近似値と誤差
- 真の値:本当の(ずれのない)値のこと。
- 近似値:真の値に近い値のこと。ものさしやはかりで測定した値は、すべて近似値。
- 誤差 = 近似値 − 真の値
体重計で「52.0kg」と表示されても、その人の本当の体重(真の値)が52.0kgぴったりということはまずありません。表示された52.0kgは近似値であり、真の値との間には必ず誤差があります。四捨五入して得た値も、真の値そのものではないので近似値の一種です。
体重をはかった近似値が52.0kg、真の値が51.8kgのとき
誤差 = 52.0 − 51.8 = +0.2kg
長さをはかった近似値が8.6cm、真の値が8.63cmのとき
誤差 = 8.6 − 8.63 = −0.03cm
2つ目の例のように、近似値が真の値より小さいときは誤差が負の数になります。正負の数を使うと、「近似値が真の値より大きいか小さいか」まで1つの式で表せるのです。
四捨五入と真の値の範囲
四捨五入して得た近似値からは、逆に「真の値がどの範囲にあったか」を式で表すことができます。
小数第1位を四捨五入して(一の位までの概数にして)170になる真の値 a の範囲は
169.5 ≦ a < 170.5
169.5は四捨五入するとちょうど170になる境界なので範囲に含み(≦)、170.5は四捨五入すると171になってしまう境界なので範囲に含みません(<)。「以上」と「未満」の使い分けと同じ考え方です。
7.5は四捨五入すると8になる(含む)。8.5は四捨五入すると9になってしまう(含まない)。
よって、真の値 b の範囲は 7.5 ≦ b < 8.5
有効数字 ── どこまで信頼できる数字か
測定して得られた近似値のうち、信頼できる(意味のある)数字を有効数字という。位取りのためだけについている0は、有効数字に数えないことがある。
測定値 3800m の有効数字が2桁であるとき、信頼できる数字は左から2つ ── 3 と 8
残りの「00」は、位(何千の位か)を示すためだけについている数字。
(整数部分が1桁の数)×10ⁿ の形で表す
そのまま「3800m」と書くと、有効数字が2桁なのか4桁なのか読み手には伝わりません。そこで、整数部分が1桁の数と10の累乗の積で表すことで、有効数字の桁数をはっきり示します。
(整数部分が1桁の数)× 10ⁿ
a の部分の桁数が、そのまま有効数字の桁数になる。
整数部分を1桁にすると 3.8 → 10の何乗をかければ3800になるかを考える
3.8 × 1000 = 3800 なので 3.8 × 10³ m
もし有効数字が3桁なら、末尾の0まで信頼できるという意味になるので 3.80 × 10³ m と書き分ける。
38.0×10² も計算すれば3800になりますが、整数部分が「38」と2桁になっているため、a × 10ⁿ の形のルール(整数部分は1桁)に合いません。この形は「整数部分の桁数=有効数字の桁数」が一目でわかることが目的なので、必ず整数部分を1桁にそろえます。
この章でつまずきやすいところ
近似値と有効数字は、教科書に出てくる語句自体は少ないのに、符号や不等号の向き、0の意味づけで手が止まりやすい単元です。つまずきやすい場面を3つ取り上げます。
誤差の符号を忘れて絶対値の差だけを書いてしまう
- つまずく場面:近似値8.6cm、真の値8.63cmで誤差を聞かれたとき、「8.63−8.6=0.03」と真の値から近似値を引いて答えてしまう場面。差の大きさは合っていても、定義の引く順番を逆にしている。
- 克服のコツ:誤差=近似値−真の値という順番を先に書いてから数を当てはめる。近似値のほうが真の値より小さければ、答えは自動的に負の数になる。
- ミニ例:8.6−8.63=−0.03cm。真の値8.63から見ると近似値8.6は0.03小さいので、誤差はマイナスで表す。
≦と<のどちらが境界を含むか逆にしてしまう
- つまずく場面:「169.5≦a<170.5」を書き写すとき、169.5と170.5のどちらに=がつくか自信が持てず、逆にしてしまう場面。
- 克服のコツ:その境界の数自体を四捨五入したらどうなるかを確認する。169.5を四捨五入すると170になる(求めたい数と一致→含む=≦)。170.5を四捨五入すると171になる(求めたい数と不一致→含まない=<)。
