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地震 ── P波・S波・震度・マグニチュードと初期微動継続時間

地震が起きると、まず小さく「カタカタ」とゆれて、少し遅れて「ズシン」と大きくゆれます。これは速い波(P波)と遅い波(S波)が、別々のタイミングで届くからです。今回は、地震波の正体、初期微動継続時間から震源までの距離を出す 大森公式、そして中学生が混同しがちな 震度とマグニチュードの違いまで一気に整理します。緊急地震速報がなぜ「揺れる前」に通知できるのかも、しくみが分かれば一発で納得できます。

地震が起きるしくみ

地震は、地下で起きる「岩盤のずれ」によって発生します。流れはとてもシンプルです。

地震が起きるまでの4ステップ
  1. 地下の岩石に、ゆがみ(ひずみ)が少しずつたまっていく。
  2. ある瞬間、ゆがみに耐えきれず、岩盤がずれる。このずれの面を 断層 という。
  3. そのときの振動が、地震波として地中を四方八方に伝わる。
  4. 地震波が地表に達して、私たちは「ゆれ」として感じる。

つまり、地震は「ためたゆがみが一気に解放される現象」です。風船が割れるときのパチンと似ていて、長くたまったエネルギーが一瞬で振動に変わります。

震源と震央 ── 似ているけど別の言葉

地震の話でいちばん最初に区別したいのが、この2つの言葉です。

用語:震源(しんげん)
地下で岩盤がずれた場所
地震が 実際に発生した点。地表より深い、地中の点であることに注意。深さは数km〜数百kmまでさまざま。
用語:震央(しんおう)
震源の真上の地表の点
震源を地表に 真上から投影した点。ニュースで「震源地は〇〇沖」と地図に出るのは、正確にはこの震央のこと。
用語:震源距離/震源の深さ
距離の表し方2種類
震源距離=観測点から震源までの直線距離。震源の深さ=地表(震央)から震源までの垂直距離。

地震波には2種類ある ── P波とS波

地震計の波形をよく見ると、ゆれは1回ではなく 2段階で来ています。これは性質の違う2種類の波が、別の速さで届いているからです。

P波(Primary wave)
速い波・小さなゆれ
  • 速さ:毎秒5〜7km(とても速い)
  • ゆれ方:縦ゆれ・小さい振動
  • 正体:初期微動(地震計に最初に映る小さな波)
  • 波の種類:縦波(進行方向と振動方向が同じ)
S波(Secondary wave)
遅い波・大きなゆれ
  • 速さ:毎秒3〜4km(P波より遅い)
  • ゆれ方:横ゆれ・大きい振動
  • 正体:主要動(被害を起こす大きなゆれ)
  • 波の種類:横波(進行方向と振動方向が直交)

P波の方が速いので、観測点には 必ずP波が先に到着 します。少し遅れてS波が到着し、そのときに大きくゆれるという順番です。

図1:地震計に記録される波形 時間 → ゆれ (地震前・無振動) P波到着 初期微動 (小さなゆれ) S波到着 主要動 (大きなゆれ) 初期微動継続時間 (P波到着 〜 S波到着)
図1:P波と初期微動、S波と主要動。2つの波の到着時間差が「初期微動継続時間」。

初期微動継続時間と大森公式

P波が到着してからS波が到着するまでの時間を、初期微動継続時間 と呼びます。これがこの単元の主役です。

遠くで起きた地震ほど、速いP波と遅いS波の が大きく開きます。観測点で「P波が来てからS波が来るまで」を測れば、震源までの距離が分かるのです。

公式
大森公式(おおもりこうしき)

初期微動継続時間は、震源距離に比例する

震源から遠い観測点ほど、P波とS波の到着時刻の差が大きくなる。問題では、表やグラフから比例関係を読み取って震源距離を求める。

※「初期微動継続時間×8km」などの係数は、与えられた条件から使う目安。いつも固定で使う公式として丸暗記しない。

  • 初期微動継続時間が 10秒 の地点 → 震源距離 ≒ 10 × 8 = 80km
  • 初期微動継続時間が 5秒 の地点 → 震源距離 ≒ 5 × 8 = 40km
  • 近い地点ほど初期微動継続時間が 短い。震源直上ならゼロに近い。

緊急地震速報のしくみ

テレビやスマホで「ピロン、ピロン」と鳴る緊急地震速報。あれは未来予知ではなく、P波とS波の 速度差 を利用した、ものすごくシンプルなしくみです。

緊急地震速報の流れ

震源近くの観測点で、まず P波(速い・小さい)を検出する。

気象庁が瞬時に「これは大きな地震」と判定。

S波(遅い・大きい)が遠くの街に到達する に、全国へ通知。

受け取った人は、数秒〜数十秒の余裕で身を守る行動ができる。

P波が遅ければこのしくみは成り立ちません。「速いけど小さいP波」「遅いけど大きいS波」という性質の違いがあるからこそ、被害の前に警告を出せるわけです。

震度とマグニチュード(最大のひっかけポイント)

