地震が起きるしくみ
地震は、地下で起きる「岩盤のずれ」によって発生します。流れはとてもシンプルです。
- 地下の岩石に、ゆがみ(ひずみ)が少しずつたまっていく。
- ある瞬間、ゆがみに耐えきれず、岩盤がずれる。このずれの面を 断層 という。
- そのときの振動が、地震波として地中を四方八方に伝わる。
- 地震波が地表に達して、私たちは「ゆれ」として感じる。
つまり、地震は「ためたゆがみが一気に解放される現象」です。風船が割れるときのパチンと似ていて、長くたまったエネルギーが一瞬で振動に変わります。
震源と震央 ── 似ているけど別の言葉
地震の話でいちばん最初に区別したいのが、この2つの言葉です。
地震波には2種類ある ── P波とS波
地震計の波形をよく見ると、ゆれは1回ではなく 2段階で来ています。これは性質の違う2種類の波が、別の速さで届いているからです。
- 速さ:毎秒5〜7km(とても速い)
- ゆれ方:縦ゆれ・小さい振動
- 正体:初期微動(地震計に最初に映る小さな波)
- 波の種類:縦波(進行方向と振動方向が同じ)
- 速さ:毎秒3〜4km(P波より遅い)
- ゆれ方:横ゆれ・大きい振動
- 正体:主要動(被害を起こす大きなゆれ)
- 波の種類:横波(進行方向と振動方向が直交)
P波の方が速いので、観測点には 必ずP波が先に到着 します。少し遅れてS波が到着し、そのときに大きくゆれるという順番です。
初期微動継続時間と大森公式
P波が到着してからS波が到着するまでの時間を、初期微動継続時間 と呼びます。これがこの単元の主役です。
遠くで起きた地震ほど、速いP波と遅いS波の 差 が大きく開きます。観測点で「P波が来てからS波が来るまで」を測れば、震源までの距離が分かるのです。
初期微動継続時間は、震源距離に比例する
震源から遠い観測点ほど、P波とS波の到着時刻の差が大きくなる。問題では、表やグラフから比例関係を読み取って震源距離を求める。
※「初期微動継続時間×8km」などの係数は、与えられた条件から使う目安。いつも固定で使う公式として丸暗記しない。
- 初期微動継続時間が 10秒 の地点 → 震源距離 ≒ 10 × 8 = 80km
- 初期微動継続時間が 5秒 の地点 → 震源距離 ≒ 5 × 8 = 40km
- 近い地点ほど初期微動継続時間が 短い。震源直上ならゼロに近い。
緊急地震速報のしくみ
テレビやスマホで「ピロン、ピロン」と鳴る緊急地震速報。あれは未来予知ではなく、P波とS波の 速度差 を利用した、ものすごくシンプルなしくみです。
①震源近くの観測点で、まず P波(速い・小さい)を検出する。
②気象庁が瞬時に「これは大きな地震」と判定。
③S波(遅い・大きい)が遠くの街に到達する 前に、全国へ通知。
④受け取った人は、数秒〜数十秒の余裕で身を守る行動ができる。
P波が遅ければこのしくみは成り立ちません。「速いけど小さいP波」「遅いけど大きいS波」という性質の違いがあるからこそ、被害の前に警告を出せるわけです。
震度とマグニチュード(最大のひっかけポイント)
ここがテストでいちばん間違えるところです。「震度」と「マグニチュード」は完全に別物。よくある勘違いを先につぶしておきます。
- 震度7 と マグニチュード7 はまったく別の数字。同じ「7」でも意味が違う。
- 1つの地震に、マグニチュードは1つだけ。でも震度は、観測点ごとにいくつも違う値が出る。
- M9.0の巨大地震でも、震源から遠い地点では震度2や3にしかならない。
- M5.0の中規模地震でも、震源直上の真上では震度5強になることがある。
- つまり「M=規模」「震度=その場所でのゆれ」と覚える。テレビでも「震源地は〇〇沖、マグニチュード7.0、最大震度5弱」のように、別々に報じている。
日本周辺で地震が多い理由 ── プレート
世界地図に地震の発生地点を書き込むと、ある場所に集中していることが分かります。日本はその集中地帯のど真ん中です。
- 地球の表面は 十数枚のプレート(厚い岩板)に分かれていて、それぞれゆっくり動いている。
