図でつかむ
この図は、式や定理を読む前に全体像をつかむための補助図です。問題を解くときも、まず同じような簡単な図を自分で描いてから条件を書き込むと、見落としが減ります。
正方形の対角線
対角線² = a² + a² = 2a²
対角線 = a√2
対角線 = 5√2 ≒ 7.07 cm
正三角形の高さ・面積
高さ:半分の底辺 (a/2) と頂点を結び、直角三角形
高さ² = a² − (a/2)² = a² − a²/4 = 3a²/4
高さ = (√3/2)a
面積 = (1/2)·a·(√3/2)a = (√3/4)a²
高さ = (√3/2)·6 = 3√3 cm
面積 = (√3/4)·36 = 9√3 cm²
座標平面の2点間距離
AB = √((x₂ − x₁)² + (y₂ − y₁)²)
差:x の差 3、y の差 4
距離 = √(9 + 16) = √25 = 5
x の差 5、y の差 −4
距離 = √(25 + 16) = √41
円と弦 ── 中心からの垂線
円の中心から弦に垂線を下ろすと、弦を 2等分する。
半径 r、中心から弦までの距離 d、弦の長さ ℓ のとき:
(ℓ/2)² + d² = r² → ℓ = 2√(r² − d²)
弦² = 2² · (100 − 36) = 4·64 → 弦/2 = 8 → 弦 = 16
→ 弦の長さ 16
長方形の対角線
対角線 = √(a² + b²)
例:縦 3, 横 4 → 対角線 = 5
三角形の3辺から面積
底辺 6、等辺 5 の二等辺三角形
頂点から底辺に垂線 → 底辺の中点まで 3
高さ² = 5² − 3² = 16 → 高さ = 4
面積 = (1/2)·6·4 = 12
- 三平方の定理を使うには 必ず直角三角形が必要。
- 図に直角三角形がないときは、補助線を引いて作る(高さの垂線、対角線、半径など)。
- 「どの三角形が直角になるか」を見つけるのが、応用問題のカギ。
- 2点 A(x₁, y₁), B(x₂, y₂) の距離 = √((x₂−x₁)² + (y₂−y₁)²)
- 差の 2乗を取るので、引き算の順序は気にしなくてよい
- 例:A(0, 0), B(3, 4) → 距離 = √(9+16) = 5
- 1辺 a の正三角形について:
- 高さ = (√3/2)·a
- 面積 = (√3/4)·a²
- 計算は「中央の垂線を引いて30°-60°-90°の直角三角形」
- 1:√3:2 の比から導ける
平面図形で直角三角形を作る
- 三平方の定理は、図の中に直角三角形を作るところから始まる。
- 長方形・正方形の対角線は、縦と横を直角を挟む2辺とする。
- 座標平面では、横の差と縦の差を直角を挟む2辺として距離を求める。
- 正三角形では、高さを下ろすと 30°-60°-90° の直角三角形ができる。
横の差は4、縦の差は3。距離は √(4²+3²)=5。
この章でつまずきやすいところ
三平方の定理は直角三角形でしか使えないのに、平面図形の問題では「正方形」「正三角形」「座標」と直角三角形でない形で出てくることが多いね。本文や図を読んでいる途中で、どこに直角三角形を見つければよいか迷いやすい場面を整理しよう。
図の中に直角三角形がなくて手が止まる
- つまずく場面:本文で「正三角形の高さを求める」と出てきた瞬間、図には直角の印が一つも書かれておらず、三平方の定理をどこに当てはめればいいのか分からなくなる場面。直角三角形が無いから使えない、と思って止まってしまう。
- 克服のコツ:見分け方は「直角三角形が無いなら自分で作る」こと。高さの垂線・対角線・半径から弦への垂線、この三つが代表的な補助線だよ。本文でも「補助線で直角三角形を取り出す」と整理されている。図に直角の印がない時こそ、補助線を引いて直角を作る合図だと考えよう。
- ミニ例:1辺6cmの正三角形で高さを求めるとき、頂点から底辺に垂線を下ろすと、底辺3cm・斜辺6cmの直角三角形ができる。これで三平方が使える形に変わる。
斜辺はいちばん長い辺だと忘れて立式する
- つまずく場面:「対角線²=横²+縦²」の式を読みながら自分の問題に当てはめるとき、どの辺を c(斜辺)にするか迷う場面。図を見て手前にある辺や、たまたま長く描かれている辺を斜辺にしてしまい、式の左右がちぐはぐになる。
- 克服のコツ:位置関係で見分けよう。斜辺は必ず直角の真向かいにある辺で、3辺のうちでいちばん長い。式を書く前に、図の直角マークを探し、その向かい側の辺に「これが斜辺」と印をつける。直角を挟む2辺がa,b、向かいがcと固定して読み直すとズレない。
- ミニ例:縦3・横4の長方形の対角線では、直角は長方形の角にあり、向かいの対角線が斜辺。だから対角線²=3²+4²=25で対角線5となる。
座標の距離で引き算の順序に迷う
