図でつかむ
3つの前あしは、大きさや形、使われ方がまったく異なる。しかし骨を色分けして比べると、同じ位置に同じ種類の骨が並んでいることがわかる。もとは同じつくりだったものが、それぞれの環境に合わせて長い年月をかけて形を変えてきたと考えられる。
進化とは
進化は、1匹の個体が生きている間に体を変えることではない。
世代を重ねる中で、集団の中の遺伝子の割合や特徴が少しずつ変わっていくことをいう。
相同器官 ── 形は違うがもとは同じつくり
ヒトのうで(物をつかむ)・クジラのひれ(水をかく)・コウモリの翼(空を飛ぶ)
はたらきはそれぞれ違うが、上腕骨・前腕骨・手根骨・指の骨という骨の基本の並びは共通している
→ これらの動物は、遠い昔に共通の祖先をもっていたことの証拠と考えられている
シソチョウ(始祖鳥) ── は虫類と鳥類の中間の特徴
は虫類の特徴:口に歯がある/つばさの先に爪がある/長い尾の骨がある
鳥類の特徴:体が羽毛でおおわれている/前あしが翼になっている
→ シソチョウは、は虫類から鳥類へ進化したことを示す証拠の1つと考えられている
脊椎動物の出現順 ── 水中から陸上へ
魚類(最も古い)→ 両生類 → そこからは虫類につながる系統と哺乳類につながる系統が分かれ、鳥類はは虫類(恐竜)のなかまから現れた
水中で生活する魚類から、水辺と陸を行き来する両生類、完全に陸上で生活できるは虫類へと、水中から陸上へ生活の場を広げてきたと考えられている。哺乳類は、は虫類とは別に、両生類から分かれた初期の系統(単弓類)から進化したと考えられている
進化の証拠になるもの
- 相同器官:現在の形は違っても基本のつくりが同じ器官
- 中間的な特徴をもつ化石:シソチョウのように、2つのなかまの特徴をあわせもつ生物の化石
- 地層の新旧と化石の変化:古い地層ほど単純な生物、新しい地層ほど複雑な生物の化石が見つかる傾向
- 相同器官は見た目や使い方ではなく、骨格の基本のつくりが同じかどうかで判断する。
- クジラのひれと魚のひれは見た目が似ているが、骨のつくりはまったく違う(これらは相同器官ではない)。
- 「似ているから相同」ではなく「もとが同じつくりだから相同」と整理する。
- シソチョウは、どちらか一方に決めるのではなく、両方の特徴をあわせもつ中間的な生物と理解する。
- 歯・爪・長い尾(は虫類的)と、羽毛・翼(鳥類的)をセットで覚える。
- 「進化の途中の姿を示す化石」という位置づけがポイント。
この章でつまずきやすいところ
進化の単元は、時間の長さと証拠の種類が本文の中で入り混じるため、読んでいる途中で論理の筋道を見失いやすい単元です。よくつまずく場面を整理します。
進化を1個体の変化だと思い込んでしまう
- つまずく場面:「キリンは進化して首が長くなった」という説明を読んで、1頭のキリンが生きている間に首が伸びたようなイメージをもってしまう場面。
- 克服のコツ:個体の一生か、世代を超えた変化かで見分ける。進化は、何世代もの間にわたって、集団の中の遺伝子や特徴の割合が少しずつ変わっていく現象。1個体の体が変わることではない。
- ミニ例:首の長い個体が生き残りやすい環境が続くと、世代を重ねるうちに首の長い個体の割合が増えていく。これが「キリンが進化した」ことの意味。
相同器官の判断基準を見た目にしてしまう
- つまずく場面:本文の相同器官の図を見て、「形が似ているものが相同器官」と覚えてしまい、見た目が似ているだけの器官まで相同器官だと判断してしまう場面。
- 克服のコツ:図の中の骨の色分けに注目する。上腕骨・前腕骨・手根骨・指の骨という骨の並び方が同じかどうかで判断し、見た目やはたらきの違いにまどわされない。
- ミニ例:クジラのひれとコウモリの翼は見た目がまったく違うが、骨の並びは同じなので相同器官。一方、昆虫のはねと鳥の翼は、どちらも「飛ぶための部分」だが、もとのつくりが全く異なるため相同器官ではない。
