図でつかむ
陸から12海里までが領海、200海里までが排他的経済水域(EEZ・領土ではない)という線引きを断面図で押さえ、下の3枚のカードで「だれが実効支配しているか」を見分けてください。
領域は3つの要素から成る
- 領土:陸地(島も含む)。
- 領海:海岸から 12海里(約22km)までの海。
- 領空:領土と領海の 上空。宇宙空間は含まない。
- 「海里(かいり)」は海の上の距離の単位。1海里=1,852m。
- 12海里(領海)=約22km。200海里(EEZ)=約370km。
排他的経済水域(EEZ) ── 海の権利範囲
領土:約 37.8万 km²
EEZ:約 447万 km²で世界上位
面積では小さい日本も、海に囲まれているのでEEZは非常に広い。海洋資源・水産業の重要性が大きい。
3つの領土問題
領土をめぐる課題は、日本政府の立場と 実際にどの国が管理しているか(実効支配)を分けて整理します。どの島も、歴史・条約・国際法・周辺海域の利用が関わるため、感情論ではなく資料にもとづいて見ることが大切です。
① 北方領土 ── 北海道の北東
- 場所:北海道の北東、千島列島の南端の 択捉島・国後島・色丹島・歯舞群島の4島。
- 日本の主張:江戸時代から日本人が住み、1855年の 日露通好条約で日本の領土と確認されている。
- 現状:第二次世界大戦末期の1945年、ソ連(現ロシア)が占領。以来ロシアが実効支配。日本人は住めない。
- 交渉:平和条約は未締結。交渉状況は国際情勢に左右されるため、最新資料で確認する。
② 竹島 ── 島根県の沖
- 場所:島根県・隠岐諸島の北西。日本海上。
- 日本の主張:1905年に島根県に正式編入。それ以前から日本人がアシカ漁などで利用。
- 現状:1952年から 韓国が一方的に占拠・実効支配。韓国は 「独島(ドクト)」と呼ぶ。
- 交渉:日本は 国際司法裁判所への付託を提案しているが、韓国は拒否。
③ 尖閣諸島 ── 沖縄県・東シナ海
- 場所:沖縄県・八重山諸島の北。中国・台湾の東。
- 日本の主張:1895年に沖縄県に編入。明治政府の調査で「無主の地」だったことを確認。
- 現状:日本が 実効支配中。日本政府は「領土問題は存在しない」という立場。
- 中国・台湾の主張:1970年代に石油資源の可能性が報告された後、中国・台湾が領有を主張し始めた。中国は 「釣魚島(ちょうぎょとう)」と呼ぶ。
- 北方領土 → ロシアが実効支配、日本は返還を求めている。
- 竹島 → 韓国が実効支配、日本は抗議し、国際司法裁判所での解決を提案している。
- 尖閣諸島 → 日本が実効支配中、中国・台湾が領有を主張。
領海・EEZがなぜ重要か
- 漁業権:水産物(マグロ・サンマ・カツオなど)の獲得権。
- 資源開発:海底の 石油・天然ガス・メタンハイドレート・レアアース。
- 資源利用の権利:水産資源や海底資源を利用する権利は沿岸国にある(外国の船が通ること自体は自由)。
- 環境保全:海洋汚染や乱獲を防ぎ、島やサンゴ礁を守る。
小さな島でも、領土として認められるかどうかは 周辺の海域利用やEEZの範囲に関わります。沖ノ鳥島が護岸で保全されているのも、海洋権益を守るためです。
この章でつまずきやすいところ
「領域」と「EEZ」、3つの領土問題は、本文を読んでいる途中で線引きがあいまいになりやすい場所です。区分の境目と、どの国が実効支配しているかを場面ごとに整理しておきましょう。
EEZも日本の領土だと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「EEZは約447万km²で世界上位」と読んだ瞬間、日本の領土がそれだけ広いのだと受け取ってしまい、領土・領海とEEZの線が頭の中で混ざってしまう場面。
- 克服のコツ:位置関係で整理します。陸地が領土、その外側12海里までが領海、さらにその外側200海里までがEEZです。EEZは領土や領海ではなく、漁業・資源開発などの権利が認められる海域、と区切って覚えます。
- ミニ例:領土は約37.8万km²、EEZは約447万km²。面積の差は、漁業や資源の権利が認められる海域が広いという意味であって、日本の国土が447万km²あるわけではない、と読み替えます。
北方領土を日本が管理していると思い込んでしまう
- つまずく場面:「1855年の日露通好条約で日本の領土と確認されている」という一文だけを読んで、今も日本が管理していると勘違いし、その後の「ロシアが実効支配」という記述と頭の中で食い違ってしまう場面。
- 克服のコツ:時系列で押さえます。江戸時代から日本人が居住 → 1855年日露通好条約で日本領 → 第二次世界大戦末期にソ連が占領 → 以後ロシアが実効支配、と段階で並べます。「日本の主張」と「現在の実効支配」は別物として読み分けます。
- ミニ例:択捉島・国後島・色丹島・歯舞群島の4島は、教科書では日本固有の領土と整理しつつ、現状はロシアが実効支配していて、現在は元島民が自由に戻れない状態が続いている、と二段で説明されます。
尖閣諸島も日本が実効支配していないと思い込んでしまう
- つまずく場面:「北方領土・竹島・尖閣」と3つ並べて読むうちに、どれも他国に取られているように感じてしまい、尖閣諸島まで日本が実効支配していないと取り違える場面。
