図でつかむ
この図は、式や定理を読む前に全体像をつかむための補助図です。問題を解くときも、まず同じような簡単な図を自分で描いてから条件を書き込むと、見落としが減ります。
平方根の定義
9 の平方根:2乗して 9 になる数 → +3 と −3
25 の平方根:+5 と −5
1 の平方根:+1 と −1
0 の平方根:0 のみ(特例)
大事なポイントは:
- 正の数の平方根は 2つ(正と負)。
- 0 の平方根は 0 だけ。
- 負の数の平方根は ない(実数の範囲では)。
√(ルート)── 整数で書けない平方根
2 の平方根は何だろう? 1² = 1、2² = 4。だから 1 と 2 の間に答えがあるはず。実際の値は 1.41421...と無限に続く。これを 1つの記号で表すために、ルートが使われます。
2 の平方根:+√2 と −√2
3 の平方根:+√3 と −√3
5 の平方根:+√5 と −√5
9 の平方根は ±3 だが、ルートで書くと ±√9 = ±3。
(√a)² と √(a²) ── 大事な2つの公式
① (√a)² = a(a ≧ 0) ← 2乗で外れる
② √(a²) = |a|(絶対値) ← 中の2乗を外に出すとき注意
(√2)² = 2
(√7)² = 7
(−√3)² = 3 (マイナスも2乗で消える)
√(5²) = √25 = 5
√((−5)²) = √25 = 5 ← 答えは −5 でなく 5
なぜなら √ は「正の方」を指す約束だから。
- √(x²) = x と早合点しない。x が負なら違う。√(x²) = |x|(絶対値)。
- 例:x = −3 のとき √(x²) = √9 = 3 だが、x = −3 なのでイコールではない。
- 「ルートは 正」「2乗の中は 絶対値」と覚える。
ルートが外れる数(平方数)
2乗の形になっている数なら、ルートは外れます。覚えておくと便利な平方数:
| 数 | 1 | 4 | 9 | 16 | 25 | 36 | 49 | 64 | 81 | 100 | 121 | 144 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| √ | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
1〜12までの2乗(=1, 4, 9, 16, 25, 36, 49, 64, 81, 100, 121, 144)は 暗記するのが受験対策の王道。
近似値(覚える3つ)
- √2 ≒ 1.41421356(「ひとよひとよにひとみごろ」)
- √3 ≒ 1.7320508(「ひとなみにおごれや」)
- √5 ≒ 2.2360679(「ふじさんろくおうむなく」)
近似値の意味や、誤差・有効数字・a×10ⁿの表し方は中1で学ぶ内容。くわしくは 近似値と有効数字 ── 測定値の表し方(中1数学)を参照。
この章でつまずきやすいところ
平方根は中3で初めて出てくる「ルート」の単元で、記号の約束と『2つあること』が頭の中で混ざりやすい場所です。本文や問題を読んでいる途中に起こりやすい迷いを、4つの場面に絞って整理します。
√9 と「9の平方根」を同じものだと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「9 の平方根は +3 と −3」と読んだ直後に、公式で √9 が出てくる。両方とも『9にルートが付いている』ように見えて、答えが ±3 なのか +3 だけなのかが分からなくなる場面。
- 克服のコツ:言葉と記号の役割で見分ける。『a の平方根』という言葉は、2乗して a になる数全体を指すので正負2つ。一方 √a という記号は、その中の正のほうだけを表す約束。つまり言葉は2つ、記号は1つ、と整理する。
- ミニ例:9 の平方根は +3 と −3 の2つ。一方 √9 は約束により+3 だけ。両方をまとめて書きたいときは ±√9 = ±3 と、記号の前に ± を付ける。
√(a²) を、中身の a がそのまま外に出ると思い込んでしまう
- つまずく場面:公式 (√a)² = a を覚えた直後に √(a²) = |a| が出てくる。形がそっくりなので『どちらも a に戻る』と読み流してしまい、x が負の数の場合の問題で符号を間違える場面。
- 克服のコツ:操作の順序(時系列)で見分ける。(√a)² は『先にルート→あとで2乗』なので符号情報は消えずに a に戻る。√(a²) は『先に2乗→あとでルート』で、2乗の段階で符号が消えてしまうため、ルートを外したときは絶対値を付けて正の値に直す必要がある。
- ミニ例:x = −5 のとき、√(x²) = √((−5)²) = √25 = 5。元の x は −5 だが、2乗を経由した時点でマイナスは消えているので、答えは |−5| = 5 になる。
「ルートが付いた数=必ず無理数」と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文後半で有理数・無理数の話が出てきて、√2 が無限に続く小数だと知った直後に、問題で √36 や √81 を見ると『これも無理数では?』と止まってしまう場面。