- ミニ例:169.5→170(一致するので含む)、170.5→171(一致しないので含まない)。だから 169.5≦a<170.5。
末尾の0がいつも有効数字ではないと思い込んでしまう
- つまずく場面:「4.05×10⁴」の0を見て、「0だから有効数字に数えない」と省いてしまう場面。3800の末尾の0(位取り用)と、4.05の中の0(測定値そのものの数字)を同じに扱ってしまう。
- 克服のコツ:0が数字と数字の間にあるときは測定された数字そのものなので有効数字に数える。0が末尾で位取りのためだけについているときだけ、有効数字から外れることがある。
- ミニ例:4.05×10⁴の有効数字は4・0・5の3桁(0は4と5の間にあるので数える)。3800を有効数字2桁で書くときの末尾の00は、3.8×10³のように10ⁿ側に追い出す。
練習問題
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誤差=近似値−真の値 = 3.4−3.45 = −0.05cm
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46.5を四捨五入すると47(含む)、47.5を四捨五入すると48(含まない)。
よって 46.5 ≦ b < 47.5
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有効数字3桁なので、信頼できる数字は左から3つ「6・2・0」。
6.20 × 10⁴ m
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整数部分を1桁にすると5.2。 5.2×1000=5200なので
5.2 × 10³ g
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4.05×10⁴ = 4.05×10000 = 40500m
有効数字は「4・0・5」の3桁(0は4と5の間にある数字なので数える)。
まとめ
- 近似値:真の値に近い値。測定値や四捨五入した値はすべて近似値。
- 誤差=近似値−真の値。近似値のほうが小さいと誤差は負の数になる。
- 一の位を四捨五入して170になる真の値 a の範囲は 169.5 ≦ a < 170.5(境界の含む/含まないは、その数自体を四捨五入して確かめる)。
- 有効数字:信頼できる数字。位取りのためだけの0は含めないことがある。
- 有効数字をはっきり示すには(整数部分が1桁の数)×10ⁿの形で表す。整数部分の桁数がそのまま有効数字の桁数になる。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
国の人口も「概算値」という近似値で毎月発表されている実生活
総務省統計局は毎月「人口推計」を発表しており、2026年7月1日現在(概算値)の日本の総人口は1億2293万人とされています。1人単位まで正確に数え切ることは現実には難しいため、まとまりのよい桁(万人単位)に四捨五入した近似値として公表されているのです。
出典:総務省統計局「人口推計」
数値の四捨五入のしかたは、実は工業製品と同じ日本の規格で決まっている発展
私たちが授業で使う四捨五入は、日本産業規格「JIS Z 8401:数値の丸め方」で定められた丸め方の1つ(規則B)です。工業製品の検査や統計データの処理など、社会のさまざまな場面で数値をそろえるための共通ルールとして使われています。
地球から太陽までの距離も、有効数字を選んで書かれている発展
天文学で使う「天文単位」は、太陽から地球までの平均的な距離をもとにした単位で、正式な定義値は149,597,870.7kmです。教科書やニュースでは、この値を有効数字2桁で丸めた「約1.5×10⁸km」という書き方がよく使われます。目的に応じて、どこまでの桁を有効数字として残すかを選んでいる例です。
「1メートル」の長さも、もとは測量の近似値から生まれた発展
メートルという単位は、もともとフランス革命期に地球の北極点から赤道までの子午線の長さを実際に測量し、その1000万分の1として決められました。当時の測量には誤差が避けられず、後により精密な基準(メートル原器、さらには光の速さ)へと定義が更新されていった歴史があります。「測定にはかならず誤差がある」という考え方が、単位そのものの歴史にも表れています。
