角の二等分線
点から辺までの距離は、点から辺に下ろした垂線の長さで考える。
作図手順
- O を中心に、適当な半径の円弧を描き、2辺との交点 P、Q を作る
- P と Q を中心に、同じ半径で2つの円弧を描き、その交点を R とする
- O と R を結ぶ直線(半直線)が 角の二等分線
点を通る垂線
2パターンあります:
- 直線上の点 P を通る垂線
- 直線外の点 P から下ろす垂線
パターン1:直線上の点を通る垂線
これは 180°の角の二等分と考えると同じ作図でできます。
- P を中心に、適当な半径で円弧を描き、直線 l との交点 A、B をつくる(PA = PB の状態)
- A と B を中心に、同じ半径(PA より大きい)で円弧を描き、交点を C とする
- P と C を結ぶ直線が、l の P における垂線
パターン2:直線外の点から下ろす垂線
- P を中心に、直線 l と 2点で交わる大きさの円弧を描く。交点 A、B を作る
- A と B を中心に、同じ半径で円弧を描き、交点を作る(P と反対側に作るのが分かりやすい)
- P と交点を結ぶ直線が 垂線。これが直線 l と垂直に交わる
3つの作図に共通する仕組み
気づいたかもしれませんが、3つの作図(垂直二等分線・角の二等分線・垂線)はすべて 「等距離」 の性質を使っています。
- 垂直二等分線:2点から等距離の点を見つける
- 角の二等分線:2辺から等距離の点を見つける
- 垂線:「2点から等距離」を応用
「コンパスは 同じ半径を作る道具」── この事実が「等距離」を生み出してくれるのです。
この章でつまずきやすいところ
角の二等分線や垂線の作図を読んでいる途中で、中学生は「線を半分」と「角を半分」を取り違えたり、コンパスの半径をそろえる意味を見失ったりしがちです。手順そのものより、何を等距離にしているかでつまずきを整理しましょう。
角の二等分線を「辺の長さの半分」と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の「角を等しい2つの角に分ける半直線」を読みながら、つい「2辺の真ん中を通る線」と頭の中で置きかえてしまう場面。図の半直線OR が辺AB の中点を通っていないことに気づかず、長さを半分にする線だと誤読してしまう。
- 克服のコツ:「半分にする対象」で見分ける。角の二等分線は角度を半分にする線で、辺の長さは半分にならない。一方、垂直二等分線は線分の長さを半分にする線。本文に「角を」と書いてあるか「線分を」と書いてあるかを毎回チェックする。
- ミニ例:∠AOB=60°のとき、二等分線OR を引くと∠AOR=∠ROB=30°になる。OA とOB の長さが等しくなるわけでも、AB の中点を通るわけでもない。
コンパスの半径を毎回変えてよいと思い込んでしまう
- つまずく場面:3ステップの作図手順を読んでいる途中、「適当な半径」「同じ半径」という言葉が混ざっていて、どこで半径を変えてよくてどこで変えてはいけないのか分からなくなる場面。P とQ を中心に弧を描くときに、ついコンパスを動かして別の幅にしてしまう。
- 克服のコツ:「同じ半径」の指示=等距離を作っていると因果でつかむ。最初にO を中心に描く弧は「適当な半径」でよいが、P とQ から描く2つの弧は必ず同じ半径。なぜなら、R がP からもQ からも等距離になることが二等分線の根拠だから。指示語を見たら理由まで戻る。
- ミニ例:O を中心に半径3cm の弧で交点P、Q を作ったあと、P を中心に半径4cm の弧を描いたら、Q を中心にも必ず半径4cm。片方だけ5cm にすると、交点R はもう角の二等分線上に来ない。
垂線を「直線上から立てる」と「直線外から下ろす」で同じ手順だと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文に垂線の作図が2種類続けて出てきて、どちらも「P を中心に弧を描く」から始まるため、手順が同じだと感じてしまう場面。直線上の点P のときと、直線外の点P のときで、最初の弧が直線l と交わる位置が違うことに気づきにくい。
- 克服のコツ:P と直線l の位置関係で見分ける。P がl 上にあるときは、P から左右に等距離の2点A、B を取って「180°の角の二等分」とみなす。P がl 外にあるときは、P を中心にl と交わるだけ大きい弧を描き、l 上に2交点A、B を作る。出発点は同じ「P 中心の弧」でも、A、B の作られ方が違う。
