図でつかむ
丸・しわなどの形質は、親から受け継いだ遺伝子の組合せとして表にすると整理できます。
遺伝子と形質
遺伝子:染色体上にあり、親から子に伝わる「設計図」(DNA)
形質:遺伝子により現れる特徴(花の色、種子の形、目の色など)
顕性(優性)と潜性(劣性)
顕性形質(優性):両親が違う遺伝子を持つときに 子に現れる方の形質
潜性形質(劣性):両親が違う遺伝子を持つときに 子に現れない方の形質
親:丸い種子(純系)× しわのある種子(純系)
→ 子(F₁):すべて 丸い種子
→ 「丸」が顕性、「しわ」が潜性
遺伝子の記号 ── 大文字と小文字
- 大文字 A:顕性遺伝子(例:丸い種子の A)
- 小文字 a:潜性遺伝子(例:しわのある種子の a)
- 親から1個ずつもらうので、子は AA、Aa、aa のいずれか
AA(純系・顕性):丸い
Aa(雑種):丸い(A が表に出る)
aa(純系・潜性):しわ
メンデルの実験を追う
親:AA × aa
減数分裂で、AA からは A の遺伝子のみ、aa からは a のみ
受精:子は全員 Aa(雑種、丸い種子)
Aa × Aa を考える
Aa の生殖細胞:A または a(半分ずつ)
組合せ表:
A a
A AA Aa
a Aa aa
→ AA:Aa:aa = 1:2:1
→ 表現型は 丸(AA + Aa):しわ(aa)= 3:1
分離の法則
遺伝の計算問題のコツ
① 親の遺伝子型を書く(例:AA × aa、または Aa × Aa)
② 各親が作る生殖細胞を書く(AA → A のみ、Aa → A と a)
③ 組合せ表で子の遺伝子型を求める
④ 表現型の比を答える
メンデルとエンドウマメの実験
グレゴール・ヨハン・メンデル(オーストリアの修道士・1822-1884)
1856-1863年:エンドウマメを使った交配実験
1865年:「植物雑種に関する研究」を発表
1900年:3人の科学者により 再発見される
→ 遺伝学の 父と呼ばれる
→ エンドウマメ7つの形質で実験:種子の形・色・花の色・サヤの形など
DNAと遺伝子
DNA(デオキシリボ核酸):遺伝情報を担う物質
染色体:DNAがヒストンに巻きついた構造
遺伝子:DNAの一部、特定のタンパク質の設計図
ゲノム:1つの生物が持つすべての遺伝情報
→ ヒトゲノムは約30億塩基対、約2万個の遺伝子
→ 1953年 ワトソン&クリックがDNA二重らせん構造を発見
遺伝の応用:品種改良・遺伝子組換え
- 品種改良:望ましい形質を持つ生物を交配で作る
- 例:甘いトウモロコシ、収穫量の多いコメ
- 遺伝子組換え:直接遺伝子を加える
- 例:除草剤に強い大豆、寒さに強い作物
- クローン:同じ遺伝子を持つ個体(クローン羊ドリー、1996年)
- ゲノム編集:CRISPR-Cas9 で特定の遺伝子を編集
ヒトの遺伝
耳あか:乾型・湿型には遺伝子が関係する
血液型:A・B・O 型は複数の対立遺伝子の組み合わせで決まる
性別:X 染色体と Y 染色体(XX が女性、XY が男性)
耳あかや血液型のように遺伝が関係する形質もあるが、ヒトの形質は複数の遺伝子や環境が関わることも多い
→ エンドウの例のように単純な比で表せる形質と、そうでない形質を区別する
- F₂ で 3:1 はあくまで 確率的な比。実験で 1000 粒中 750:250 とぴったりにはならない。
- 例:750:250 が出れば「3:1」として正解扱い。
- 少数では当然ずれる。大量に観察するほど 3:1 に近づく(大数の法則)。
- 遺伝子型:遺伝子の組合せ(AA, Aa, aa)
- 表現型:見た目の形質(丸・しわ)
- AA と Aa は表現型が同じ(どちらも丸)
- 遺伝子型 1:2:1 → 表現型 3:1 になる
- 2017年から学術用語が変更
- 優性 → 顕性(あらわれやすい)
- 劣性 → 潜性(隠れている)
- 古い教科書では「優性」「劣性」と書かれている場合もある
- 「劣っている」という誤解を避けるための変更
練習問題
丸い種子(AA)としわのある種子(aa)を掛け合わせた。子(F₁)の遺伝子型と表現型は。
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遺伝子型:Aa、表現型:すべて丸い種子(顕性形質)
F₁(Aa)どうしを交配したときの孫世代(F₂)の表現型の比を求めよ。
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丸:しわ = 3:1
Aa と aa を交配したときの子の表現型の比は。
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Aa:a×A、a×a → Aa:aa = 1:1 → 丸:しわ = 1:1
F₂ で全部 800 粒の種子を得たとき、しわのある種子はおよそ何粒か。
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3:1 → しわは 1/4 → 800 × 1/4 = 200 粒(予想)
まとめ
- 遺伝子:親から子へ受け継がれる「設計図」。染色体上にある。
- 顕性(A)と潜性(a):両親が違うとき 表に出る方が顕性。
- 遺伝子型:AA、Aa、aa。表現型:AA = Aa は同じ(顕性)、aa は潜性。
- F₁:純系どうし → すべて雑種(Aa)。
- F₂:F₁ どうし → 表現型 3:1 の比。
- 分離の法則:対の遺伝子は生殖細胞で 1個ずつに分かれる。