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仕事 ── 力×距離 と仕事率

理科で言う 「仕事」は、日常語と少し違って 「力 × 距離」のこと。重い荷物を持ち上げたり、台車を押したり、力をかけて動かしたら仕事をしたことになります。仕事率(パワー)は同じ仕事をどれだけ速く行うか。

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仕事は力と移動距離で決まる 対象 はたらき 流れ 結果 力を加えても、その向きに物体が動かなければ理科の仕事は0 です。
仕事は力と移動距離で決まる

力を加えても、その向きに物体が動かなければ理科の仕事は0です。

仕事の定義

公式
仕事
仕事 [J] = 力 [N] × 距離 [m]
力の向きと、動いた向きが 同じときに仕事をしたという。
例1

10 N の力で 3 m 引っ張った

仕事 = 10 × 3 = 30 J(ジュール)

例2:質量 5kg の物体を 2m 持ち上げる

必要な力 = 重力 = 5 × 9.8 = 49 N(または 5 × 10 = 50 N と簡易計算)

仕事 = 49 × 2 = 98 J(または 50 × 2 = 100 J)

仕事をしない場合

  • 力をかけても 動かないとき(壁を押し続けた):仕事 = 0 J
  • 動いていても 力をかけていないとき(慣性で動く):仕事 = 0 J
  • 力の向きと運動の向きが 垂直のとき:仕事 = 0 J(持ち上げた重い荷物を水平に運ぶ場合の重力の仕事)

仕事の原理 ── 道具を使っても仕事は同じ

原理
仕事の原理
てこ・動滑車・斜面などを使うと、加える 力を小さくできるかわりに 動かす距離が長くなる。定滑車は力の向きを変える。いずれも摩擦を無視すれば 仕事の量は変わらない
例3:定滑車と動滑車

10 N の物体を 2 m 持ち上げる:仕事 20 J

定滑車:10 N で 2 m 引く → 仕事 10×2 = 20 J(力の大きさは同じで、向きだけが変わる)

動滑車:5 N で 4 m 引く → 仕事 5×4 = 20 J(力は半分だが距離が2倍)

例4:斜面

高さ 1m に物体を持ち上げる(重さ 100N):直接 → 1m × 100N = 100J

斜面(長さ 2m)を使うと:力 50N × 距離 2m = 100J(同じ)

仕事率 ── 単位時間あたりの仕事

公式
仕事率
仕事率 [W] = 仕事 [J] ÷ 時間 [s]
単位:W(ワット)= J/s。1W = 1秒間に1J の仕事。
例5

100J の仕事を 10秒でやった → 仕事率 = 100/10 = 10W

同じ 100J を 5秒でやった → 20W(2倍のパワー)

例6:身近な例

100W の電球:1秒に 100J のエネルギーを消費

1000W のドライヤー:1秒に 1000J = 1kJ

仕事とエネルギーの関係

エネルギー = 仕事をする能力

仕事をした分だけ、物体はエネルギーをもらった/失ったと考える。

単位は仕事と同じ J(ジュール)

道具と仕事

道具距離仕事
直接持ち上げる1倍1倍同じ
定滑車1倍1倍同じ(向きが変わる)
動滑車 1個1/2倍2倍同じ
動滑車 2個1/4倍4倍同じ
斜面(緩い)小さい長い同じ
てこ支点までの比で変わる逆比で変わる同じ

仕事率の身近な例

電気製品のワット数

LED 電球:5〜10W

冷蔵庫:100〜300W

テレビ:100〜200W

ドライヤー:1000〜1200W

電子レンジ:500〜1500W

エアコン:500〜2000W

kWh(キロワット時):1kW × 1時間 = 3600kJ の電力量

人間の仕事率

人の仕事率(参考)

普通の作業:50〜100W

早歩き:200〜300W

階段を駆け上がる:500〜800W

瞬間最大:1000〜2000W(短時間)

→ 人間1人 ≒ 「人力車エンジン」ぐらい

仕事の計算問題のコツ

  • 力の単位を N(ニュートン)にそろえる
  • 距離の単位を m(メートル)にそろえる
  • 質量 → 重力 = 質量 × 9.8(または 10)N
  • 持ち上げる仕事は、重力に逆らう仕事 = 重さ × 高さ
  • 動いた距離は 力の向きに動いた距離
つまずきポイント①:力と距離は「同じ向き」
  • 仕事 = 力 × 距離 だが、力の向きと動いた向きが同じであることが前提。
  • 重いカバンを水平に運ぶ:重力(下向き)と運動(水平)が直角 → 重力は仕事をしていない。
  • あくまで 力の向き方向の距離を使う。
つまずきポイント②:仕事の原理
  • 動滑車や斜面では 力は小さくなるが 距離は長くなる。定滑車は力の向きを変える道具。
  • 仕事の総量(力×距離)は 変わらない
  • 「楽になる」のは力だけで、仕事量は変わらない
  • これが エネルギー保存と関連
つまずきポイント③:W と J の違い
  • J(ジュール):仕事・エネルギーの単位
  • W(ワット):仕事率(パワー)の単位 = J/秒
  • 1W は 1秒に 1J の仕事をする速さ
  • 100W の電球は 1秒に 100J = 1分で 6000J = 6kJ

練習問題

問題1(仕事)
  1. 20N の力で 5m 動かした → 仕事
  2. 50N の物体を 3m 持ち上げた → 仕事
  3. 100N の力で押したが動かなかった → 仕事
答えを見る

(1) 100J (2) 150J (3) 0J(動かなかったから)

問題2(仕事の原理)

動滑車を使って 20N の物体を 1m 持ち上げる。手で引く力と引いた距離は。

答えを見る

力 10N(半分)、距離 2m(2倍)。仕事は 20J で同じ。

問題3(仕事率)
  1. 200J の仕事を 5秒で → 仕事率
  2. 仕事率 50W で 10秒間動かした → 仕事
  3. 1500W のヒーターが 1分間にする仕事
答えを見る

(1) 40W (2) 500J (3) 90000J = 90kJ

まとめ

  • 仕事 [J] = 力 [N] × 距離 [m]
  • 動かないと仕事は 0J。力と運動が垂直でも 0J。
  • 仕事の原理:道具を使っても 仕事の量は変わらない
  • 仕事率 [W] = 仕事 [J] ÷ 時間 [s]
  • 仕事とエネルギーは同じ単位(J)。