脊椎動物の出現順を「今いる数の多さ」で考えてしまう
- つまずく場面:「魚類→両生類→は虫類→哺乳類・鳥類」の順番を、現在の生物の種類の多さや身近さの順だと勘違いしてしまう場面。
- 克服のコツ:この順番は地層と化石からわかる出現の古さの順であって、今の生物の数や身近さとは関係がない。水中生活から陸上生活へという生活場所の広がりと合わせて覚える。
- ミニ例:両生類から、は虫類につながる系統と哺乳類につながる系統が分かれ、鳥類はそのあとには虫類(恐竜)のなかまから現れたと考えられている。「哺乳類も鳥類と同じようには虫類から分かれた」と一直線に覚えるのではなく、哺乳類は別の古い系統(単弓類)から進化した点に注意する。シソチョウの化石は、は虫類から鳥類への進化を橋渡しする証拠。
練習問題
ヒトのうで、クジラのひれ、コウモリの翼のように、現在の形やはたらきは異なるが、もとは同じ器官から変化したと考えられる器官を何というか。
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相同器官
シソチョウがもつ、(1) は虫類の特徴と (2) 鳥類の特徴を、それぞれ1つずつ答えよ。
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(1) 歯がある/つばさの先に爪がある/長い尾の骨がある のいずれか (2) 羽毛でおおわれている/翼をもつ のいずれか
魚類・両生類・は虫類を、地球上に出現した古い順に並べよ。
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魚類 → 両生類 → は虫類
まとめ
- 進化:長い年月・世代を重ねる中での生物の変化。遺伝子の変化が起源。
- 相同器官:形やはたらきは違うが基本のつくりが同じ器官。共通の祖先の証拠。
- シソチョウ:は虫類と鳥類、両方の特徴をもつ化石。は虫類から鳥類への進化の証拠。
- 脊椎動物の出現順:魚類 → 両生類 → は虫類(この系統から鳥類が出現)。哺乳類は、は虫類とは別の系統(単弓類)から進化。水中から陸上へ。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
相同器官とよく似た「相似器官」との違い発展
昆虫のはねと鳥の翼のように、はたらきは似ていても、もとになったつくりが異なる器官は「相似器官」とよばれ、相同器官とは区別されます。相同器官が共通の祖先をもつ証拠とされるのに対し、相似器官は違う系統の生物が、似た環境に適応した結果として似た形になったと考えられています。
シソチョウはドイツの石灰岩地帯で発見された発展
シソチョウの化石は、ドイツ南部にあるジュラ紀(約1億5000万年前)の地層から発見されました。大きさはカラスくらいで、翼と羽毛をもちながら歯や爪、長い尾をもつという中間的な特徴が、発見当初から進化論の重要な証拠として注目されてきました。
シーラカンスは「生きた化石」とよばれる魚実生活
シーラカンスは、大昔に絶滅したと考えられていましたが、1938年に南アフリカ沖で生きた個体が発見され、世界を驚かせました。数億年前の化石とほとんど姿が変わっていないことから「生きた化石」とよばれ、進化の速さが生物によって大きく異なることを示す例として研究が続けられています。
今ではDNAを比べて進化の道すじを調べる発展
化石だけでなく、現在は生物のDNA(遺伝子)を比較することでも、生物どうしの近い・遠いという関係を調べられるようになりました。似たDNAをもつ生物ほど近い時期に共通の祖先から分かれたと考えられ、これを手がかりに進化の道すじを表した図を系統樹といいます。
