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不況のときに国債を買って金利を下げるのは日銀、公共事業や減税で景気を刺激するのは政府です。「主語がどちらか」に注目して見比べてください。
金融とは
日本銀行(日銀)の役割
- 発券銀行:日本銀行券(お札)を発行
- 銀行の銀行:他の銀行に貸し付け・預け
- 政府の銀行:税金などの政府の資金を管理
金融政策 ── 景気を調整
不況時(経済を活性化したい)
日銀が国債を 買う → 市場のお金が増える → 金利低下 → 借りやすく → 消費・投資活発
好況時(インフレを抑えたい)
日銀が国債を 売る → 市場のお金が減る → 金利上昇 → 借りにくく → 消費・投資抑制
財政とは
国の歳入と歳出
- 歳入:税金(所得税・消費税・法人税など)+公債(国の借金)
- 歳出:社会保障費・地方交付税・公共事業費・教育費・防衛費・国債費
- 日本の歳出のうち 社会保障費が最大(高齢化)
- 歳出が歳入を上回る状態を財政赤字といい、不足分は公債(国債)でまかなわれるため、財政赤字が続くと国債残高が増え続ける課題がある
税の種類
| 直接税 | 間接税 | |
|---|---|---|
| 定義 | 納める人=負担する人 | 納める人 ≠ 負担する人 |
| 国税 | 所得税・法人税・相続税 | 消費税・酒税・たばこ税 |
| 地方税 | 住民税・固定資産税 | 地方消費税 |
累進課税
所得が多いほど 高い税率がかかる仕組み
→ 所得の 再分配(格差是正)
所得税率:5% 〜 45%(段階的)
財政政策 ── 政府の景気調整
公共事業を増やす、減税
→ 景気を刺激
好況時:緊縮的財政政策
→ 公共事業を減らす、増税
銀行の役割
預金:人々のお金を預かる
貸出:必要な人や企業に貸す
為替:お金の送金(振込)
→ 預金の利子<貸出の利子の 差額が銀行の収益
→ 銀行は社会の 金融の心臓
株式会社と株式市場
- 株式:会社の所有権を細かく分けた証券
- 株主:株式を持つ人。配当と議決権を持つ
- 株式市場:株式を売買する場所(東京証券取引所など)
- 株価:会社の業績・将来性などで決まる
- 会社は株式を発行して 資金を集める
インフレとデフレ
インフレ(インフレーション):物価が 上がる、お金の価値が下がる
例:100円のパンが200円になる
→ 景気が良いときに起こることが多い
デフレ(デフレーション):物価が 下がる、お金の価値が上がる
例:200円のパンが100円になる
→ 不景気のときに起こりやすい(消費が減る悪循環)
消費税の歴史
- 1989年:消費税3% で導入
- 1997年:5%に増税
- 2014年:8%に増税
- 2019年:10%に増税(食品など軽減税率8%)
- 増税の理由:少子高齢化による 社会保障費の増大
- 金融政策:日本銀行の仕事(金利・国債売買)
- 財政政策:政府の仕事(税・公共事業)
- 2つは別々の機関が行う。
- 直接税:税を 納める人=負担する人(所得税・住民税)
- 間接税:税を 納める人 ≠ 負担する人(消費税は消費者が払うが、店が納める)
- 「直接」と「間接」がどちらかを誰の視点から見るかで決まる
- 累進課税(所得税):所得が多い人ほど高い税率 → 格差是正
- 消費税:全員同じ税率 → 低所得者の負担割合が高い(逆進性)
- 所得税と消費税の バランスが政治の争点になる
この章でつまずきやすいところ
「金融と財政」の章は、日銀と政府、金融政策と財政政策、直接税と間接税…と似た用語が次々に出てきて、本文を読み進める途中で「あれ、どっちがどっちだっけ」と止まりがちです。読みながら迷いやすい場面を先取りしておきましょう。
金融政策と財政政策の主体を混ぜてしまう
- つまずく場面:本文で「不況時は国債を買って金利を下げる」「不況時は公共事業を増やす」と続けて出てきた瞬間、どちらが日銀の仕事でどちらが政府の仕事か分からなくなり、ノートに写す主語が止まってしまう場面。
- 克服のコツ:主体で見分けるのがコツです。「お金そのものを動かす(国債売買・金利)」のは日銀=金融政策、「税と支出を動かす(減税・公共事業)」のは政府=財政政策。本文の動詞の前に必ず「日銀が」か「政府が」を補って読むと取り違えにくくなります。
- ミニ例:本文の「不況時に国債を買う」は主語が日銀なので金融政策。「不況時に公共事業を増やす」は主語が政府なので財政政策、と読み分けます。
「直接税/間接税」を税の重さや大きさのことだと思い込む
- つまずく場面:本文で消費税と所得税の話が並んで出てきたとき、「直接税は直接的に重い税」「間接税は軽い税」のようなイメージで読んでしまい、どちらが直接税か区別がつかなくなる場面。