- つまずく場面:本文の2点間距離の公式 √((x₂−x₁)²+(y₂−y₁)²) を見ながら、A(−2,3)とB(3,−1)で「x₂−x₁は3−(−2)?それとも−2−3?」と止まる場面。マイナスが入ると符号が不安になり、計算を進められなくなる。
- 克服のコツ:因果関係で押さえよう。差を求めたあとで2乗するから、符号は最終的に消える。だから引き算の順序はどちらでも答えは同じ。迷ったら「横の差」「縦の差」を絶対値の感覚で書き、すぐ2乗する流れにする。本文も「差の2乗を取るので、引き算の順序は気にしなくてよい」と整理している。
- ミニ例:A(−2,3)とB(3,−1)では、横の差は5、縦の差は4(向きは無視)。距離=√(5²+4²)=√(25+16)=√41となる。
正三角形の高さを「辺の半分」と思い込む
- つまずく場面:1辺aの正三角形の図を見て、底辺をちょうど半分にする垂線が描かれている場面。図の見た目から「高さ=a/2」と決めつけてしまう。本文の (√3/2)a という式を見ても、どこから√3が出てきたのか結びつかない。
- 克服のコツ:時系列で追おう。まず垂線で底辺が半分(a/2)になる→次に斜辺a、底辺a/2の直角三角形ができる→そこで三平方で高さ²=a²−(a/2)²=3a²/4→だから高さ=(√3/2)a、という順番。「a/2になるのは底辺の半分だけで、高さは別物」と区別する。
- ミニ例:1辺6cmの正三角形なら、底辺の半分は3cm、斜辺は6cm。高さ²=36−9=27だから高さは3√3 cmで、6÷2=3ではない。
練習問題
- 1辺8の正方形の対角線
- 1辺4の正三角形の高さと面積
- 縦5横12の長方形の対角線
答えを見る
(1) 8√2 (2) 高さ 2√3、面積 4√3 (3) 13
次の2点間の距離を求めよ。
- A(0, 0), B(3, 4)
- A(1, −2), B(5, 1)
- A(−3, 4), B(2, −1)
答えを見る
(1) 5 (2) √(16+9) = 5 (3) √(25+25) = 5√2
半径13の円の中で、中心からの距離が5の弦の長さは。
答えを見る
弦の半分 = √(13² − 5²) = √144 = 12 → 弦 = 24
底辺16、等辺17の二等辺三角形の面積。
答えを見る
高さ² = 17² − 8² = 289 − 64 = 225 → 高さ 15、面積 = (1/2)·16·15 = 120
まとめ
- 正方形の対角線 = a√2、長方形の対角線 = √(a²+b²)。
- 正三角形の高さ = (√3/2)a、面積 = (√3/4)a²。
- 2点間距離:√((x差)² + (y差)²)。
- 円と弦:(弦/2)² + (中心からの距離)² = (半径)²。
- 応用問題は 直角三角形を見つける/補助線で作る。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
三平方の定理はピタゴラスより1000年以上前から知られていた発展
この定理は「ピタゴラスの定理」とも呼ばれますが、紀元前のバビロニア(今のイラク南部)の粘土板「プリンプトン322」には、すでにこの定理に関わる数の組が数多く刻まれていました。a²+b²=c²をみたす自然数の組(3,4,5)や(5,12,13)などは「ピタゴラス数」と呼ばれ、古代から特別な関係として知られていたのです。
テレビの「○インチ」は対角線の長さ実生活
テレビやモニターの大きさを表す「○インチ(型)」は、画面の角から角までの対角線の長さのことで、1インチは約2.54cmです。画面の縦と横を直角をはさむ2辺と考えると、対角線=√(横²+縦²)という三平方の定理そのもので、横幅16・縦9の比から実際の縦横の寸法を逆算できます。
地図の測量でも「2点間の距離」を座標で計算する実生活
国土地理院は、地球上の位置を平面の直交座標(x,y)で表す「平面直角座標系」を使って測量を行っています。この座標を使えば、2点間の距離は横の差と縦の差を直角をはさむ2辺とした三平方の定理で求められ、実際に「平面直角座標から2点間の距離を求めます」という計算サービスが公開されています。
平面の座標を曲面に当てはめる工夫発展
地球は丸いので、本当はそのままでは平面の座標が使えません。国土地理院は地球の曲面を平面に投影し、距離の誤差を1万分の1以内におさえるために、適用範囲を東西約130km以内に区切って全国を19の座標系に分けています。三平方の定理による平面の距離計算を、現実の地球で正確に使うための工夫です。
2点間の距離は3次元・n次元へ広がる発展
平面の2点間の距離√((x差)²+(y差)²)は、奥行きを表すz座標を加えると、空間の距離√((x差)²+(y差)²+(z差)²)へそのまま拡張できます。さらに座標の数を増やせばn次元の「ユークリッド距離」となり、これはデータどうしの近さを測るデータサイエンスの基礎として大学でも使われています。
