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植物のからだのはたらき ── 光合成と呼吸

植物は、光を受けて自分で栄養(デンプン)をつくります。これが光合成です。光合成は葉の細胞の中の葉緑体で行われ、二酸化炭素と水を材料に、光のエネルギーを使ってデンプンと酸素をつくります。植物も動物と同じように呼吸もしています。両方のはたらきを整理していきましょう。

図でつかむ

光合成の入口と出口 二酸化炭素+水 葉緑体 (光のエネルギー) デンプン+酸素 材料(二酸化炭素・水)を左、できるもの(デンプン・酸素)を 右に置き、真ん中に葉緑体と光を書くと整理できます。
光合成の材料と生成物

光合成は「材料 → 葉緑体(光のエネルギー) → できるもの」の一本の流れで整理できます。どちらが入口でどちらが出口かを書き込むと混乱しません。

光合成とは

用語
光合成(こうごうせい)

植物が 光のエネルギーを使って、二酸化炭素と水から デンプン(栄養)と酸素をつくるはたらき。

行われる場所:葉の細胞の中の 葉緑体。

光合成の材料とできるもの

区分物質とりこむ/出す場所
材料(入口)二酸化炭素気孔からとりこむ
材料(入口)水根から吸い上げる
エネルギー光葉が光を受ける
できるもの(出口)デンプン葉にたくわえられる
できるもの(出口)酸素気孔から出す
光合成のまとめ(ことばの式)

二酸化炭素 + 水 →(光のエネルギー・葉緑体)→ デンプン + 酸素

材料は二酸化炭素と水、できるものはデンプンと酸素。順番を逆にしないように注意します。

葉緑体・気孔・道管と師管

  • 葉緑体:葉の細胞の中にある緑色の粒。光合成を行う場所。緑色は クロロフィルという色素による。
  • 気孔(きこう):葉の裏に多い小さな穴。気体の出入り口(二酸化炭素・酸素・水蒸気)。孔辺細胞が開閉を調節する。
  • 道管:根から吸い上げた 水や養分の通り道。
  • 師管:光合成でできた 栄養(デンプンが変わった糖など)の通り道。
  • 根毛(こんもう):根の先端近くにある 細い毛のような突起。根の表面積を広げることで、水や水にとけた無機養分を効率よく吸収する。

光合成を確かめる実験

葉のデンプンを調べる(ヨウ素デンプン反応)

目的:光を当てた葉に、光合成でデンプンができているかを調べる。

手順:葉を熱湯につけてやわらかくし、あたためたエタノールで緑色(葉緑素)をぬいてから、ヨウ素液にひたす。

観察事実:光を当てた部分は 青紫色になり、光を当てなかった部分(アルミニウムはくでおおった部分)は青紫色にならない。

考察:青紫色になった部分にデンプンができている。つまり 光が当たった部分で光合成が行われたと考えられる。

実験の注意
  • エタノールは燃えやすいので、直接火であたためず 湯せんであたためる。
  • 葉の緑色をぬくのは、ヨウ素液の色の変化を見やすくするため。
ふ入りの葉を使った実験(葉緑体の有無)

緑色の部分と白い部分(ふ)がある「ふ入りの葉」に光を当ててヨウ素液で調べると、緑色の部分だけが青紫色になり、ふの部分は変化しない。

これは光の有無ではなく葉緑体の有無だけを比べた対照実験で、光合成には葉緑体が必要だとわかる。

呼吸との関係

用語
呼吸(こきゅう)

植物も動物と同じように、酸素をとりこみ、二酸化炭素を出す呼吸を 一日中(昼も夜も)行っている。栄養を分解してエネルギーをとり出すはたらき。

昼と夜のちがい(見かけの気体の出入り)

昼(光が強いとき):光合成>呼吸。見かけ上は 二酸化炭素をとりこみ、酸素を出すように見える。

夜(光がないとき):光合成は止まり、呼吸だけ。酸素をとりこみ、二酸化炭素を出す。

ポイント:呼吸は昼も夜も続いている。昼は光合成のほうが大きいので、呼吸が隠れて見えるだけ。

BTB溶液を使った実験(光合成と呼吸の確認)

緑色にしたBTB溶液にオオカナダモを入れ、光を当てると青色(光合成で二酸化炭素が減った)、暗い場所に置くと黄色(呼吸で二酸化炭素が増えた)に変化する。

この色の変化から、水中の植物でも光合成と呼吸が同時に起きていることが確かめられる。

蒸散(じょうさん)

用語
蒸散
根から吸い上げた水が、気孔から水蒸気となって出ていくこと。水の吸い上げをうながし、植物の体温調節にも役立つ。気孔が多い 葉の裏でさかん。
蒸散量の計算(ワセリンを塗る実験)

葉の表だけにワセリンを塗った枝、裏だけに塗った枝、どこにも塗らない枝を用意し、水の減った量を比べる。

どこにも塗らない枝の減少量から表に塗った枝の減少量を引くと表からの蒸散量、裏に塗った枝の減少量を引くと裏からの蒸散量がわかる。

つまずきポイント①:光合成と呼吸の向きを逆にしてしまう
  • 光合成:二酸化炭素をとりこみ、酸素を出す(デンプンをつくる)。
  • 呼吸:酸素をとりこみ、二酸化炭素を出す(栄養を分解する)。
  • 出入りする気体が正反対。「つくる」のが光合成、「使う」のが呼吸と整理する。
つまずきポイント②:呼吸は夜だけだと思ってしまう
  • 呼吸は 昼も夜も一日中行われている。
  • 昼は光合成のほうが大きいので、見かけ上は光合成だけのように見えるだけ。

