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比例・反比例の利用 ── 速さ・歯車・密度などの実例

4章のしめくくり。比例・反比例の関係は 身近な現象に山ほどあります。今回は速さ・歯車・密度の3つを例に、関係を見抜いて式を立て、解く流れを身につけます。

関係を見抜くコツ:「2倍にしたら?」

比例か反比例かの見分け方
  1. 1つの量を2倍にしたとき、もう1つの量はどうなる?
  2. 2倍になる → 比例 / 1/2倍になる → 反比例 / 関係なし → どちらでもない

応用1:速さの問題

例題:12 km の道のりを、速さ x km/時で進むと y 時間かかる。x と y の関係は?

x が2倍(速くなる) → y は1/2倍(速く着く) → 反比例

距離 = 速さ × 時間 → 12 = x × y → y = 12/x

時速 4 km なら:y = 12/4 = 3時間

時速 6 km なら:y = 12/6 = 2時間

例題:時速 60 km で x 時間走ると y km 進む。x と y の関係は?

x が2倍(時間が2倍) → y も2倍(距離も2倍) → 比例

y = 60x (比例定数 60)

応用2:歯車(はぐるま)

例題:歯数 a の歯車Aと歯数 b の歯車Bがかみ合っている。Aが x 回転する間にBは y 回転する。

かみ合う歯数は同じだから、A の歯数×回転数 = B の歯数×回転数

  a × x = b × y

a と b が決まっていれば、xy = (b/a) × x² のような … いや、整理すると:

y = (a/b) × x ── これは x について比例

具体例:歯数36のAと歯数12のBがかみ合うとき、a/b = 3。Aが1回転するとBは3回転(B が小さいから速く回る)。

別の見方:歯数 x の歯車と、それにかみ合う固定の歯車(歯数12)の回転数 y

かみ合う歯数:x × y = 12 × (固定の回転数)= 一定

→ 反比例 xy = 一定

歯数が大きいほどゆっくり回り、小さいほど速く回る。

応用3:密度(みつど)と体積・質量

例題:密度 8 g/cm³ の鉄の質量 y g と体積 x cm³

質量 = 密度 × 体積

  y = 8x → 比例

体積 100 cm³ → 質量 800 g、 体積 250 cm³ → 質量 2000 g

例題:質量 100 g の品物が x 個入った袋の重さ y g

y = 100x → 比例(個数倍)

表を使って関係を見つける

テスト問題でよくあるのが「表が与えられていて、式を立てる」パターン。y/x を計算して一定なら比例、xy を計算して一定なら反比例と判定できます。

表から比例・反比例を判定する 表の例 y/x を計算 xy を計算 判定 x: 1,2,3,4 y: 5,10,15,20 5,5,5,5(一定) 5,20,45,80(変化) 比例 y=5x x: 1,2,3,6 y: 12,6,4,2 12,3,1.3...(変化) 12,12,12,12(一定) 反比例 y=12/x
図1:表から関係を判定する

この章でつまずきやすいところ

比例・反比例の文章題は、キーワードだけで判断しようとすると迷子になります。問題文を読んでいる途中、「これは比例?反比例?」と手が止まる瞬間に効く整理のしかたを集めました。式を立てる直前の一手に注目しましょう。

「速さが2倍なら時間も2倍」と思い込んでしまう

  • つまずく場面:「12kmの道のりを速さxkm/時で進むとy時間」という問題で、速さが2倍になったから時間も2倍だと書きそうになる。比例しているように見えて、本当は逆の関係になっている迷いの瞬間。
  • 克服のコツ:因果関係で整理します。道のりが一定なら、速く進むほど時間は短くなるので反比例。「速さ×時間=道のり」という式を先に書き、何が一定かを確認してから2倍・1/2倍を当てはめると向きを間違えません。
  • ミニ例:12=x×y より y=12/x。時速4kmなら3時間、時速6kmなら2時間。速さが1.5倍になると時間は1/1.5倍に縮みます。

「増える=比例」とキーワードで決めつけてしまう

  • つまずく場面:「xが増えるとyも増える」と問題文に書いてあるのを見て、反射的に「これは比例だ」と式y=axを書きそうになる。本当は積が一定の反比例や、まったく別の関係のこともあるのに気づかない迷い。
  • 克服のコツ:見分け方で整理します。表が作れるならy/xが一定なら比例、xyが一定なら反比例。式しかない場合は「xを2倍したときyはどうなるか」を試し、2倍なら比例、1/2倍なら反比例、それ以外はどちらでもないと判定します。
  • ミニ例:1辺xcmの正方形の周はy=4xで比例。面積はy=x²でどちらでもない。同じ「正方形」でも関係が違うので、必ず式で確かめます。

歯車問題で「歯数が多い=回転も多い」と取り違える

  • つまずく場面:「歯数36のAと歯数12のBがかみ合う」の場面で、歯数が多いAのほうがたくさん回ると勘違いしそうになる。かみ合う歯の数は同じ、という前提を読み飛ばしてしまう迷いの瞬間。
  • 克服のコツ:位置関係で整理します。かみ合う歯車はかみ合った歯の数が同じなので、歯数×回転数=一定。歯数が大きい方はゆっくり回り、小さい方は速く回ります。回転数だけ見て大きい・小さいを決めず、必ず歯数とセットで考えます。
  • ミニ例:a×x=b×y より、歯数36のAが1回転する間に歯数12のBは3回転。小さい歯車ほど忙しく回ります。

