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角錐・円錐の体積と表面積 ── 1/3 と母線の関係

先がとがった立体 ── 角錐と円錐。体積は 同じ底面・同じ高さの柱体の 1/3 という、覚えやすくも不思議な公式。表面積では 円錐の側面がおうぎ形 になる仕組みもポイントです。

錐体の体積:柱体の 1/3

公式
錐体の体積

体積 = 底面積 × 高さ × (1/3)

柱体の体積(底面積×高さ)の 1/3。これは数学的に証明できる事実(高校で詳しく)。

例題

例1:底面が一辺 6cm の正方形、高さ 9cm の四角錐

底面積 = 6×6 = 36 cm²

体積 = 36 × 9 × (1/3) = 108 cm³

→ 108 cm³

例2:底面の半径 3cm、高さ 8cm の円錐

底面積 = π × 9 = 9π cm²

体積 = 9π × 8 × (1/3) = 24π cm³

→ 24π cm³

角錐の表面積

角錐の表面積は、底面 + 側面の三角形を全部足す。側面の三角形は4つ(四角錐なら)あって、それぞれ計算します。

例3:底面が一辺 6cm の正方形、側面の三角形の高さが 5cm の四角錐

底面積 = 6×6 = 36 cm²

側面の三角形1つ = 6×5÷2 = 15 cm²、 4つで 60 cm²

表面積 = 36 + 60 = 96 cm²

円錐の表面積

円錐の表面積は 底面の円 + 側面のおうぎ形。注意ポイント:側面はおうぎ形ということ。

円錐の表面積
底面 + 側面(おうぎ形)
  • 底面:πr²
  • 側面(おうぎ形):半径 = 母線の長さ ℓ、弧の長さ = 底面の円周 2πr
  • 側面積 = おうぎ形の面積 = π × ℓ × r (r は底面の半径、ℓ は母線)
円錐の側面 = おうぎ形 母線 ℓ 底面 半径 r → 側面(おうぎ形) 半径 = ℓ 弧 = 2πr
図1:円錐を切り開くと側面はおうぎ形

母線(ぼせん)とは

用語
母線(ぼせん)
円錐の 頂点から底面の円周への斜めの線の長さ。記号 ℓ(エル)。

円錐の 高さ は頂点から底面へ垂直に下ろした距離、母線 は側面を通る斜めの距離です。体積では高さ、側面積では母線を使うので、同じ「長さ」でも役割が違います。

例題

例4:底面の半径 3cm、母線の長さ 5cm の円錐

底面積 = π×9 = 9π cm²

側面積 = π × 5 × 3 = 15π cm²

表面積 = 9π + 15π = 24π cm²

側面のおうぎ形の中心角

円錐の側面(おうぎ形)の中心角 a° は、弧 = 2πr、半径 = ℓから求められます。

2π ℓ × (a/360) = 2πr

→ a/360 = r/ℓ(中心角は r/ℓ の割合)

例:r=3、ℓ=5 → 中心角 = 360 × (3/5) = 216°

つまずきポイント
  • 1/3 を忘れない:錐体の体積は柱体と同じく「底面積×高さ」を計算してから、最後に1/3。
  • 母線と高さの違い:円錐の高さは 真上から下までの垂直距離、母線は 頂点から底面の縁までの斜めの距離。混同しない。
  • 側面はおうぎ形:円錐の側面が 三角形ではなくおうぎ形だと忘れがち。
  • 三平方の定理(中3)が使えれば、母線・半径・高さは ℓ²= r²+h² の関係。

この章でつまずきやすいところ

角錐・円錐の体積と表面積は、公式そのものより「どの長さを使うか」で迷いやすい単元です。本文や問題文を読み進める途中で、生徒が立ち止まりやすい具体場面を整理します。

「底面積×高さ」で計算を終わらせてしまう

  • つまずく場面:四角錐や円錐の体積を求めているのに、問題文を読み終えた直後に「底面積×高さ」だけで止まり、答えを出した気になってしまう。柱体と錐体の公式の差を意識せず、最後の ×1/3 を書き忘れる場面。
  • 克服のコツ:因果関係で整理する。錐体は「同じ底面・同じ高さの柱体の3分の1」だから、必ず最後に1/3を掛ける。途中式で「底面積×高さ」を書いたら、その下に「×1/3」を続けて書くクセをつけると、書き忘れを物理的に防げる。
  • ミニ例:底面が一辺6cmの正方形、高さ9cmの四角錐なら、36×9=324 で止めず、324×1/3=108cm³ まで進める。

母線をそのまま「高さ」に代入してしまう

  • つまずく場面:円錐の図に「母線5cm」とだけ書かれている問題で、体積を求めようとして、母線の長さ5cmを公式の高さhに入れてしまう。側面の斜めの線と、頂点から底面に垂直に下ろした線の区別が、本文を読む途中で曖昧になる場面。
  • 克服のコツ:位置関係で見分ける。高さは底面に対して垂直に立つ線で図の内部、母線は側面上の斜めの線で図の輪郭にある。体積では高さh、側面積では母線ℓを使う、と用途まで結び付けて覚える。
  • ミニ例:「底面の半径3cm、母線5cm」とだけある円錐では、体積はまだ求められない。側面積なら π×5×3=15π cm² と母線を使う計算ができる。