この章でつまずきやすいところ

光合成と呼吸の単元は、気体の出入りの向きや、昼と夜のちがいがこんがらがりやすい場所です。ここでは、教科書を読む途中や問題を見ている途中で中学生がよくつまずく具体場面を取り上げ、迷いを整理するコツを示します。

光合成の材料とできるものを入れ替えてしまう

  • つまずく場面:ことばの式を覚えるとき、「二酸化炭素・水」と「デンプン・酸素」のどちらが入口でどちらが出口かがあいまいになり、酸素を材料と書いてしまう場面です。
  • 克服のコツ:「植物は栄養(デンプン)をつくるのが仕事」と出発点を決めること。栄養をつくった結果として酸素ができるので、酸素は必ず出口(できるもの)側。材料は空気中の二酸化炭素と根からの水だと押さえる。
  • ミニ例:「光合成の材料は何か」と問われたら 二酸化炭素と水。「酸素」と書いたら出口と入口を取り違えている。

呼吸をしているのは夜だけだと思い込んでしまう

  • つまずく場面:「昼は光合成、夜は呼吸」という対比だけを覚えてしまい、昼は呼吸をしていないと思い込む場面です。
  • 克服のコツ:呼吸は一日中続いていると先に決めること。そのうえで、昼は光合成の量が呼吸より大きいので、見かけ上は「二酸化炭素をとりこみ酸素を出す」ように見えるだけだと整理する。「昼=光合成だけ」ではなく「昼=光合成+呼吸、ただし光合成が勝つ」と覚える。
  • ミニ例:「植物が呼吸をするのはいつか」と問われたら 昼も夜も(一日中)。「夜だけ」は誤り。

道管と師管、どちらが水か栄養かを混同してしまう

  • つまずく場面:道管・師管の名前だけを覚えて、どちらが根から吸った水で、どちらが光合成でできた栄養の通り道かを取り違える場面です。
  • 克服のコツ:「道管は水の通り道」と字で結びつけ、根から上がる水は道管、と決める。残った師管が栄養(糖)の通り道。道管は根→葉の上向き、栄養は葉→全身へ、と向きもセットで覚える。
  • ミニ例:「根から吸い上げた水が通るのは道管か師管か」と問われたら 道管。光合成でできた栄養は師管。

練習問題

問題1(光合成の材料と生成物)

次の問いに答えよ。

  1. 光合成の材料となる気体は何か。
  2. 光合成でできる気体は何か。
  3. 光合成でできる栄養は何か。
  4. 光合成が行われる、葉の細胞の中の緑色の粒を何というか。
答えを見る

(1) 二酸化炭素 (2) 酸素 (3) デンプン (4) 葉緑体

問題2(光合成と呼吸)
  1. 酸素をとりこみ二酸化炭素を出すはたらきを何というか。
  2. 植物が呼吸をしているのは、昼だけか、夜だけか、一日中か。
  3. 昼に、見かけ上とりこまれている気体は何か。
答えを見る

(1) 呼吸 (2) 一日中 (3) 二酸化炭素

問題3(からだのつくり)
  1. 気体の出入り口になる、葉の裏に多い小さな穴を何というか。
  2. 根から吸い上げた水の通り道を何というか。
  3. 根から吸い上げた水が気孔から水蒸気として出ていくことを何というか。
答えを見る

(1) 気孔 (2) 道管 (3) 蒸散

まとめ

  • 光合成:二酸化炭素+水 →(光・葉緑体)→ デンプン+酸素。
  • 行われる場所は 葉緑体。気体は 気孔から出入りする。
  • 呼吸:酸素をとりこみ二酸化炭素を出す。植物も 一日中行う。
  • 昼は光合成が呼吸より大きいので、見かけ上は二酸化炭素をとりこみ酸素を出す。
  • 道管=水の通り道、師管=栄養の通り道。蒸散は気孔から水蒸気が出ること。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

地球の酸素の多くは植物や植物プランクトンの光合成による実生活

わたしたちが呼吸で使う酸素は、もとをたどれば植物や海の植物プランクトンの光合成でつくられたものです。とくに海の植物プランクトンは地球の酸素のかなりの割合を生み出しているといわれ、森林だけでなく海の生態系も酸素をつくる大切な役割を担っています。

出典:海洋研究開発機構(JAMSTEC)プレスリリース(海洋植物プランクトンと物質循環)

葉が緑に見えるのはクロロフィルが緑の光を反射するから発展

葉緑体にふくまれる色素クロロフィルは、光合成に主に赤と青の光を利用し、緑の光はあまり使わずに反射します。そのため、反射された緑の光がわたしたちの目に届き、葉は緑色に見えます。秋に葉が赤や黄色に変わるのは、クロロフィルが分解されて別の色素が目立つようになるためです。

出典:コトバンク「クロロフィル(葉緑素)」(日本大百科全書ほか)

人工的に光合成をまねる「人工光合成」の研究時事

植物の光合成をまねて、太陽の光と二酸化炭素・水から燃料や化学原料をつくり出す「人工光合成」の研究が進められています。二酸化炭素を減らしながら役立つ物質をつくれる可能性があり、地球温暖化対策の技術として注目されています。

出典:国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)(人工光合成プロジェクト)