- 日本列島の周辺は、4つのプレートの境界にあたる。
- プレート同士が押し合う境界では、岩盤に ゆがみがたまりやすく、地震が起きやすい。
- くわしいしくみは 04-05(プレートテクトニクス)で扱います。
この章でつまずきやすいところ
地震の単元は、似た言葉と数字が次々に出てくるため、本文を読んでいる途中で「あれ、どっちがどっちだっけ」と止まりがちです。ここでは、読みながら起きやすい4つの迷いを取り上げ、見分け方を整理します。
震源と震央を同じ場所と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「震源は地下の点、震央はその真上の地表の点」と読み、続いてニュース風の例で「震源地は〇〇沖」と出てきた瞬間に、結局どちらが地下でどちらが地表だったかが頭の中で入れ替わってしまう場面。
- 克服のコツ:位置関係で覚えるのがいちばん安全です。「震源」は源(みなもと)=発生した本体なので地下、「震央」は中央=真上の地表に投影した点と整理します。図2のように、震源から真上に線を伸ばして地表とぶつかった点が震央、と縦の関係でセットにすると迷いません。
- ミニ例:教科書では、地下で岩盤がずれた点が震源、その真上の地表の点が震央と整理します。地図に印が打たれているのは、正確にはほぼ震央の位置です。
P波が小さいゆれなのに「弱い地震」と思ってしまう
- つまずく場面:本文で「P波は速いが小さなゆれ、S波は遅いが大きなゆれ」と読み、地震計の波形の図を見たときに、最初の小さな波(初期微動)を見て「この地震は弱いんだな」と早合点してしまう場面。
- 克服のコツ:時系列で整理します。P波の小ささは地震そのものの弱さではなく、波の性質を表しているだけです。「速い波が先に小さく届き、遅い波があとから大きく届く」という順番をひとつのセットで覚え、初期微動の大小ではなく、主要動の大きさで地震の強さを判断するようにします。
- ミニ例:教科書では、最初に届く小さなゆれを初期微動(P波)、あとから届く大きなゆれを主要動(S波)と整理します。同じ地震でも、波形は必ずこの2段階で記録されます。
初期微動継続時間が長い=強い地震と思い込んでしまう
- つまずく場面:練習問題で「初期微動継続時間が15秒」「10秒」と並んだ数字を見て、長い方ほどゆれが激しい地震だと感じてしまう場面。本文では「震源までの距離を読む手がかり」と書いてあっても、つい大きさの話と混同してしまうところです。
- 克服のコツ:因果関係で整理します。初期微動継続時間が長いのは、P波とS波が同じ場所からスタートして、遠くまで進むほど到着時刻の差が広がるからです。つまり、長い=震源から遠いであって、強い・弱いとは無関係。距離の情報か、強さの情報かを読みながら毎回区別します。
- ミニ例:教科書では、初期微動継続時間が10秒なら震源距離はおよそ80km、5秒なら40kmと、距離に比例する量として整理します(大森公式)。
震度とマグニチュードを同じ数字の仲間と思ってしまう
- つまずく場面:本文で「震度7」と「マグニチュード7」が並んで出てきたとき、どちらも「7」だから似たようなものだと感じ、ニュース風の例で「M7.0、最大震度5弱」と書かれているのを見て、なぜ数字が一致しないのか分からなくなる場面。
- 克服のコツ:見分け方は「いくつ出るか」です。マグニチュードは1つの地震に1つだけ(地震そのものの規模)。震度は観測点ごとにいくつも出る(その場所のゆれ)。本文を読みながら数字が出てきたら、「1つしかない値か、場所ごとに違う値か」を毎回自問すると、混同が消えます。
- ミニ例:教科書では、マグニチュード9.0の巨大地震でも、震源から遠い地点では震度が2や3にとどまることがあると整理します。「M=規模」「震度=その場所のゆれ」と役割を分けて読みます。
練習問題
- 地下で岩盤がずれ、地震が発生した場所。
- 震源の真上にあたる、地表の点。
- P波が到着してからS波が到着するまでの時間。
- S波によって起こる、大きなゆれ。