ここがテストでいちばん間違えるところです。「震度」と「マグニチュード」は完全に別物。よくある勘違いを先につぶしておきます。

絶対に混同してはいけない
  • 震度7マグニチュード7 はまったく別の数字。同じ「7」でも意味が違う。
  • 1つの地震に、マグニチュードは1つだけ。でも震度は、観測点ごとにいくつも違う値が出る。
用語:震度
その場所のゆれの大きさ
観測した 場所のゆれの大きさ を表す。日本では 震度0、1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、710段階。同じ地震でも、震源に近い場所は震度が大きく、遠い場所は小さい。
用語:マグニチュード(M)
地震そのものの規模
地震が放出した エネルギーの大きさ。1つの地震に対して値は1つ。M5.0、M7.3 のように小数点1桁で表される。マグニチュードが 1大きいとエネルギーは約32倍2大きいと約1000倍
具体例で違いを実感
  • M9.0の巨大地震でも、震源から遠い地点では震度2や3にしかならない。
  • M5.0の中規模地震でも、震源直上の真上では震度5強になることがある。
  • つまり「M=規模」「震度=その場所でのゆれ」と覚える。テレビでも「震源地は〇〇沖、マグニチュード7.0、最大震度5弱」のように、別々に報じている。

日本周辺で地震が多い理由 ── プレート

世界地図に地震の発生地点を書き込むと、ある場所に集中していることが分かります。日本はその集中地帯のど真ん中です。

  • 地球の表面は 十数枚のプレート(厚い岩板)に分かれていて、それぞれゆっくり動いている。
  • 日本列島の周辺は、4つのプレートの境界にあたる。
  • プレート同士が押し合う境界では、岩盤に ゆがみがたまりやすく、地震が起きやすい。
  • くわしいしくみは 04-05(プレートテクトニクス)で扱います。
図2:震源と震央の位置関係(地下の断面図) 空・地表 地下 震央 (地表の点) 震源の深さ 震源 (地下の発生点) 観測点A 観測点B 震源距離A 震源距離B 震央 = 震源の真上の地表の点(ニュースの地図に出る場所) 震源距離 = 観測点から震源までの直線距離(観測点ごとに違う)
図2:震源は地下、震央はその真上の地表。観測点ごとに震源距離は異なる。

練習問題

問題1(用語)
次の説明にあてはまる用語を答えなさい。
  1. 地下で岩盤がずれ、地震が発生した場所。
  2. 震源の真上にあたる、地表の点。
  3. P波が到着してからS波が到着するまでの時間。
  4. S波によって起こる、大きなゆれ。
  5. 地震そのもののエネルギーの大きさを表す値。
答えを見る

(1) 震源

(2) 震央

(3) 初期微動継続時間

(4) 主要動

(5) マグニチュード(記号M)

問題2(計算)
ある観測点で、初期微動継続時間が15秒だった。大森公式(震源距離 ≒ 初期微動継続時間 × 8)を使って、この地点から震源までのおよその距離を求めなさい。
答えを見る

震源距離 ≒ 15秒 × 8 = 120km

初期微動継続時間が長いほど、震源は遠い。逆に、震源直上に近い地点では初期微動継続時間はとても短い(0秒に近づく)。

問題3(記述)
次の問いに、それぞれ答えなさい。
  1. 「震度」と「マグニチュード」の違いを説明しなさい。
  2. 緊急地震速報が、強いゆれが来る前に通知できるしくみを説明しなさい。
答えを見る

(1) 解答例:震度は、観測した場所でのゆれの大きさを表す値で、震度0〜7の10段階で表される。同じ地震でも、観測点ごとに違う震度が出る。一方、マグニチュードは地震そのものが放出したエネルギーの大きさを表す値で、1つの地震につき1つの値しかない。マグニチュードが1大きいとエネルギーは約32倍になる。

(2) 解答例:地震が起きると、速いP波と遅いS波が同時に発生する。震源近くの観測点でまずP波を検出し、それをもとに気象庁が「これから大きなゆれが来る」と判定する。S波が遠くの街に到達する前に通知を出すことで、人々は数秒〜数十秒の余裕をもって身を守ることができる。P波とS波の速度差を利用したしくみである。

まとめ

  • 地震は、地下にたまったゆがみが 断層として一気にずれることで発生する。発生点が 震源、その真上の地表が 震央
  • 地震波には、速いが小さい P波(初期微動・縦波) と、遅いが大きい S波(主要動・横波) がある。
  • P波到着からS波到着までの時間が 初期微動継続時間大森公式「震源距離(km)≒ 初期微動継続時間(秒)× 8」で震源距離が分かる。
  • 緊急地震速報は、P波を先に検出してS波到達前に通知する、速度差を使ったシステム。
  • 震度=場所のゆれの大きさ(10段階)/ マグニチュード=地震そのもののエネルギー。「震度7」と「M7」は別物。