図でつかむ
整数と平方根を比べるときは、整数を平方根の形に直してから中身を比べます。3 を √9 と見れば、√7 < √9 なので √7 < 3 と判断できます。
ルートの大小:中身で決まる
つまり、中身が大きいほうがルートも大きい。
中身:3 < 5
→ √3 < √5
中身:11 > 7
→ √11 > √7
整数とルートの比較 ── 整数を「ルート化」
整数とルートを比べるときは、整数を 2乗してルート化する。
3 を √化:3 = √9
7 < 9 だから √7 < √9
→ √7 < 3
4 = √16
15 < 16 → √15 < √16 = 4
→ √15 < 4
係数つきルート ── 全体を2乗にしてから
2√3 と 3√2 のように 係数がついた数の比較は、係数も中に取り込んでから大小を比べる。
2√3 = √(2² · 3) = √12
3√2 = √(3² · 2) = √18
12 < 18 → 2√3 < 3√2
4√2 = √(16·2) = √32
5 = √25
32 > 25 → 4√2 > 5
負のルート ── 大小が逆転
マイナスがつくと、絶対値の大きいほうが小さくなる(数直線で左にあるから)。
絶対値:√5 > √3
マイナスをつけると逆転:−√5 < −√3
- −2 と −3 で −3 のほうが小さいのと同じ。マイナスがつくと不等号が反転するイメージ。
- 数直線をイメージするとミスが減る。「ルート3 ≒ 1.73」「ルート5 ≒ 2.24」を覚えていると感覚的にもわかる。
整数部分の見つけ方
√n が整数 n₁ と n₂ の間にあるとき、√n の整数部分は n₁。求め方は、n をはさむ2つの平方数を見つけること。
25 < 29 < 36 → √25 < √29 < √36
5 < √29 < 6
整数部分は 5
49 < 50 < 64 → 7 < √50 < 8
整数部分は 7
有理数と無理数
有理数:分数(整数 / 整数)で表せる数。例 3, −5, 1/2, 0.25。
無理数:分数で表せない数。例 √2, √3, π。
有理数と無理数を合わせたものが「実数」。
√2、√3、√5 のような 平方数以外の整数のルートは、すべて無理数。小数で書くと 無限に続いて循環しない。
この章でつまずきやすいところ
ルートが入った数の大小は、見ただけだと整数と同じ感覚で判断してしまいがち。本文を読み進めるうちに「あれ、どっちが大きいんだっけ?」と止まる場面を、迷う前に整理しておきましょう。
ルートの中身だけ見て大きさを直感で決めてしまう
- つまずく場面:「√7 と 3、どちらが大きい?」を本文で読んだ瞬間、√の中の 7 と外の 3 を素のまま比べて「7 のほうが大きいから √7 が大きい」と早合点しそうになる場面。
- 克服のコツ:そろえて比べるのが鉄則。整数のほうを √化(3 = √9)してから中身どうしを比べる、という手順の順番を固定しておく。中身を比べるのは、両方がルートの形になってから。
- ミニ例:3 を √9 と書き直すと、7 < 9 なので √7 < √9、つまり √7 < 3。中身を比べるのは「そろえた後」だけと覚える。
係数つきのルートを、係数だけで大きさを判断してしまう
- つまずく場面:2√3 と 3√2 を比べる場面で、外についた 2 と 3 を見て「3 がついているほうが大きい」と決めたくなる瞬間。中身の 3 と 2 も気になって、どちらを優先すべきか手が止まる。
- 克服のコツ:係数も中に取り込んでから比べるのが見分け方。a√b = √(a²·b) に変形して、片方の形(√のみ)にそろえてから中身比較へ進む。係数と中身を別々に見比べないこと。
- ミニ例:2√3 = √(4·3) = √12、3√2 = √(9·2) = √18。12 < 18 なので 2√3 < 3√2。
マイナスがついたルートで不等号の向きを正の数と同じにしてしまう
- つまずく場面:−√5 と −√3 を読んだとき、「√5 のほうが √3 より大きいから −√5 のほうも大きい」とそのまま書きそうになる場面。数直線をイメージしないと、ここで手が止まりやすい。
