図でつかむ
この図は、式や定理を読む前に全体像をつかむための補助図です。問題を解くときも、まず同じような簡単な図を自分で描いてから条件を書き込むと、見落としが減ります。
円と相似 ── 円周角を使って相似を示す
円周上の点 A, B, C, D で2つの弦 AB, CD が円の内部の P で交わるとき、△PAC ∽ △PDB になる。これは円周角の定理が背景。
弦 AB と CD が点 P で交わる。
△PAC と △PDB において、
① ∠CAP = ∠BDP(弧 BC に対する円周角)
② ∠APC = ∠DPB(対頂角)
①、② より △PAC ∽ △PDB
例1の相似から、PA:PD = PC:PB → PA·PB = PC·PD
PA=4, PB=6, PC=8 のとき PD = (PA·PB)/PC = 24/8 = 3
円外の点からの2弦
円の外の点 P から円に2本の弦を引いたとき(割線)も、同様に PA·PB = PC·PD。証明はやはり円周角と相似。
接線と接点 ── 半径と直交
点 P から円 O に引いた接線 PT、接点 T。
OT ⊥ PT(半径と接線は直交)
→ △OPT は直角三角形。三平方の定理で辺の長さが計算できる。
外部点からの2本の接線は等しい
点 P から円に引いた接線の接点を T, T'
PT = PT'
理由:△OPT と △OPT' は OP 共通、OT = OT'(半径)、∠OTP = ∠OT'P = 90° → 合同 → PT = PT'
円と平行線 ── 弧の長さの比
円の2本の弦が平行のとき、それらに挟まれた弧の長さが等しい。
→ 同位角に対する円周角が等しいから。
定番パターン:円周角 + 相似 + 三平方
① 円周角の定理で 2角を見つける
② 相似条件「2角」で 三角形の相似を確定
③ 対応する辺の比から 長さを求める
④ 直径や接線があれば 三平方の定理も活用
方べきの定理(参考)
① 2弦が交点 P(内部):PA · PB = PC · PD
② 2割線が交点 P(外部):PA · PB = PC · PD
③ 接線と割線:PT² = PA · PB(PT は接線、PA, PB は割線の長さ)
→ どの場合も「2つの掛け算が等しい」
中3では公式名は出てこないが、相似から導ける
応用問題パターン
- 弦の交点問題:方べきの関係
- 接線と弦:接弦角の定理(高校)
- 円と三角形:内接円・外接円
- 2円の関係:2円の交点・接点
- これらは入試で頻出
- 「弧 AB に対する円周角」は、A, B 以外の 円周上の点 P から見た ∠APB
- P がどちら側にあるかで角の大きさが変わる場合がある(中3範囲では同じ側で考えればOK)
- 図を描き、どの弧・どの円周角・どの中心角かを 記号で明示する
- PA × PB = PC × PD(順序に注意)
- P から見たそれぞれの弦の両端までの距離の積
- 覚え方:「Pから一直線上の2点までの長さの積」
- 接線は 接点で半径と垂直
- これを使って三平方の定理を適用
- r² + (接線)² = (中心から外部点までの距離)²
円と相似をつなぐ視点
- 円周角で等しい角を見つけると、三角形の相似条件「2組の角がそれぞれ等しい」につながる。
- 接線と半径は接点で垂直。接線が出たら、半径を補助線として引く。
- 直径があるときは、円周角90°から直角三角形を作れる。
- 角度計算では、弧を共有している角、対頂角、三角形の内角和を順に使う。
- 中心Oが与えられているなら、Oと円周上の点を結ぶと半径ができる。
- 直径の端点が見えるなら、その2点と円周上の点を結んで直角を探す。
この章でつまずきやすいところ
円周角の応用では、同じ弧・接線・相似を組み合わせて辺の長さを求めます。問題を解く途中で「どの弧の円周角か」「どこに補助線を引くか」で手が止まりやすい単元。読み進めながら迷う具体場面を整理しておきましょう。
違う弧の円周角を等しいと思い込んでしまう
- つまずく場面:弦ABと弦CDが点Pで交わる図を見て、∠CAPと∠BDPが等しい根拠を「どちらも円周角だから」とだけ書いてしまう場面。どの弧をはさんでいるかを確認しないまま、「円周上の角だから等しい」と雰囲気で済ませて先に進もうとしてしまう。
- 克服のコツ:位置関係で整理する。①等しいと言いたい2つの角を見つけたら、②それぞれの角がどの弧をはさんでいるかを矢印で書き込み、③同じ弧をはさんでいることを確認してから「等しい」と書く。弧が違えば角も違う、が原則。