- 地震そのもののエネルギーの大きさを表す値。
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(1) 震源
(2) 震央
(3) 初期微動継続時間
(4) 主要動
(5) マグニチュード(記号M)
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震源距離 ≒ 15秒 × 8 = 120km
初期微動継続時間が長いほど、震源は遠い。逆に、震源直上に近い地点では初期微動継続時間はとても短い(0秒に近づく)。
- 「震度」と「マグニチュード」の違いを説明しなさい。
- 緊急地震速報が、強いゆれが来る前に通知できるしくみを説明しなさい。
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(1) 解答例:震度は、観測した場所でのゆれの大きさを表す値で、震度0〜7の10段階で表される。同じ地震でも、観測点ごとに違う震度が出る。一方、マグニチュードは地震そのものが放出したエネルギーの大きさを表す値で、1つの地震につき1つの値しかない。マグニチュードが1大きいとエネルギーは約32倍になる。
(2) 解答例:地震が起きると、速いP波と遅いS波が同時に発生する。震源近くの観測点でまずP波を検出し、それをもとに気象庁が「これから大きなゆれが来る」と判定する。S波が遠くの街に到達する前に通知を出すことで、人々は数秒〜数十秒の余裕をもって身を守ることができる。P波とS波の速度差を利用したしくみである。
まとめ
- 地震は、地下にたまったゆがみが 断層として一気にずれることで発生する。発生点が 震源、その真上の地表が 震央。
- 地震波には、速いが小さい P波(初期微動・縦波) と、遅いが大きい S波(主要動・横波) がある。
- P波到着からS波到着までの時間が 初期微動継続時間。大森公式「震源距離(km)≒ 初期微動継続時間(秒)× 8」で震源距離が分かる。
- 緊急地震速報は、P波を先に検出してS波到達前に通知する、速度差を使ったシステム。
- 震度=場所のゆれの大きさ(10段階)/ マグニチュード=地震そのもののエネルギー。「震度7」と「M7」は別物。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
震度とマグニチュードは「電球の明るさ」でイメージ実生活
気象庁は、マグニチュードを電球そのものの明るさ、震度をその電球から離れた場所で感じる明るさにたとえています。電球(地震)が明るく(規模が大きく)ても、遠い場所では暗く見える(震度が小さい)ように、震源から遠ければ大きな地震でも震度は小さくなります。
P波・S波の速さは「秒速約7km」と「秒速約4km」発展
気象庁の資料では、速いP波は秒速約7km、遅いS波は秒速約4kmで地中を伝わるとされています。この速さの差があるからこそ、先に届くP波を観測点でとらえれば、強い揺れを起こすS波が到達する前に地震を知らせることができます。
緊急地震速報が「間に合わない」こともある理由発展
緊急地震速報は、地震波を解析して伝えるのに数秒かかります。そのため、内陸の浅い場所で地震が起きた場合などは、震源に近い地域には速報が強い揺れより先に届かず、原理的に間に合わないことがあると気象庁は説明しています。速報が万能ではないと知っておくことが大切です。
速報や揺れを感じたら数秒で身を守る行動を実生活
緊急地震速報が出てから強く揺れるまでは、数秒から数十秒しかないと気象庁は示しています。屋内ではあわてて外に飛び出さず、丈夫な机の下などで頭を守り、屋外ではブロック塀の倒壊や看板・ガラスの落下に注意するのが基本です。
日本中に張りめぐらされた地震観測網が速報を支える発展
緊急地震速報は、全国各地に置かれた地震計のデータをもとに作られます。防災科学技術研究所は、阪神・淡路大震災の後から高感度地震観測網(Hi-net)などを整備し、震源やマグニチュードを自動ですばやく推定して速報の精度向上に貢献しています。
