球とはどんな立体か
- 球は、半円をその直径を軸として1回転させるとできる。
- どの向きから見ても、投影図は円になる。
- 平面で切ると、切り口は円になる。
- 中心を通る平面で切ったとき、切り口の円がもっとも大きい。
- 公式に入れるのは 半径 r。
- 直径が与えられたら、必ず2で割って半径に直す。
- 直径 10cm の球なら、r = 5cm。
球の公式
体積 V = (4/3) π r³
表面積 S = 4 π r²
r は球の半径。
球は展開図を平面にきれいに広げにくい立体なので、円柱や円錐のように展開図から表面積を直接求めるのは難しいです。そのため、中1では球の体積と表面積の公式を使って計算できるようにします。
- 体積は「空間の量」なので、単位は cm³。公式にも r³ が出る。
- 表面積は「表面の広さ」なので、単位は cm²。公式にも r² が出る。
- 体積と表面積は、数値が似ていても単位が違うため、意味はまったく別。
覚え方のコツ
- 体積:身の上に心配あ〜るの 3乗(4/3 π r³)
- 表面積:心配ある事情(4 π r²)
- 体積はr3(立方センチ→cm³ と同じ次元)、表面積はr2(平方センチ→cm² と同じ次元)── 単位とつながる
例題で慣れる
体積 V = (4/3)π × 3³ = (4/3)π × 27 = 36π cm³
表面積 S = 4π × 3² = 4π × 9 = 36π cm²
※ 偶然、半径3のときは体積(数値)と表面積(数値)が同じ。
直径 10cm なので、半径 r = 5cm。
体積 V = (4/3)π × 5³ = 500π/3 cm³
表面積 S = 4π × 5² = 100π cm²
※ 直径10をそのまま r に入れない。
球の切り口
球を平面で切ると、切り口は必ず円になります。中心を通るように切ると、切り口の円の半径は球の半径と同じになり、最も大きな円になります。
- 中心を通る切り口:半径 r の円、面積は πr²
- 中心からずれた切り口:半径は r より小さい円
- 半球の切り口:中心を通る大きな円
体積 = (4/3)π × 216 = 288π cm³
表面積 = 4π × 36 = 144π cm²
半球(はんきゅう)の問題
球を半分にした立体を 半球といいます。
体積:球の半分 → (4/3)πr³ × (1/2) = (2/3) π r³
表面積:球の半分の 曲面 + 切り口の円(底面)
= 4πr² × (1/2) + πr²
= 2πr² + πr² = 3 π r²
- 球の半分の曲面(2πr²)だけでは 表面積として不完全。
- 切り口の円(πr²)も 足す 必要がある。
- 合計 3πr² が半球の正しい表面積。
立体の組み合わせ問題
テストでよく出る応用:「半球と円柱」「円錐と半球」など、複数の立体を組み合わせた図形の体積・表面積。
体積 = 半球の体積 + 円錐の体積
表面積 = 半球の曲面 + 円錐の側面(切り口の円は内部に隠れるので不要)
- 図を見て、どの基本立体に分解できるか判断
- 各立体の体積・表面積を計算
- 体積は単純に 足し算
- 表面積は 外側に出る部分だけ足す(接合部は除く)
この章でつまずきやすいところ
球の問題は、半径rを正しく読めるかで結果が決まります。公式を眺めている途中で「直径か半径か」「2乗か3乗か」「半球の底面は足すのか」と手が止まる場面に絞って整理しました。
直径をそのまま r に入れてしまう
- つまずく場面:「直径10cmの球の体積を求めよ」と書かれているのを読んだ瞬間、公式の r に10を入れたくなって手が止まる場面。図には直径の長さしか書かれていないことも多く、半径への変換を飛ばしがちです。
- 克服のコツ:見分け方:問題文に出てくる長さが 「直径」か「半径」か を、式を立てる前に必ず確認する。直径と書かれていたら、まず2で割って半径を作ってから公式へ。公式の r はいつでも半径と決めて、直径のまま代入しない。
- ミニ例:直径10cmなら、まず r = 10 ÷ 2 = 5cm に直してから、V = (4/3)π × 5³ = 500π/3 cm³。直径のまま10を入れて (4/3)π × 1000 にしないこと。
表面積なのに r を3乗してしまう
- つまずく場面:公式を「4πr² と 4/3πr³」とまとめて覚えたあと、いざ表面積の計算をしている途中で「3乗だっけ、2乗だっけ」と迷い、つい r³ を書いてしまう場面。体積と表面積を並べて見たときに混ざりやすいです。
- 克服のコツ:位置関係(次元)で見分ける:表面積は「広さ」だから単位は cm²、だから式の r も 2乗。体積は「かさ」だから単位は cm³、だから r は 3乗。求めたいものの単位を先に書いてから式を立てると、指数のミスが減ります。
- ミニ例:半径3cmの球の表面積は S = 4π × 3² = 36π cm²。ここで 3³ = 27 を使うと、たまたま体積と同じ 36π になってしまい間違いに気づきにくいので要注意。
半球の表面積で切り口の円を忘れてしまう
- つまずく場面:半球の表面積を求める問題で、「球の表面積の半分だから 4πr² ÷ 2 = 2πr² だ」と書いて終わってしまう場面。立体を上から見ているうちに、切り口の平らな円が「表面の一部」だと意識から抜けます。
