図でつかむ
歴史は、背景、できごと、社会の変化、後の時代への影響を順に並べると因果関係が見えます。
平城京遷都(710年)
- 場所:今の奈良市
- モデル:唐の都 長安(碁盤目状の整然とした計画都市)
- 規模:東西約 4.3km、南北約 4.8km。人口約 10万人。
- 中心:南北を貫く 朱雀大路(すざくおおじ)。北端に 平城宮(天皇の住まい・政治の中心)。
遷都の理由
前の藤原京は手狭になっていた。
律令制を整えた天皇は、その威厳を示す 大きな都を必要とした。
中国(唐)と肩を並べる国であることを内外に示す目的。
聖武天皇(しょうむてんのう)の治世
人物
聖武天皇(在位 724〜749年)
奈良時代最盛期の天皇。仏教を篤く信仰し、東大寺の大仏建立を発願した。
- 聖武天皇の時代、天然痘(てんねんとう)の大流行・大地震・反乱などが続発。
- 「仏の力で国を守ろう」と考え、各地に 国分寺・国分尼寺を建立。
- 743年、東大寺の大仏建立を命令。
東大寺と大仏
東大寺の大仏
正式名盧舎那仏(るしゃなぶつ)
高さ約 14.7m(座像で)
完成752年に開眼供養(大仏に魂を入れる儀式)
材料銅約 500トン、金約 9トン
建設のべ 260万人が関わった国家事業
東大寺は 「総国分寺」として、全国の国分寺を束ねる中心寺院でした。大仏殿は世界最大級の木造建築。
墾田永年私財法(こんでんえいねんしざいほう、743年)
用語
墾田永年私財法
新しく開墾(こんかい・かいこん)した土地を 永久に私有してよいと認めた法律。それまでの 公地公民の原則を 事実上崩した 重要な法。
なぜこの法律が必要だったか
- 口分田が足りなくなり、新たな田が必要だった。
- 「開墾してもどうせ国に取られる」と農民が消極的になっていたため、所有を認めることでやる気を出させる狙い。
- 結果:力のある豪族・寺社が 大規模な私有地(荘園)を持ち始めた。
- これが平安時代の 荘園制の始まりとなり、律令制を内側から崩していく。
天平文化 ── 国際的な仏教文化
用語
天平文化(てんぴょうぶんか)
聖武天皇の 「天平」 時代を中心とした奈良時代の文化。仏教中心で、遣唐使を通じた中国・西域・インド文化の影響が強い。シルクロードの終着点としての国際性。
遣唐使(けんとうし)
- 遣唐使:日本から 唐(中国)に派遣された使節団。630〜894年まで20回近く。
- 目的:唐の進んだ政治・文化・仏教を学ぶ。
- 有名人:阿倍仲麻呂(あべのなかまろ)(唐で官僚になり、帰国できず)/鑑真(がんじん)(唐の高僧、6度目で日本に到着、唐招提寺を建立)。
奈良時代の代表的書物
- 『古事記』(712年):日本最古の歴史書。神話から推古天皇までを記す。太安万侶(おおのやすまろ)編。
- 『日本書紀』(720年):国家正式の歴史書。神話から持統天皇まで。漢文で記す。
- 『万葉集』(8世紀後半):日本最古の歌集。約4,500首の和歌。天皇から農民・防人までの幅広い作者。万葉仮名で書かれている。
- 『風土記』:地方の地理・伝承を記した書物。
正倉院 ── 天平のタイムカプセル
- 正倉院(しょうそういん):東大寺にある宝物殿。聖武天皇の遺品が保管されている。
- 校倉造(あぜくらづくり):木材を組み合わせた特殊な構造。湿度を一定に保つので宝物が現存する。
- 宝物:ペルシャ・インド・西域からの工芸品。シルクロードを通って日本まで届いたものが多数。
奈良時代の終わり
奈良時代末期は、僧侶の 道鏡(どうきょう)が女帝(孝謙・称徳天皇)を背景に政治に影響力を持つなど、宮廷が乱れました。これを打破するため、桓武天皇が即位し、794年に都を 平安京に遷します(次の単元)。
練習問題
問題1(平城京)
平城京は何年に何をモデルに作られたか。場所はどこか。
答えを見る
710年、唐の都 長安をモデルに作られた。場所は 現在の奈良市。
問題2(大仏)
東大寺の大仏を建立させた天皇と、完成した年を答えなさい。なぜ大仏を作ったか。
答えを見る
天皇:聖武天皇
完成:752年(開眼供養)
理由:天然痘の流行・地震・反乱などで国が乱れたため、仏の力で国を守ろうとした。
問題3(墾田永年私財法)
墾田永年私財法とは何か。これがもたらした影響は?
答えを見る
内容:新しく開墾した土地を永久に私有してよいと認めた法律(743年)。
影響:公地公民の原則が崩れ、有力豪族や寺社が大規模な私有地(荘園)を持つようになり、律令制が崩れる原因の一つになった。
問題4(書物)
奈良時代に成立した、日本最古の歴史書と最古の和歌集を答えなさい。
答えを見る
最古の歴史書:『古事記』(712年)
最古の和歌集:『万葉集』(8世紀後半、約4,500首)
まとめ
- 710年、平城京(奈良)に遷都。唐の長安をモデルにした計画都市。
- 聖武天皇が仏教の力で国を守ろうと、東大寺の大仏を建立(752年完成)。
- 各地に 国分寺・国分尼寺を置く。
- 743年の墾田永年私財法で公地公民が崩れ、荘園が生まれる。
- 天平文化は仏教中心・国際的。遣唐使で唐から学び、シルクロードの宝物が 正倉院に残る。
- 奈良時代の文学:古事記・日本書紀・万葉集・風土記。