なぜ整理が必要?
例えばクラス29人の身長データが「150, 162, 158, 145, 167, …」と並んでいたとして、どこに集中しているか・大きい人や小さい人がどれくらいいるかをパッと見で判断できません。
そこで 「ある範囲ごとに何人いるか」 をまとめた表を作ると、データの全体像が見えるようになります。これが 度数分布表です。
度数分布表の用語
度数分布表の例
度数分布表の作り方
- データの最大・最小を見る:例 140〜164cm
- 階級の幅を決める:例 5cm(データ数が多いほど大きく、少ないほど小さく)
- 階級を作る:「140以上145未満」のように 「○○以上 △△未満」で書く(同じ値の重複を防ぐ)
- 各階級の度数を数える:データを1つずつ振り分ける
「以上」「未満」の使い分け
- 「150以上 155未満」と書けば、150 はこの階級に入る、155 は次の階級に入る。
- こうすることで、ちょうど境界の値が どちらか一方だけ に入る(重複しない)。
- 「以下」を使うと境界が両方に入ってしまうので、度数分布表では 「以上 〜 未満」が標準。
適切な階級の幅
- 小さすぎると階級が増えすぎて、表が大きくなりすぎる
- 大きすぎると階級が少なすぎて、データの特徴が見えなくなる
- 目安:階級が 5〜10個くらいになる幅を選ぶ
この章でつまずきやすいところ
度数分布表は、表の形は単純なのに、読み取りの途中で「境目の値はどっち?」「階級値ってどこ?」と手が止まりやすい単元です。ここでは、本文や練習問題を見ている途中で起きがちな迷いを取り上げます。
境界値「155」をどちらの階級に入れるか迷う
- つまずく場面:「150以上155未満」「155以上160未満」の2つの階級が並んでいて、155という値を振り分ける場面で、両方に入れたくなったり、どちらにも入れず飛ばしてしまったりして、本文の意味と手元の作業が一致せずに止まってしまう。
- 克服のコツ:位置関係で覚える。「以上」はその値を含む、「未満」はその値を含まない。だから155は「155以上160未満」の側にだけ入る。「150以上155未満」を読むときも、左端の150は入る・右端の155は入らない、と左右で扱いが違うことを意識する。
- ミニ例:「150以上155未満」「155以上160未満」のとき、150は左の階級、155は右の階級。境界値はかならずどちらか一方にだけ入る。
階級値を階級の端の値だと思い込んでしまう
- つまずく場面:練習問題で「40以上50未満の階級値を答えなさい」と読んだ瞬間、40や50をそのまま答えそうになる。階級の名前に出てくる数字が目に強く残り、「真ん中の値」という定義を思い出す前に手が動いてしまう場面。
- 克服のコツ:見分け方として、階級値は「階級を代表する1点」と覚える。端の値ではなく、下端と上端を足して2で割った値が階級値。後で平均値の計算に使う代表点なので、必ず階級の中央にくる。
- ミニ例:「40以上50未満」の階級値は(40+50)÷2=45。「150以上155未満」なら152.5。端の40や50・150や155ではないことに注意。
度数と割合を混同して人数を比で答えそうになる
- つまずく場面:身長の度数分布表を読んでいる途中で「152.5cmの階級が一番多い」と確認したあと、「だいたい3割くらい」という感覚と「8人」という個数が頭の中で混ざり、表の度数欄に何を書けばよいか一瞬迷う場面。
- 克服のコツ:見分け方として、度数の単位を意識する。度数は「個」「人」など個数で、割合は小数や%で表す。度数分布表の「度数」列にはあくまで個数(人数)を書き、比率は別に求める相対度数の話だと切り分ける。
- ミニ例:クラス29人で「150以上155未満」が8人なら度数は8。これを「全体の何割か」にすると8÷29で約0.28となり、これは度数ではなく割合の値。
度数の合計と元のデータ数の一致確認を忘れてしまう
