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中学生の学習ノート教科書をもう一段くわしく

生態系 ── 食物連鎖と物質の循環

植物が太陽の光を食べ物に変え、草食動物がそれを食べ、肉食動物がそれを食べる。死んだ生物は 分解者によって土に戻り、また植物の栄養になる。食物連鎖と 物質の循環──地球上の生命のつながりを見ていきます。

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生態ピラミッドと炭素の循環 少ない 多い 高次消費者:ヘビ・ワシ 第2次消費者:カエル 第1次消費者:バッタ 生産者:草・植物プランクトン 下位ほど数が多く、上位ほど少ない 炭素の循環 大気中の CO₂ 生産者 (植物) 消費者 (動物) 分解者(菌類・細菌) 光合成 食べる(有機物) 呼吸 枯死・死骸 分解して CO₂へ
生態ピラミッド(草→バッタ→カエル→ヘビ・ワシ)と、生産者・消費者・分解者をめぐる炭素の循環

左は食物連鎖を数のバランスで表した生態ピラミッドで、下位(生産者)ほど多く上位(高次消費者)ほど少なくなります。右は炭素の流れで、生産者の光合成→消費者の呼吸→分解者の分解を通って、CO₂が大気と生物の間を循環します。

生態系とは

用語
生態系
ある地域の 生物全体と環境を1つのまとまりとして見たもの。森林、河川、海洋など。

食物連鎖 ── 食べる・食べられる

用語
食物連鎖
生物が 食う・食われるの関係でつながったもの。一直線。
例:陸の食物連鎖

草 → バッタ → カエル → ヘビ → ワシ

例:海の食物連鎖

植物プランクトン → 動物プランクトン → 小魚 → 大魚 → サメ

食物網 ── 実際は網目状

実際の自然界では、1つの動物が複数の生物を食べたり食べられたりするので、食物連鎖が 網のようにつながった状態になる。これを 食物網という。

役割で分類:生産者・消費者・分解者

用語
3つの役割

生産者:光合成で 有機物を作る(植物、植物プランクトン)

消費者:他の生物を食べる(草食動物・肉食動物)

分解者:死骸や排泄物を 分解する(菌類・細菌類)

生産者の役割 ── すべての始まり

光合成

CO₂ + H₂O + 光エネルギー → 有機物(デンプン)+ O₂

植物や植物プランクトンなどの生産者は、光合成で 無機物から有機物を作れる

→ 多くの生態系では、消費者は 光合成を行う生産者(植物)に間接的に依存している

分解者の役割 ── ループを閉じる

分解

死骸や落ち葉、排泄物の 有機物 → 無機物

→ 土に栄養が戻り、植物が再利用

分解者がいなければ、地球は死骸でいっぱいになる。

炭素の循環

大気・生物・土壌の間を炭素が回る

大気の CO₂ → 植物の光合成で有機物に → 動物が食べて呼吸で CO₂ → 大気へ戻る

死骸 → 分解者が分解 → CO₂ → 大気へ

→ 炭素は 循環している

生物濃縮 ── 食物連鎖の上位ほど高濃度

用語
生物濃縮
分解されにくい物質(DDT、水銀、PCB)が、食物連鎖を 上位に行くほど高濃度に蓄積する現象。
例:水俣病(水銀の生物濃縮)

海水中の有機水銀 → プランクトン(薄い) → 小魚(中) → 大魚(濃い) → 人間(最も濃い)

人間に深刻な健康被害を引き起こした。

酸素の循環

O₂ の循環

植物の 光合成で酸素を発生 → 大気へ

動物・植物の 呼吸で酸素を消費 → CO₂ を排出

→ 炭素と酸素は 逆向きに循環している

→ 大気中の酸素は、植物や植物プランクトンなどの光合成生物のはたらきと深く関係している

生態ピラミッド

数のバランス

食物連鎖では一般に、下位ほど個体数や生物量が多く、上位ほど少ない傾向がある

生産者(植物):とても多い

第1次消費者(草食動物):少なめ

第2次消費者(小型肉食):もっと少ない

高次消費者(大型肉食):最も少ない

→ 三角形(ピラミッド)型のバランスができる

生態系のバランスが崩れると

  • 過剰な狩猟:ある動物が絶滅 → 食物連鎖が崩れる
  • 外来種:もとからない生物が侵入 → 在来種が減る
  • 環境汚染:水質・大気汚染で生物が死ぬ
  • 森林伐採:生息地が破壊される
  • 気候変動:気温・降水量の変化で生態系が変わる

