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7章 三平方の定理 ── 章末41問問題集

7章の総まとめ 41問。基本・平面・空間・座標・証明に分けて練習。中3数学の最重要単元、高校入試で必出です。

復習のポイント

  • 三平方の定理:直角三角形で a² + b² = c²(c は斜辺)
  • 逆も成り立つ:a² + b² = c² なら直角三角形
  • 有名な三角形:3:4:5、5:12:13、8:15:17、7:24:25
  • 1:1:√2:直角二等辺三角形
  • 1:√3:2:30°-60°-90° の直角三角形
  • 座標平面の2点間距離、空間の対角線、最短距離問題

この章でつまずきやすいところ

三平方の定理は「直角三角形のどこを斜辺と見るか」「いま使っているのは定理か、その逆か」で混乱しやすい単元です。ここでは問題を解く途中で起こりがちな迷いを4つ取り上げ、立ち止まり方を整理します。

一番長い辺を斜辺と思い込んでしまう

  • つまずく場面:三辺の長さが与えられた問題で「斜辺はどれだろう」と迷い、図のいちばん長く描かれた辺をそのまま c に置いてしまいがちです。直角の位置を確かめずに式を立てる手が止まる場面です。
  • 克服のコツ:見分け方として、まず直角の印を探し、その向かい側にある辺を斜辺とします。図に直角の印がない場合は、3辺で a²+b²=c² が成り立つかを試し、等しくなるときの c が斜辺です。最長辺かどうかは結果であって基準ではありません。
  • ミニ例:3辺が 6, 8, 10 のとき、6²+8²=100=10² なので 10 が斜辺。長さの大小だけで決めず、平方の和で確認する手順を踏みます。

定理と「定理の逆」を同じ場面で使ってしまう

  • つまずく場面:「直角三角形か確かめなさい」と「斜辺の長さを求めなさい」の区別があいまいになり、長さを求める場面で 3辺を比較してしまったり、判定の場面で c を勝手に置いてしまったりする迷いです。
  • 克服のコツ:因果関係で整理します。直角だと分かっている → 三平方の定理で長さを求める。3辺が分かっている → 逆を使って直角かを判定する。問題文に「直角三角形の」とあるかどうかが切り替えのスイッチです。設問を読み終わった瞬間にどちらかを決めてから式に進みます。
  • ミニ例:3辺 4,5,6 の判定では 4²+5²=41、6²=36。a²+b² と c² が等しくないので直角三角形ではない、と「逆」で結論まで進めます(判定の基準は『等しいかどうか』です)。

立体の対角線で3辺をいきなり一つの式に入れてしまう

  • つまずく場面:直方体や立方体の対角線を求める問題で、縦・横・高さの3つを一度に三平方の定理に入れたくなり、「a²+b²+c² でいいの?」と手が止まる場面です。平面の式とのつながりが見えなくなります。
  • 克服のコツ:位置関係で2段階に分けます。(1) 底面の対角線を先に求める(底面の縦と横で三平方)。(2) その対角線と高さで、もう一度直角三角形を作る。結果として √(a²+b²+c²) になりますが、図の中で直角三角形を二つ描いて確かめると迷いません。
  • ミニ例:縦3, 横4, 高さ12 の直方体なら、底面の対角線は √(9+16)=5。次に 5 と 12 で √(25+144)=13。これが体対角線です。

立体の表面の最短距離を立体のまま測ろうとしてしまう

  • つまずく場面:「直方体の表面を通って対角の頂点まで行く最短距離」のような問題で、立体図を見たまま辺を足し合わせたり、体対角線の式を使おうとしたりして、何が「最短」なのか分からなくなる場面です。
  • 克服のコツ:位置関係を切り替えます。表面上の最短距離は展開図に開いて直線で測るのが基本です。立体のままでは曲がってしまう経路も、平面に開けば2点を結ぶ線分で表せます。直方体なら展開のしかたが複数(最大3通り)あるので、候補の距離を比べていちばん短いものを選びます。なお、この場面では体対角線の式(√(a²+b²+c²))は使いません(表面を通る最短のときに限った話で、立体内部の対角線を求めるときには使います)。
  • ミニ例:縦4・横6・高さ3 の直方体の表面最短は、展開して √85, √97, √109 の3通りを比較し、いちばん短い √85 を採用します。表面最短を扱うこの場面では体対角線の式は使いません。
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A 基本(10問)
  1. 直角を挟む辺 3, 4 → 斜辺
  2. 直角を挟む辺 5, 12 → 斜辺
  3. 斜辺 13, 1辺 5 → 残り
  4. 斜辺 17, 1辺 8 → 残り
  5. 3辺 6,8,10 → 直角か
  6. 3辺 4,5,6 → 直角か
  7. 1:1:√2 の直角二等辺で、等辺5 → 斜辺
  8. 1:√3:2 の三角形で、最短辺3 → 中辺と斜辺
  9. 直角を挟む辺√7, 3 → 斜辺
  10. 3辺 9,12,15 → 直角か
答えを見る