- ミニ例:直線l 上の点P から垂線を立てるときは、P から左右にPA=PB となるA、B をこちらで作る。直線外の点P から垂線を下ろすときは、l との交わりとして自然にA、B が決まる。
「定規で測ってもいい」と思い込んでしまう
- つまずく場面:練習問題で「コンパスと定規だけで」と書かれているのを読み、定規があるから長さを測ってよいと考えてしまう場面。垂線の長さをものさしで4cm に合わせようとしたり、二等分線の位置を分度器で30°にそろえようとしたりして、作図のルールから外れてしまう。
- 克服のコツ:道具ごとの役割で見分ける。作図では、定規は線を引くためだけに使い、目盛りは読まない。長さや等しさを作るのはコンパスの仕事で、「同じ半径」で円弧を描くことで等距離を生み出している。分度器も使わない。
- ミニ例:∠AOB の二等分線を引くとき、分度器で角度を測って真ん中に線を引くのは作図ではない。コンパスでP、Q、R を順に作り、定規でO とR を結んで初めて作図になる。
練習問題
- 角の二等分線の性質を答えなさい(角の2辺との関係)。
- 「コンパスと定規だけで」とはどういう意味か答えなさい。
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(1) 角の二等分線上の点は、角の2辺から等距離にある。
(2) 定規は 線を引くためだけに使い、長さを測らない(目盛りを使わない)。コンパスは円や円弧を描くために使う。
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① P を中心に、l と2点(A、B)で交わる円弧を描く
② A と B を中心に、同じ半径で円弧を描き、その交点を作る
③ P と交点を結ぶ直線が l に垂直な垂線
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解答例:3つの作図はすべて、コンパスを使って 同じ半径の円弧を描くことで「等距離」の性質を使っている。垂直二等分線は2点から等距離の点を見つけ、角の二等分線は2辺から等距離の点を見つける。垂線は、点から直線への等距離の関係を応用したもの。コンパスが「同じ半径」を作れることが、これらの作図を可能にしている。
まとめ
- 角の二等分線:角の2辺から等距離。O→2辺の交点→2つの交点→R を結ぶ。
- 垂線(点を通る):直線上の点なら「180°の二等分」、直線外の点なら「P を中心の円弧→交点を中心の円弧」。
- 3つの作図はすべて 「コンパスで等距離を作る」 という共通の原理。
- 作図のルール:定規は 長さを測らず、補助線は消さない。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
「角を3等分する」作図は実はできない発展
角を半分にする二等分線はコンパスと定規でかけますが、同じ道具で「角を3等分」する作図は、一般の角では絶対に不可能だと数学で証明されています。1837年にヴァンツェルがこれを証明し、古代ギリシャから2000年以上未解決だった難問に決着をつけました。
なぜ「目盛りのない定規」と決まっているの?発展
作図のルールでは、定規は線を引くためだけに使い、目盛りや分度器は使えないと厳密に決められています。これはコンパスと定規だけで「2次方程式を繰り返し解いて得られる長さ」しか作れないことが知られており、作図でできる・できないがこの数学のしくみで決まるからです。
垂線がいちばん短い道発展
点から直線へ下ろした垂線の長さは「点と直線の距離」と呼ばれ、点と直線上のどの点を結んだ線分よりも短い、つまり最短になります。逆に、最短になる線分は必ず直線と直角に交わるという性質があり、これが垂線の作図が役立つ理由のひとつです。
角の二等分線を3本ひくと1点に集まる発展
三角形の3つの内角それぞれに角の二等分線をひくと、3本はぴったり1点で交わり、この点を内心といいます。角の二等分線上の点は2辺から等距離という性質があるため、内心は三角形にぴったり内接する円(内接円)の中心になります。
出典:ウィキペディア「内接円」
三角形で地図の基準をつくる三角測量実生活
明治時代の地図づくりでは、離れた2点間の距離を正確に測り、もう1点を加えて三角形をつくって内角を測る「三角測量」が使われました。三角形の辺と角の関係を使えば、直接行けない地点までの距離や位置を計算でき、これが全国の三角点という基準のもとになりました。