- 克服のコツ:見分け方として「誰が実効支配しているか」で3つを区別します。北方領土=ロシア、竹島=韓国、尖閣諸島=日本。教科書では尖閣は日本が実効支配している島として扱われる点を押さえます。
- ミニ例:尖閣諸島は1895年に沖縄県に編入。教科書では日本が実効支配中で、1970年代以降、中国・台湾が領有を主張し始めた、と整理されます。
小さな島は重要ではないと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の「沖ノ鳥島が護岸で保全されている」という一文を読んで、なぜそんな小さな島をわざわざ守るのか分からず、領海やEEZの話と結びつかないまま読み飛ばしてしまう場面。
- 克服のコツ:因果関係で結びます。島が領土として認められる → その島を基準に領海12海里とEEZ200海里が広がる → 周辺海域の漁業権や海底資源の権利が確保される、という順で考えます。島の大きさより島の存在そのものが海域利用に効いてくる、と整理します。
- ミニ例:日本の最南端である沖ノ鳥島は陸地としては小さくても、教科書ではEEZを保つために護岸で保全されていると説明され、海洋権益を守る目的で重要視されている島として扱われます。
練習問題
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領土・領海・領空
領海は海岸から12海里、領空はその上空。
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範囲:沿岸の基線から 200海里(約370km)まで。ただし領海の外側で、領土そのものではない。
権利:漁業・資源開発・科学調査などを独占的に行う権利。1982年の国連海洋法条約で定められた。
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北方領土:ロシア
竹島:韓国
尖閣諸島:日本(中国・台湾が領有を主張)
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択捉島・国後島・色丹島・歯舞群島。1855年の日露通好条約で日本領と確認された4島。
まとめ
- 国の 領域 = 領土+領海+領空。領海は12海里、領空は上空。
- 基線から 200海里までは排他的経済水域(EEZ)。日本のEEZ面積は世界上位で、順位は資料集で確認する。
- 北方領土(ロシア実効支配)/竹島(韓国実効支配)/尖閣諸島(日本実効支配、中台が主張)を、日本の立場と実効支配の違いで整理する。
- 小さな島でも、海域利用やEEZに関わるため重要 ── 沖ノ鳥島が護岸で保全される理由。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
領海とEEZを合わせると国土の約12倍発展
日本の国土面積は約38万km²ですが、領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせると約447万km²になり、これは国土のおよそ12倍にあたります。海に囲まれた島国のため、この海の広さは世界で6番目で、国土面積の世界順位(60位台)よりずっと上位です。
沖ノ鳥島を守ると約40万km²の海が守れる発展
東京から約1,700km南にある沖ノ鳥島は、満潮時には2つの小島がわずかに海面上に残るだけの小さな島で、波の侵食で水没しないよう1987年から護岸工事が行われてきました。この島を基点とするEEZは約40万km²にもなり、日本の国土面積に匹敵するため、国が直接管理して守っています。
尖閣周辺で中国海警局の船がほぼ毎日航行時事
日本が実効支配する尖閣諸島の周辺では、近年、中国海警局の船が荒天の日を除いてほぼ毎日のように接続水域に入り、月に数回は日本の領海にも侵入する状態が続いています。海上保安庁の巡視船が監視と退去要求を行いながら、日本の領海・EEZを守っています。
北方領土の『ビザなし交流』がいま止まっている時事
1991年から、北方四島に住むロシア人と日本人がパスポートやビザなしで相互訪問する『ビザなし交流』が、領土問題解決までの相互理解の取り組みとして続けられてきました。しかし2022年、ロシアはこの枠組みの停止を一方的に発表し、平和条約交渉も中断したため、交渉状況は国際情勢に大きく左右されています。
海底の『燃える氷』メタンハイドレート発展
日本周辺の海底には、天然ガスの成分と水が結びついた『燃える氷』と呼ばれるメタンハイドレートが相当量あると期待されています。砂層型は太平洋側の南海トラフ、表層型は日本海側を中心に分布が確認されており、EEZの海底資源として商業化に向けた技術開発が経済産業省を中心に進められています。
竹島の国際司法裁判所での解決提案発展
日本は竹島について、これまで複数回(1954年・1962年・2012年)、国際司法裁判所(ICJ)に判断をゆだねて平和的に解決することを韓国に提案してきましたが、韓国はいずれも応じていません。国際司法裁判所は両国が同意しないと審理を始められない仕組みのため、提案だけでは解決に進めない状況が続いています。