円錐の側面を三角形のつもりで計算してしまう

  • つまずく場面:円錐の表面積を求める途中、側面を「頂点と底面の円でできた三角形」と思い込み、底辺×高さ÷2で側面積を出そうとしてしまう。展開図を頭に思い浮かべる前に、立体の見た目の印象で式を立ててしまう場面。
  • 克服のコツ:因果関係で整理する。円錐を切り開くと側面はおうぎ形になり、その半径は母線ℓ、弧は底面の円周2πrに対応する。だから側面積はπℓrで、三角形の式は使えない。展開図を一度かいてから式に進む。
  • ミニ例:底面の半径3cm、母線5cmの円錐の側面積は π×5×3=15π cm²。これに底面 π×9=9π cm² を足して、表面積は 24π cm²。

角錐の側面の三角形の枚数を数え忘れる

  • つまずく場面:四角錐の表面積を求めている途中、側面の三角形の面積を「6×5÷2=15cm²」と出した時点で、それを側面積として扱ってしまう。問題文に「四角錐」とあるのに、合同な三角形が何枚あるかを最初に確認しない場面。
  • 克服のコツ:時系列で手順を固定する。①底面の形を読み取る → ②側面の三角形が何枚かを数える(三角錐3枚・四角錐4枚など) → ③三角形1枚の面積を求める → ④枚数を掛ける → ⑤底面を足す、の順で進めると数え忘れない。
  • ミニ例:底面が一辺6cmの正方形、側面の三角形の高さ5cmの四角錐なら、三角形1枚は 15cm²、4枚で 60cm²、底面36cm²を足して表面積96cm²。

練習問題

問題1(角錐)
底面が一辺 5cm の正方形、高さ 9cm の四角錐の体積を求めなさい。
答えを見る

底面積 = 25 cm²、 体積 = 25×9×(1/3) = 75 cm³

問題2(円錐の体積)
底面の半径 4cm、高さ 9cm の円錐の体積を求めなさい。
答えを見る

底面積 = 16π cm²、 体積 = 16π×9×(1/3) = 48π cm³

問題3(円錐の表面積)
底面の半径 6cm、母線の長さ 10cm の円錐の表面積を求めなさい。
答えを見る

底面積 = π×36 = 36π cm²

側面積 = π×10×6 = 60π cm²

表面積 = 36π + 60π = 96π cm²

まとめ

  • 錐体の体積:底面積 × 高さ × (1/3)。柱体の1/3。
  • 角錐の表面積:底面 + 側面の三角形(複数)。
  • 円錐の表面積:底面 πr² + 側面のおうぎ形 πℓr。
  • 側面のおうぎ形の中心角=360°×(r/ℓ)。
  • 母線(ℓ)と高さ(h)は別物。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

クフ王のピラミッドは巨大な四角錐実生活

エジプトのギザにあるクフ王のピラミッドは、底面が一辺約230mの正方形で、建造当時の高さは約146mあったとされる四角錐です。底面積に高さをかけて3で割れば体積が見積もれ、教科書の角錐の公式がそのまま使えます。

出典:ウィキペディア日本語版「ギザの大ピラミッド」

アルキメデスが愛した「円錐・球・円柱=1:2:3」発展

古代ギリシャのアルキメデスは、同じ半径と高さをそろえた円錐・球・円柱の体積がきれいに1:2:3になることを発見しました。彼はこの結果をとても誇りに思い、円柱に内接する球の図を自分の墓に刻むよう望んだと伝えられています。

出典:ウィキペディア日本語版「球と円柱について」

なぜ1/3なのか ── カバリエリの原理発展

錐体の体積が同じ底面・高さの柱体の3分の1になることは、17世紀の数学者カバリエリが見つけた原理で説明できます。これは「平行な平面で切った断面の面積がつねに等しければ、二つの立体の体積も等しい」という考え方で、微分積分が生まれる前に体積を比べる強力な道具でした。

出典:コトバンク(日本大百科全書)「カバリエリの原理」

砂時計の砂山と「安息角」実生活

砂をこぼして積もらせると、自然と円錐の形の山ができます。このときの斜面の角度を安息角といい、乾いた砂ではおよそ34度になることが知られています。円錐の高さや母線を考えるとき、こうした実際の傾きが手がかりになります。

出典:ウィキペディア日本語版「安息角」

ロケットの先端はなぜ円錐形か実生活

ロケットや飛行機の先端にある円錐状の部分はノーズコーンと呼ばれ、空気の流れを整えて空気抵抗を小さくする働きをしています。円錐は先がとがり側面がなめらかな立体なので、高速で進む乗り物の先頭に向いているのです。

出典:日本機械学会 機械工学事典「ノーズコーン」