単位がそろっていないまま式に入れてしまう

  • つまずく場面:密度の問題で「2.7g/cm³」と「500g」と「体積何cm³」が混ざって出てきたとき、数字だけ拾って2.7×500と計算しそうになる。式y=2.7xのxとyがそれぞれ何の単位かを確かめないまま手が動いてしまう迷い。
  • 克服のコツ:時系列で整理します。(1) 単位を表に書き出す → (2) 関係式を作る → (3) 数を代入の順を守ります。質量g、体積cm³、密度g/cm³のどれが求める量かを最初に決め、式の左辺と右辺の単位がそろうかを声に出して確認します。
  • ミニ例:アルミの密度2.7g/cm³でy=2.7x。質量540gの体積は540=2.7x → x=200cm³。gとcm³を取り違えると答えが2.7倍ずれます。

練習問題

問題1(速さ)
家から学校までの 1200 m を、毎分 x m の速さで歩くと y 分かかる。
  1. y を x の式で表しなさい。
  2. 毎分 60m なら何分かかるか。
  3. 10分で着きたいときの速さは?
答えを見る

(1) 距離=速さ×時間 → 1200 = x×y → y = 1200/x

(2) y = 1200/60 = 20分

(3) 10 = 1200/x → x = 1200/10 = 毎分120m

問題2(密度)
アルミニウムは密度 2.7 g/cm³。アルミニウム x cm³ の質量を y g とする。
  1. y を x の式で表しなさい。
  2. 50 cm³ のアルミの質量は?
  3. 質量 540 g のアルミの体積は?
答えを見る

(1) y = 2.7x

(2) y = 2.7×50 = 135 g

(3) 540 = 2.7x → x = 540/2.7 = 200 cm³

問題3(判別)
次の関係を比例・反比例・どちらでもない、で答えなさい。
  1. 1辺 x cm の正方形の周の長さ y cm
  2. 面積 24 cm² の長方形の縦 x cm、横 y cm
  3. 1辺 x cm の正方形の面積 y cm²
答えを見る

(1) y = 4x → 比例

(2) xy = 24 → 反比例

(3) y = x² → どちらでもない(2次の関係)

まとめ ── 4章のおさらい

  • 身近な現象には 比例・反比例の関係がたくさん。
  • 判別法:「2倍にしたとき同じ倍率→比例、逆数倍→反比例」または「y/x が一定→比例、xy が一定→反比例」。
  • 速さ:時間で表すと反比例(距離一定)、距離で表すと比例(時間×速さ)。
  • 4章の流れ:関数 → 比例 → 座標 → 比例グラフ → 比例の式の求め方 → 反比例 → 反比例グラフ → 利用。
  • 次章「5章 平面図形」では、図形の世界に入る。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

地図の縮尺は「比例」そのもの実生活

国土地理院の2万5千分の1の地形図では、地図上の4cmが実際の1km(1000m)にあたります。地図上の長さを2倍にすれば実際の距離も2倍になり、つねに2万5千倍という比例の関係になっています。だから地図上の長さを測れば、かけ算だけで本当の距離が計算できます。

出典:国土地理院 こどもページ「距離と縮尺」

密度がわかると体積から重さがわかる(比例)実生活

理科年表によると鉄の密度は約7.87g/cm³、アルミニウムは約2.70g/cm³です。同じ金属なら「質量=密度×体積」なので、体積が2倍になれば質量も2倍になり、これは比例の関係です。だから体積さえ測れば、実際にはかりにのせなくても重さを計算で求められます。

出典:理科年表オフィシャルサイト「物質の密度」

鉄のかたまりが水銀に浮く理由発展

理科年表では鉄の密度が7.87g/cm³なのに対し、水銀は13.55g/cm³もあります。密度が大きい液体の中では、それより密度の小さい固体は浮くので、重そうに見える鉄のかたまりも水銀の上では浮かんでしまいます。密度という「1cm³あたりの質量」の比べ合いが、浮き沈みを決めているのです。

出典:理科年表オフィシャルサイト「物質の密度」

太陽の光が届く時間は「速さ・距離・時間」で計算できる発展

JAXAによると地球と太陽の距離は約1億4960万km、光の速さは秒速約29万9792kmです。距離が一定なら、速さと時間はかけ算が一定になる反比例の関係で、距離÷速さで時間が求められます。実際に計算すると太陽の光は約8分19秒かけて地球に届きます。

出典:JAXA宇宙科学研究所キッズサイト ウチューンズ

同じ距離なら速さと時間は反比例発展

JAXAの数値を使うと、もし光より遅い乗り物で1億4960万kmを進むなら、速さを半分にすると時間は2倍かかります。道のりが一定のとき「速さ×時間=道のり」が一定になるため、速さと時間は反比例の関係です。速く進めるほど短い時間で着く、という日常の感覚が式で説明できます。

出典:JAXA宇宙科学研究所キッズサイト ウチューンズ