身近な分解者

微生物の働き

カビ・キノコ(菌類):腐ったものを分解

納豆菌・乳酸菌(細菌類):発酵食品をつくる

大腸菌:腸内で食物の消化を助ける

ミミズ・ダンゴムシ:落ち葉を細かくする(土壌動物)

→ 自然界の 掃除屋でリサイクルを担う

つまずきポイント①:分解者の中心は菌類・細菌類
  • 分解者の中心は 菌類(カビ・キノコ)と細菌類。
  • ミミズやダンゴムシなどの土壌動物は落ち葉を細かくし、分解を助ける。
  • 「植物・動物・菌」の3区分でも、分解者の中心は菌類と覚える。
つまずきポイント②:食物連鎖と食物網
  • 食物連鎖:「草 → バッタ → カエル」のような 一直線の関係
  • 食物網:複数の連鎖が 網目状に絡み合った関係
  • 現実は食物網。連鎖は簡略化した教科書的表現
つまずきポイント③:生物濃縮
  • 分解されにくい毒物(水銀・DDT・PCB)が 食物連鎖上位ほど濃く蓄積
  • 水俣病・カネミ油症などの公害病の原因
  • マグロなどの大型魚に水銀が多いのも生物濃縮
  • 生物が 毒を分解できないから起こる

この章でつまずきやすいところ

生態系の本文は「食う・食われる」「分解」「炭素の循環」など似た言葉が並び、読んでいる途中で関係の向きや役割が混ざりやすい単元です。読みながら迷いやすい4つの場面を、見分け方と教科書整合の例で整理します。

分解者をミミズやダンゴムシだと思い込んでしまう

  • つまずく場面:「分解者は何か」と聞かれて本文を読み返すと、ミミズ・ダンゴムシ・菌類・細菌類が並んでいる。土壌動物の印象が強くて、分解者の中心がどれなのか途中で迷う場面。
  • 克服のコツ:役割の中心と補助で分けるのがコツ。分解者の中心は菌類(カビ・キノコ)と細菌類で、有機物を無機物まで分解する。ミミズやダンゴムシは落ち葉を細かくして分解を助ける土壌動物という位置づけ。「分解の最終段階を担うか」で見分ける。
  • ミニ例:落ち葉が土に還る流れは、ダンゴムシ・ミミズが細かくする → 菌類・細菌類が無機物まで分解。最後の無機物化を担うのが分解者の中心、と本文の役割表に戻って確認する。

食物連鎖と食物網を同じものとして読み流してしまう

  • つまずく場面:本文に「草 → バッタ → カエル → ヘビ → ワシ」と一直線の図が出てきた直後に「実際は網のようにつながる」と書かれていて、どちらが現実なのか読み進めながら混乱する場面。
  • 克服のコツ:簡略化したモデルか、現実の姿かで見分ける。食物連鎖は一直線に並べた教科書的な表現で、食物網は複数の連鎖が網目状に絡んだ現実の姿。「→が一本道なら連鎖、枝分かれや合流があれば網」と図の形で判断する。
  • ミニ例:カエルはバッタだけでなくクモも食べ、ヘビにもワシにも食べられる。1種が複数の矢印でつながる図になったら、それは食物網を表していると本文の位置づけに戻る。

炭素の循環と酸素の循環を同じ向きだと思い込んでしまう

  • つまずく場面:本文で「植物の光合成でCO₂が有機物に」「呼吸でCO₂が大気へ戻る」と読み、続けて「光合成で酸素が発生」と出てくる。CO₂と酸素が同じ向きに動いている気がして、循環の図を頭で描けなくなる場面。
  • 克服のコツ:光合成と呼吸の入出力で見分けるのがコツ。光合成はCO₂を取り込み、O₂を出す。呼吸はO₂を取り込み、CO₂を出す。つまり炭素と酸素は逆向きに大気と生物の間を循環している、と因果関係でとらえる。
  • ミニ例:昼の植物は光合成でCO₂を吸ってO₂を出し、同じ植物も呼吸でO₂を吸ってCO₂を出している。同じ生物の中でCO₂とO₂は逆方向に動くとおさえる。

