図でつかむ
国会や大企業の本社が集まる東京に向かって、人も野菜も工業製品も集まってくる構図です。京浜・京葉・北関東という3つの工業地域の位置の違いも、矢印の向きとあわせて確認しましょう。
関東1都6県
| 都県 | 県庁所在地 | 特徴 |
|---|---|---|
| 東京都 | 東京(新宿) | 日本の首都、人口約1400万人 |
| 神奈川県 | 横浜市 | 横浜・川崎の港町、京浜工業地帯 |
| 埼玉県 | さいたま市 | 東京のベッドタウン |
| 千葉県 | 千葉市 | 成田空港・東京湾岸工業地帯 |
| 茨城県 | 水戸市 | 筑波研究学園都市・農業 |
| 群馬県 | 前橋市 | 温泉と工業、こんにゃく日本一 |
| 栃木県 | 宇都宮市 | 日光、いちご日本一 |
地形と気候
関東地方の大半を占める 関東平野(日本最大の平野)
主な河川:利根川(流域面積が日本最大)、荒川、多摩川
関東ローム層:富士山・浅間山の火山灰
気候:温暖湿潤、夏は蒸し暑い
冬は晴れの日が多い、からっ風(北西の乾いた風)。冬の北西の季節風が山地を越えて乾いた風となって吹き下ろすため、洗濯物はよく乾くが空気が乾燥し火の元に注意が必要になる
東京一極集中
関東1都6県に 日本人の約30%が住む。
政治:国会・最高裁・中央省庁が東京に
経済:大企業の本社、東京証券取引所
文化:テレビ局、出版社、芸術機関
教育:有名大学が集中
交通:新幹線・高速道路・航空のハブ
東京都心は通勤・通学者の流入により昼間人口が夜間人口を大きく上回る一方、周辺県は通勤・通学で人が流出するため夜間人口の方が多い
高度経済成長期以降は、地価高騰や住環境の悪化で都心の夜間人口(居住人口)が減り、郊外の人口が増えるドーナツ化現象が進んだ
近年は地価の下落やタワーマンションなど高層マンションの建設により、都心の夜間人口が再び増える都心回帰の動きがみられる
問題:通勤ラッシュ、地価高騰、災害時のリスク、地方の過疎化
京浜工業地帯
東京・川崎・横浜を中心とした臨海工業地帯
かつて日本の工業を代表した地域。製造品出荷額などの順位は資料集で確認
主な業種:機械・化学・金属・印刷・食品
川崎:石油化学コンビナート
横浜:日本有数の貿易港
近年:京葉工業地域(千葉県、東京湾岸)の発展
北関東工業地域:群馬・栃木・茨城の内陸工業地帯
近郊農業
大都市の周辺で、新鮮な野菜を生産
千葉・茨城・埼玉などで盛ん
主な作物:
・ねぎ(埼玉)、ほうれんそう(千葉・群馬)
・キャベツ(群馬・愛知)、レタス(茨城)
・ピーマン(茨城)、白菜(茨城)
・落花生(千葉)、いちご(栃木)
特徴:輸送が速い → 新鮮なまま消費者へ届く
高速道路網が整い、首都圏への流通が便利
東京の中心機能
政治:国会議事堂、内閣府、中央省庁が霞が関に集中
商業:銀座・新宿・渋谷・池袋などの繁華街
ビジネス:丸の内・大手町・新宿副都心。都心への一極集中をやわらげるため新宿・渋谷・池袋などに副都心が指定され、業務機能の分散が図られている
観光:浅草・スカイツリー・東京タワー・原宿
交通:JR山手線・新幹線・地下鉄が網の目状
羽田空港:国内線中心、近年は国際線も拡大
成田空港(千葉):国際線中心
政令指定都市
- 横浜市(神奈川):日本第2の都市、約380万人
- 川崎市(神奈川):約150万人
- 相模原市(神奈川)
- さいたま市(埼玉):約130万人
- 千葉市(千葉)
- 関東地方には5つの政令指定都市
東京湾の利用
東京湾は古くから埋め立てが進む
お台場・羽田空港・横浜みなとみらい
京葉工業地域:千葉県側の埋立地に石油化学・製鉄
東京港・横浜港・千葉港:日本有数の貿易港
ディズニーランド(千葉県浦安市)
筑波研究学園都市
茨城県つくば市に建設された 研究学園都市
1970年代から計画的に開発
国の研究機関や大学が集中
筑波大学・JAXA(宇宙航空研究開発機構)など
2005年:つくばエクスプレス開通で東京とつながる
首都圏の課題
通勤・住宅問題:満員電車、長時間通勤、家賃高騰
地震災害のリスク:首都直下型地震が想定される
ヒートアイランド現象:都市部の気温上昇
過疎と過密の差:東京一極集中で地方は過疎
