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中学生の学習ノート教科書をもう一段くわしく

平方根の加減と有理化 ── √ の足し算と分母払い

ルートの掛け算・割り算は中身を計算するだけでしたが、足し算・引き算はちょっと違う。同じ √b どうしでないとまとめられません。文字式の同類項と同じ考え方です。また、分母にルートが残るのは中学では「未完成」。有理化で分母から √ を消すまでが計算のお作法です。

ルートの加減 ── 同じ √b どうしのみ

原理
ルートの加減
a√b + c√b = (a + c)√b ── 文字式の「同類項」のように扱う。
例1:2√3 + 5√3

「√3」を共通の文字とみなして係数だけ足す

= (2 + 5)√3

= 7√3

例2:4√2 − √2

= (4 − 1)√2 = 3√2

つまずきポイント①:違う中身は計算できない
  • √2 + √3 はそのまま。これ以上まとめられない。
  • ×(誤)√2 + √3 = √5 ← 絶対に違う!
  • 文字で言えば、x + y を 1 文字にできないのと同じ。√2 と √3 は別の「文字」と考える。

簡単化してから足す

一見違う中身でも、簡単化すると同じ √b になる場合は計算できる。これがポイント!

例3:√8 + √18

それぞれ簡単化:

√8 = 2√2、√18 = 3√2

→ 2√2 + 3√2 = 5√2

例4:√27 + √12 − √48

√27 = 3√3、√12 = 2√3、√48 = 4√3

= 3√3 + 2√3 − 4√3 = (3+2−4)√3 = √3

例5:√50 − √32 + √2

√50 = 5√2、√32 = 4√2、√2 = √2

= 5√2 − 4√2 + √2 = 2√2

有理化 ── 分母のルートを消す

用語
有理化
分母に ルートを含まない形(分母が有理数)に直す操作。分母分子に同じルートをかける。

分母がルートのまま残るのは、未完成。これを次のように直す:

基本:1/√b → √b/b

1/√2 の分母分子に √2 をかける:

1/√2 × √2/√2 = √2 / (√2)²

= √2 / 2

例6:1/√3

= 1/√3 × √3/√3 = √3 / 3

例7:5/√7

= 5/√7 × √7/√7 = 5√7 / 7

例8:3/(2√2)

= 3/(2√2) × √2/√2 = 3√2 / (2·2)

= 3√2 / 4

計算の最後は必ず有理化+簡単化

答えに分母 √ や中身に平方数が残らないようにするのが 最終形。

例9:6/√12

分母 √12 をまず簡単化:√12 = 2√3

6/(2√3) = 3/√3 = 3√3/3 = √3

最終形までスムーズ。

つまずきポイント②:かけすぎに注意
  • 1/√8 の分母 √8 = 2√2 と簡単化してから有理化すると、少ない数で済む。
  • 1/√8 を直接 √8 倍すると 1·√8 / 8 = √8/8 = 2√2/8 = √2/4。同じ結果だが回り道。
  • 先に簡単化してから有理化する習慣が、計算量を減らす。

平方根の加減は文字式と同じ感覚

  • √の中が同じものだけ加減できる。2√3+5√3=7√3。
  • √12のような数は、先に 2√3 のように簡単にしてから同類項を探す。
  • 分母に√があるときは、分母と同じ√を分子分母にかけて有理化する。
  • 有理化後も約分できる場合があるので、最後に係数を整理する。
例:√12+√27−√3

√12=2√3、√27=3√3。したがって 2√3+3√3−√3=4√3。

この章でつまずきやすいところ

ルートの足し算・引き算は、文字式の同類項と同じで「中身の√が同じもの」しかまとめられません。中身が違う、まだ簡単化していない、分母に√が残っている――この三つの場面で、中学生はとくに迷いやすいです。

√2+√3を√5にしてしまう

  • つまずく場面:本文の「ルートの加減」を読みながら問題に取りかかったとき、つい中身どうしを足して√2+√3=√5と書いてしまう場面。掛け算で中身を計算した感覚を、そのまま足し算にも持ち込んでしまい手が止まる。
  • 克服のコツ:見分け方で整理します。√の中身が同じ項どうししか足せないのがルール。√2と√3はxとyのような別の文字と考え、「中身が一致するか」を真っ先にチェック。一致しなければそれ以上まとめず、そのままの形が答えです。
  • ミニ例:2√3+5√3は中身が同じ√3だから(2+5)√3=7√3。一方√2+√3は中身が違うのでこれ以上まとめられず、答えはそのまま√2+√3。

√8と√2は足せないと決めつけてしまう

  • つまずく場面:問題に√8+√2と出てきた瞬間、「中身が8と2で違うから無理」と判断して手が止まる場面。簡単化すれば同類根号になるという発想がまだ出てこず、せっかく計算できる式を放置してしまう。
  • 克服のコツ:時系列で整理します。加減の前に、まず中身を簡単化するのが先。√の中から平方数を外に出してから、改めて「中身が同じ項」を探します。順番は簡単化 → 同類項さがし → 足し引き。この流れが身につくと「計算できない」と早合点しなくなります。
  • ミニ例:√8+√2はまず√8=2√2に直す。すると2√2+√2となり、中身がそろうので(2+1)√2=3√2。