(1) 5 (2) 13 (3) 12 (4) 15

(5) 36+64=100=10² → 直角 (6) 16+25=41≠36 → 違う

(7) 5√2 (8) 3√3、6 (9) √(7+9) = 4 (10) 81+144=225=15² → 直角

B 平面(10問)
  1. 1辺6の正方形の対角線
  2. 1辺8の正三角形の高さ
  3. 1辺8の正三角形の面積
  4. (2,3) と (6,6) の距離
  5. (−1,2) と (3,−1) の距離
  6. 半径10の円、中心から弦まで距離6 → 弦の長さ
  7. 縦9, 横40の長方形の対角線
  8. 底辺10, 等辺13の二等辺三角形の面積
  9. 1辺 a の正方形の対角線
  10. (0,0) と (3,4) の距離
答えを見る

(1) 6√2 (2) 4√3 (3) 16√3

(4) √(16+9) = 5 (5) √(16+9) = 5

(6) 半分 √(100−36) = 8 → 弦 16

(7) √(81+1600) = √1681 = 41 (8) 高さ = √(169−25) = 12、面積 = 60

(9) a√2 (10) √(9+16) = 5

C 空間(10問)
  1. 1辺4の立方体の対角線
  2. 1辺6の立方体の対角線
  3. 縦3, 横4, 高さ12の直方体の対角線
  4. 縦5, 横6, 高さ8 の直方体の対角線
  5. 底面半径5、高さ12の円錐の母線
  6. 母線15、底面半径9の円錐の高さ
  7. 底面1辺6、高さ4の正四角錐の側辺
  8. 1辺 a の立方体の対角線
  9. 直方体の三辺が a, b, c のときの対角線
  10. 底面半径3、高さ4の円錐の体積(参考)
答えを見る

(1) 4√3 (2) 6√3

(3) √(9+16+144) = √169 = 13 (4) √(25+36+64) = √125 = 5√5

(5) 13 (6) √(225−81) = 12

(7) 底面対角線半分 3√2、斜辺 = √(16+18) = √34

(8) a√3 (9) √(a²+b²+c²) (10) (1/3)π·9·4 = 12π

D 最短距離・応用(10問)
  1. 直方体 縦4,横6,高さ3 の表面上、対角頂点までの最短距離
  2. 底面半径3、母線9の円錐の側面上、1周して戻る最短距離
  3. 1辺6の立方体、面の対角線の長さ
  4. 1辺6の立方体の体対角線
  5. 三角形 3, 4, 5 の面積
  6. 三角形 5, 12, 13 の面積
  7. 正四面体(4面が正三角形)1辺6の高さ
  8. 地上から高さ100mのビル、地平までの距離(地球半径6400km)
  9. 2台の車が直角に進む、A時速30km、B時速40km、1時間後の距離
  10. 梯子12m、壁から距離5m → 壁の高さ
答えを見る

(1) 3つの展開方向を比較:min(√85, √97, √109) = √85

(2) 中心角 = (2π·3)/9 = 120°、扇形の弦 = 2·9·sin(60°) = 9√3

(3) 6√2 (4) 6√3 (5) (3·4)/2 = 6 (6) (5·12)/2 = 30

(7) 6·√(2/3) = 2√6 (8) √((6400000+100)²−6400000²) ≈ 35.8km(参考)

(9) √(900+1600) = 50km (10) √(144−25) = √119 ≈ 10.9m

E 証明(1問)
  1. 1辺 a+b の正方形の中に、直角三角形(直角をはさむ辺が a, b、斜辺が c)を4枚、向きを変えて並べると、中央に1辺 c の正方形ができる。次の空所をうめて a²+b²=c² を導きなさい。
    大きい正方形の面積 = (a+b)² = 4つの三角形の面積の和 + 中央の正方形の面積 = 4×( ① )+( ② )
    これを展開・整理すると a²+2ab+b² = 2ab+c² となり、両辺から 2ab を引くと( ③ )が導かれる。
答えを見る