- 克服のコツ:位置関係で考える。マイナスがつくと数直線の左側に移り、絶対値が大きいほど左=小さい。だから正の数の大小をそのまま持ち越さず、最後に不等号を反転させる手順を入れる。
- ミニ例:絶対値は √5 > √3 だが、マイナスをつけると左右が逆転して −√5 < −√3。−2 と −3 で −3 のほうが小さいのと同じ感覚。
√n の整数部分を、中身 n の見た目から決めようとしてしまう
- つまずく場面:「√29 の整数部分は?」と問われたとき、29 ÷ 2 のような割り算をしたり、「√25 が 5 だから √29 もだいたい 5 くらい?」と曖昧なまま進めて、5 か 6 か迷う場面。
- 克服のコツ:はさむ平方数を 2 つ見つけるのが手順。n より小さい最大の平方数と、大きい最小の平方数で n をはさみ、ルートを外して整数の範囲に置き換える。「平方数ではさむ → ルートを外す」の順番を固定する。
- ミニ例:25 < 29 < 36 だから √25 < √29 < √36、つまり 5 < √29 < 6。整数部分は 5。
練習問題
- √10 と √13
- √6 と √2
- −√7 と −√11
答えを見る
(1) √10 < √13 (2) √6 > √2 (3) −√7 > −√11(マイナスは逆転)
- √14 と 4
- 5 と √24
- −3 と −√10
答えを見る
(1) √14 と √16 → √14 < 4
(2) √25 と √24 → 5 > √24
(3) −3 = −√9、−√10 のほうが絶対値大 → −3 > −√10
- 2√3 と √15
- 3√2 と 4
答えを見る
(1) 2√3 = √12、12 < 15 → 2√3 < √15
(2) 3√2 = √18、4 = √16、18 > 16 → 3√2 > 4
- √20
- √60
- √100
答えを見る
(1) 16 < 20 < 25 → 4
(2) 49 < 60 < 64 → 7
(3) √100 = 10(整数そのもの)
まとめ
- ルートどうしの大小は 中身の大小と同じ。
- 整数とルートを比べるときは、整数を √化(n = √(n²))。
- 係数つきは a√b = √(a²·b) でルートにそろえる。
- マイナスは 絶対値の大きいほうが小さい(不等号反転)。
- 整数部分は はさむ平方数を見つけて求める。
- √2, √3, √5 など平方数以外の整数のルートは 無理数。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
A4・B5などの紙のタテヨコ比は「1:√2」実生活
A判やB判のコピー用紙は、短い辺と長い辺の比が1:√2になるように作られています。だから半分に折っても元と同じ形(相似)のままで、A4を2枚並べるとA3になります。これはISO 216という国際規格で決められた比率です。
家庭のコンセント「100V」は最大で約141V実生活
コンセントの交流電圧「100V」は実効値とよばれる値で、電圧の最大値はその√2倍になります。√2≒1.41なので、瞬間的には約141Vまで上がっています。同じはたらきをする直流の電圧に直したのが実効値です。
ピアノの半音の比は「2の12乗根」発展
ピアノなどの十二平均律では、1オクターブ(周波数が2倍)を12等分するので、となり合う音(半音)の周波数比は2の12乗根、つまり12回かけると2になる数(約1.059)になります。ルートの考え方を「12乗根」まで広げた身近な例です。
√2は約4000年前から近似されていた発展
√2の値は無限に続いて循環しない無理数ですが、人類は古くからその近似値を求めてきました。紀元前のバビロニアの粘土板YBC 7289には六十進法で非常に精度の高い近似が刻まれ、古代インドでは577/408≒1.41421という分数が使われていました。
√2が無理数であることは証明できる発展
「√2は分数で表せない」ことは、背理法という方法で証明できます。もし√2=M/N(これ以上約分できない分数)と表せると仮定すると、計算を進めるうちにMもNも偶数になってしまい、約分できないという前提と矛盾します。だから√2は無理数だと結論できます。
