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平方根の応用 ── 式の値・乗法公式・近似値

ルートに乗法公式を組み合わせると、計算問題のレパートリーが一気に広がります。(√a + √b)²、(√a + √b)(√a − √b)、x = √2 + 1 の式の値、整数部分・小数部分まで。受験頻出の応用問題を一挙にカバーします。

乗法公式とルート ── 展開してから整理

例1:(√3 + √2)²

公式 (a+b)² = a² + 2ab + b² を適用

= (√3)² + 2·√3·√2 + (√2)²

= 3 + 2√6 + 2

= 5 + 2√6

例2:(√7 − √2)²

= 7 − 2√14 + 2

= 9 − 2√14

例3:(√5 + √3)(√5 − √3)

和と差の積:(a+b)(a−b) = a² − b²

= (√5)² − (√3)² = 5 − 3 = 2

中央のルートが消える。

例4:(√6 + 2)(√6 − 1)

(x + a)(x + b) パターン:

= (√6)² + (2 − 1)√6 + 2·(−1)

= 6 + √6 − 2 = 4 + √6

式の値 ── 因数分解してから代入

x = √2 + 1 のとき x² − 2x のような式の値は、x − 1 = √2 と移項したり、因数分解してから代入するのがコツ。

例5:x = √2 + 1 のとき x² − 2x の値

x − 1 = √2 → 両辺を2乗 → (x − 1)² = 2

x² − 2x + 1 = 2 → x² − 2x = 1

→ 1

例6:x = √3 のとき x² + x の値

x² = 3

x² + x = 3 + √3

→ 3 + √3

対称式の利用 ── x+y と xy

x + y と xy がわかれば、x² + y² や x² − xy + y² も計算できる。

例7:x + y = 5, xy = 3 のとき x² + y² の値

x² + y² = (x + y)² − 2xy

= 5² − 2·3 = 25 − 6 = 19

例8:x = √3 + √2, y = √3 − √2 のとき xy

xy = (√3 + √2)(√3 − √2) = 3 − 2 = 1

近似値の利用

√2 ≒ 1.414、√3 ≒ 1.732、√5 ≒ 2.236 を覚えておくと、計算問題でも数値の見当がつく。

例9:√50 のおよその値

√50 = 5√2 ≒ 5 × 1.414 = 7.07

例10:(1 + √3) のおよその値

1 + 1.732 = 2.732

整数部分と小数部分

√7 ≒ 2.6457... のように、ルートの値は 整数部分 + 小数部分に分けられる。

例11:√7 の整数部分 a と小数部分 b

4 < 7 < 9 → 2 < √7 < 3

→ 整数部分 a = 2、小数部分 b = √7 − 2

例12:例11の続き、b² + 4b の値

b = √7 − 2 → b² = (√7 − 2)² = 7 − 4√7 + 4 = 11 − 4√7

b² + 4b = 11 − 4√7 + 4(√7 − 2) = 11 − 4√7 + 4√7 − 8 = 3

つまずきポイント:(√a + √b)² の中央項
  • (√3 + √2)² で 2·√3·√2 = 2√6(中の数を掛ける)。
  • 2 を忘れて √6 にしない。2倍の積が乗法公式の正体。
  • 結果は「整数 ± 2√(ab)」の形になることが多い。

この章でつまずきやすいところ

平方根の応用は、乗法公式を使った展開や式の値、整数部分と小数部分など、ひと工夫いる場面が連続します。本文を読んだり問題を解いたりしている途中で「あれ、ここどうするんだっけ」と止まりやすい瞬間を、先に押さえておきましょう。

(√a+√b)² の中央項の 2 を落としてしまう

  • つまずく場面:(√3 + √2)² を展開する場面で、両端の (√3)² と (√2)² だけ書いて、真ん中の項を √3·√2 = √6 と書きそうになる瞬間に迷いが起きやすいです。本文の「2倍の積」という言葉が頭から抜けやすい場面です。
  • 克服のコツ:因果関係で押さえます。(a+b)² = a² + 2ab + b² の 2ab がそのままルートに移ると 2√(ab) になる、と公式の形と結びつけて読みます。中央項は必ず「整数 ± 2√(中の積)」の形になるはず、と見直すクセをつけると落としにくくなります。
  • ミニ例:(√3 + √2)² の中央項は 2·√3·√2 = 2√6。全体では 3 + 2√6 + 2 = 5 + 2√6。中央の 2 を忘れて 3 + √6 + 2 としないようにします。

和と差の積なのに中央項まで書いてしまう

  • つまずく場面:(√5 + √3)(√5 − √3) のような形を見たとき、直前に (√a+√b)² を練習していた流れで、つい中央項を書き足したくなる場面があります。「ルートが消える形」と「中央項が出る形」がごちゃつく瞬間です。
  • 克服のコツ:見分け方で整理します。同じカッコの2乗 → 中央項が出る。+ と − の符号違いのカッコの積 → 和と差の積で中央が消える。符号を最初に確認してから公式を選ぶ、という順番を固定すると迷いが減ります。
  • ミニ例:(√5 + √3)(√5 − √3) は (a+b)(a−b) 型なので (√5)² − (√3)² = 5 − 3 = 2。中央項は出さないのが正解です。

x = √2 + 1 をそのまま代入して計算が膨らむ

  • つまずく場面:x = √2 + 1 のとき x² − 2x の値を求める場面で、いきなり x² を展開しようとして (√2 + 1)² = 2 + 2√2 + 1 … と書き始め、途中でルートが消えるのか不安になる瞬間があります。
  • 克服のコツ:時系列で手順を固定します。① まず x − 1 = √2 のように移項する。② 両辺を2乗して √ を消す。③ 求めたい式の形に整える。最初に代入せず、2乗してルートを消す式を作ってから処理する、と覚えると迷いません。
  • ミニ例:x = √2 + 1 → x − 1 = √2 → (x − 1)² = 2 → x² − 2x + 1 = 2 → x² − 2x = 1。直接代入よりも式が短く済みます。