- 克服のコツ:中身が平方数かどうかで見分ける。1, 4, 9, 16, 25, 36, 49, 64, 81, 100, 121, 144 のように整数の2乗になっている数なら、ルートは外れて整数になり有理数。中身が平方数でないとき(2, 3, 5, 10 など)だけ、結果が無理数として残る。
- ミニ例:√36 = 6(有理数)、√81 = 9(有理数)。一方 √10 は中身が平方数ではないので整数や分数で表せず、答えは √10 のまま書く(『10 の平方根を答えよ』と聞かれた場面なら、正負2つをまとめて ±√10)。これが整数や分数にならない数=無理数。
負の数にもルートが付けられると思い込んでしまう
- つまずく場面:問題で『√(−9) は存在するか』と聞かれたとき、√9 や −√9 と見た目が似ているせいで、『マイナスを中に入れただけだから −3 ぐらいになるのでは』と混乱する場面。
- 克服のコツ:定義の前提条件で見分ける。√a は『2乗して a になる正の数』と決められていて、しかも中身の a は a ≧ 0 が前提。2乗した数は必ず 0 以上になるため、中学範囲(実数)では中身が負のルートは作れない。−√a と √(−a) は別物なので位置に注意する。
- ミニ例:−√9 = −3 はマイナスがルートの外にあるので存在する。一方 √(−9) はマイナスが中に入っており、中学範囲では『存在しない』と答える。
練習問題
- 16
- 49
- 0.25
- 1/9
- 10
答えを見る
(1) ±4 (2) ±7 (3) ±0.5 (4) ±1/3 (5) ±√10
- (√5)²
- (−√7)²
- √(6²)
- √((−4)²)
- √81
答えを見る
(1) 5 (2) 7 (3) 6 (4) |−4| = 4 (5) 9
- √36 と 6 は等しいか?
- √(−9) は存在するか?
- x² = 11 を満たす x をすべて答えよ。
答えを見る
(1) √36 = +6 のみ。だから √36 = 6(等しい)。
(2) 存在しない(実数では)。負の数の平方根は中学範囲外。
(3) x² = 11 → x = ±√11
有理数と無理数
有理数:分数で表せる数(1/2, 0.25, 3, −7, 0.333...=1/3)
無理数:分数で表せない数(√2, π など)
→ √2 = 1.41421356... と 無限に続く非循環小数
→ 平方根のうち、結果が整数や分数にならないものは 無理数
例:√4 = 2(有理数)、√2(無理数)、√9 = 3(有理数)
同じ数字の並びが無限にくり返す小数。例:1/3 = 0.333... のように、あるパターンがずっと続く。
くり返す部分の最初と最後の数字の上に点を付けて表す(例:1/3 = 0.3̇、1/7 = 0.1̇42857̇)。
有理数 = 整数・有限小数・循環小数(すべて分数の形 a/b で表せる)
無理数 = 循環しない無限小数(同じ並びのくり返しが一切ない)
まとめ
- 平方根:2乗して a になる数。正の数には 2つ(正と負)。
- 記号 √a は 正の方を指す。だから √9 = 3、−√9 = −3。
- (√a)² = a ← 2乗で必ず外れる。
- √(a²) = |a|(絶対値)。マイナスにはならない。
- 1〜12 までの平方数(1, 4, 9, ..., 144)は暗記する。
- 有理数(分数で表せる)と無理数(√2, π など)。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
√2は「分数で表せない数」── 無理数の発見発展
1辺が1の正方形の対角線の長さは√2ですが、これは整数の比(分数)では表せず、小数にすると循環しない無限小数(1.41421356…)になります。こうした数を無理数といい、古代ギリシャのピタゴラス学派のヒッパソスが正方形の研究の中で発見したと伝えられています。
コピー用紙A4・A3に隠れた√2実生活
A判の紙は、短い辺と長い辺の比がちょうど1:√2になるように決められています。この比のおかげで、長い辺を半分に切っても元と同じ縦横比の相似な紙ができるので、A3を半分にするとA4、A4を半分にするとA5…とぴったり収まります。
データのばらつきを測る「標準偏差」と平方根実生活
テストの点や身長などのばらつきを表すとき、各データと平均の差を2乗して平均した「分散」を使いますが、これは単位が元と合いません。そこで分散の正の平方根をとった値(標準偏差=√分散)を使うと、元のデータと同じ単位でばらつきを表せます。
地震のマグニチュードとエネルギーの関係実生活
気象庁によると、マグニチュード(M)が1大きくなると地震のエネルギーは約32倍、2大きくなると約1000倍になります。これはエネルギーが1000倍違うとMが2しか変わらないという関係で、√1000≒31.6(つまり約32)という平方根の考え方が背景にあります。
√4=2は有理数、√2は無理数発展
平方根の中身がきれいな平方数(4、9、25など)なら√4=2のように整数や分数(有理数)になりますが、そうでない√2や√3は分数で表せない無理数になります。同じ√でも、中の数によって有理数と無理数に分かれるのがポイントです。