高齢化と都市インフラ更新:高度成長期のインフラの老朽化
子育てしにくい環境:保育所不足、出生率の低さ
- 東京は 都、他は 県 → 「1都6県」と覚える
- 政令指定都市:横浜・川崎・相模原・千葉・さいたま(5市)
- 東京は「都」だが「政令指定都市」ではない
- 京浜工業地帯:東京・川崎・横浜中心
- 京葉工業地域:千葉県の東京湾岸
- 北関東工業地域:群馬・栃木・茨城の内陸
- 3つを混同しないように
- 大都市の 近くで行う農業
- 新鮮な野菜が中心(輸送時間が短い)
- 千葉・茨城・埼玉が主産地
- 「促成栽培」「抑制栽培」とは違う(あれは気候を利用した栽培)
この章でつまずきやすいところ
関東地方は東京を中心に人や産業が集まる地域ですが、本文を読み進めるうちに「工業地帯と工業地域」「東京と政令指定都市」など、似た言葉や似た位置関係でつまずきがちです。読みながら混乱しやすい場面を整理します。
京浜・京葉・北関東を同じ工業地帯と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「京浜工業地帯」「京葉工業地域」「北関東工業地域」が次々と出てくると、すべて東京湾岸の同じ地域のことだと感じてしまい、地図の上でどこを指しているのか分からなくなる場面。
- 克服のコツ:位置関係で整理する。京浜=東京・川崎・横浜の東京湾西岸、京葉=千葉県側の東京湾東岸、北関東=群馬・栃木・茨城の内陸部、と海沿いか内陸かを軸に三つに分ける。「浜」は横浜、「葉」は千葉と漢字でも見分けられる。
- ミニ例:千葉県の石油化学コンビナートは京葉工業地域、群馬県の自動車工場は内陸なので北関東工業地域、川崎の重化学工業は京浜工業地帯。
東京都も政令指定都市の一つだと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文に「関東地方には5つの政令指定都市がある」と出てきたとき、日本一の大都市である東京もそこに含まれるはずだと考えてしまい、横浜・川崎・相模原・さいたま・千葉の5市と数が合わずに混乱する場面。
- 克服のコツ:見分け方で整理する。東京は「都」という特別な区分で、23区を持つ。政令指定都市は「市」のなかで人口が多く特別に指定されたもの。だから東京は政令指定都市には数えない。「1都6県」と「5政令市」は別の枠だと意識する。
- ミニ例:神奈川県には横浜・川崎・相模原の3つの政令指定都市があるが、東京都にはゼロ。東京都には23の特別区があり、政令指定都市とは別の枠組みで扱われる。なお都庁は新宿区に置かれている。
近郊農業を促成栽培や抑制栽培と同じ仕組みだと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「千葉・茨城・埼玉で野菜づくりが盛ん」と読んだとき、宮崎や高知で習った促成栽培や、高地の抑制栽培と同じく、気候を工夫した農業だと考えてしまい、なぜ関東で盛んなのか理由が結びつかない場面。
- 克服のコツ:因果関係で整理する。関東平野の温暖で平坦な気候・地形も前提にはあるが、近郊農業の決め手は気候だけでなく、大消費地である東京に近い立地。東京に近い→輸送時間が短い→新鮮なまま届けられるという流れがポイント。一方、促成・抑制栽培は気候を利用して出荷時期をずらす農業で、関東のものとは目的が違う。
- ミニ例:茨城のはくさい・ねぎや千葉のほうれんそう・だいこんは、朝とった野菜をその日のうちに東京の市場へ運べる距離の近さが強み。長野のレタスが高冷地の涼しい気候を生かした抑制栽培で夏に出荷するのとは仕組みが別。
羽田と成田を同じ「東京の空港」とひとまとめにしてしまう
- つまずく場面:本文に「羽田空港」「成田空港」が並んで出てくると、どちらも東京の空港だと感じてしまい、所在地や役割の違いがあいまいになる場面。
- 克服のコツ:所在地と役割をセットで整理する。羽田空港は東京都大田区にあり国内線中心(近年は国際線も拡大)、成田空港は千葉県成田市にあり国際線中心。成田空港は所在地の「成田市」がそのまま名前になっていると覚えると、東京の空港と混ざりにくい。
