整えられたおかげです。
標高と気温の関係は1次式で表せる実生活
山に登ると気温が下がるのは、標高が100m上がるごとにおよそ0.6度低くなるためです。ふもとの気温を b 度、登った高さを x(100m単位)とすると、山の上の気温は「b − 0.6x」という1次式で見積もれます。文字の前の数 −0.6 がまさに係数で、変わらない b が定数項にあたります。
料金やたまる水の量も1次式の形実生活
もとから10Lの水が入った容器に毎分3Lずつ水を足すと、x分後の水の量は「3x + 10」と表せます。係数3は1分あたりの増え方、定数項10は最初からある量です。タクシー料金や基本料金つきの料金プランなど、身のまわりの「最初の値+一定の増え方」の場面は、この1次式の形でとらえられます。
なぜ文字を使うのか――式は「法則」を表す道具発展
学習指導要領では、文字を使う式は数量の関係や法則を表し読み取るための道具だと位置づけられています。たとえば「正方形の周りの長さは1辺の4倍」を 4x と書けば、1辺が何cmでも一つの式で表せます。項・係数・定数項という部品の名前を覚えるのは、こうした法則を正しく読み書きするための第一歩です。