- 克服のコツ:「誰が納め、誰が負担するか」という関係で見分けるのがコツです。納める人=負担する人なら直接税(所得税・住民税)、納める人と負担する人がずれたら間接税(消費税)。税の重さではなく、お金の流れの矢印の数で判定すると安定します。
- ミニ例:コンビニで払う消費税は、負担するのは客だが税務署に納めるのは店。負担と納付がずれているので間接税、と整理できます。
累進課税と消費税を「どちらが公平か」で迷ってしまう
- つまずく場面:本文で「累進課税は格差是正」「消費税には逆進性がある」と出てきたとき、どちらが低所得者に重いのか頭の中で逆になり、所得税と消費税の役割を書き分ける手が止まる場面。
- 克服のコツ:税率と所得の関係(因果)で整理します。累進課税は「所得が増える→税率も上がる」ので所得の再分配に働く。消費税は「所得に関わらず税率は同じ」だから、所得が低い人ほど収入に占める負担割合が大きくなる=逆進性。教科書ではこの2つのバランスが論点と整理します。
- ミニ例:本文の「所得税率5%〜45%」は累進課税の例。一方、消費税10%は誰でも同じ率で、結果として低所得者の家計に占める割合が大きくなりやすい、と読みます。
日本銀行を「自分も口座を開ける普通の銀行」だと思ってしまう
- つまずく場面:本文で「銀行の銀行」「政府の銀行」と出てきたとき、日銀のATMで自分も預金できるイメージのまま読み進め、なぜ国債売買で景気が動くのかが結びつかなくなる場面。
- 克服のコツ:取引相手という位置関係で見分けるのがコツです。一般の人や会社の相手は市中銀行、その市中銀行と政府の相手が日銀。だから日銀が国債を売買する相手も市中銀行で、結果として市場に出回るお金の量が変わり金利が動く、という因果がつながります。
- ミニ例:「日銀が国債を買う」とは、市中銀行から国債を買い取って代金を渡すこと。市中銀行に資金が増えるので、企業や家計への貸し出しがしやすくなる、と読みます。
練習問題
日本銀行の3つの役割を答えよ。
答えを見る
発券銀行・銀行の銀行・政府の銀行
不況のとき、日銀は国債をどうするか。その効果は。
答えを見る
国債を買う → 市場のお金が増える → 金利低下 → 借りやすく → 景気刺激
- 所得税は直接税か間接税か
- 消費税は直接税か間接税か
- 所得が多いほど税率が高くなる仕組み
答えを見る
(1) 直接税 (2) 間接税 (3) 累進課税
まとめ
- 金融:お金を融通する仕組み。中央銀行は 日本銀行。
- 日銀の役割:発券銀行・銀行の銀行・政府の銀行。
- 金融政策:国債売買で景気調整。
- 財政:政府の歳入(税)と歳出(公共サービス)。
- 税の種類:直接税(所得税)/間接税(消費税)。
- 累進課税で所得を再分配。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
日本銀行が「マイナス金利」をやめた(2024年)時事
日本銀行は2024年3月、長く続けてきたマイナス金利政策をやめ、約17年ぶりに金利を引き上げました。その後も段階的に利上げを進め、「金利のある世界」へと金融政策を切りかえています。これは教科書で学ぶ金融政策(金利の調整)が、今まさに動いている実例です。
新しいお札が発行された(2024年)時事
2024年7月3日、日本銀行は一万円・五千円・千円の新しいお札を発行しました。一万円札の肖像は、約500社の会社設立に関わり「近代日本経済の父」とよばれる渋沢栄一です。新札にはホログラムなど最新の偽造防止技術が使われており、お札を発行するのが「発券銀行」である日本銀行の役割だとわかります。
キャッシュレス決済が4割を超えた時事
経済産業省によると、2024年のキャッシュレス決済比率は42.8%(約141兆円)となり、政府が目標としていた「4割」を達成しました。現金を使わずカードやスマホのコード決済でお金を払う仕組みが広がり、私たちのまわりのお金の流れが変わってきています。
国の借金(国債残高)は1100兆円を超える発展
財務省によると、令和7年度末の普通国債(国の借金)の残高は約1136兆円となりました。令和8年度末にはさらに1145兆円に増える見込みです。国債は今の財源を補えますが、将来世代が利子をつけて返す負担になります。だからこそ国債は「使い道と返済できるか」で判断することが大切です。
国の予算で最も多い支出は「社会保障費」発展
財務省の令和7年度予算では、社会保障関係費が約38兆円と歳出のなかで最大で、借金の返済にあてる国債費も約28兆円にのぼります。社会保障費が増え続ける主な理由は少子高齢化で、消費税が引き上げられてきた背景ともつながっています。
