中学生の学習ノート教科書をもう一段くわしく

気体の発生と性質 ── 酸素・二酸化炭素・水素・アンモニア

中1理科で出てくる気体は、まず4種類だけ覚えれば十分です。酸素・二酸化炭素・水素・アンモニア。それぞれ「どうやって作るか」「どんな性質か」「どうやって集めるか」がセットで問われます。バラバラに暗記すると混乱しますが、水への溶けやすさ空気と比べた重さの2つを軸に整理すると、集め方まで自動的に決まることが分かります。

気体を3つの観点で見分ける

気体は色もにおいもないものが多いので、目で見ただけでは区別できません。教科書では次の3つの観点で気体を比べます。

観点1
色・におい
無色・無臭が多いが、アンモニアは鼻をつく刺激臭塩素は黄緑色のように特徴がある気体もある。
観点2
水への溶けやすさ
水に溶けにくいか、少し溶けるか、よく溶けるか。これで 集め方 が決まる。
観点3
空気と比べた重さ(密度)
空気より軽いか、重いか。水に溶ける気体を集めるとき、軽ければ上方、重ければ下方に集める。
性質から集め方が決まる
  • 水に 溶けにくい水上置換法(水と置きかえる)
  • 水に 溶けやすく、空気より 軽い上方置換法
  • 水に 溶けやすく、空気より 重い下方置換法

水上置換法は、気体が水と入れかわるので 純粋に集められて確認しやすい という利点があります。だから、水に溶けにくい気体はできるだけ水上置換法で集めるのが基本です。

酸素 O₂

体育の授業や登山で「酸素が薄い」と言うあの気体です。私たちが呼吸で取り入れている主役。

気体1
酸素(O₂)
発生方法二酸化マンガンうすい過酸化水素水(オキシドール) を加える。二酸化マンガンは反応を助ける役(触媒)で、それ自身は変化しない。
性質:色なし、においなし、水に溶けにくい、空気より少し重い。
特徴的な反応:火のついた線香を入れると 炎を出して激しく燃える(助燃性)。酸素自身が燃えるのではなく、ほかのものを燃やすのを助ける。
集め方:水に溶けにくいので 水上置換法
用途:呼吸、医療用の酸素ボンベ、ロケットやガスバーナーの燃焼。

二酸化炭素 CO₂

呼吸で吐き出す気体、炭酸飲料の泡、ドライアイス。すべて二酸化炭素です。

気体2
二酸化炭素(CO₂)
発生方法石灰石(または貝がら・卵のから)に うすい塩酸 を加える。石灰石の主成分は炭酸カルシウムで、塩酸と反応して二酸化炭素が出る。
性質:色なし、においなし、少し水に溶ける、空気より重い
特徴的な反応石灰水(水酸化カルシウムの水溶液)に通すと白くにごる。これは二酸化炭素であることを確認する重要な反応。水溶液は炭酸水で、弱い酸性を示す。
集め方:少しは水に溶けるが、ほぼ水上置換法で集められる。空気より重いので 下方置換法 も使える。
用途:消火器、炭酸飲料、ドライアイス(固体の二酸化炭素)。

水素 H₂

すべての気体の中でいちばん軽く、宇宙でも一番たくさんある元素。燃料電池の主役でもあります。

気体3
水素(H₂)
発生方法亜鉛(鉄やマグネシウムでも可)に うすい塩酸 を加える。金属が塩酸に溶けるとき、水素が泡となって出てくる。
性質:色なし、においなし、水に溶けにくい、気体の中で一番軽い(空気よりずっと軽い)。
特徴的な反応:火を近づけると 「ポン」と音を立てて爆発的に燃える。燃えたあとに残るのは (H₂O)。つまり水素+酸素 → 水。
集め方:水に溶けにくいので 水上置換法
用途:燃料電池車、ロケット燃料、化学工業の原料。燃やしても水しか出ないクリーンな燃料として注目されている。