整数部分と小数部分の関係を逆に書いてしまう

  • つまずく場面:√7 の整数部分 a と小数部分 b を求める場面で、a = 2 までは出せても、b を 2 − √7 と書いてしまったり、b = √7 と書いてしまったりする迷いが起きやすいです。本文の「整数部分 + 小数部分」のイメージがぼやけがちな場面です。
  • 克服のコツ:位置関係で整理します。数直線上で √7 ≒ 2.64… は 2 と 3 の間にあるので、整数部分は左の整数、小数部分はそこからのはみ出し分。式にすると必ず b = √n − a(プラスではなくマイナス)になります。
  • ミニ例:4 < 7 < 9 より 2 < √7 < 3。整数部分 a = 2、小数部分 b = √7 − 2。√7 = a + b の形に戻して検算すると安心です。

練習問題

問題1(乗法公式とルート)
次を計算しなさい。
  1. (√2 + √5)²
  2. (√7 − 1)²
  3. (√6 + √5)(√6 − √5)
  4. (2 + √3)(2 − √3)
答えを見る

(1) 2 + 2√10 + 5 = 7 + 2√10

(2) 7 − 2√7 + 1 = 8 − 2√7

(3) 6 − 5 = 1

(4) 4 − 3 = 1

問題2(式の値)
次の式の値を求めよ。
  1. x = √5 + 1 のとき x² − 2x
  2. x = 2 + √3, y = 2 − √3 のとき x + y と xy
  3. 上の x, y で x² + y²
答えを見る

(1) (x − 1)² = 5 → x² − 2x + 1 = 5 → x² − 2x = 4

(2) x + y = 4、xy = (2)² − (√3)² = 4 − 3 = 1

(3) x² + y² = (x+y)² − 2xy = 16 − 2 = 14

問題3(整数部分と小数部分)
√10 の整数部分を a、小数部分を b とする。
  1. a を求めよ。
  2. b を a を含む形で表せ。
  3. (a + b)² の値。
答えを見る

(1) 9 < 10 < 16 → a = 3

(2) b = √10 − 3

(3) a + b = √10、(√10)² = 10

まとめ

  • 乗法公式は そのままルートにも使える。中央項に 2√(ab) が出る。
  • (√a + √b)(√a − √b) = a − b:和と差の積でルートが消える。
  • 式の値:x − 1 = √2 のように 移項して2乗、または 因数分解してから代入。
  • 対称式 x² + y² は (x+y)² − 2xy で計算。
  • 整数部分 a と小数部分 b は b = √n − a の関係。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

A4用紙のひみつは「1:√2」実生活

コピー用紙のA判・B判は、縦と横の長さの比がちょうど1:√2になるように作られています。この比なら半分に折っても縦横の比が変わらないので、A4を半分にするとA5、というように同じ形のまま小さくできるのです。A0は面積が1平方メートルになるよう定められています。

出典:Wikipedia「ISO 216」

地震のマグニチュードと平方根実生活

気象庁によると、マグニチュード(M)が1大きくなると地震のエネルギーは約32倍になります。これは32が約1000の平方根(√1000≒31.6)にあたるためで、Mが2大きくなるとエネルギーは約1000倍になります。√を使うと、地震の規模どうしのエネルギー差を実感できます。

出典:気象庁「震度・マグニチュード・地震情報について」

振り子の周期は長さの平方根で決まる実生活

振り子が1往復する時間(周期)は、おもりの重さや振れ幅ではなく、ひもの長さだけで決まります。周期は長さの平方根に比例するので、周期を2倍にしたければ長さを2の2乗である4倍にしなければなりません。ここにも√と2乗の関係が表れています。

出典:日本ガイシ NGKサイエンスサイト「振り子の周期」

正方形の対角線にあらわれる√2発展

1辺の長さが1の正方形の対角線の長さは、三平方の定理から√(1²+1²)=√2になります。つまり√2は、定規ではかれないけれど図形の中に確かに存在する長さです。1:√2の長方形は「白銀長方形」とも呼ばれ、用紙サイズにも使われています。

出典:Wikipedia「2の平方根」

√2は分数で表せない「無理数」発展

√2は、どんな整数の分数(比)でも正確には表せない数で、無理数と呼ばれます。√2を分数で表せると仮定すると必ず矛盾が起こることが証明でき、これは古代ギリシャのピタゴラス学派の「すべては整数の比で表せる」という考えをくつがえした有名な発見でした。

出典:Wikipedia「2の平方根」