- 克服のコツ:位置関係で整理:半球の表面は 外側のまるい曲面と、下側の平らな切り口の円の2つに分かれる。曲面は 4πr² の半分で 2πr²、切り口は半径 r の円で πr²。両方とも「外から触れる面」なので 合計 3πr² が正解。
- ミニ例:半径5cmの半球の表面積は、曲面 2π × 5² = 50π と底面 π × 5² = 25π を足して 75π cm²。曲面だけの 50π で止めない。
組み合わせ立体で隠れた面まで足してしまう
- つまずく場面:「半球の上に同じ半径の円錐をのせた立体の表面積」を読んでいる途中、半球の表面積 3πr² と円錐の表面積をそのまま足したくなる場面。接している円が外から見えないことに気づかず、内側の面まで数えてしまいます。
- 克服のコツ:位置関係で確認:組み合わせ立体の表面積は 外から見える部分だけを足す。接合部の円は内部に隠れるので数えない。体積は単純な足し算でよいが、表面積は「外に出ているか/中に隠れているか」を図でひとつずつ確かめる。
- ミニ例:半径 r の半球+同じ半径の円錐なら、表面積は 半球の曲面 2πr² + 円錐の側面のみ。半球の底面の円と円錐の底面の円は くっついて内側に隠れるので足さない。
練習問題
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体積 = (4/3)π×64 = 256π/3 cm³
表面積 = 4π×16 = 64π cm²
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体積 = (2/3)π×125 = 250π/3 cm³
表面積 = 3π×25 = 75π cm²(曲面 50π + 底面 25π)
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直径 12cm → 半径 6cm
表面積 = 4π × 36 = 144π cm²
※ 直径と半径を混同しないこと。半径 = 直径÷2。
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中心を通る切り口は、半径 7cm の円。
面積 = π×7² = 49π cm²
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半径は 4cm。
体積 = (4/3)π×4³ = 256π/3 cm³
直径 8cm をそのまま r に入れると誤り。
まとめ ── 6章のおさらい
- 球の体積:V = (4/3) π r³、表面積:S = 4 π r²。
- 球は、半円を直径を軸に1回転させるとできる。
- 球を平面で切ると切り口は円。中心を通る切り口が最も大きい。
- 半球:体積は球の1/2、表面積は 曲面 + 切り口の円 = 3πr²。
- 組み合わせ問題は分解して足す。表面積は外に出る部分だけ。
- 6章の流れ:立体の種類 → 投影/展開 → 位置関係 → 角柱・円柱 → 角錐・円錐 → 球。
- 次章「7章 データの分析と活用」で、統計の入り口を学ぶ。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
アルキメデスが誇った「球は円柱の2/3」発展
古代ギリシャの数学者アルキメデスは、球がそれにぴったり外接する円柱の体積の3分の2になることを証明しました。半径rの球(体積4/3πr³)と、高さ2rの円柱(体積2πr³)を比べると、たしかに2:3になります。彼はこの発見をとても誇りに思い、円柱の中に球が入った図を自分の墓に刻ませたと伝えられています。
ガスタンクが球形なのは強さの工夫実生活
LPガスやアンモニアを高い圧力で貯める球形タンクは、内側からの圧力を球の表面全体に均一に受け止められるため、形がゆがみにくく合理的です。同じ体積なら表面積が最も小さい立体が球なので、必要な鋼板も少なく済み、材料費を抑えられます。公式4πr²が「最も小さい表面」を表していることが、実物の設計に生きています。
シャボン玉が丸くなる理由実生活
シャボン玉は、膜が表面積をできるだけ小さくしようとする表面張力という力ではたらきます。決まった量の空気を包むとき、表面積が最も小さくなる形が球なので、シャボン玉は自然と丸い形に落ち着きます。同じ体積なら球の表面積4πr²が最小になるという性質が、身近な現象に現れています。
サッカーボールは本当は球ではない発展
昔ながらの白黒のサッカーボールは、正二十面体の角を切り落とした切頂二十面体という立体がもとになっていて、12枚の正五角形と20枚の正六角形、合わせて32枚の面でできています。球のように見えますが正確には多面体で、空気を入れてふくらませることで球に近づけています。球の表面を平面で覆う工夫の一例です。
地球は完全な球ではない実生活
地球は半径だけで形が決まる球に近いですが、自転の影響で赤道方向にわずかにふくらんだ回転楕円体です。国立天文台のデータでは、赤道半径が約6378km、極半径が約6357kmで、その差は約21kmあります。半径rが場所で少しちがうため、4/3πr³や4πr²をそのまま使うと近似になります。