① ab/2 ② c² ③ a²+b²=c²

テスト前のチェックリスト

  • □ a² + b² = c²(c は斜辺)
  • □ 有名三角形:3:4:5、5:12:13、8:15:17
  • □ 直角二等辺:1:1:√2
  • □ 30°-60°-90°:1:√3:2
  • □ 立方体の対角線 = 1辺 × √3
  • □ 正方形の対角線 = 1辺 × √2
  • □ 正三角形の高さ = 1辺 × √3/2
  • □ 直方体の対角線 = √(a²+b²+c²)
  • □ 2点間距離 = √((x差)² + (y差)²)
つまずきポイントの再確認
  • 斜辺はどれか:直角の対辺(最長)
  • 三辺が逆向きでも成立:a²+b²=c² の確認で直角の検証
  • 展開図:立体の最短距離は展開図で考える
  • 有名三角形を覚えると計算が速い

三平方の定理の証明(参考)

図形的な証明

1辺 a+b の正方形の中に、4つの直角三角形(辺 a, b, c)を入れる

中央に1辺 c の正方形ができる

大きい正方形の面積 = (a+b)²

= 4つの三角形 + 中央の正方形

= 4·(ab/2) + c²

= 2ab + c²

よって a² + 2ab + b² = 2ab + c² → a² + b² = c²

有名な直角三角形の覚え方

  • 3:4:5 3²+4²=9+16=25=5² (基本)
  • 5:12:13 5²+12²=25+144=169=13²
  • 8:15:17 8²+15²=64+225=289=17²
  • 7:24:25 7²+24²=49+576=625=25²
  • 9:40:41 9²+40²=81+1600=1681=41²
  • 全部「ピタゴラス数」と呼ばれる

特殊な直角三角形の比

角度から比が決まる

45°-45°-90°(直角二等辺):1:1:√2

 1辺の正方形の対角線

30°-60°-90°:1:√3:2

 正三角形の半分

→ 特殊な角度は 比だけで計算できるのが利点

三平方の応用例(実社会)

  • 建築:3:4:5 を使って直角を作る(古代から)
  • GPS:位置を計算するのに2点間距離(三平方)
  • カーナビ:道路上の距離計算
  • 木材の対角線:四角の板の対角線で寸法を測る
  • テレビ・モニター:「50インチ」は対角線の長さ

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

「ピタゴラス数」と高校以上の難問へのつながり発展

3:4:5 や 5:12:13 のように a²+b²=c² を満たす整数の組はピタゴラス数と呼ばれ、無数に存在します。一方、指数を3以上にした xⁿ+yⁿ=zⁿ には自然数の解がない、というのが「フェルマーの最終定理」で、約360年間未解決のまま1995年にワイルズが証明しました。三平方の定理は最先端の数学にも直結しています。

出典:Wikipedia「フェルマーの最終定理」

三平方の定理はピタゴラスより1000年以上前から知られていた発展

「ピタゴラスの定理」と呼ばれますが、実際にはピタゴラスが生まれる1000年以上前の古代バビロニアで、すでにこの関係が使われていたと考えられています。紀元前1800年頃の粘土板「プリンプトン322」には、a²+b²=c² を満たす整数の組(ピタゴラス数)が多数記録されており、知られている中で最古の表とされています。

出典:Wikipedia「プリンプトン322」

座標平面の2点間距離は三平方の定理そのもの発展

平面上の2点(x₁,y₁)、(x₂,y₂)の距離は √((x₂−x₁)²+(y₂−y₁)²) で求められます。これはx方向の差とy方向の差を直角をはさむ2辺とみた三平方の定理に他なりません。高校の「図形と計量」や空間座標の距離計算へも、この考え方がそのまま広がっていきます。

出典:Wikipedia「ピタゴラスの定理」

測量・地図づくりで使われる2点間距離の計算実生活

国土地理院の「測量計算サイト」では、平面直角座標から2点間の距離を求める計算が公開されています。座標の差を2辺とみて三平方の定理で距離を出す考え方は、地図づくりや土木の測量で実際に使われています。緯度・経度から距離を求める計算も同サイトで提供されています。

出典:国土地理院「測量計算サイト」

古代エジプトの「直角づくり」と建築実生活

古代エジプトでは、ナイル川の氾濫後に土地を区割りする際、辺の比が3:4:5になるように縄を張って直角を作っていたと考えられています。3²+4²=5²が成り立つため、この比の三角形は必ず直角三角形になります。今でも建築の現場で直角を正確に出すのに同じ原理が役立ちます。

出典:Wikipedia「ピタゴラスの定理」