アンモニア NH₃

つんとくる刺激臭で有名。トイレの掃除や肥料の原料にも使われています。

気体4
アンモニア(NH₃)
発生方法塩化アンモニウム水酸化カルシウム を混ぜて加熱する(実験では塩化アンモニウムに水酸化ナトリウム水溶液を加える方法もある)。
性質:色なし、鼻をつく刺激臭、水に 非常によく溶ける、空気より軽い。
特徴的な反応:水溶液は アルカリ性。赤色リトマス紙を 青色 に変える。フェノールフタレイン液を加えると赤くなる。
集め方:水に非常に溶けやすく、空気より軽いので 上方置換法。水上置換法は使えない(水に吸い込まれてしまう)。
用途:肥料の原料、冷却剤、洗浄剤。
つまずきポイント:水に溶ける気体は水上置換法が使えない
  • アンモニアを水上置換法で集めようとすると、出てきたそばから水に吸い込まれてしまい、ほとんど集まらない。
  • だから「水に溶けやすい気体」は、水を使わず、空気と置きかえる方法(上方/下方置換法)で集める。
  • 軽いか重いかで上方/下方が決まる。アンモニアは軽い → 上方、塩素は重い → 下方。

集め方の3パターン

性質と集め方の対応を表にまとめると、4つの気体の集め方の理由がはっきり見えてきます。

3つの集め方と当てはまる気体

水上置換水に溶けにくい気体 → 酸素・水素・二酸化炭素

上方置換水に溶けやすく、空気より軽い気体 → アンモニア

下方置換水に溶けやすく、空気より重い気体 → 塩素(中3で扱う)、二酸化炭素も可

3つの集め方 水上置換法 水そう 気体 気泡 水に溶けにくい気体 → 酸素・水素・CO₂ 上方置換法 気体(軽い) ↑ 上にたまる 気体を下から入れる 水に溶けやすく軽い気体 → アンモニア 下方置換法 気体(重い) ↓ 下にたまる 気体を上から入れる 水に溶けやすく重い気体 → 塩素・CO₂も可
図1:3つの集め方と装置のイメージ

水上置換法は、集まった気体の量がメスシリンダーの目盛りで分かり、空気と混ざらず純粋にとれるという二重の利点があります。だから水に溶けない気体は迷わず水上置換法を選びます。

練習問題

問題1(性質と気体名)
次の性質を持つ気体の名前を答えなさい。
  1. 火のついた線香を入れると激しく燃える気体。
  2. 火を近づけると「ポン」と音を立てて燃え、燃えたあとに水ができる気体。
  3. 鼻をつく刺激臭があり、水溶液はアルカリ性を示す気体。
  4. 気体の中で一番軽い気体。
答えを見る

(1) 酸素(助燃性)

(2) 水素(燃えると水ができる)

(3) アンモニア(刺激臭・アルカリ性)

(4) 水素(空気よりずっと軽い)

問題2(発生方法)
次の気体を発生させるには、どんな薬品を組み合わせればよいか答えなさい。
  1. 酸素
  2. 二酸化炭素
  3. 水素
  4. アンモニア
答えを見る

(1) 二酸化マンガンうすい過酸化水素水(オキシドール) を加える。

(2) 石灰石(貝がら・卵のからでも可)に うすい塩酸 を加える。

(3) 亜鉛(鉄でも可)に うすい塩酸 を加える。

(4) 塩化アンモニウム水酸化カルシウム を混ぜて加熱する。

問題3(記述)
アンモニアを集めるとき、水上置換法ではなく上方置換法を使う理由を説明しなさい。
答えを見る

解答例:アンモニアは水に非常に溶けやすいので、水上置換法を使うと水に吸い込まれてしまい集めることができない。また、アンモニアは空気より軽いため、容器の上の方にたまる。そのため、容器の口を上に向け、空気を下に押し出すようにして集める 上方置換法 を使う。

まとめ

  • 気体は 色・におい/水への溶けやすさ/空気と比べた重さ の3観点で見分け、これらから集め方が決まる。
  • 酸素:二酸化マンガン+過酸化水素水。線香が激しく燃える。水上置換法。
  • 二酸化炭素:石灰石+うすい塩酸。石灰水を白くにごらせる。水上または下方置換法。
  • 水素:亜鉛+うすい塩酸。一番軽い。ポンと燃えて水ができる。水上置換法。
  • アンモニア:塩化アンモニウム+水酸化カルシウムを加熱。刺激臭・アルカリ性・上方置換法。