- ミニ例:国内の出張で大阪へ向かう便は羽田から、海外旅行でアメリカへ向かう国際線の多くは成田から発着する、と教科書では整理される。
練習問題
- 関東地方の1都6県
- 関東地方の中心となる工業地帯
- 大都市周辺で行われる農業
- 日本最大の平野
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(1) 東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県・群馬県・栃木県
(2) 京浜工業地帯 (3) 近郊農業 (4) 関東平野
次の県の特産品を答えよ。
- 栃木県(果物)
- 群馬県(野菜、生産量1位)
- 千葉県(落花生)
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(1) いちご(とちおとめ) (2) こんにゃくいも・キャベツ (3) 落花生
東京一極集中によって生じる問題を3つ挙げよ。
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通勤ラッシュ、地価高騰、首都直下型地震のリスク、地方の過疎化、ヒートアイランド現象 など
羽田空港と成田空港の違いを述べよ。
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羽田空港(東京都):国内線中心、近年は国際線も拡大
成田空港(千葉県):国際線中心、日本の玄関口
まとめ
- 関東1都6県:東京を中心とした大都市圏。
- 日本人の約30%が住む。
- 東京一極集中の問題(通勤・地価・災害リスク)。
- 京浜工業地帯・京葉工業地域・北関東工業地域。
- 近郊農業(千葉・茨城・埼玉、新鮮野菜)。
- 筑波研究学園都市(茨城)の科学集積。
- 羽田・成田の2大空港、東京湾の埋立。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
今も続く東京一極集中(最新の人口移動)時事
総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、2025年も東京都は約6万5千人、東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)は約12万3千人の転入超過となり、人が東京に集まる一極集中が続いています。ただし東京都の超過は前年より1万4千人ほど減り、4年ぶりに縮小しました。
つくばエクスプレス開業20年で沿線人口が大きく増加時事
2005年に秋葉原とつくばを結んで開業したつくばエクスプレス(TX)は、2025年で開業20年を迎えました。国土交通省の分析では、開業後に沿線の夜間人口が増加し続けており、つくば市は近年も全国上位の人口増加率を記録するなど、鉄道が地域の発展を後押ししています。
首都直下地震に備える(最新の被害想定)発展
南関東でマグニチュード7級の地震は、今後30年以内に約70%の確率で起こると予測されています。国の中央防災会議の想定では、都心の直下で起きた場合、建物の倒壊や火災で多くの被害が出るとされ、人口や産業が集まる関東地方の防災が大きな課題になっています。
利根川は流域面積が日本一発展
関東平野を流れる利根川は、流域面積が約16,840平方キロメートルで日本最大、長さは約322キロメートルで信濃川に次いで日本第2位です。その水は農業や、首都圏に住む大勢の人々の飲み水・工業用水として広く利用されています。
つくばのJAXAが宇宙ステーションを動かす発展
茨城県つくば市にあるJAXA筑波宇宙センターは、国際宇宙ステーションにある日本の実験棟「きぼう」を24時間体制で運用・管制しています。人工衛星やロケットの研究開発、宇宙飛行士の養成も行い、関東の研究学園都市が世界の宇宙開発を支えています。
羽田空港の国際線が大きく拡大時事
羽田空港は、2020年3月から新しい飛行ルートの運用を始め、昼間の国際線の発着枠が年間約3.9万回増えました。これにより国内線が中心だった羽田でも国際線が大きく広がり、成田空港とともに首都圏の空の玄関口としての役割が高まっています。