生物濃縮を「上位ほど食べる量が多いから」と理由づけしてしまう

  • つまずく場面:本文で「DDT・水銀などが食物連鎖の上位ほど高濃度になる」と読んだとき、上位の動物がたくさん食べるから濃くなる、と途中で納得しそうになる場面。
  • 克服のコツ:分解できるかどうかという因果関係で見分ける。生物濃縮は、上位の生物が食べる量が多いからではなく、体内で分解・排出されにくい物質が、下位の生物を多数食べることで少しずつ蓄積して濃くなるという流れで起こる。
  • ミニ例:海水中の有機水銀は薄くても、プランクトン → 小魚 → 大魚 → 人と食べ進むうちに分解されずに体内に残る。教科書ではDDTや有機水銀などが食物連鎖の上位ほど高濃度になる例として示され、水俣病はその社会的影響として関連づけて取り上げられている。

練習問題

問題1(役割)

次の生物の役割(生産者/消費者/分解者)を答えよ。

  1. イネ
  2. カエル
  3. シイタケ
  4. ライオン
  5. 植物プランクトン
答えを見る

(1) 生産者 (2) 消費者 (3) 分解者 (4) 消費者 (5) 生産者

問題2(食物連鎖)

「ワシ・カエル・草・バッタ」を食物連鎖の順に並べよ。

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草 → バッタ → カエル → ワシ

問題3(炭素の循環)

大気の CO₂ が植物に入り、再び大気に戻るまでの過程を述べよ。

答えを見る

植物が光合成で CO₂ を取り込み、有機物(デンプン)を作る。動物が植物(または他の動物)を食べて呼吸で CO₂ を放出。死骸は分解者が分解して CO₂ に戻す。

まとめ

  • 生態系:生物と環境のまとまり。
  • 食物連鎖:食う・食われるのつながり。食物網はその網目版。
  • 役割:生産者(植物)/消費者(動物)/分解者(菌類・細菌)。
  • 炭素の循環:光合成 → 有機物 → 呼吸・分解 → CO₂。
  • 生物濃縮:分解されにくい物質が上位ほど濃く蓄積する。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

水俣病は「生物濃縮」が引き起こした公害病実生活

化学工場から海に流れ出たメチル水銀が、プランクトンから魚へと食物連鎖を通じて蓄積し、上位ほど高濃度になりました。汚染された魚を多く食べた人々が神経の病気である水俣病になり、生物濃縮が人の健康にも関わる重大な問題だとわかります。

出典:環境省 国立水俣病総合研究センター「水俣病と水銀について」

外来種が食物網のバランスを崩す実生活

アメリカザリガニのような外来種は、水草や水生昆虫を食べて在来の生態系のバランスを崩します。実際にため池で大型魚(バス)を除くとザリガニが大発生し、水草が消えて水質も悪化した例が報告され、食物網のつながりの大切さがわかります。

出典:環境省 日本の外来種対策「アメリカザリガニ」

太陽光がなくても成り立つ深海の生態系発展

深海の熱水噴出孔のまわりでは、光が届かないため光合成ができません。その代わり、熱水にふくまれる硫化水素などからエネルギーを得る化学合成細菌が生産者となり、有機物をつくって生態系を支えています。

出典:海洋研究開発機構(JAMSTEC) 国際海洋環境情報センター「深海とは」

マイクロプラスチックも食物連鎖に取り込まれる実生活

海に流れ出た5mm以下の細かいプラスチック(マイクロプラスチック)は、プランクトンから魚へと食物連鎖を通して移っていくことが実験で確認されています。それにふくまれる有害物質が生物の体内にたまる心配があり、生物濃縮と似た問題として注目されています。

出典:環境省「マイクロプラスチックの生物生態系影響(水生生物)」

分解者の力を利用した発酵食品発展

納豆菌や乳酸菌などの細菌は、自然界では有機物を分解する分解者のなかまです。人はこのはたらきを利用して、納豆やヨーグルト、みそなどの発酵食品をつくっており、分解者の活動が食生活にも役立っていることがわかります。

出典:農林水産省 aff(あふ)「『発酵』の不思議」