- つまずく場面:練習問題で身長データを階級に振り分け終え、表ができたところで安心して次の問題に進みそうになる。だがどこかで1人数え漏らしていても、表だけ見ると一見きれいに整っているように見えてしまい、誤りに気づけない場面。
- 克服のコツ:因果関係で押さえる。表を作ったら必ず度数の合計を計算し、元のデータ数と一致するか確かめる。一致しなければ、どこかで境界値の判定ミスか数え漏らしが起きている、という流れで原因をたどる。
- ミニ例:29人の身長を集計して、表の度数が2+5+8+10+4=29になれば確認OK。もし28や30になったら、境界値の振り分けか数え漏らしを疑って見直す。
練習問題
- 階級
- 階級の幅
- 度数
- 階級値
答えを見る
(1) 階級:データを区切る範囲(区間)。
(2) 階級の幅:階級1つの大きさ(区間の幅)。ふつうは同じ幅にする。
(3) 度数:それぞれの階級に含まれるデータの個数(人数)。
(4) 階級値:階級の真ん中の値。
- 40 以上 50 未満
- 155 以上 160 未満
- 0 以上 10 未満
答えを見る
(1) (40+50)÷2 = 45
(2) (155+160)÷2 = 157.5
(3) (0+10)÷2 = 5
- 153
- 155
- 159.5
答えを見る
(1) 150以上 155未満(150〜155のあいだ)
(2) 155以上 160未満(155は「155以上」に入る、未満は含まない)
(3) 155以上 160未満(159.5は160未満)
まとめ
- たくさんのデータを把握するための表が 度数分布表。
- 4つの用語:階級・階級の幅・度数・階級値。
- 階級の書き方は 「以上 〜 未満」。境界値の重複を防ぐ。
- 階級値 = 階級の真ん中の値(後で平均値計算に使う)。
- 階級の数は5〜10個が目安。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
「平均」より下に多くの世帯がある ── 所得の度数分布実生活
厚生労働省の2024年(令和6年)国民生活基礎調査では、世帯の所得を「100〜200万円未満」のような階級ごとに整理しています。1世帯あたりの平均所得は536万円ですが、それより少ない世帯が全体の61.9%を占め、ちょうど真ん中の中央値は410万円でした。度数分布表にすると、平均値とデータが集まっている場所がずれることが目で見て分かります。
ヒストグラムでは「面積」が度数を表す発展
総務省統計局によると、度数分布表をもとに作るヒストグラムは、棒の高さではなく面積が度数を表しています。そのため、すべての階級の幅を同じにすれば高さがそのまま度数になりますが、もし階級の幅を変えるときは、面積がそろうように高さを調整する必要があります。
気象庁のデータで気温の度数分布表を作ってみる実生活
気象庁の「過去の気象データ検索」では、各地の毎日の最高気温などを誰でも調べられ、CSVで取り出すこともできます。1か月分の最高気温を「25℃以上30℃未満」のような階級に分けて数えれば、自分で度数分布表が作れます。教科書の身長の表と同じ作り方で、本物の観測データの散らばりを調べられます。
度数分布表からおよその平均値を計算できる発展
もとの一つ一つの数値が分からなくても、度数分布表からは平均値をおよそ求められます。各階級の階級値(真ん中の値)にその度数をかけて全部たし、度数の合計で割ります。これは「その階級のデータはすべて階級値だった」とみなす考え方で、階級値が代表値として使われる理由です。
国の調査も「階級ごとに数える」表でできている実生活
総務省統計局の統計用語辞典では、度数とは「各階級に属するものの個数」、度数分布表とは「データがどのように散らばっているかを示す表」と説明されています。国勢調査や家計調査など、何百万人もを対象にした統計も、年齢や所得を階級ごとに数える度数分布表で全体像を伝えています。みんなが習う作り方が、国の統計とまったく同じ考え方です。