- ミニ例:弦AB・CDがPで交わる図で、∠CAPと∠BDPはどちらも点A・点Dから弧BCを見た円周角だから等しい。一方、∠CADは弧CDを見た円周角なので、弧BCを見る∠CAPとは別物。「どの点から、どの弧を見ているか」を毎回口に出して確認する。
円周角だけで終わって相似まで進めない
- つまずく場面:「∠CAP=∠BDPだ、できた」と一安心して止まってしまう場面。求めたいのは辺の長さなのに、角が等しいことを書いただけで答えに進めず、PA·PB=PC·PDの式までたどり着けない。
- 克服のコツ:因果関係で整理する。①円周角の定理で角1組、②対頂角で角もう1組、③「2組の角が等しい」で三角形の相似、④対応する辺の比から長さの式、という4段ロケットを毎回声に出して確認する。角の等しさは出発点で、ゴールではない。
- ミニ例:△PACと△PDBで、∠CAP=∠BDP(弧BC)と∠APC=∠DPB(対頂角)の2組。2組の角が等しいから△PAC∽△PDB。対応する辺の比はPA:PD=PC:PBだから、内項の積=外項の積でPA·PB=PD·PC。
接線と割線でPT²=PA·PBの形を思い出せない
- つまずく場面:「点Pから円に接線PTと割線PABを引いた」という問題を読んだとき、PTとPA・PBの3つの長さがどう結びつくのかが見えず手が止まる場面。弦どうしの方べきPA·PB=PC·PDは覚えていても、接線が出てきた瞬間に「接線版」の式が思い出せない。
- 克服のコツ:見分け方を決めておく。Pから出る2本のうち1本が接線のときは、接線の長さを2乗して割線側の積と等しくする、と覚える。PT²=PA·PB。接線は「同じ点が2回重なった割線」とイメージするとPT·PT=PA·PBの形が自然に出る。
- ミニ例:点Pから円に接線PT、割線PABを引き、PA=4、AB=5のとき、PB=PA+AB=9。PT²=PA·PB=4·9=36なので、PT=6。接線が出たら「2乗して割線の積に等しい」を反射的に書き出す。
方べきの式の組み合わせを取り違える
- つまずく場面:PA·PB=PC·PDの式を覚えたつもりで、いざ問題でPA=6、PB=4、PC=3が与えられると、「PA·PCかな、PB·PDかな」と迷ってしまう場面。Pから見た「同じ直線上の2点」の組がどれかを見失う。
- 克服のコツ:位置関係で整理する。Pを中心に考え、同じ1本の直線の上にある2点どうしを掛け合わせる、と決めておく。1本目の割線上ならPAとPB、2本目の割線上ならPCとPD。「Pから一直線上の2点までの長さの積」がもう一方の積と等しい、というのが方べきの形。内部交点でも外部交点でも同じ。
- ミニ例:点Pが円の外部にあり、2本の割線がそれぞれ円とA・B、C・Dで交わる場合、PA=3、PB=8、PC=4のとき、同じ直線上のPA·PB=24と、もう一方のPC·PD=4·PDが等しいので、24=4·PDよりPD=6。違う割線どうしを混ぜてPA·PCにしないのがコツ。
練習問題
円の中で弦 AB と CD が点 P で交わる。PA = 6, PB = 4, PC = 3 のとき PD は。
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PA·PB = PC·PD → 24 = 3·PD → PD = 8
点 P から円 O に接線 PT を引き、PT = 12、PO = 13 のとき、円の半径 r は。
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△OPT は直角三角形(∠OTP = 90°)。r² + 12² = 13² → r² = 25 → r = 5
外部の点 P から円に引いた2接線の接点が T, T'。PT = 8 のとき PT' は。
答えを見る
外部点から円への2接線は等しい → PT' = 8
まとめ
- 円周角の定理を使うと、円と関わる三角形の 相似が次々証明できる。
- 2弦の交点:PA·PB = PC·PD(方べきの定理)。
- 接線は接点を通る 半径と直交。
- 外部点からの 2接線の長さは等しい。
- パターン:円周角 → 2角 → 相似 → 辺の比 → 三平方の流れが定番。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
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