分母に√が残ったまま答えにしてしまう

  • つまずく場面:1/√3のような分数を計算し終え、「これで答えだ」と書いてしまう場面。値としては合っているのに、有理化していないため未完成の答えとされてしまう。なぜそこからもう一手必要なのかが腑に落ちず迷う。
  • 克服のコツ:因果関係で整理します。分母に√が残るのは未完成というのが中学のお作法。だから分母と同じ√を分母分子に同じだけかけると、分母の(√b)²=bが整数になり完成形になります。値を変えずに見た目を整える操作だと意識すると忘れません。
  • ミニ例:1/√3は分母分子に√3をかけて、1×√3/(√3×√3)=√3/3。これで分母から√が消え、最終形になる。

簡単化せずにそのまま有理化してしまう

  • つまずく場面:6/√12のような問題で、いきなり分母分子に√12をかけ始め、途中で数が大きくなって計算が苦しくなる場面。答えにたどり着けても、約分が残っていたり係数がそろわなかったりで、最終形まで整えきれない。
  • 克服のコツ:時系列で整理します。分母の√をまず簡単化 → そのあとで有理化の順を守ると、扱う数が小さくなり計算量が減ります。最後に約分できないかも確認。順番は中身の簡単化 → 有理化 → 約分の三段構えと覚えておきます。
  • ミニ例:6/√12は√12=2√3と直して6/(2√3)=3/√3。さらに有理化して3√3/3=√3。先に簡単化したぶんスッキリ進む。

練習問題

問題1(加減)
次を計算しなさい。
  1. 3√2 + 5√2
  2. 7√5 − 4√5
  3. √3 + √12
  4. √50 − √8
  5. √75 + √48 − √27
答えを見る

(1) 8√2

(2) 3√5

(3) √3 + 2√3 = 3√3

(4) 5√2 − 2√2 = 3√2

(5) 5√3 + 4√3 − 3√3 = 6√3

問題2(有理化)
次の分母を有理化しなさい。
  1. 1/√5
  2. 2/√3
  3. 4/√8
  4. 5/(3√2)
答えを見る

(1) √5/5

(2) 2√3/3

(3) √8 = 2√2 と簡単化 → 4/(2√2) = 2/√2 = 2√2/2 = √2

(4) 5/(3√2) × √2/√2 = 5√2/6

問題3(混合)
次を計算しなさい。
  1. √2 + 1/√2
  2. √12 − 3/√3
答えを見る

(1) 1/√2 = √2/2。√2 + √2/2 = 2√2/2 + √2/2 = 3√2/2

(2) √12 = 2√3、3/√3 = √3。2√3 − √3 = √3

まとめ

  • ルートの加減は 同じ √b どうしのみ。同類項のようにまとめる。
  • 違う見た目でも 簡単化すると同じになる場合は計算できる。
  • 分母にルートが残ったら 有理化:分母分子に同じ √ をかける。
  • 簡単化 → 有理化 の順番が計算をラクにする。
  • 最終形:ルートの中に平方数なし、分母にルートなし。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

コピー用紙A4・B5のヒミツは「1:√2」実生活

A判・B判の紙は、短い辺と長い辺の比が「1:√2」になるよう作られています。だから半分に折っても同じ形のまま小さくなり、A4を2枚並べるとちょうどA3になります。身近な紙にルートの数がかくれているのです。

出典:ウィキペディア「2の平方根」

√2は分数で表せない「無理数」発展

√2は1.41421356…と続き、どんな分数でもぴったり表せない無理数です。だから√2+√3を√5などとまとめられず、根号のまま正確にあつかう必要があります。最初にこれを示したのは古代ギリシャのピタゴラス学派と伝えられています。

出典:ウィキペディア「2の平方根」

拡大コピーの「141%」とルート実生活

コピー機でA4をA3に拡大するとき倍率は約141%と表示されますが、これは√2≒1.414倍のことです。紙の縦横比が1:√2だからこの倍率で余白なくぴったり拡大できます。ルートの近似値が機械の設定に使われている例です。

出典:Wikipedia「International standard paper sizes」

美しさの比「黄金比」にも√が登場発展

デザインや自然界でよく登場する黄金比は、(1+√5)÷2=約1.618という値で、ここにも平方根√5が入っています。二次方程式x²−x−1=0の正の解として求められ、ルートの計算とつながっています。名刺やロゴの縦横比にも使われる比率です。

出典:ウィキペディア「黄金比」

ピアノの音階は「2の12乗根」でできている発展

ピアノなどで使う十二平均律は、1オクターブ(周波数2倍)を12等分してつくられます。そのため半音上がるごとに周波数が2の12乗根(約1.0595)倍になります。平方根を一般化した「累乗根」が、音楽の調律にも使われているのです。

出典:ウィキペディア「2の12乗根」